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DALLJUB STEP CLUB

DALLJUB STEP CLUB、自主企画“Ceiling”にtricotとTempalayを招いて生み出した“最高な場所”。

DALLJUB STEP CLUB presents “Ceiling”
2018/4/25@渋谷WWW
Act:DALLJUB STEP CLUB / tricot / Tempalay

 

DALLJUB STEP CLUBが自主企画“Ceiling”を、tricotとTempalayをゲストに迎えて4/25に渋谷WWWで開催した。昨年7月には、2年ぶりとなる2ndアルバム『CHECK THE SHADOW』をリリースした彼ら。同期を一切使用しない生バンドによるベースミュージックを基盤にした、世界基準で唯一無二のオリジナル・サウンドを味わうために数多くの観客が集まり、平日の夜とは思えない賑わいを見せた一夜の模様をレポートする。

 

先陣を切ってステージに現れたのは、Tempalay。オープニングの演奏が始まった途端、何かが起こりそうな雰囲気に客席がいきなり沸き上がった。ユルくもファンキーなビートを織りなすリズム隊と、ちょっと奇妙で耳に残るフレーズを弾くキーボード。その上に小原 綾斗(G./Vo.)の歌とギターが乗り、極彩の脱力系サウンドが生み出されていく。弛緩した空気を漂わせながらも次から次へと変化していく曲展開に、観ている側も油断することなく集中して耳を傾けるしかない。心地よい音に身を委ねているうちに、彼らの虜になってしまった観客も多かったことだろう。

 

 

多幸感溢れるフロアの雰囲気を一転して、別ベクトルに向けたのはtricotだ。3本の弦楽器と3人の歌声、ドラムによるアンサンブルが躍動する。ロックのダイナミズムに、女性らしいしなやかさも融合しているのが彼女たちの大きな魅力だろう。展開の予測できないスリリングな演奏の上に、美しいコーラスワークやキャッチーなメロディが重なり、強烈な中毒性を発揮していく。後半へ進むにつれて、どんどん爆裂していくサウンドとパフォーマンス。その強烈すぎるインパクトは、終演後の大きな拍手と歓声が物語っていた。

 

 

2組のライブで十分に温まったステージに、いよいよ今夜の主役であるDALLJUB STEP CLUBが登場する。冒頭から森 心言(Syn./Vo.)が“Clap your hands!”と煽り、フロアの熱量をさらに高めていく。細かく刻むGOTO(Dr./Fx.)のタイトなビートと、地を這うかのごときBENCH.(Ba./Vo.)の野太いベースライン、Yuta Hoshi(Fx./Vo.)の多彩なエフェクト音が絡み合うサウンドは、まさにオリジナル。息もつかせぬ曲展開と、その変幻自在な音の波を乗りこなす心言のリリックからは片時も耳を離せない。時に目線を交わしながら、呼吸の合った演奏でオーディエンスを魅了していった。

 

 

MCではユーモア溢れるメンバー同士のやりとりに笑いが起こり、場内に和やかな空気が流れる。確かな演奏技術と抜群の音楽センスに基づいたハイクオリティな音だけではなく、ライブ中に垣間見える“人間味”の部分も彼らに惹きつけられる理由の1つだろう。“踊る準備はできていますか?”と呼びかけてからの後半戦ではステージもフロアも全てが一体となり、ヴォルテージはさらに上昇。本編ラストの「Pizza Pizza」では観客たちが手を振り上げながら“ピッツァピッツァ!”と共に叫び、ピースフルな高揚感がもたらされた。

 

 

アンコールで演奏した「Best Point」の曲名に込めた“最高な場所”という想いが、見事に具現化されたDALLJUB STEP CLUBの自主企画“Ceiling”。それぞれに比類なき個性を持った仲間たちと共に、他のどこにもないスペシャルな空間を創り出してみせた。“今年はビッグなニュースがお届けできるかも”とメンバーも新たな展開を匂わせていたが、彼らのさらなる広がりと大いなる可能性を確信した一夜だった。今後の動きにも注目しつつ、未体験の人にはまず生でこのライブを体感して欲しいと願う。

Text:IMAI
Photo:マサ(Twitter,Instagram/@masalivephoto)

 

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