音楽メディア・フリーマガジン

スタジオ246 ACCEPT

Studio246 Engineers file #1

僕はトコトン付き合います。それが20テイク30テイクになったとしても、そこから得るものって絶対にあります!!

Recording Engineer 豊田 哲司 Toyoda  Tetsuji

 

●ACCEPTをやるきっかけをお聞かせ下さい。

豊田:246で17年ぐらいエンジニアをしてるんですけど、関係するバンドがレーベルに入ったり、活動の場が広がる中、レコーディングをしている過程で、このバンド面白いなとか、凄い可能性があるなっていう事が鮮明に見えてくるんですね。246にはエンジニアが沢山いるんですが、みんなそういうのを感じてるんだろうなって思って、それを1つにまとめて世に出すというか。たくさんの人に知ってほしいですし、聴いてもらいたい。そんな押さえられない衝動がきっかけです。

●なるほど。豊田さん自身、音楽やられてたりするんですか?

豊田:はい。ロックバンドしてたり今も3つぐらいのバンドをやってます。

●プレイヤー兼エンジニアなんですね。エンジニアは独学ですか?

豊田:独学ですね。246に入ってから試行錯誤しながら、現場で習得していきました。

●ACCEPTの収録バンドはレコーディングしていく中で、面白いバンドを発見したぞ!!みたいな作りなんですか?

豊田:そうですね。僕がエンジニアとして携わった事で、大げさですけど僕自身がメンバーの1人ぐらいの気持ちにどうしてもなってしまうんですよね。そうなった時にこの人達のCDを出したいって勝手に思ってしまうんですよね。

●こういうオムニバス的なCDは、ライブハウスとかではよくありますけどスタジオでは珍しいですよね。

豊田:そうですよね。有りそうでないなっていうところですね。

●ACCEPTは、過去3枚のCDがリリースされていますが反応はどうですか?

豊田:収録バンド同士が顔見知りではないけど、お互いを知ってるとかそういう事があったりして面白いですよね。

●大げさかも知れないですけど、次の時代を担う期待のバンドが入ってる感じがしますね。

豊田:なんか今から輝く原石みたいなものが、レコーディングをする事によって見えるんですよね。それを”集めたい”って気持ちもあったので、そういう意味では輝くものが詰まってると思います。

●246エンジニアスタッフ全員の総意ですか?

豊田:基本的には僕が呼びかける感じですね。録音してる時に印象に残ったとか、エネルギーを感じたりしたのを集めて欲しいって声をかけて、集まったものから選ばれたものをパッケージしています。

●なるほど。豊田さんは作り方とかに拘りがあったりするんでしょうか。

豊田:そうですね…ACCEPTに繋がってしまうんですが、僕は“授かる”というかアーティストの持ってるものをどう受け取るのかっていう。オリジナルを見つけ出したいみたいな衝動。オリジナルっていうのは今から作るんじゃなくて、元々あるものをどれだけそのままの形で音源にできるかって事を意識して制作にあたっています。

●難しいですよね。

豊田:めちゃくちゃ難しいです。話してる時に見えてくるものだったり、レコーディングは本人達がものすごく真剣なので、それに向き合うと僕もそのレベルの真剣さにならないと話ができない。そうする事によって見えてくるものは確実にありますね。

●豊田さん自身がプレイヤーである強みもある?

豊田:そうですね。

●ちなみに、豊田さんの音楽のルーツは?

豊田:80年代後半ぐらいのイギリスのパンクバンドは影響受けてるかも知れないですね。あの音はどう出すんだろうとかすごい試したりしましたね。クリエイション・レコーズってレーベルがあるんですけど、そこにアラン・モウルダーっていうエンジニアがいるんです、そのサウンドにすごい影響を受けて。ウォールサウンドっていうギターの音が壁みたいになるとか。とにかく、音を追求するきっかけになっています!!

●自身のバンドは、どんなジャンルなんですか?

豊田:今やってるのはラテンロックみたいな感じですね。南米系の音楽も大好きで、ちょっとダブバンドみたいなレゲェ色も入っていたり、あとは即興で演奏する3ピースサイケバンドみたいなものもやっています。

●17年やってるとかなりの人数レコーディングしてきたと思うんですが、思った通りに世間に認知されたバンドとかはありますか?

豊田:個人的には「韻シスト」ですかね。僕がずっと携わってきた訳ではないんですけど、彼らのサウンドを創り出す過程とかをスタジオで見てきたので、このバンドは、間違いないなってライブ見ても思います。

●エンジニアとして、自身のアピールポイントはあります。

豊田:ロックバンドは任せてくれってところはありますね。ド直球好きなんで。

●なるほど。あえてACCEPTを無料で配布するというのは何か意図があるんでしょうか?

豊田:まずは世間に広めたいっていうところがありますね。ACCEPTって言葉自体がそういう意味なところもあって、なるべく自由な形で広まって欲しいなと思いますし、246エンジニアの各手腕を知ってもらう為にも広めたかったと言うのが本音です。

●今回はそのACCEPTからのオムニバスライブが開催決定になりましたよね。

豊田:そうなんですよ。オムニバスを作った時にはそういう事をしたいとは思っていたんですが、GABUのオープンで念願が叶いました。
今回が第1回目のイベントになるんですが、継続していくイメージを持っています。

●楽しみですね。今後のACCEPTを広げる上で考えてる事はありますか?

