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円広志

ロックバンドからスタートした円広志の音楽人生。“寸止め”の美学を実践する40年の軌跡はまだまだ旅の途中。

芸能人、タレント、ミュージシャン、シンガーソングライター、ヴォーカリスト、絵かき、経営者。
いったい幾つの顔を持っているのだろう?そのひとつひとつを真剣に、一生懸命取り組み“戦い”“挑み”続ける。何のために“命”を“魂”を削り走り続けるのか。円広志のロックスピリッツに迫る1万字の真実!!

 

バンドは生き物。メンバーの思考と技巧が将来を決める

●タレントのイメージが大きいですが、円さんの音楽活動の原点はロックバンドですよね。

円:ロックバンドはアマチュアの時にやっていましたが
なかなか難しいところが多かったね。バンドって凄い強いものを持っている。才能というか音楽的な部分でお互いが刺激しあって切磋琢磨したり相手に刺激をあたえたり、刺激されたりして、1人の力が2倍、3倍になったり、それがバンドの凄いところやったりもする。逆に言えば潰し合いもある。僕の場合はロックバンドやってたけど、音楽的な欲求は結成3〜4年で達してしまって学生時代に組んだZOOMと言うバンドは、3年位したら自分はここから刺激を受けることはないないと感じた。自由にやりたい欲求が芽生えてきたんです。

 

ロックバンドのヴォーカリストがポップスを歌えた理由

●現在ソロでやられてますが、これも自然の流れなんですね。

円:いや自然というか、仕方なかったよね。もっとメンバーに才能があったり、テクニックがあればそのままついていくし、刺激もあるし、バンドも大きくなっていったと思う。僕にとっては、もうこのバンドでは得るものがなくなった。もっとやりたい事が「夢想花」で開花するんだけど、その時点では1人でデモテープも作っていたね。「夢想花」でデビューした時に、ロックバンドのヴォーカリストが、なんでポップス歌う。“ロックの裏切り者”みたいに言われたこともあるけど、俺は今でもそうだけど、何を言われようとあんまり関係なく好きなことやってきた。音楽だけは極力やけど“寸止め”はなしなんです。世の中生きていると“寸止め”ばっかりやからね。

●“寸止め”なしね(笑)。

 

テレビやメディアの仕事で“寸止め”を磨く

円:特にテレビの世界は、これを言うとあの人が傷つくだろう、ここまでしないと駄目だとか、要するに寸止めの言葉なんです。音楽だけは寸止めがなくていいと思っているし、自分の感情をそのままぶつけてやればいいと思うけど、そういう意味ではかなり音楽は限りなく自由なんですよね。でもこれがちょっと売れてくると寸止めをしなくてはいけない状況になる。やっぱり売れなきゃいけないとか…制約とでも言うんですかね。

●それは自然な制約なんでしょう。

円:僕だけがやっているわけではないし、プロデューサーがいたり、レコード会社や、メーカーがいたりするわけやから、それは色んな人の意見が出てくるから制約は出てくるよね。作曲の世界でも制約はあるからね。プロの世界では当然あるわけで、だけど自分のやってる音楽だけは極力そんなことなしにやりたいなというか、ステージは別としてね。ステージは観ている人がいてるので曲順を考える時でもここで退屈しないようにとか相手のことを考えて構成するよね。まさしく寸止めだよね。「夢想花」に関してはそういう寸止めが一切なかったから初めてヒットしたと思うねん。抜けるというか、感情にストップをかけない。そういう意味では成功した例だと思う。

●影響を受けた、好きなアーティストはいますか?

円:ヴォーカリストでは、ポール・ロジャースが好きでね。コピーや真似事はしていたけど、今考えるとポール・ロジャースとはほど遠い存在であったことはよく分かるね。つまりヴォーカル力はキャリアなどである程度歌えるんだけど、そこの根底に流れるブルースやったりとか、そういったものは理解出来なかった。僕の中にあるものは歌謡曲とか演歌なのかなって。歌唱力を養う、和製ロックを確立するという意味で言えば随分時間もかかったしポール・ロジャースから得るものは大きかった。長年やっていく中でテクニックなどは変化していくものだけど、最近…自分なりのロックがちょっとは見え隠れするようになったのかなって思いますね。

●自分に気づくって、随分、時間のかかるものなんですね。

円:例えば、ポール・ロジャースの歌だと、「The Hunter」とか、有名な曲だと「Mr.Big」とかあるんだけど、全て3コードのブルースからきているんやね。歌えるけどほんとに自分にブルースがないから真似事になってる。それをやってきたアマチュアの時代からプロになって“ソウル”って何だろうって考えたときに、自分は歌謡曲がルーツであったりする。僕はそれに則して素直にやっていったら良いと思うし、ロックって生き方の問題やし、魂の問題やねんな。だからどういう表現でもいいと思う。でも悲しいかな、テレビの仕事をしていると“寸止め”に慣れてるからステージや音楽やる時でも変な癖が出てしまう、それに気がついた時に“ちくしょう”とか思ったりするね!!

●ちくしょう(笑)。

円:ちくしょうって思って、「寸止め、やめたれっ」て思う時あるよ。僕のアルバムの中にはそういうのもある。そんなん無茶苦茶やけどね。ほんま、寸止めせえへんかったら僕は無茶苦茶やわ(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

●自主規制をしようとしているんですね。

円:最近ね。ロックやっててこの寸止め、ちくしょうっとか思ってやってるやん。それはね、癖とか性格の問題やと思うねんけど決して悪いことでもないなって思えるようになった。逆に言えば“包容力”やから、相手を包み込む感じね。だからそういうものを持ち合わせている、自分の才能のある部分と、無い部分が常に出たり入ったりしているのね。そういう意味では寸止めも悪いことではないなって思えてくる。

●生来の生真面目さがあるから、そんなところで思い悩むんですね。

円:生真面目やからこそ、相手のことを考えたりする。毎日のテレビの仕事はハードやけど、観てくれる人がいるから責任もあるし、続けていこうと頑張れる。自分が辞めたくても、辞められないのがこの芸能界。そのかわり、やりたいと思っても辞めさせられるんだもの。

●僕はあまり思い悩まないタイプなんで、感覚的には分からないです。

円:それは仕方ないのよ。それはどういう事かというと、才能の“ある人間”と“無い人間”の違いやねん(笑)。

●はい! それ言われても何にも腹が立ちません(笑)。

円:俺はパニック障害になった時に随分言われたよ。そういうリスクを背負っているんだからって。

●それは、才能持っているんだから仕方ないですよね。

円:そういう事やね。そやねん。

●才能持って無くて良かったっ。ちくしょうって(笑)。

円:羨ましいわ!

一同:ハハハ(笑)。

 

もう役者はやらない。一度も納得出来る演技が出来なかったから

●80年代には、SMAPと絡んだり、役者としてTVドラマや映画にも出演されてますが。

円:役者はね。いくらやっても、やったなっていう達成感が一度もない。だから辞めました。もう役者の仕事は辞めようと。

●でも、10年〜20年続けていたら、今頃わかりませんよ。

円:「ハイ! OK」って監督が言った瞬間に、「え〜!」って思うし、やった感覚にならない。プレビューを見て自分の演技で凄いって思ったことが一度もない。これは、僕もう才能無いなって思って辞めました。SMAPさんとかともバラエティもやりましたけど、僕はバラエティもそんなに才能があるとは思わないから、真面目に一生懸命にやりました。見よう見まねで一生懸命やったから、今までもったと思う。サラリーマンで言ったら、無遅刻無欠勤。これも才能のひとつだと思ってる。人より才能がないんだから、バラエティ出演でも人より早くスタジオに行って、スタッフさんや作家さんと作戦会議して番組にのぞむ。よしもとの芸人さんなんか、来てすぐアドリブでやれるけど僕には出来ないから。才能がない、読解力がないからダメではなく、その分時間をかけてやればいいじゃないか。僕の好きだった、丹波哲郎さんなんか、一切台本なんて見てこない、リハで覚えて終わればすぐに忘れる。役者さんの凄い才能やね。他の人が10分で出来ることが僕は1時間かかる、それを絶望的だとは思わず1時間かければ出来るじゃないかと考え、それで皆と同じになれるんだったら1時間かけましょうと。だから皆より早く来て、準備してやっと皆についていける。それで出来るんだったらそれで良いじゃないかと思います。

●凄くポジティブな発言ですよね。

円:いや、僕はポジティブですよ!!

