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彼女 IN THE DISPLAY

無敵感を漂わせる5人が次なる次元への扉を開く

2010年から福岡を拠点に活動してきた彼女 IN THE DISPLAYが、遂にメジャーデビューを果たす。昨年リリースしたミニアルバム『GOLD EXPERIENCE REQUIEM』は“第10回CDショップ大賞2018”の九州ブロック賞を獲得するなど、着実に評価を高める中で満を持してのタイミングと言えるだろう。そんな前作に引き続き江口亮氏をサウンドプロデューサーに迎えた新作ミニアルバム『get up』には、これまで以上に幅を広げたバラエティ豊かな全6曲を収録。ライブバンドとしても圧巻の進化を遂げ続ける5人は今、もう1つ先の次元へと突き抜けようとしている。

 

「作品が出来上がった時にその火種が燃え上がって、みんなに燃え移っていったというか。それによって、今はバンド全体で1つの大きな炎になったという感じですね」

●今年3月にライブを拝見した時に、今までとは印象が変わったような気がして。特にRYOSUKEくんの雰囲気が変わったなと思ったんですよね。

RYOSUKE:変わりました。今、めっちゃ楽しいです。

●それは意識的に変えたということ?

RYOSUKE:変えました。そこに至るまでには色々あったんですけど、メンバーと“こういう方向性で行こうか”と話し合って。わかりやすく言うと、“激しい方向性で行こう”ということですね。元々そういうスタイルだったので自分も馴染みやすかったし、そこにこれまでの8年間で身につけてきたスキルも加わることで、より磨かれた形で今はやれています。

●元々のスタイルを途中で変えたのは、どういう理由からだったんですか?

RYOSUKE:インディーズ時代は特に、バンドとして“今はこういう見せ方のほうが良いんじゃないか”とか狙いすぎていた部分があって。その都度決めたコンセプトに合わせて色々やろうと努力はしていたんですけど、結局は本来の自分の姿でやることがこのバンドには一番合っているんだなとわかったんです。

●それにも何かキッカケがあった?

RYOSUKE:自分にとってのキッカケは、海さんから“こういう方向性で行こうか”という話があったことですね。

海:RYOSUKEがさっき話した“本来の自分の姿でやる”というのは“自分のやれることをやる”ということで、それって要は“自然体”じゃないですか。自然体で何をやるかと考えたら、“もう最初から最後まで音だけで勝負する”とか“ステージ上での立ち姿をどうするか?”というところに行き着いて。そこでメンバーに“こういうSEを使って、こういうふうなライブの進行をしていきたい”という話をしたんですよ。

●今までとは違うライブのやり方を提案したと。

海:それで1回試しにライブでやってみたら、もう“バチーン!”とハマったので“これで行こう!”となったんです。元々は今回の『get up』が完成してから収録曲をライブでやっていく中で、もう1つ先のことを考えていた時に“今のままのライブじゃダメだな”と思ったところからで。coldrainの武道館公演(※2018年2月6日の“coldrain FATELESS JAPAN TOUR in 日本武道館”)に行った人たちの話を聞いて、自分の中で色々と考えることがあったんですよ。

●coldrainの武道館公演が、自分たちのライブについて考え直すキッカケになったんですね。

海:coldrainの音楽はめちゃくちゃカッコ良いし、そういうバンドが武道館でライブをやれるということにはすごく夢があって。できることなら、いつかは俺らも武道館でやりたいと思うから。でも俺たちがcoldrainと同じことをやっても、何も変わらないじゃないですか。そこで“じゃあ、俺らにやれることは何なのかな?”と考えた時に“やれることをやる。やれないことはやらない”という方向性に変わったんですよね。

●そこから今のライブスタイルに変わっていった?