豊田:246ライブハウスのGABUができる前は、野外イベントとしてやるのはどうかなって考えてたりもしたんですけど、今はGABUに対しての思い入れがすごくありますので、まずは、GABUでの開催成功に全力を注いでいきます。

●ACCEPTに収録されているバンドとか、これから収録に関わるバンドに対して、エンジニアとして何かメッセージなどありますか?

豊田:ACCEPTの音源を聴いてもらって影響を与えられるようなサウンドというか…エンジニアの名前と、どこで録音したかなども記載されているので、エンジニアが変われば音も変わるっていう事を知ってもらいたいし、エンジニアによってこんなにサウンドは変わるんだ!!そんな聴き方もして欲しいと思いますね。

●なるほど。また、エンジニアとしてのモチベーションを保つ秘訣などありますか?

豊田:レコーディングに対して真剣じゃないアーティストはいませんよね、そんな中で受ける刺激が原動力になってますね。あとは色んな本読んだり、曲聴いたりしながら研究するのも僕のエンジニアとしての信条としてあります。

●豊田さんにとってエンジニアとは何でしょうか?

豊田:まさに“ACCEPT”ですね!!この言葉を聞いた時に…僕の尊敬するギタリストがACCEPTというイベントをされてまして、そこで僕も一緒にライブイベントしたんです。その時にACCEPTっていう言葉について話し合ったのがきっかけなんですが、その人にとってはライブがACCEPTなんじゃないかって意見で、「アーティストが出す」それを「授かる」っていう自然な成り立ちというか。それがすごいレコーディング作業にも当てはまるなって思ったんですよね。自分が思うカッコイイ音がアーティストにとってもカッコイイ音かどうかは違うんだなって痛感して、それまでは自分がカッコイイと思った音が良いものだと信じていたので、そうじゃなく相互の関わりの中から”授かって”いるんだと感じられるようになりました。

●豊田さんのエンジニア・スタイルとは?

豊田:基本的にはどこまでも付いて行くタイプですね。例えば、初めてレコーディングされた方はすごいストイックになるケースが多い、歌ったのを聴いてる時に「あ〜ここ失敗してる」「あそこも失敗してる」と、そして「もう一回いいですか?」ってなる事が多々あるんですね。そうなった時にも僕はトコトン付き合います。それが20テイク30テイクになったとしても、そこから得るものっていうのが絶対にあると思うんですよ。お互いが納得行くまでの作業工程は、僕にとっては大切なプロセスになっているんですよ。

 

 

Studio246 Engineers file #2

レコーディングを、心から楽しめる環境を作ることが僕のテーマです!!

難波店 店長 / Recording Engineer 中島 晃 Nakajima Akira

 

●ACCEPTも第4弾まできたという事でそれについての想いを聞かせてください。

中島:そうですね…ACCEPTっていうのはオムニバスアルバムなんですけど異質な部分がありまして、エンジニアの名前がバンドの名前と同じ大きさで載っているという。それぐらいエンジニアにとっても録音した音源は作品だよっていう主張のある音源集です。

●長年エンジニアとしてやってきて自分はどういうタイプのエンジニアだと思いますか?

中島:自分の持ってる音楽の引き出しは全部出しますね。ソロアーティストをやってた経験があるからかも知れないんですけど、ライブというよりは制作が好きなんですよね。音楽自体も好きですが、それよりモノ作りが好きなんだと思います。

●なるほど。

中島:僕らの仕事は初めましてで会ってから、あまり深い打ち合わせもないままスタートすることがほとんどなんで、もうちょっと前から知ってたらアレンジにもアドバイスできたかもなってぐらいまで近くにいきたいと僕は思ってます。ライブとは違うので、レコーディングの時はこっちの方がいいよみたいなアドバイスの出来る関係性ですね。

●コミュニケーションが大事だと。

中島:めちゃくちゃ大事ですね。扉を開けていくというか。

●そんな中で、これ凄いなって思う事はあります?

中島:バンドが演奏したものが、それだけでクオリティが高いと、その次僕がそこに応えていかないといけないので、すごいジャムセッションしてる感じになるんです。それがすごい面白いですね。新しい領域に足を踏み入れさせてもらってる瞬間があるというか。

●興奮しますよね。

中島:単純に1人の人間に1つの音楽があると思ってるんです。このバンドではこの人の音楽力が長けてるから、この人の音楽をやってるのかも知れないですけど、それぞれ1人ずつにそれぞれの音楽はあるんじゃないかなって感じています。

●中島さんの中でここは譲りたくないとか、ここはもっと広げたいなとかっていう部分はありますか?

