音楽メディア・フリーマガジン

ポルノ超特急2017

“ポルノ超特急2017”
2017/12/23-24@京都パルスプラザ

 

<2017/12/23>

昨年に続き今年も2daysでの開催となったROTTENGRAFFTY主催“ポルノ超特急2017”の1日目。寒さが厳しくなってきた年末、京都パルスプラザには朝早くから長蛇の列ができていた。このイベントに参加しないと1年は終われない、という気持ちはみんな同じなのだろう。年の瀬の響都にて、今年はいったいどのような響宴が繰り広げられるのだろうか。胸の高鳴りはどんどん大きくなっていく。

 

MCのやべきょうすけと ROTTENGRAFFTYのメンバーによる出発進行挨拶の後、金閣のステージに登場したのはヤバイTシャツ屋さん。Vo./G.こやまが「ポルノ超特急2017、はーじまるよー! メリークリスマース!!」と叫び、オーディエンスが大きな声で応えてライブスタート。ステージ上もフロアのオーディエンスも朝からめちゃくちゃテンションが高く、会場の温度が一気に上がる。クラップ、ジャンプ、モッシュ、シンガロング、タオル回し、コール&レスポンス…ライブのあらゆる要素をギュッと詰め込んだヤバTのステージはキレキレだ。ROTTENGRAFFTYのNOBUYAに「俺、ヤバTの肩幅の曲めっちゃ好きやねん」「なあ、今日肩幅の曲やらへんの?」と言われたということで急遽セットリストを変更して「肩 have a good day」を披露し、最後は「あつまれ!パーティーピーポー」で限界を超えた次元の強烈な一体感で終了。彼らは見事に“ポルノ超特急2017” トップバッターの役割を果たした。

 

 

金閣のヤバイTシャツ屋さんがオーディエンスを暴れさせまくっていた頃、銀閣のステージにMCやべきょうすけとROTTENGRAFFTYのメンバーが登場して発車の合図を告げる。そしてヘヴィなメタルサウンドと寒空を切り裂くハイトーンボイスが鳴り響く。大きな歓声に迎えられて登場したTHE冠は、金閣の盛り上がりに負けじと前から後ろまでぎっしりと詰めかけたオーディエンスを一気に加熱し、銀閣の空間を灼熱のライブハウスへと塗り替えた。

 

 

「アフターアワー」でライブを始め、すぐにG./Vo.椎木が「最高です!!」と興奮を露わにしたMy Hair is Bad。ギュッと音が詰まった3ピースから放たれる全球全力の直球勝負、エモーションが溢れまくる彼らのステージにぐっと惹き込まれる。椎木が眼光鋭くフロアを見つめ、鬼気迫る形相で「復讐」へ。同曲が終わった後も眼の光を弱めることなく、いや、ますます強くして、「誰よりもかっこいい悪役やって帰ってやる」「俺はやりたいことをやっている、あんたはどうだい?」「俺は俺のキャンバスに、あんたはあんたのキャンバスに。何を描く?」、「これが俺の本気だ」と、ギターをかき鳴らしながらその場で生まれたリアルな言葉を投げ積み重ね、「フロムナウオン」へ。その場で命を燃やすような、現実をまっすぐに見つめた絶望の先にある光を掴むような、My Hair is Badの全身全霊は、痛いほど胸の奥深くまで突き刺さってきた。

 

 

銀閣に登場したのはPOT。フロントマンが代わる代わるオーディエンスを煽り、ガンガンと会場の温度を上げていく。振り上げられた拳は数え切れず、ダイバーの数も数え切れない。彼らのダイナミックなアンサンブルは身を任せるには最適で、オーディエンスは身体を揺らして4人が鳴らす最高のサウンドにのめり込んでいく。会場の熱気はどんどん上昇し、外気との温度差で結露ができてきたのだろうか、壁や床が湿り気で濡れ始めている。Vo./Ba.よっぴーがライブ開始直後に「金閣よりも銀閣を熱くしようぜ!」と言ったように、彼らはオーディエンスと一緒に最高のテンションと全力のライブで走りきった。

 

 