海:新しいやり方がハマったことによって、“ライブをより良くするためにどうするか?”という面でのアイデアが各メンバーからもどんどん出るようになったんですよ。1人1人が“もっとこうしよう”とか“曲順はこうしたほうが良いんじゃないか?”みたいなことをすごく考えるようになった中で、今の形になっていきました。やっぱりライブが楽しいので、みんなのモチベーションも高いんですよね。

RYOSUKE:楽しいから、余裕も生まれるじゃないですか。それによって今までなら重くなっていたような話題も、ラフな感じで自然と話せるようになって。今は相乗効果で、お互いがすごく良くなっていくような状態になっていますね。

●心に余裕が生まれたことも大きかったと。

海:考えに幅が生まれました。以前は“自分たちの現状をどうにか変えよう”ということばかりだったけど、最近は“今のことはもう良いから、次に何をしよう?”と考えられるようになったんです。それはライブだけじゃなくて、楽曲制作についても言えることですけどね。

●先ほど今回の『get up』の曲をライブでやっていく中で色々と考えるようになったという話もありましたが、そういう意味では今作ができたことも大きかった?

海:大きかったですね。俺が『get up』の制作で感じたことを“ライブでもやろう”という話から、RYOSUKEも変わったわけだから。要するに『get up』ができたから、みんなが変わったというところはあって。

RYOSUKE:この作品がなかったら、メンバー同士の化学反応みたいなものも起きなかったと思います。

●今作がメジャーデビュー作になるわけですが、作る上で何か特別な想いもあったんでしょうか?

海:そこは特にないんですよ。制作中は、この作品そのものに対する想いしかなくて。特に今のライブに行き着くようなことを考えていたかといえば、そういうところまでは考えていなかったですね。

●作品が完成した後に、変化があったと。

海:たぶん火種みたいなものは、作っている間もそれぞれの中にあったと思うんですよ。たとえば“これをメジャーでやれたら良いよね”みたいなものはあったから。作品が出来上がった時にその火種が燃え上がって、みんなに燃え移っていったというか。それによって、今はバンド全体で1つの大きな炎になったという感じですね。

●今作自体は、早めにできていた?

海:いや、完パケしたのは今年の2月後半くらいでしたね。

●そう考えると、ここ数ヶ月で劇的に変わったということですよね?

RYOSUKE:本当にここ最近です。

海:3月にサーキットイベントへの出演が続くこともあって、そこで勝負を仕掛けるためにライブの方法を変えたんですよ。そしたら、それがどこの会場でもドハマりして。客席もすごく盛り上がっていたし、オーディエンスもこれを求めていたんだなと感じられたんです。

●自分たちのやり方が間違っていないと実感できたというか。

海:最近は6曲のうち4曲は新曲というセットリストで、ライブをやったりもしているんですよ。しかも特に“新曲”とは言わずにやっているんですけど、めちゃくちゃモッシュとダイブが起こるんです。“これこそが真のロックだ”と思うし、“これがライブやぞ!”という感覚があって。俺らが十代の頃に先輩のライブを観に行った時の気持ちって、まさにそんな感じだったんですよね。“ヤベェ、カッコ良い! 暴れちゃえ〜”っていう。

●そういう衝動を掻き立てられる興奮があった。

RYOSUKE:まだ演奏もグチャグチャでわけのわからないままやっていた結成当初の頃でも、地元でワンマンがSOLD OUTしたりしていたんです。それって自分たちでも理由がわかっていなかったけれど、今思えばそういうライブができていたからお客さんも集まってくれていたのかなと思うんですよ。

海:その頃みたいな初期衝動感が、8年目の今にして甦ってきたというか。最近のライブではSEに乗って僕が上半身裸でまずステージに出て行くんですけど、それを見たお客さんは“えっ!?”となるわけですよ。そこからMCナシで最後まで突っ走る感じが、誰にも媚びていなくて、本当に振り切ったカッコ良さを出せている気がするんですよね。

●初期衝動感が甦ったという意味では、今作のM-1「STAY KID」はまさに今の状態を象徴しているのでは?