中島:う〜ん…今は色々な事ができるようになってきて、演奏できてない部分を演奏できてるように見せる事がどのエンジニアの方でもできてしまうんですよ。でもそれをあまりにもしちゃうと背伸びした音源になってしまうんじゃないかなって思いはあります。もちろんジャンルとかにもよるんですけど。それをした事によって得るものもあるかも知れないですけど、失うモノもあるんでその失う部分はなくしたいですね。

●中島さん的にはレコーディングの時にこうして欲しいとかってありますか?

中島:僕は自然体で接してほしいです。バンドが第三者にうまく伝えようとして、逆に伝わり難くなる事があるんですよね。なのでそのままの普段の言葉で言ってくれれば、僕も考えて質問もしたりするんで、それで距離を縮めれたら良いなって思うんです。友達みたいに話してくれたら嬉しいですね。

●気軽に何でも聞けるような間柄を作るというか。

中島:隣の兄ちゃんみたいなエンジニアがいいですね。レコーディングして楽しかったなって思ってもらいたいし、僕も楽しく仕事したいし(笑)

●なるほど(笑)。レコーディングしてる段階で、この人達伸びるだろうなみたいなものは見えたりするもんですか?

中島:この人メジャーに行くんじゃないかなって思う人はやっぱりいますね。

●例えば?

中島:オレスカバンドとか。彼女らが高校生の時にお年玉持ってレコーディングに来たんですよ。その時にたまたま僕が担当になり、それが初めてのレコーディングだったみたいで。女子高生が6人も7人もいたら騒がしくなるものだと思うじゃないですか、それが運動部みたいにピシッてなってるんですよね態勢が。レコーディングが終わった後に「私たちの音どうでしたか」って聞いてくるんで「高校生にしたらばっちりやで」って言ったら「高校生とかじゃなくてどうなんですか!?」みたいな(笑)。尋常じゃなく意識高かったですね。

●そういう意味では、歴史に携わる良い仕事ですね。

中島:そのバンドの新曲とかも1番最初に聞いてるのは僕らエンジニアですからね。この間もワンマンするバンドを見に行ったんですけど、ほとんどの曲知ってましたもんね。それくらいこのバンドの録音に関わってるんやなって改めて思いましたね。

●もうメンバーみたいな。

中島:出来上がる時にはだいたい歌えるようになってますね。

●中島さん的に、エンジニアの醍醐味は!!

中島:やっぱり出来上がったものが世の中に高く評価されると僕も嬉しいですね。世の中に出すという事はそのバンドの運命というか、そういうのも変わってしまうと思うんですよね…そう思うとエンジニア選びから始まってるんでしょうね。怖いなあ(笑)

一同:ハハハ(笑)

●ACCEPTが第4弾と続いてきて、今回はライブイベントとも連動するという事をどう思われていますか?

中島:バンドからしたらレコーディングとライブってすごく大事なものだと思うので、それをようやく両方246で出来る環境になったのはすごく楽しみですね。僕の推してるバンドとかも出るので、そこで火が着いてくれると嬉しいですね。

●ACCEPTがこうなったらいいなみたいな事は妄想します?

中島:「ACCEPTのライブ出たいから、中島さんにレコーディングしてもらって収録もされたいなあ」みたいなバンドが“列”を作ってくれたら嬉しいですね。大渋滞みたいな列を(笑)

一同:ハハハ(笑)。

中島:246ぽいなって言われるようなイベントになれば良いなと思ってます。246の本質自体が”ミュージシャンに寄り添う”ってスタンスなのでそこもそうあるべきだと思います。

●246のエンジニアの中でも重鎮になってきましたね。

中島:年月を重ねるって事は経験値も上がるという事なので、それだけで諸問題に対処して乗り切れるって部分もあるかなと思います。あと意識してるのは柔軟性ですね。常に新しいものを取り入れていく事は意識して勉強もしています。

 


 

過去ACCEPT作品

246ACCEPT CASE.1
(2014.12配布開始)

#1. Qualis
#2. doesn't
#3. trespass
#4. six needle club
#5. ワズカコニール
#6. エキセントリックダイバーメン
#7. プププランド
#8. Jamming Hazard
#9. WOMCADOLE
#10. MODERN KNOCK
#11. 天使と悪魔
#12. palitextdestroy
#13. Stockholm

 

 

246ACCEPT CASE.2
(2016.1配布開始)

#1. 未遂ドロップス
#2. Flower of Romance
#3. PRIMAL
#4. Noel in Lost World
#5. ペペッターズ
#6. polkadot
#7. DAY STORAGE
#8. Eim
#9. MEET ME SATURDAY
#10. 浅野毅と歌うヴォルケーノ
#11. HANA RISM

 

 

246ACCEPT CASE.3
(2016.11配布開始)

#1. NAMELESS
#2. Beg
#3. Newdums
#4. six needle club
#5. JUNGLE BOO
#6. Shift Control
#7. PRIMAL
#8. スキッツォイドマン
#9. NIAGARA BUILDING
#10. BAIT ONES
#11. 追い討ち
#12. イトカムトビコ
#13. Traffic line
#14. andRE / SaSiM
#15. sylph emew
#16. 1.G.K
#17. Dicentra
#18. スー
#19. Aziam

 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj