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PLASTICZOOMS

時代も国境も超えてフロアの最先端に根ざした音が新世界へと誘っていく

DIY精神にこだわり、全世界を視野に入れ音楽とファッションを同列に捉えた活動を展開し、バンドとして全く新しい立ち位置を確立してきたPLASTICZOOMS。70'sパンクや80'sポストパンクからニューウェーブやゴシックまでコアな音に影響を受けて育まれた、その日本人離れしたサウンドセンスは東京の音楽シーンでも特異な存在感を放っている。その型にハマらない活動方法は様々なシーンから評価され、音楽家以外のアーティストからのラブコールも受けて数々のコラボレーションを実現してきた。2015年6月からは1年間ベルリンに拠点を移し、現地での活動から得た大きなインスピレーションを元に初のセルフタイトルとなるアルバム『PLASTICZOOMS』を2017年1月にリリース。最高傑作にして問題作とも言える作品を手に二度目のヨーロッパツアーを敢行するなど、さらに精力的な動きを見せてきた彼らがニューシングル『MINDS』をライブ会場限定で発売した。アルバムからのシングルカット曲にしてバンドの最新のモードを提示するタイトル曲に加え、発売当時即完売したシングルからの再録2曲をカップリングに収録。これらの楽曲には、KENT(Lillies and Remains) 、コショージメグミ(Maison book girl) 、小林祐介(THE NOVEMBERS)がゲストボーカルとして参加している。さらにベルリンで活動しているDJのELECTROSEXUALによる「Quite Cleary」のリミックスも収めた充実のシングルリリースを祝して、JUNGLE LIFEでは初となる表紙&インタビューが実現した。楽曲、アートワーク、マーチャンダイズなどを全て手がけるフロントマンのSHO ASAKAWA(Vo.)は取材時にちょうどベルリンに渡航中だったため、Skypeを使用してのインタビュー。さらに今回はJUN YOKOE(Ba./Syn.)からも話を訊けるという貴重な機会を得て、2本立ての大ボリュームでお届けする。

 

Double Interview #1:SHO ASAKAWA(Vo.)

「2018年にはもうちょっと別の世界観を提示して“自分たちがやってきたこと”と“これからやりたいこと”のミックスみたいなものをやっていけたらと思っているんです」

 

●SHOさんは今ちょうどドイツのベルリンにいるそうですね。

SHO:ベルリンのクラブで音を吸収しつつ、次の作品に向かおうと思っているところですね。次のステップに行くために、体験しておきたいことが結構あって。

●PLASTICZOOMSは2015年6月から1年間ベルリンで活動していたわけですが、その時の経験も今につながっている?

SHO:2017年1月にリリースした『PLASTICZOOMS』(以下、前作)というアルバムは、そのベルリンに住んでいた時に受けたインスピレーションから作った作品で。クラブという文化にガッツリ身を置いていないと出せない音があるなっていうのは、そのアルバムでも感じたことだったんです。そういう部分でもっとコアな、アンダーグラウンド・テクノだったり、あとは会場の音の鳴りとかを感じたくて今もベルリンに来ています。

●音の鳴り方が日本とベルリンでは違う?

SHO:建物の違いなのか、日本とは音の鳴りが全然違うんですよ。空気が乾いているのもあると思いますけど、(ベルリンの)コンクリートに囲まれた工場跡地で鳴らされる音と、日本の建築物の中で鳴る音はこんなに違うのかということを現場で感じますね。

●その音の違いは前作で表現できたんでしょうか?

SHO:前作では“リズム”にすごく重点を置いていて。たとえばキックの鳴り方とかもそうなんですけど、ヘッドフォンやスピーカーで鳴らした時に“日本にはヤバさが足りないな”と思っていたんです。海外のクラブ…特にベルリンで感じた、そういうものをパッケージとして残せたらなと思っていました。だから前作ではベルリンのエンジニアに依頼して、音の鳴り方まで細かく指示したんですよ。“もうちょっと凶暴にしたい”と伝えたり、キックが鳴った後の伸びだったり、そういうところを細かくやってもらいましたね。

●そういう感覚もベルリンに行かないと、わからなかったことなんでしょうね。

SHO:わからないですね。恐らく普段はベルリンでDJをしている人が、日本でDJをしたら音の鳴りが全然違うから“ミックスをミスったのかな”って思うくらいだと思います。僕個人の感覚ですけど、それくらい音の聞こえ方に違いがあって。それはたぶん、ずっと日本にいる人にはなかなか再現できないと思うんです。ベルリンの鳴り方が一番カッコ良いと思っています。すごく好きなんですよね。

●いつ頃から好きになったんですか?