誰にも汚すことが出来ない聖域を持ちつつ、触れるだけでヒリヒリとするような緊張感を帯びつつ、その場に居る全員を包み込むような懐の深いステージで魅了したSUPER BEAVER。Vo.渋谷が「めちゃくちゃ幸せです」と言いながら広いステージを駆け回り、G.柳沢、Ba.上杉、Dr.藤原が想いを込めた音を放つ。渋谷が「ROTTENGRAFFTYに聴かせてください」と言った「正攻法」の大きな大きなコール&レスポンスは、フェスは全員で作り上げるものだということを痛感させてくれる。「ライブハウスやこの“ポルノ超特急”にはルールとか無い代わりに、あなたのモラルが問われてるよ。かっこよく遊んでってください」「ヘイトで繋がるくらいならライブで繋がりたいと思います」と、渋谷のひと言ひと言が突き刺さる。そして最後は「ありがとう」。全身で浴びたSUPER BEAVERの全力の音、最高だった。

 

 

Crystal Lakeのライブを心待ちにした観客がステージ方向へとギュッと詰めかけ、フロアの密度がハンパない。その密集したオーディエンスの頭上に、5人がこの日いちばん重いサウンドを降り注がせる。プライドをビシビシと感じさせるヘヴィネス、Vo.RYOの唯一無二のヴォーカリゼーション。客席がヘドバンで揺れ、Crystal Lakeの音で更に揺れる。同じ時間、金閣のステージでは矢野・兵動が観客を大爆笑させているし、銀閣では凄まじい光景が繰り広げられている。他のどこにも存在しない尖った個性を持つ出演者たちの響宴は、見所が多すぎて一瞬たりとも気を抜くことができない。再び銀閣に戻ると、誇りを身にまとったCrystal Lakeが会場を熱気と興奮を充満させながら、汗を輝かせながら、更に激しいステージで客の気持ちを沸騰させる。“ポルノ超特急”、今年も楽しすぎる。

 

 

音楽が持つ力を最大限引き出し、“音”で同じ場所同じ時間を共有している人たち全員を幸せにする東京スカパラダイスオーケストラ。彼らのライブはいつどこで味わっても極上だ。「Samurai Dreamers」「閃光」の2曲で10-FEETのTAKUMAがゲスト参加して会場は沸きに沸き、金閣の興奮は限界を超える。大きな金閣の客席エリア、前から後ろまでびっしり隙間なくオーディエンスがライブを楽しむ絶景を見て、ステージ上のメンバーが笑顔で気持ちを爆発させる。肩車されたキッズも小さな手を振り上げて音に乗る。全員参加型の最高に楽しい彼らのステージに脱帽だ。「DOWN BEAT STOMP」「ペドラーズ」などのキラーアンセムでハッピーな空間を作り出し、最後は「All Good Ska is One」で大団円。音楽で全員を笑顔にする…そんな東京スカパラダイスオーケストラの魔法は今日も効き目抜群だった。

 

 

奥深いサウンド、艶っぽさと容赦のない攻撃性を併せ持つVo.京のヴォーカル。1曲目の「leather field」でその場から1ミリも動けないほどにオーディエンスを痺れさせたsukekiyo。ループマシンや電子パッドなどの電子楽器も使いつつ、どこか“和”っぽいテイストも孕んでいる独特の世界観は、音楽の枠を超えて芸術の域にまで達している。まるで舞うようにステージをひらひらと移動し、様々な表情で歌う京から目が離せない。個性的なメンツが並ぶ“ポルノ超特急2017”、まだイベント半ばだが、最も強烈な存在感を放ったのはおそらく彼らだろう。銀閣に君臨したその時間すべて、刹那的な哀愁と張り詰めた緊張感、妖艶な旋律でオーディエンスを魅了した。

 

 

大歓声に包まれて金閣のステージに登場したFear, and Loathing in Las Vegas。昨年の“ポルノ超特急”でVo.Soがステージから落ちて骨折したらしいが、ROTTENGRAFFTYのNOBUYAから「リベンジしないか?」という連絡を受けて今年も出演を果たした彼ら。1曲目の「Rave-up Tonight」からそんな想いを爆発させるメンバーと、応えるように爆発的な盛り上がりをみせる客席。イントロが鳴るだけで大歓声が起こり、拳が振り上げられ、曲が始まる頃にはフロアはカオス状態。その勢いは曲を重ねる度にグングンと跳ね上がっていく。ポップネスとヘヴィネス、ダンスとロックを見事に融合させた「Party Boys」。多幸感を帯びた歌のSoと、叩きつけるようなスクリーモのMinami、そのコントラストで気持ちをガンガンに揺さぶられるのがとてつもなく心地よい。MCで更にオーディエンスを煽り、「Virtue and Vice」「Love at First Sight」でとことん踊らせて終演。踊りまくった客席には汗だくの笑顔が溢れていた。

