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Jin-Machine

唯一無二のプログレッシヴ・コミックロックバンドが、 すべての“売れたい”人たちに捧げる超展開的名曲。

メンバーチェンジを経て新たにレジデンス涼羽―178[ていおん!]を迎え入れたJin-Machineが、新体制で初となるニューシングル『売れたくて』をリリースする。アーティストがあからさまに表現することの少ない“売れたい”という気持ちをストレートに歌った表題曲は、コミカルな歌詞とプログレッシヴな曲展開も含めて彼らにしか創造できないものだと言えるだろう。カップリングにも、ミサ(※ライヴ)でマグロのぬいぐるみが客席を飛び交うという異様な光景を生み出す名物曲「マグロに賭けた男たち」を筆頭に、遊び心をふんだんに詰め込んだ奇想天外な楽曲揃いだ。もはやジャンルやシーンで括ることすらもバカらしくなるほどに自由でクリエイティヴな、自称“日本一面白いヴィジュアル系バンド”が売れる日は近いかもしれない…?

 
「“売れたい!”と言いながらも、売れている人は絶対にやらないであろうことを詰め込んだ結果、こういう曲になりました(笑)」
 
●今年7/9のミサを最後にブッシュドノエル・水月・アリッサさんが脱退したわけですが、バンドにとっても大きな出来事だったんでしょうか?

ひもり:やっぱり大きいことではありましたね。

16:このバンドをやってきた中で幾度となく繰り返されてきた加入〜脱退…というものを私が一番多く経験してきたと思いますが、“そういうことじゃないんだ!”ということが今回初めてわかりました。

●“そういうことじゃない”というのは?

16:そういうふうな軽い話じゃないというか…。“加入や脱退って、本当はこんなにもセンシティヴな話だったんだ”と感じたんです。

●逆に言うと、今までの脱退では…?

16:“辞めちまえ! てめぇなんか、今すぐここから消え失せろっ!”と思っていましたね。

一同:ハハハハハ(爆笑)。

●それは過去に辞めたメンバーの原因が女性問題だったりするから?

16:そうですね。もしくは一方的に消えるとか…。

●初めてちゃんとした理由で辞めたのが水月さんだったと(笑)。

16:“行かないで欲しいな…”という気持ちに初めてなれた脱退でした。泣かないつもりでいましたけど、やっぱり泣けてしまいますね。この安い涙がポロポロと…。

●安い涙って(笑)。

16:心が動くと、すぐ泣いちゃうんです…。

木村:あんまりしんみりしないようにとは思っていたんですけど、当日になると“やっぱりそうはいかないな”と感じましたね。

●実際にその現場を迎えると、こみ上げてくる感情があった。

16:舞台に立つまではいつもどおりだったんですけど、いざライブが始まってみると進めば進むほど感じるものがあって。誰かに与えられるわけじゃなく、勝手に自分の中で生まれてくるような感情がみんなにもあったんじゃないかな。“この曲をやったら、もう終わりなんだな…”みたいな気持ちはあったと思います。

●今回の『売れたくて【TYPE-B】』に7/9のミサ音源が入っていますが、本編ラストの「FIVE」は特に感情がこもっている感じがしました。

ひもり:本編ラストでは、もう俺は“諦め”みたいな感情でしたね。“これでバンド人生が終わるかもしれないんだな…”と思いながらやっていました。

●そのくらいの気持ちだったんですね…。

ひもり:“たぶんメンバーも見つからないだろうし、これはもう終わったな”と思いながら弾いていました。

16:そういうことがあって今があるので、不思議なものだなと思いますね。脱退してまた新メンバーが加入して…っていう流れがあまりにもスムーズだったので、自分たちでもまるで出来レースのようだと思ったくらいで(笑)。でも決してそんなことはなく、本当に巡り合わせが良かっただけなんです。

●レジデンス涼羽―178さんと出会ったキッカケは何だったんですか?

16:なかなか良い人が見つからなくて“どうする?”となった時に、木村が“ちょっと知り合いにあたってみます”ということで訊いてくれて。そこから一発で引いてきたんです。

木村:7/9のツアーファイナルが終わった1週間後には次のライブが決まっていたので、“ヤバいヤバい!”となっていたんです。それでミュージシャンの知人にダメ元で相談したら、その日のうちに候補が2人挙がってきて。そのうちの1人が彼(レジデンス涼羽―178)だったんですよね。

●木村さんのつながりだったんですね。

木村:紹介して頂いた方からも「上手いし、すごく個性がある」と聞いていたんですけど、実際に会ってみたら本当に出来レースのように上手くハマって今があるっていう。カッコ良い言い方をすれば、“運命的な出会い”かなって…。

16:出た! ヴィジュアル系にありがちな“運命的な出会い”を果たしちゃったヤツ(笑)。

●“ヴィジュアル系あるある”的な(笑)。プレイ面でも、キャラクターの面でもハマったということ?

ひもり:そうですね。逆に彼くらいできないと、このバンドのメンバーは務まらないんじゃないかと思います。

16:そこもあったから、余計に怖いっていうか。“絶対に何か裏があるだろう?”とずっと思っていたんですけど、サポートメンバーとして一緒に活動している中で最後までそういうところが見えてこなかったので“これは本当に変わった人なんだな”っていう…(笑)。

●結論は“変わった人”なんだ(笑)。

16:絶対に欠点というかアンタッチャブルな部分がどこかにあるだろうと思っていたんですよ。“だって、バンドをやっている人だよ? しかもベースだよ?”と思っていたんですけど、本当に何もなくて。…別にそれが残念なわけじゃないですけど(笑)。

●人間的にも全く問題がないと。

16:“普通の人”というか。

ひもり:しっかりしていますね。

●そんな新メンバーを迎え入れて、心機一転的な部分もあるのでは?

16:そうですね。“よし、ここからみんなで頑張ろう!”みたいな気持ちに自然となれています。ここまで一緒にやってきた短い期間だけでも既にもう今までにない進化というか、また新しいものが見えてきた気がしていて。メンバーが1人変わるだけで、こんなにも違うのか…っていうことはすごく感じました。別にみっちゃん(※水月)をディスっているわけではなく(笑)。

●涼羽さんが加わったことで、新たな進化を感じられている。

16:“これだけの期間でここまで変わるんだったら、さらに年月を重ねていったら我々はいったいどうなってしまうんだ?”というくらいで、夢と希望に溢れているなと感じていて。逆に新しい問題にもきっとぶち当たるんでしょうけど、“それもきっと乗り越えられるだろうな”っていう気さえしていますね。

●そのくらい今の状態に自信があるから、今回『売れたくて』という攻めたタイトルの楽曲を世に送り出せるのかなと(笑)。

16:満を持して(笑)。涼羽さんが正式加入すると決まった時点で「売れたくて」という曲があったわけではないんですけど、結果的に結びついたなという気はしています。今の気持ちが乗ることで、この曲をもっと強く押し出せるんじゃないかと思っているから。

●元からストックしていた曲ではない?

16:新たに作りました。“売れたいね”というテーマがあった上で作った感じですね。最初に“これで行こうか”と考えていた曲をボツにしたのもあって、“あと1週間で大逆転できる曲を作れないか?”ということになって。全員に共通するものとして“早く売れたいよね”という気持ちがあったので、そこからなら曲ができるんじゃないかと思ったんです。

●曲よりも先に“売れたい”というテーマがあったんですね。

ひもり:そのテーマをもらってから作り始めたんですけど、ジンマ(※Jin-Machine)がただ単に売れそうな曲を作ってもつまらないなと思って。“売れたい!”と言いながらも、売れている人は絶対にやらないであろうことを詰め込んだ結果、こういう曲になりました(笑)。

●歌詞でも“唯一無二を目指そうぜ プログレッシヴだ! 超展開”と歌っているとおりのハチャメチャな曲展開というか。

ひもり:自分で言っちゃうっていう(笑)。でもジンマらしい感じになりましたね。一歩引いたところから見たら“こいつら何やってんの?”って思われるかもしれないですけど(笑)、そういうギリギリのラインを行っているようなB級感がすごいなと。

●良い意味でのB級感がある。

16:それはすごくあって。リスナー目線で聴いてみると、ドラムをドコドコ叩いている感じとかもまるでバカっぽいアピールをしているように感じるんですよ。中学生〜高校生くらいの子が「おまえ、2バス叩けるんだ。すげぇな〜」みたいなノリで(笑)。

木村:“速い”は“正義”ですから(笑)。

●“速い”は“正義”って、確かに中2っぽい発想ですよね(笑)。

16:でもそういう気持ちって、すごく大事だと思うんですよ。“速いほうが良いんだ!”っていう…その精神構造というか。

木村:そういう意味で、ミュージシャン仲間を味方に付けられそうな曲ですね。“売れたい”っていう衝動はもちろんだし、2バスだとか“刻みが速い”だとか“速弾きしたい”みたいな衝動もみんな持ってるはずだと思うんですよ。

ひもり:誰もがそこから始まっているというか、一度はそういうところを通っているはずっていう。

●「売れたくて」にはバンドを始めた当初の初期衝動的なノリで、遊び心溢れる試みが色々と盛り込まれている感じがします。

16:でもそんなことをやっても“たぶん売れないぜ”って、みんな思うんじゃないかな(笑)。

ひもり:ただ目立ちたいだけっていう(笑)。

●ハハハ(笑)。今回はカップリングも、スピード感や勢いのある曲が多いですよね?

ひもり:速いですね。スピーディーな曲が揃いました。やっぱり勢いがあるほうが良いなと思って。前からある「マグロに賭けた男たち」(【TYPE-A】収録)と「パチンコ イェーイ!!!」(【TYPE-C】収録)もちゃっかりテンポを上げて録っているので、全体的に疾走感があります。

16:それを聞かされないまま、レコーディングに向かった木村っていう…。

木村:「マグロに賭けた男たち」に関しては事前に聞いていたんですけど、「パチンコ イェーイ!!!」は知らなかったですね。現場では僕の知らないところで、“テンポを10上げてくれ”っていうやり取りがなされていて…。

●いつの間にか速くなっていた(笑)。

木村:この曲は音源化される前に、実は一度録っているんですよ。だからあの時の感覚でやれば大丈夫だろうと思ってレコーディングブースに入ったら、“ちょっと速いよな…?”と感じて。でもその時は久々にやったから“あの時の感覚がまだ戻っていないのかな”と思っていて、気付いたのはその後にあったアウトストアライブの時でした。

16:だいぶ後ですね(笑)。

●レコーディングの時点では気付いていなかったと。

木村:あとで知って、“どうりで速いと思ったわ…”という感じでしたね。でもやっぱりみっちゃんが抜けてから最初のシングルということもあって、アップテンポで前向きな感じを出したかったというところはあったんです。“前を向いているんだよ”というものは見せたかったから。

●メンバーチェンジがあっても、前を向いている姿勢を曲でも表現したかったんですね。

木村:あと、今回は涼羽さんがベースを弾いているんですけど、それによって前とは音像がガラッと変わったんですよ。そこは自分たちでも感じているし、エンジニアさんも含めてみんなから言われていて。涼羽さんが入った結果、色んなものが上手くハマって今回のシングルができたという感覚はありますね。

●涼羽さんが入った効果を顕著に感じられている。

ひもり:逆に今までどおりにいかないこともあったので、大変なところもありましたけどね。でも音やアレンジ、曲作りに関しても“変えていこう”という気持ちがあった上で今回の曲は録ったんです。結果として、良いふうに変われたと思います。

●「maria.」(【TYPE-B】収録)は“これぞヴィジュアル系!”という曲ですが、逆にジンマでは珍しいタイプでは?

ひもり:そうなんです。“ヴィジュアル系っぽい”じゃなくて、“まさにヴィジュアル系!”というものを久々に作りましたね。僕が加入した当初に作った曲がヴィジュアル系っぽかったんですけど、それ以来なのでもう8年ぶりという…。

●ある意味、新メンバーになって原点回帰的な意味も…?

ひもり:そうですね。やっぱりウチらはヴィジュアル系バンドなので、改めてそう思わせようかなと(笑)。

●歌詞もすごくヴィジュアル系らしくて…、要は“何を言っているのかよくわからない”っていうことなんですが。

一同:ハハハハハ(爆笑)。

16:そう言ってもらえると、すごく嬉しいです。書いた甲斐があったなと思いますね(笑)。本当に何を言っているのか、よくわからない歌詞なんですよ。

ひもり:何も言っていない(笑)。ただカッコ良いふうな言葉を並べているだけっていう。

●「maria.」という表記も意味ありがちで実は…?

16:全く意味はないです。雰囲気だけですね。一番カッコつけて“フッ”と言っている感じを文字で表したのがこれだったという。“何か意味があるんだろうな”と思わせるふう(笑)。

●逆に「恋してせんべろ」(【TYPE-C】収録)は、16さんの熱い想いが込められた曲とのことですが。

16:これも元々は“売れたい”というテーマに沿って木村が書いてきてくれたんですけど、制作を進めていくうちに某清涼飲料水の曲にしたいと思って。でも結果的に許諾が降りなくてNGになってしまったので、どうしようかとなったんですよ。その時に“好きなものは何か?”と考えてみたら、最近“せんべろ”が好きなのでそれをテーマに書こうと思ったんです。

●元々、木村さんは“売れたい”というテーマで作ってきたんですね。

木村:そうですね。みんなで騒げるようなパーティー感のある曲にしたかったんです。あと、新しいジンマと古いジンマ…それこそ自主制作で活動していた頃くらいのジンマをハイブリッドさせたような曲を作ってみたかったというのもあって。90年代のビーイング系的な8分音符のリズムをサビに持ってきつつ、サビ2みたいなところで16分音符の細かい刻みを入れることで新しさを表現する…というのをやってみた曲ですね。まさか酒の話になるとは思わなかったですけど(笑)。

●当初想像していたものとは全く違うものになった。

木村:あと、この曲は悪ノリが過ぎたところもあって。“これをやったら面白いんじゃない?”みたいなものをどんどん入れていった結果、原曲よりも楽しい感じが増したのかなと思います。結果的には良くなりましたね。

16:あんまり準備や相談をしないままレコーディングに臨んで、“面白いからこれにしよう”みたいな現場判断が何度も繰り返された曲ですね。

●悪ノリのおかげで、心から楽しんでいる雰囲気も出ている気がします。

16:そうですね。“酒が呑みたい”という意志が詰まっている曲です。

ひもり:みんな呑みたいと思っていただろうから、その気持ちが“千円ベロベロ”のところに詰まっていて。たまたま化学反応が起きましたね(笑)。

●制作期間中の“酒が呑みたい”気持ちが溢れ出している(笑)。

16:今は、打ち上げで使えるせんべろが欲しいなと思っています。

●打ち上げで、せんべろって(笑)。

ひもり:まあ、普通のヴィジュアル系バンドはせんべろに行かないし、そもそも打ち上げもあまりやらないですけどね。でもウチらは、隙あらば打ち上がるんです。

木村:何か理由をつけて、打ち上げをやろうとする。

16:移動日にも打ち上げをやったりしますからね。“移動、お疲れさまでした!”っていう理由で、打ち上げをやるんです(笑)。

●そういうバンドだから歌えるテーマかもしれないですね。

ひもり:そうですね。みんな、酒が呑めるメンバーだから。

16:涼羽さんもわりと酒が呑めるタイプだったので助かりました。

●そこも良い方向に出たと(笑)。今作リリース後のツアー“今日から一歩”も、新メンバーになって新たな一歩を踏み出すという意味を込めているのかなと思ったんですが。

16:そうですね。何か会話している中で突然“今日から一歩”という言葉が出てきたんですけど、最初は“何? その『はじめの一歩』(※森川ジョージ作のマンガ)のパクリみたいなヤツは…”という感じだったんです。でもその言葉がすごく気になってきて、ふと“これはツアータイトルに使えるな”と思ったんですよね。最近そういうオマージュ的なことをやっていなかったので、新しい体制になったというところでまず目を引きつつ、そこへ面白いものも加われば興味をさらに惹けるんじゃないかと思って、このタイトルにしました。

●新体制でのツアーということで、自分たちでも気合いが入っているのでは?

木村:新しい5人になったという意味も含めての“今日から一歩”というツアータイトルなので、今回の『売れたくて』を引っさげて“ここが新たなスタートだよ”というものを見せられるツアーになったら良いなと思っています。

ひもり:“変わったな”というところを見せつつもそこからさらに成長していって、ファイナルのCLUB CITTA’は確実にSOLD OUTしたいですね。

16:今まで知っている人もそうじゃない人も、ぜひ観に来て頂きたいツアーではあって。新たなJin-Machineでもあるし、その5人がさらに変わっていくツアーにもなるだろうから。そこは前回のツアーでも実感できた部分があるので、今は自信を持って「このツアーを観ないと損するよ」と言えるくらいの気持ちでいます。北は北海道から南は福岡まで行きますので、ぜひ観に来て下さい!

Interview:IMAI

 

 

 
 
 
 

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