SHO:僕にとって一番の音楽的なルーツは、70年代のパンクなんです。中学の時にセックス・ピストルズから入って、どんどん深くレコードを掘っていってコアな部分まで漁っていたんですけど、そのうち東京に出てきて80年代の音楽にハマって。70年代パンクからの流れで80年代ハードコアに行って、そこからポストパンクに移っていったんですよ。さらにニューウェーブやニューロマンティックとか80'sのポップスのほうまで行くと、どんどんダンス寄りになっていくじゃないですか。

●パンクからダンスミュージックへ、徐々に近づいていったと。

SHO:“この音は何だろう?”みたいな感じでドラムマシーンの研究をしたりしていた中で、ビートがより強い曲を聴くようになったんですよね。そういうタイミングでベルリンに行ったら、そこでは今までに聴いたことのない“何だ、このキック!?”みたいな音が鳴っていたという…。

●そういう流れがあった上で、ベルリンの音に出会った。

SHO:メロディもなくて、ただキックとスネアとハイハットだけで成立しているような音楽を聴いた時に“何だ、これ?”と思って。それから色々と聴き漁って、今は思い切りダークなテクノにハマっています。でもノれなきゃダメなので、そこに乗っているシンセサイザーの鳴らし方が僕の中では肝なんですよ。たとえばDAFみたいなEBM(※エレクトロニック・ボディー・ミュージック)系のバンドとかそこらへんのレコードで鳴っている、アナログシンセのブリブリした音が良いリズム感で入ってくると“100点”なんですよね。

●そのあたりの音を今は理想としつつも、アンダーグラウンドなものを作りたいわけではないですよね?

SHO:そういうものも大好きなんですけど、自分の作る曲ではその要素をポップな形に落とし込めたら良いなと思っていて。自分のフィルターを通して、3分の曲の中にクラブでの5時間のセットの良さをスパイスとして入れていきたいんです。DJって、会場にいる人たちの心理を読みながら音のことから自分自身のコンディションに至るまですごく神経を使ってやっているわけなので、やっぱりなかなか難しいですけどね。それを自分は3分の曲の中で“操る”というか、“音が鳴っている間の空間を何か特別なものにしたいな”っていう気持ちでやっています。

●でも“3分の曲の中で表現したい”というところに、ちゃんと開けたものとして表現したいという意識を感じられます。

SHO:そこはかなり意識しています。特に僕はメロディが大事だと思っていて。売れているものって、どんなに激しい音楽でもキャッチーなんですよね。

 

 

●確かに。

SHO:僕は、売れている音楽は基本的に全部聴こうと思っているんです。売れているということは評価されているっていうことで、人間の感覚に引っ掛かる要素が多い音だと思うから。そういうところも考えて、僕らは音作りをしていて。The Cureのポップなところも、ジャスティン・ビーバーのポップなところも、僕の中では差がないんですよ。どちらもポップなところに重点を置いてやっているというか。だから鳴っている音が全然違っていても、作っている人間の聴いているところは一緒なんじゃないかなと。そういうレベルで音楽を考えるようにしていますね。

●そういう考え方になったのはいつ頃から?

SHO:2ndアルバム『STARBOW』(2012年)くらいから、“ポップなもの”というところに重点を置いて作るようになりましたね。1stアルバム『CHARM』(2009年)では、ガチガチのパンク、ゴスをやっていたんですよ。でもそこで僕が作った世界が世の中にはあまり伝わらないことを実感したので、2ndでは“じゃあ、別の形で自分のルーツとかを出せないかな”となって。ポップなものの中に、そういう音を散りばめました。

●自分たちの好きな音を広めたいという気持ちが、曲にも出ているのかなと。

SHO:今はもう“人に届けたい”ということしか考えていないですね。そしたら自ずと、曲を作る時も逆算することになるんですよ。“お客さんがフロアで踊るためにはどういうフレーズが必要か”とか、“3分間の中でどうやってMAXまでもっていくか”っていうことを考えたりして。本当に今は、外に開いた状態で音楽をやっています。そういうところも含めて、2017年1月に前作を出してから今までの間でさらに成長できたし、2018年にはもうちょっと別の世界観を提示して“自分たちがやってきたこと”と“これからやりたいこと”のミックスみたいなものをやっていけたらと思っているんです。

●今回出した『MINDS』は前作からのシングルカットになりますが、2018年に向けての布石的な意味もあるんでしょうか?

SHO:前作を作った時に一番聴いて欲しいと思ったのが、実はM-1「Minds」だったんですよね。PLASTICZOOMSのイメージとして“激しい曲”とか“ダンサブルな曲”っていうのがあると思うんですけど、そういうものって自分の中では“いつでもできる曲”っていう感じなんですよ。「Minds」は“これからもっともっと開きたい”っていう想いも込めて、ちょっと悲しい曲ですけどあえてポップに仕上げて。自分の手クセみたいなものも排除して、“新しい世界に行きたい”と思って作った曲なんです。

●今後にもつながってくる曲というか。

SHO:これからどういう方向性になるかは実際に作ってみないとわからない部分もあるんですけど、今回出したシングルが基盤になるかなとは考えていて。“これが今のPLASTICZOOMSですよ”って提示することが必要だなと思っていたので、「Minds」をシングルカットしました。そこからカップリングにはM-2「Pink Snow」とM-3「Time In The Cellar」を再録して入れようというのが決まって、ゲストに声をかけて録音したっていう感じです。

●ゲストではコショージメグミ(Maison book girl)さんの女性らしい声が入ることによって、よりポップに聞こえる部分もあるように感じました。

SHO:そうなんですよね。女性の声ってすごいなって思いました。僕の歌ったものに後からコーラスを重ねてもらったんですけど、彼女の声が入った瞬間に、世界がバーッと広がるというか。それは男にはできないなって思いますね。指示もほとんどしていなくて、「こんな感じだから感情的に歌って欲しい」とかくらいだったんですよ。でもパパパッと終わって。

●すごくスムーズだったと。

SHO:コショージさんもそうなんですけど、KENT(Lillies and Remains)も小林(祐介/THE NOVEMBERS)くんも僕らの曲自体を好きでいてくれたので、「こんな感じでやってみて」と言って、ひとまず歌ってもらった時にすごくしっくりきたんです。もう「それそれ! それが欲しいからそのまま行きましょう!」みたいな感じのレコーディングでした。

●その2バンドとは“BODY”というイベントも一緒にやっているわけですが、やはり特別な存在?

SHO:そうですね。もちろんライバルでもあるんですけど、そもそも「人としてウマが合う」っていうのと「言っていることが面白い」っていう2つがないとライバルにもなれないと思っていて。そこが揃っている2バンドっていう感じです。あと、全員が海外に目を向けていて、聴いている音楽も最新の音楽を掘っているから。昔の音楽も聴きつつ、ずっと面白いものを探し続けているという部分でもすごくウマが合っています。

●刺激をもらえる相手というか。

SHO:そこも面白いです。あとはgroup Aっていうベルリンに住んでる日本人アーティストもすごく好きで。ちょうど最近もベルリンのクラブでライブをやっていたので会いに行って、すごく感化されましたね。耳の肥えたテクノフリークに対しても1つ先に抜けた音を日本人が発していて、その人たちが踊らせているっていう画にめちゃくちゃ歴史的な瞬間だと感じました。

●自分たちもそういう光景を生み出したい?

SHO:海外に出て行く理由の中には、“ロックが生まれた土地で日本人が出した音で踊ったら良いな”という想いがあって。ヨーロッパで日本人の僕らが音を鳴らした時にたくさんのオーディエンスから拳が上がる瞬間とかそういうものを実際に経験すると、昔から聴いてきた海外のバンドのレコードに自分たちも当てはまる瞬間があるんじゃないかっていう…そういう不思議な感覚になるんですよね。

●自分たちが憧れてきたものと同じ体験をもたらせる存在に近付けている?

SHO:それが音楽でできていることを誇りに思うというか。自信も持てるし、どんどん欲が出てくるんですよね。“ここで満足できない”と思ったり、“絶対にここまで行ってやる”という気持ちになってきて。元々は海外に出て行くのが夢だったんですけど、実際に来てみたらそんなことなんか全部忘れて、“もっともっと”っていう欲ばかり出てきたんです。

●実際に海外へ出てきたことで、心境が大きく変わった。

SHO:当たり前なんですけど、海外には日本人はほとんどいないんですよね。そういう中で表現するとなったらゼロから考えないといけないことが増えてきて、自分が制作する時の意識から生き方や考え方まで全てがガラッと変わったんです。そういうものも経た上で2017年1月に前作を作って、またすぐにツアーでヨーロッパに行ってという流れがあって。心が今どこにあるのかわからないような…行ったり来たりの状態が続いている中でも、良い意味での“欲”っていうものが出てきているんですよ。フラストレーション的な悶々としたものが、良いテンションで身体の中に常にある感じがしています。

●そういう感覚を得るために、今もベルリンにいるわけですね。

SHO:それが“海外に出ていく”っていうことなのかなと、最近すごく思いますね。そういう部分でTHE NOVEMBERSやLillies and Remainsからは本当に刺激をもらえるところが多くて。日本人として誇れるし、海外に行っている時に感じた“あの瞬間”の気持ちを日本でも味わえるんですよ。

●その2バンドと一緒にやる“BODY”も、自分たちの音でそういう体験を広めるためにやっているのかなと。

SHO:本当に今は“広げていきたい”っていうことしか考えていないんです。なるべく1人でも多く、年齢も関係なく聴いてもらえたら良いなって思います。そのためにできることだったら、何でもしたいですね。

 

Double Interview #2:JUN YOKOE(Ba./Syn.)

「“踊るって楽しい”とかそういうプリミティブな感情の良さに気付いていたのかなと思うんですよ。今はそれをようやく言葉にして、人に伝えられるようになった」

 

●JUNさんがこうやってインタビューを受けたりするのは珍しいそうですね。

JUN:自分の性格もあるんですけど、あまりガツガツ前には行かないんですよね。あと、PLASTICZOOMSのブレインはSHOくんなので、彼の言葉がメンバーの総意みたいなところもあって。

●SHOくんの話すことにメンバーも基本的に同意している?

JUN:そうですね。SHOくんはビジョンを持った上でやってくれているので、僕らもそれに対して動きやすいんです。でもワンマンバンドっていうわけではなく、意見があったら僕らもガンガン言うんですよ。良いものにするために、バチバチやり合うというか。

●以前から、そういう関係性だったんですか?

JUN:だんだん打ち解けてきた感じですね。僕は2010年に加入したんですけど、一番多い時でメンバーが6人いたこともあったんですよ。

●今の倍の人数がいたと。

JUN:6人がそれぞれの思惑を言いたい放題に言っちゃうとゴチャゴチャになっちゃうから、ある意味ではその時のほうがSHOくんのワンマン感はあったかもしれないですね。そこからメンバーも減って、厳選されていったというか。付き合いも長くなってきたし、3人でベルリンに住んだりもしたので、何でも言い合える仲にようやくなったのかなという感じです。

●2015年6月から1年間、ベルリンを拠点に活動した経験は大きかった?

JUN:すごく刺激的でした。音楽だけじゃない、お互いの“人間味”みたいな部分に触れる機会も多かったんですよね。日本で一緒にやっている時はやっぱり“何だ、こいつは?”ってお互いに思うこともあったんですよ(笑)。でも今は“彼はこういうロジックで考えているから、こういう意見なんだな”って思えるくらいに理解が深まりました。

●お互いの人間性も含めて、深く理解し合えた。

JUN:それは音楽的な刺激とは全然別の部分なんですけど、僕にとってはすごく大きかったですね。

●日本ではなく、ベルリンという土地で一緒に暮らしたからこそなのかなと。

JUN:自分たち以外に頼れる人がほとんどいない中での生活でしたからね。でも実際には3人で1つ屋根の下で暮らしていたわけではなくて、みんなバラバラに住んでいたのでお互いのプライベートは守られていたんですよ。そういう意味では、逆に今年(※2017年)にやったヨーロッパツアーのほうが過酷でした…。

●というのは?

JUN:もちろん楽しかったし、2度目のヨーロッパツアーなので抵抗感も少なかったんです。それに2ヶ月半でライブが20数本ということで、移動日も含めてオフ日のほうが若干多いくらいの感じで。ツアーを組んでくれた人の家がすごく大きくて、その中に僕らを住ませてくれたんですけど、3人が相部屋でプライベートが全くなかったんですよ(笑)。

●ある意味、過酷な環境だった(笑)。

JUN:“これが一発目のベルリンじゃなくて良かったな”って思いました。あと、その時はサポートのドラマーもヨーロッパに連れて行っていたんです。今年の1月頭に出したアルバム『PLASTICZOOMS』(以下、前作)のリリースパーティーからサポートで入ってくれている人なんですけど、自分たちよりもちょっと若いというのもあって、みんなで和気あいあいと2ヶ月半過ごせて。彼のおかげという部分もありましたね。

●サポートメンバーが一緒に行ったことも、良い方向に出たわけですね。

JUN:そうですね。僕らは同じシチュエーションを何度も繰り返すのがあんまり得意じゃないメンバーばかりだから。飽きっぽいというか。だから前回のツアーと今回のツアーで環境が違っていたことが、逆にフラストレーションが溜まらない要因にはなったかなと思います。

●同じことを繰り返したくないメンバーばかりだから、バンドとしてどんどん変わっていきたいという気持ちも強いのでは?

JUN:1stアルバム『CHARM』(2009年)の頃はまだゴスとかUKインディー的な見られ方をしていたところがあったと思うんですけど、そこから何枚もアルバムを作っていく中でSHOくんの曲もどんどんブラッシュアップされていって。“色んな人に聴いて欲しい”とか“言葉を伝えたい”という想いも生まれた結果、ハードさは変わらずありつつもポップさが増した感じはしますね。

●初期のイメージから、サウンド的にも開けていったというか。

JUN:今回のM-1「Minds」はヨーロッパのクラブシーンからSHOくんがインスパイアを受けて作った曲なので、特にポップかなと思います。そういう曲が今までなかったので自分たちの新しい扉というか、新たなチャンネルにもなるんじゃないかなと思っていて。より広いところに届けるためのツールとして、この曲を前作からシングルカットしようという話になりました。

●“広げていきたい”という意識に変わったことも大きいのかなと。

JUN:僕が加入した当初はまだライブでもバックライトとスモークとストロボを焚いていた時期で…。あれはあれで好きだったんですけど、“もっと顔を見せたほうが良いよね”という話になったんです(笑)。その当時は演出面もありつつ、単に“恥ずかしいから”とか“ライブが好きじゃないから”という理由でそうしていた部分もあったと思うんですよ。でも今は“踊れる曲”みたいなものも増えてきて、自分たちもライブをするのが楽しくなってきて。フロアの反応を見るとすごく踊っている人がいたりして、自分たちもどんどん楽しくなってきたんですよね。

●ライブでの反応を見て、自分たちの心境も変わってきた。

JUN:そこで自分たちが“良いな”と感じたものをもっと伝えることができたら、踊ってくれる人も増えるんじゃないかと思い始めて。“こんなに楽しいから、もっとみんなも知ってね”っていう感じですね。そこは徐々に変わり始めた感覚があって、ここ1年くらいでようやく自分がどういう気持ちなのかを言葉にできるようになったんです。

●前作を出してからの1年間で徐々に変わってきた感じでしょうか?

JUN:前作を出した直後にやったレコ発では、お客さんもまだ新しい曲に馴染みがなかったと思うんですよ。あと、前作を持って香港やヨーロッパにもツアーに行ったんですけど、ほとんどの会場がワンマンで…。ほとんど僕らを初めて観る人しかいないので、ワンマンなのにアウェー感があるっていう過酷な環境だったんです(笑)。

●ワンマンなのにアウェー(笑)。

JUN:そんな状態だったので、1曲目からノックアウトしにかからないといけなかったんですよね。ピリピリした緊張感はずっとあったんですけど、最初に登場する時や1曲目の壁さえブチ破れば、お客さんもずっと踊ってくれていて。そこで“やっぱり、このコンセプトで良かったな”とか、“これが楽しませるっていうことなんだな”というのをようやく言葉にできるようになりました。

●前作を作っていた段階では、まだ自分たちの気持ちを言語化できていなかったんですね。

JUN:前作を作っていた頃は、ベルリンのクラブで夜通しミニマルなビートがずっと流れている中でみんなが踊っているという状態をずっと見ていて。ようやくそれが“楽しい”と思えるようになったのが、帰国のタイミングだったんです。

●最初はあまり理解できていなかった?