 

 

銀閣に登場したのは漢 a.k.a. GAMI&DJ BAKU。BAKUが鳴らすサウンドに、漢が登場して淡々とリリックを乗せていく。その言葉1つ1つの表情は一見クールだが、確実に聴く者の心を掴んでいく。リリックを放ち続ける漢は、言葉に込めた熱量と強さを徐々に高めていく。観ている我々は自分でも気づかぬうちに、いつのまにか彼らが作り出したフリースタイルの世界に引きずり込まれていった。まさに彼は言葉のマジシャンだった。それはROTTENGRAFFTYのN∀OKIも同じだったのだろう、マイクを持ってステージに登場したN∀OKIに大きな歓声が向けられる。銀閣のステージで繰り広げられた2人の共演、言葉と言葉、気持ちと気持ちのセッションは、お互いへのリスペクトが溢れる素晴らしいもの。ジャンルの垣根を超えた繋がり、音楽が生み出した素晴らしい瞬間に、胸が熱くなった。

 

 

1曲目「2nd Youth」からダイバーがまったく途切れない。6年前、KBSホールで開催されていた時期に初めて“ポルノ超特急”に出演したというHEY-SMITH。「俺らが初めて“ポルノ超特急”に出させてもらって以来、ROTTENGRAFFTYは一瞬も色褪せることなく最前線で俺たちを導いてくれている。俺らはそんなROTTENGRAFFTYの気持ちに応えたい!!」と叫んで「Don't Worry My Friend」へ。“俺らは全力で楽しむからお前らも全力で楽しめ”というHEY-SMITHの精神性はこの日のオーディエンスの気持ちとぴったりシンクロしているのだろう、客席の興奮は尋常ではない。前から後ろまで振り上げられる無数の腕、全員がまるで自分の歌のように歌い、自分の曲のように踊り、自分のステージのように暴れまくる。ROTTENGRAFFTYと音楽に最大限のリスペクトを込めたHEY-SMITHのライブは、熱くて激しく、想いが溢れ、京都パルスプラザに巨大な一体感を作り出した。

 

 

客席からステージへと登場した四星球。シンガー康雄が「攻めに攻めるライブをやります!」と言ったその言葉通り、ここでは詳しくは書けないほど攻めすぎた出で立ちでDr.モリスが登場。四星球は初っ端から飛び道具連発でオーディエンスの度肝を抜いた。 そして曲を始める前に康雄が言葉を重ね、「今日のシナリオを書いてきました。今から我々コミックバンドが、どのバンドよりもいちばんロックなライブをします。そしてトリのロックなROTTENGRAFFTYがかたきを討つ、というのはどうでしょうか?」と言ってライブスタート。屈強なセキュリティをステージに上げる、G.まさやんが高所に登る、ROTTENGRAFFTYのメンバー(を模した人形)を客席に投げ入れる、etc…。型破りなライブで散々笑わせた後、最後はなぜかめちゃくちゃ感動するという四星球の真骨頂が存分に味わえた。

 

 

いよいよ金閣トリ前。ステージに登場したのはROTTENGRAFFTYの盟友、10-FEET。Vo./G.TAKUMAが「今年の“京都大作戦”、雨で中断になったときにROTTENGRAFFTYが曲を削って俺らの時間を作ってくれました。今日はそのときにもらったバトンを渡しに来ました!」と叫ぶ。ROTTENGRAFFTYと10-FEETがどのような関係か、なかなか言葉で説明するのは難しいが、この日の10-FEETのライブを観ればすぐに理解できるだろう。爆発的な盛り上がり、桁外れのダイバー、全身汗だくで暴れながらステージの3人と一緒に歌うオーディエンス。“ポルノ超特急2017”1日目の終わりが近いことを惜しむように、会場がひとつになっていく。ライブはいよいよ佳境に入り、TAKUMAが「とにかくいつでも本気なお前が好きや!」と叫び、「その向こうへ」で終演(最後に「時間がないときのRIVER」も演奏したが)。全身全霊、全力で駆け抜けた10-FEETの気迫が溢れるステージ。“京都大作戦2017”で彼らが受け取った想いは、ROTTENGRAFFTYに渡された。

 

 

銀閣トリ、金閣の大トリ・ROTTENGRAFFTYに繋ぐ重要な役割を務めるのはDizzy Sunfist。元気よくステージに飛び出してきたVo./G.あやぺた、Vo./Ba.いやま、Dr./Cho.もあいの3人。いつだって全力で、どんなステージでも最高の笑顔を作り出してきた彼女たちは、銀閣に集まったオーディエンスが持てる体力のすべてを使い切るほどにテンション高く、溢れんばかりの想いを音に乗せて疾走した。「Dizzy Beat」で作り出した一体感と高い熱量のまま、「SUPER HERO」「Joking」とキラーチューンを連発。曲の合間でもMCでも全力で想いを叫び、客を煽り、感謝を叫ぶ。来年1/24にリリースするアルバムに収録予定の新曲で沸かせ、無数のダイバーを誘発させる「SHOOTING STAR」で沸かせ、呼吸するのがキツいくらいの熱気の中、全力で駆け抜けたライブは「Someday」で締め。見事に銀閣トリをやり切った3人。次はいよいよROTTENGRAFFTY。Dizzy Sunfistからの熱い気持ちは、金閣の5人へと繋げられた。

 

 

メンバーが1人ずつステージに登場しながら「PORNO ULTARA EXPRESS」で始まったROTTENGRAFFTY。10年以上前に作った同曲(2004年リリースの『CL∀SSIC』に収録/2017年10月リリースのシングル「『70cm四方の窓辺』」に再録)がこのイベント “ポルノ超特急”を象徴し、そしてバンドを象徴しているということが感慨深い。NOBUYAが「“ポルノ超特急2017” 最終列車、ROTTENGRAFFTYだ! 頭がおかしくなるくらい踊り狂え」と宣言した「D.A.N.C.E.」の狂宴。広いステージで所狭しと位置を変えつつ、屈強なアンサンブルを組み上げるG./Prog. KAZUOMI、Ba.侑威地、Dr.HIROSHI、そしてそれぞれの個性で魅せる2人のVo.NOBUYAとN∀OKI。最強のバンドが牙をむく。
「当たり前に今日が来たと思ってないからそのつもりで。今を生きろ!」と叫んだ「世界の終わり」、「最高のもっともっと上を俺らとお前らで作ろうぜ」と煽った「THIS WORLD」。最初から振り切れていた5人のテンションは曲を重ねるごとに凄みを増し、NOBUYA、N∀OKI、KAZUOMIが客席エリアに身を投げる。そんな彼らの凄まじい姿を見たオーディエンスも興奮の熱を上げ、会場は手がつけられないほどカオスな盛り上がり。
エモーションが爆発した「『70cm四方の窓辺』」、彼ら自身が何度もこの曲に救われてきたという「マンダーラ」、全員で歌った「金色グラフティー」。いつも渾身の力を振り絞り、ステージの上で命を燃やす5人を観ていると、そして今まで何度もライブで聴いてきた大好きな曲たちを聴いていると、胸が締め付けられ、全身に鳥肌が立つ。ROTTENGRAFFTYは、いつだって“今”がいちばん輝いているロックバンドだ。アンコールでは2/28にリリースするというニューアルバムから新曲を披露。凶暴なサウンド、畳み掛けるように展開するツインヴォーカル、壮大に広がっていくサビのコントラスト。新たなアンセムの予感に打ち震える中、最後は“ポルノ超特急”に来てこの曲を聴かずには帰れない、彼らが生まれ育った街を歌った「響く都」。強烈な一体感を作り出し、何度も何度もメンバーが「ありがとう」と感謝の気持ちを告げる。“ポルノ超特急2017”1日目は無事、終着駅に到着。金閣も銀閣も、ミュージシャンもお笑いも観客も、全員が本気で全力で音楽を楽しみ、各々がその存在を輝かせまくった“ポルノ超特急2017”。明日も楽しみでならない。

 

 

<2017/12/24>

出演したバンド15組、芸人4組が想いを込めたステージで冬の響都を熱くした“ポルノ超特急2017” 1日目。その余韻がまだ覚めやらぬ中、“ポルノ超特急2017” 2日目の発車時刻が近づいてきた。パルスプラザには多くの観客が頬を高揚させて詰めかけ、長蛇の列をなしている。MC やべきょうすけとROTTENGRAFFTYメンバーによる出発進行宣言で、いよいよ“ポルノ超特急2017” 2日目が始まった。

 

 

金閣のトップバッターを飾るのはT.M.Revolution。京都の隣の滋賀県出身で“イナズマロックフェス”主催、滋賀県ふるさと観光大使である西川貴教が金閣のステージに降臨すると、会場が割れんばかりの大歓声。西川が「行こうか」と短く告げて真冬の響都に鳴り響いた「WHITE BREATH ver.SSA」、ステージを縦横無尽に駆け回りながら会場のボルテージをグングンと上げていった「蒼い霹靂 ver.SSA」、キレのあるビートと身体を揺らす低音でパルスプラザをダンスホールにした「WILD RUSH ver.SSA」。午前中と思えないほどオーディエンスは盛り上がり、抜群の一体感を作り出していく。「この後、来年(の“イナズマロックフェス”に)ROTTENGRAFFTYを誘おうと思ってる」とMCで言った後、怒涛に攻め立てて観客を全力で暴れさせる圧巻のステージ。その歌は一瞬で全員を彼の虜にした。T.M.Revolution、最高のトップバッターだった。

 

 

“ポルノ超特急2017” 2日目、金閣でT.M.Revolutionがライブを終えた後、銀閣のトップバッターを飾ったのはTHE SKIPPERS。考えてみると、昨日の金閣トップバッターはヤバイTシャツ屋さんで銀閣のトップバッターはTHE冠。昨日の銀閣トリはDizzy Sunfistで今日の銀閣トリはNAMBA69。こういうバンド主催のイベントは、タイムテーブルからも主催者の想いやバンド同士の繋がりが見て取れて、ぐっと胸が熱くなる。THE SKIPPERSもそんなROTTENGRAFFTYの想いを存分に汲み取っているのだろう、1曲目の「LOOKIN' BACK」からエンジン全開。硬派なパンクサンドにダイバーはひっきりなし。タイトなリズム、重くパワフルなサウンド、魂を込めたVo./G.JAGGERのヴォーカル。THE SKIPPERSのステージはライブキッズの魂にすぐ引火するのだろう、ステージ方向に客がぐっと詰めかけて客席は異常な密度になっている。客の熱量、気迫、勢いは当にライブハウスだ。銀閣もTHE SKIPPERSの熱いステージで最高の幕開けを飾った。

 

 

今年が“ポルノ超特急”初の出演となるCrossfaith。メンバー1人1人がステージに登場して客を煽り、フラッグを掲げて登場したVo.Koieが「今日は2017年を終わらせに来ました」と告げて「Monolith」でスタート。フロアには巨大なサークルが出現し、Oiコール、ダイヴと爆発的な盛り上がり。「FREEDOM」「Countdown」と曲を重ねるごとにオーディエンスの興奮はどんどん上がり、手がつけられない状態に。彼らのライブを観るごとに痛感するのだがCrossfaithのフロア支配力は強烈で、巨大なサークル、巨大なウォールオブデス、全員を座らせてからのジャンプで会場を揺らし、ダイバーはひっきりなし、えぐいほどの盛り上がり。「Wildfire」ではSiMのVo.MAHが飛び入りして会場からは悲鳴にも似た歓喜の大歓声が沸き起こる。Koieが「最高の空間でライブをさせてもらうことが、バンドにとっていちばんの幸せだと思います」と言い、その“幸せ”を全身で浴びるように最後の「Leviathan」まで一気に駆け抜ける。凄まじい余韻が残る、圧巻のステージだった。

 

 

銀閣に登場したのは、3ピースからエネルギー溢れる爆音を放つSIX LOUNGE。エバーグリーンなメロディにぐっと惹き込まれる「ふたりでこのまま」でライブをスタートさせ、そこから徐々にステージは温度を上げていく。「プラマイゼロ」「トラッシュ」、G./Vo.ヤマグチが客を煽り、フロアからは拳が突き上げられ、熱のこもった音にオーディエンスが胸を震わせる。ヤマグチの情熱的な歌は、観る者の奥底まで突き刺さる。「聴こえるかい?」と叫ぶと、振り上げられる無数の腕。最後の「僕を撃て」までその熱は冷めることなく、全力で走り抜いた。

 

 

Ba./Cho.吉橋がベースを静かに鳴らす。頭からフラッグをかぶったままステージに現れたVo.茂木がぽつぽつと言葉を吐いていく。「週末の午後、ROTTENGRAFFTYに継がれる誠。北関東、オールドルーキー、群馬、ローカルヤンキー。ぶん回しに来たぜ、G-FREAK FACTORY 始めます。」と告げ、「Too oLD To KNoW」でスタートした彼らのライブ。客の上で、歌でもなく、MCでもなく、魂のこもった言葉を吐き続ける茂木に、客席がうねるように呼応する。彼らが主催する“山人音楽祭2017”に出演したROTTENGRAFFTYが「マンダーラ」を演り、そのアンサーソングとして始めたのは「島生民」。同曲は初期のG-FREAK FACTORYを代表する強烈な1曲であり、最近はほぼライブで演っていなかった。その曲を初めて出演した“ポルノ超特急”で演るということ、4年間声がかかるまで“ポルノ超特急”には遊びに来るつもりがなかったこと、10年以上前に10-FEETとROTTENGRAFFTYとG-FREAK FACTORYの3バンドが「いつかフェスが主催できるようになったらお互い呼び合おう」と誓い合い、その3バンドがそれぞれフェスを主催しているということ。そのようなことを茂木が語り、メンバーそれぞれが削ぎ落とされた音に想いを乗せて鳴らす。「EVEN」で幕を閉じた壮絶なライブ。彼らの“誠”はROTTENGRAFFTYに継がれていった。

 

 

銀閣の客席にはぎゅうぎゅうにお客さんが詰めかけていた。サウンドチェックで観客にうまい棒を配ったのは、サンタクロースの出で立ちで登場した打首獄門同好会。バイタリティ溢れる彼らのライブは次から次へと楽しさが満載で、一瞬もスキが無く、目まぐるしく展開していくステージは「デリシャスティック」からオーディエンスを完全に味方に付け、大きな一体感を作り出す。オーディエンスが腕を振り上げて一緒に叫んだ「私を二郎に連れてって」、そしてオーディエンスのコールが完璧だった「日本の米は世界一」まで、銀閣の客席エリアは余すことなく笑顔が埋め尽くした。

 

 

誰にも真似の出来ない景色をその場で一瞬で描き出し、その場に自分たちの世界を作り上げるDragon Ash。極限まで洗練されたアレンジ、屈強なアンサンブル、類まれなるフィジカル、散りばめられたフックとすべてを飲み尽くすメロディでオーディエンスを魅了する。「Mix It Up」でライブはスタート、会場の興奮度合いは桁外れ。彼らがステージから放つ音に合わせてうねるオーディエンスは、まるで巨大な1つの生き物のようにも見える。曲の合間では「ROTTENGRAFFTYが好きな奴?」と手を挙げさせ、「Fantasista」の曲中にVo./G.Kjが「ポル超が好きな奴、ここまですっ飛んでこい」と笑顔で客を煽る。数あるバンドの中でいちばんROTTENGRAFFTYを愛したBa.IKÜZÖNE、その彼の気持ちを受け継いだDragon Ashのステージは愛に溢れており、最後はROTTENGRAFFTYの「THIS WORLD」。NOBUYAと侑威地がゲスト参加して大団円。素晴らしい景色だった。

 

 

銀閣にlynch.が登場し、大きな歓声が沸き起こる。初っ端から凄まじい音が迫り、一気にオーディエンスの興奮がピークに到達。「GALLOWS」「GREED」とソリッドな楽曲を続け、客席はヘドバンの嵐。更にその上をダイバーが舞うというカオスな状態に。そしてライブ中盤、Vo.葉月が「お化粧バンドに抵抗はありますか? 今日は僕ら、そのイメージを壊しに来ました! 俺らのヤバさ見せてやる!」と牙をむき、客席からは大歓声。そのまま彼らは「THE FATAL HOUR HAS COME」「EVOKE」と、そのポテンシャルをまざまざと見せつけた。

 

 

金閣に登場したキュウソネコカミはキレキレのキラーチューン「MEGA SHAKE IT!」でライブスタート。広い客席フロアを埋め尽くす観客たちは疲れを知らないのだろう、腕を振り上げ、飛び跳ねて音に乗る。BRAHMANのVo.TOSHI-LOWへのオマージュが詰まった「TOSHI-LOWさん」ではVo./G.ヤマサキ セイヤが客の上に乗って歌う。と思えば、サンタの装束に身を包んだROTTENGRAFFTYのNOBUYAも客の上に乱入したではないか。過去3回、“ポルノ超特急”のキュウソネコカミのライブではNOBUYAが乱入するサプライズで我々を楽しませてくれたが、今年はキュウソネコカミのメンバーにも言わずに乱入したようで、盛り上げるだけ盛り上げてNOBUYAはそそくさと去って行き、ステージに戻ったヤマサキは驚いていた。キュウソネコカミは汗だくのまま走り切り、「DQNなりたい、40代で死にたい」、そして最後は「ハッピーポンコツ」で締め。京都パルスプラザで開催するようになって4年連続、もはや彼らは“ポルノ超特急”になくてはならない存在だ。

 

 

4MC1DJスタイル、抜群のコンビネーションでリリックを重ね、絡ませ、銀閣の観客の心を一気に掴んだのは韻踏合組合。小気味よいサウンドに乗せて言葉を紡ぎ、その場に居合わせた人たちの身体と気持ちをほぐしていく。そのステージは、観るに従ってどっぷりハマっていく引力があり、観客はどんどんパフォーマンスに魅了される。そしてライブ中盤、4人のMCが2つに分かれて生のフリースタイルMCバトルをするという贅沢なサプライズ。オーディエンスとの距離を一気に詰めた彼らは、キャッチーな「ポップコーン」で加速し、最後はROTTENGRAFFTYのN∀OKIが参加した「一網打尽」で終演。ラップの魅力が存分に味わえるステージだった。

 

 

いったい何人の人が舞っているのだろう。次から次へとダイバーが跳ぶ光景が目の前で繰り広げられている。SiMが音を鳴らし始めてから、金閣の温度が体感で2~3℃上がったように思えるほど、会場の熱気がものすごい。愛とリスペクト、そして誇りとライバル心をむき出しにした彼らのステージは痛快で、MCでは「大変だと思うけど、きっちり締めてください」と2日間のトリを務めるROTTENGRAFFTYにプレッシャーをかけまくる。更に客席に向かって「お前らにかかってるよ。ハードルを上げなきゃいけないの。お前らの声が壁になるから、もっと大きな声を出したらいいライブが観れると思うぜ」と告げる。フロアがカオス状態になった「KiLLiNG ME」、そして最後は「f.a.i.t.h」で締め。ROTTENGRAFFTYに最高のバトンを繋いだ。

 

 

Vo./G.菊池の車掌アナウンスの後、「Spiral」で幕を開けたのは銀閣のOVER ARM THROW。とにかく彼らのステージは最高にハッピーで、初っ端からダイバー、Oiコール、コール&レスポンス、大合唱が立て続けに起こる濃厚な瞬間の連続。「Hand in hand」「Dear my songs」とキラーチューン連発、フロアでは拳を振り上げる者、大声でステージの3人に声援を送る者、目をうるませて一緒に歌う者で溢れている。痛快で爽快でちょっと切ないメロが胸に突き刺さる極上の時間は、彼らのライブ定番曲「All right, all wrong」。同曲を銀閣の全員で歌い、叫び、暴れ、“ポルノ超特急”を更に加速させた。いよいよ次は銀閣トリのNUMBA69。イベントが大詰めに近づいてきた。

 

 

金閣に現れたマキシマム ザ ホルモン。マキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)が「ぶっ生き返す!!」の殺傷力の高いギターを鳴り響かせた瞬間、地鳴りのような歓声が沸き起こる。ナヲ(ドラムと女声と姉)が「今日は勝ちにしか来てないから!!」とカッと目を見開き、「お前らにも負けるつもりはないから!」とオーディエンスを睨む。4人と一緒に歌う観客の声のボリュームがえぐい。極限まで無駄を削ぎ落としつつパンプアップしたアンサンブルは容赦なく、ライブでの爆発力が超弩級。「爪爪爪」で散々暴れさせた後、ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)からROTTENGRAFFTYへのメッセージで感動させるかと思いきや小田和正の歌声(SE)で掻き消し、渾身のキラーチューン連発。最後は「恋のスペルマ」。みんなで何度も「スペルマ!」「スペルマ!」と、とんでもないワードを歌っているのに、えげつないほどの多幸感に包まれて終演。SiMのMAHが自分たちのステージで言ったとおり、マキシマム ザ ホルモンは化け物のようなライブだった。

 

 

いよいよ銀閣のトリ、NAMBA69の出番。1曲目にROTTENGRAFFTYからリクエストされた「WALK」を選んだ彼ら。Vo./Ba.NAMBAが想いを込め、オーディエンスが想いを込めた歌が銀閣に鳴り響く。まるで大トリを務めるROTTENGRAFFTYの背中を強く温かく押すようなそのメロディは、聴いていて胸がぐっと締め付けられる。更に「カントリーロード」ではDragon AshのVo./G.Kjがゲスト参加。その場に居合わせた全員で歌い、Kjはステージから客席にダイヴ。その後、「HEROES」「MANIAC II」を全力でやり切り、“ポルノ超特急2017” 2日目、最後のバトンは金閣の5人へと渡された。

 

 

SEが鳴り響く中、ROTTENGRAFFTYのメンバーがステージに現れる。Ba.侑威地の手には、Dragon Ashのステージにいつも置かれているBa.IKÜZÖNEのシャツ。大歓声が鳴り止まぬ中、1曲目は「THIS WORLD」。今日のDragon Ashのライブで受け取った熱い想いを胸に、いよいよ“ポルノ超特急2017”は終着駅が迫ってきた。もう何も残す必要はない。Vo.NOBUYAが客席エリアに突入し、G./Prog.KAZUOMIもギターを置いて客席へ。全身全霊、ステージの5人もオーディエンスも全力だ。
続く「STAY REAL」、そして「響く都」。5人の気迫が凄まじく、負けじと汗だくのまま力を振り絞って暴れる観客の気迫も凄まじい。NOBUYAが「みんなが上げてくれたハードル、俺らとお前らやったら越えられる気がする…そう思っているのは俺だけか? 俺らはお前らと一緒に越えたいんや!」と想いを溢れさせ、「D.A.N.C.E.」で踊り狂う。Vo.N∀OKIが「諦めることなんて忘れてしまって、突き進んできたら此処があった」と言い、「『70cm四方の窓辺』」へ。爆音と共に彼らの想いが降り注ぐ。腕を振り上げ、ステージをぐっと食い入るように見つめるオーディエンス。ほぼ“ポルノ超特急”でしか聴けない「悪巧み~Merry Christmas Mr. Lawrence」の後、KAZUOMIが鋭くえぐるようなギターリフを鳴らし、大歓声が沸き起こる。「零戦SOUNDSYSTEM」が始まり、会場の興奮が沸点に達したところでKAZUOMIが客席へ身を投じていよいよカオスの様相に。

 

 

本編最後、N∀OKIが「後悔残さず、後ろ振り返らず。みんなで歌って!!」と叫んで始まった「金色グラフティー」ではなんとT.M.Revolution / 西川貴教がゲストヴォーカルとして参加。たまらないほど贅沢なコラボにオーディエンスは歓喜、観ていたバンドマンも関係者も歓喜。各出演者から繋げられた想い、託されたバトン、熱い気持ちは大団円で締めくくられた。アンコールではギラギラとした攻撃性と抜けるようなサビの…おそらくすぐにライブのマストアンセムになるであろう…2/28リリースするニューアルバム『PLAY』からの新曲、そして最後はもちろん「Bubble Bobble Bowl」。大きな大きなコール&レスポンス、みんなで最後にいちばんデカい声を出して歌い、“ポルノ超特急2017”は終着駅に到着した。
この2日間、ROTTENGRAFFTYは何度も感謝の気持ちを告げ、ステージで頭を深々と下げていたが、最後は5人揃って万歳。年の瀬の京都でしか体験できない素晴らしいライブ、ここでしか見られない素晴らしい光景。来年もいい年になりそうだ。

TEXT:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:HayachiN / Yukihide”JON…”Takimoto / OOMO / かわどう

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