●謙虚な発言ですし、円さんがそんな人とは、1ミリも知りませんでした。今日は“目から鱗”落ちまくりです(笑)。

円:僕はね、悪態もつくけど…。

●すごく悪態つきますよね(笑)。

 

プロの仕事を見て、経験して分かった事

円:いや、仕事についてはね。謙虚やしリスペクトもするしね、努力もするんだよ。例えば、共演者に対するリスペクトも持つし、物事に対しては謙虚に向かいますよ。ただ、若い頃は、そんな事も知らずに突っ走っていたこともあるし恥ずかしい経験もしました。梅沢富美男さんと番組をやった時、僕がリハに遅れた事があって、こっぴどく叱られた事があります。「お前は舞台をなめてんのか!」って。前の収録が押して仕方なかったんだけど、プロの仕事にはそんなの関係ない。そんな事も経験してこの仕事の厳しさを教えてもらいましたね。

 

偉大な作詞家、阿久悠先生との出会いが人生を変えた

●そんな経験が今に至ってるんですね。話は戻りますが、日本の「演歌」「歌謡曲」の大物歌手の方に楽曲を提供されていますが、きっかけはあるんですか?

円:特に、作詞家の阿久悠先生には、随分可愛がってもらい、大変お世話になりました。「夢想花」を作ったときに、阿久悠先生が「やられた、この手があったのかって」って言っておられたそうで。そういう意味では、僕のことにちょっと注目してくれていたみたいで、はじめて仕事をしたのが、演歌の山本譲二さんの「男詩」。阿久悠先生には、作曲家が6人くらいついているんだけど、最終的にコンペで2人に絞られて、もう1人の作曲家さんは重鎮の方でしたが、この時に若い才能を伸ばしてやれと、先生の一言で僕に決まった経緯があったみたいですね。先生から詞をもらったら、その場で見ることが出来ずに、かばんの中に入れて持ち帰り、ドキドキしながら読んだものです。それは、まるでラブレターをもらった気分でしたよ。

 

還暦をとっくに過ぎても、一切、手抜きなしの毎日

 

森昌子さんとの初デュエット曲に挑戦

●森昌子さんとのデュエット曲もリリースされてますね。

円:デュエットって作曲する時に難しいんだけど、キーが違うのでどっちかが犠牲になるらしい。森昌子さんと自分のキーをはかりながらメロディを作っていくんだけど、今回は初めての挑戦をさせてもらったって感じですね。

●初めてのデュエット曲だから緊張した?

円:テクニック的に難しいですね。例えば、ジョン・レノンの「War Is Over」なんか途中でオノ・ヨーコが歌うでしょ。あれって転調していくんだよね。あれを1人で歌ってみ! 死ぬで。男と女はキーが違うから。でもあれは上手くやってるんですよね。僕がジョン・レノンを褒めるのもどうかと思うけど(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

●凄いな、凄いなって、人のことを褒める円さんは見たこと無いので…。

円:馬鹿野郎! 何を言ってるの、君は。君が僕のことを知らんだけだ(笑)。

●あ! すいません。生意気な事言ってしまいました。

円:貴方が知らないだけや、僕は謙虚な、いい人なんやで本当は(笑)。

●本当の円さんを知ったら「今の100倍くらい人気出ますよ」って僕の心の声が…(笑)。

円:どういう事やねん。み〜んな知ったはるわ。僕が優しい人やっていうこと(笑)。

 