海:そうなんですよね。歳を取るたびに“子ども化”が進んでいるというか。そういうところはもっともっと曲に反映していきたいなと思っていて。

●“KID”は彼女 IN THE DISPLAYの略称でもあるわけですが、バンドとして自分たちらしくあり続けるという意思表明でもあるのかなと。

海:本当にそうですね。子どもであり続けるし、“彼女 IN THE DISPLAYのあの初期衝動を忘れない”という意味も込めて、「STAY KID」というタイトルにしました。

●この曲の“真夜中以上明け方未満”という歌詞が、すごくRYOSUKEくんらしい独自の表現だなと思いました。

海:“真夜中以上明け方未満”はヤバいですよね。でもこの曲の歌入れの時に俺はいなくて、そこの歌詞もレコーディングが終わってから聴いたんですよ。正直、歌録りの時は勝手に福岡へ帰ったんですよ。

●えっ、それはなぜ…?

海:RYOSUKEはスランプで、頭がバグりまくっていて。“ドラム録りの時はおまえの歌を聴きながらやるから、それまでに録っておけよ”と言っておいたのに、全くできていなかったんですよ。それで腹が立ったので自分のドラムを録ってから“帰ります”と言って、飛行機で先に帰りました。

●スランプというのは、歌詞について?

RYOSUKE:歌詞が全く出てこなくて…。

海:その段階では今日話したような気持ちの変化がまだメンバーの中で生まれていなくて、RYOSUKEもまだ探っている状態だったんです。“これをやって良いのか? こういうことをやらなきゃいけないんじゃないか?”みたいなことを気にしすぎて、本当の自分がどこにあるのかもわからなくなっていたんだと思います。

●その藻掻いている感じが、“真夜中以上明け方未満”という歌詞には出ている気がしますが…。

RYOSUKE:確かにそうですね。

海:出来上がった今になって読むと、絞りに絞った最後の一滴という“生(※なま)”感は「STAY KID」だけじゃなくて全体的にも出ていると思います。今回の6曲は、究極の“生”ではあると思いますね。

●中でもM-5「KVE」は、特に生々しいライブ感を感じるというか。

海:「KVE」は、ヤバいですね。最近のライブでも、すごい勢いでダイブが起きていました。

●実際のライブでも凄まじい熱狂を生み出せている。

RYOSUKE:だいぶ力技の曲だと思います。この曲だけ、同期が入っていないんですよ。

海:クリックも聞いていないので、俺の体感速度でそのまま行く感じの曲ですね。たまにライブで速すぎて、マジでヤバい時があります(笑)。

●ハハハ(笑)。そういうところも含めて、すごいライブが今はできているのかなと。

海:最初に今のやり方がハマったと感じたライブの時に、後ろから見ていて初めて感じたことがあって。RYOSUKEが指揮者みたいに楽器隊を操っている感じがして、すごいなと思ったんですよ。“今が一番、表現者として輝いているな”と感じてリスペクトの気持ちも生まれたし、“よし! これをもっともっと突き詰めよう”と思うキッカケにもなりました。

●ライブのやり方が明確に定まったことで、より自信も深まったのでは?

RYOSUKE:すごく自信がありますね。自分に自信がついたというよりは、バンドに自信がついたという感覚が強くて。今はどこに行っても、“バンドで戦っている”感じがするんですよ。

海:それはめっちゃ思います。あと、個人的に一番変わったところというのがあって。昔は“このバンドが売れることによって、本当に自分の好きな音楽をやれる時間やお金を作れば良い”と考えていたんですよ。でも今は“このバンドが売れなかったら、もう未来がない”と思うようになったんです。だったらもう俺は、このバンドでやりたいことをとことんまで突き詰めたいと考えるようになりましたね。

●自信と覚悟の両方がついたからこそ、バンドとして良い方向に進めているんでしょうね。

RYOSUKE:俺はバンドの“無敵感”というのが、何よりも大事だと思っているんですよ。そういうバンドにしか出せない空気感が絶対にあるから。今はちゃんとそれが出せていると思うので、今後はそこをより強くしていくだけで良いんじゃないかなと思っています。

Interview:IMAI

 

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