JUN:あれって、中毒性があって。4/4とか8ビートがずっと鳴り続けているところに乗ってくる音が少しずつオーバーになっていく中で楽しさが生まれたり、興奮するんだっていうことを全員が肌で感じられたんです。当時から言葉にできなかっただけで、クラブでミニマルな音楽をずっと聴いている間も“踊るって楽しい”とかそういうプリミティブな感情の良さに気付いていたのかなと思うんですよ。今はそれをようやく言葉にして、人に伝えられるようになったんだと思います。

●それができるようになった上で、前作で見せた方向性をさらに突き進めたのが今回のシングルだったりもする?

JUN:そうですね。「Minds」には生ベースを入れていなかったりもするんですけど、そういうカテゴリの曲は今までのPLASTICZOOMSにはなかったんですよ。SHOくん的にも新しい部分が出せていると思うし、前作の中でも「Minds」をとにかく聴いて欲しかったんです。そういうところで今回、この曲をシングルカットしました。

●カップリングはどういう基準で選んだんですか?

JUN:これまでリリースしてきた中で、すぐに完売してしまったシングルも何枚かあって。M-2「Pink Snow」も2011年に出して、すぐ売り切れたシングルに入っていた曲なんです。その時にいたメンバーはもう僕とSHOくんだけなので、今ライブで演奏していても全く別物なんですよ。“それを今の3人でやったらどうなるんだろう?”という気持ちはありました。あとは12月リリースなので、季節的な意味合いもありましたね。

 

 

●冬らしい曲というか。ちょっとホーリーな雰囲気があるなと思いました。

JUN:まさにそうですね。今回は僕らと同じようにニューウェーブが好きなアーティストにコーラスで参加してもらったんですけど、「Pink Snow」は聖歌隊みたいな感じですごく良かったです。

●M-3「Time In The Cellar」はどういう基準で?

JUN:ベルリンに拠点を移す直前の2015年4月に『PROJECT DIE KUSSE No.07 “TWO GATES” BOX』っていう、CDや服とかを色々まとめてパッケージングしたボックスセットを出したんです。この曲はその中に入っていたもので、The Cureとかあの時代のニューウェーブを彷彿とさせるところもあるのが良いなと思っていて。あと、ちょっと映画っぽさもあるというか。「Minds」もMVが映画っぽいのでそういう意味でも整合性が取れているし、満場一致で選びました。

●M-4「Quite Cleary」は“ELECTROSEXUAL Remix”という形で収録されていますが。

JUN:前作のミックスを全てELECTROSEXUALっていう、ベルリンで仲良くなったフランス人のDJに委託していて。彼によるリミックスというのが、アルバムからの流れとしてもすごく自然だなということで入れました。今ってリミックスを喜ぶ人がどれだけいるのかわからないですけど、僕らはそういうのが入っていると嬉しいんですよね。

●それはどういう理由から?

JUN:そこから全然知らないミックスエンジニアやDJを知ったりもできるので、1つのキッカケにもなるかなと思っていて。そういう意味もあって、この曲も入れようとなりました。でもこれ以上やると盛りだくさんになり過ぎるので今湧いているアイデアは次回以降に持ち越して、またタイミングを見てやろうと思っています。

●もう既に次作に向けたアイデアも湧いてきている?

JUN:音源に関してはまだ何も動いていないんですけど、動き出すとなった時に「あの時に話したこれとこれを一緒に走らせたら面白くなるよね」みたいな話がすぐできる“ネタ帳”みたいなものはみんなの頭の中にありますね。

●それを次の作品の制作で活かせるわけですね。

JUN:そうですね。あと、いつも不思議なことに、何か制作に入ろうっていう時期の2〜3ヶ月前くらいに面白い人に出会うんですよ。そういう人と今後も出会うだろうし、参加もしてもらおうと思っていて。そこに温めてきたアイデアをブチ込んでいくような感じで、色んな点をつなげつつ次のリリースとかの発表もしていきたいなと思っています。

●今は次への準備期間というか。

JUN:いつでもできるように準備はしておきながら、“いつやるか?”っていうところをちゃんと温めていく忍耐も今後は必要になると思っています。そうすることで、急に閃いたアイデアがさらに輝くかもしれないから。準備だけは怠らずにネタを作りまくって、次への仕込みをしていきたいですね。

Interview:IMAI
Assistant:平井駿也

 

 

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