多彩な色を放つ、5年ぶりのアルバム秘話

●さて、本題ですが(笑)。約5年ぶりのアルバムですよね。アルバム全体を通して感じたことは、円さん自身を投影した、今の心象風景がバラエティに富んだ楽曲で表現されているなと思いました。

円:そうでしょう! 自分への応援歌だよね。『遙かなる風人』を何でアルバムタイトルにしたか? この歌詞のような生き方をしたいとの想いも強いけど、ヴォーカル力がズバ拔けてる! 凄い上手い(笑)。

●あら!? 自画自賛!?(笑)。

円:いや、いや、いや、いや(笑)。「遙かなる風人」は、メロディ、コード進行が簡単なのよね。そういう意味ではロックかな? ヴォーカルで押していく、まさにヴォーカルが力を発揮する曲かな。

●このアルバムは非常にバラエティに富んでいて、哀愁系、ジャジーな曲、元気モード全開、王道ポップス。と、飽きませんよね。

円:良いか、悪いか僕は分からないけど、自由に書いてるし、忙しい最中の作業なので、車の中とかでも書きました。ブラックサンドビーチって曲は高知の海で白浜の甲浦なんですけど、砂が黒いんですよね。

●聴いてる方は、高知のイメージではなく外国のお洒落な海岸を想像してしまいますよね。

円:ブラックサンドビーチをなんで僕が好きか分かります? バリ島のアマンキラっていうところにリゾートがあって、その前がブラックサンドビーチなんです。ブラックサンドは鏡になるんですよ。黒いから夕暮れになると、夕日が真っ赤に染まる。これが、ブラックサンドビーチで最も美しい景色なんですよ。それが波が引いたときに、真っ黒な砂に月が浮かんでくるという歌。その月を追いかけて女の子が遊ぶというストーリーがこの歌のイメージなんですね。

●これって妄想ですよね?

円:そうや、そんなん当たり前やん。妄想や! 「ドレスをつまんで、月を追いかける」そんなアホな女おらんやろ?

●それは、アホとは違うでしょう!

円:追いかけても捕まるわけないやん。

●こんなこと、円さんの実体験であるわけないって分かりますもんね(笑)。

円:何がやねん! 僕の若い日々には、こんな事なんぼでもあったよ。

●昭和を代表する名曲「いいじゃないの幸せならば」もカバーされてますね。

円:この曲は僕の生き方の中にある刹那的な思考や、憧れであったりする部分を投影している気がするね。僕は、若くして結婚したんだけど、好きな人が出来たらさっさと嫁と別れて新しい人生を…ところが僕は責任感強いから、それが出来ない(笑)。

●責任感ってそれ普通でしょ! これ、ダメですよね? この部分カットでしょ?

円:いや、全然かまへんよ。

 

 

大切に育みたい楽曲の息吹

●いいねや! 凄いな〜このくだり。話は「夢想花」になりますが、色んな方がカバーしてますよね。今回の新録のヴォーカルですが、僕は最初、あれって感じで違和感があったんですが、何回もリピートしていくうちに、これいいな〜てなりました。不思議でしたね。

円:あ! そう、これぞ、ポール・ロジャースに影響されたフェィクかな。「夢想花」に関しては、オリジナル録音でいうと、ベースが後藤次利さん。歌心をもった凄い人だと思います。アレンジは船山基紀さんでこの人のアレンジが「夢想花」を作ったと思っているので、このアレンジは変えたくない。もし、アレンジを変えてやるのであれば、もう一度、船山基紀さんにお願いしたいですね。それくらい、このアレンジは素晴らしいと思う。「夢想花」に関しては、僕の作詞・作曲、唄、船山さんのアレンジで1曲だと思ってるので、これを変えてしまうと「夢想花」ではなくなる。当時のテープを取り寄せて、デジタル変換する作業を延々とやって、当時の音源を再現したので時間も労力も相当かけてやりました。それだけ、船山さんの手がけた原曲は大事にしたいですね。今、ロックバンドや、パンクロックの若手が、激しいアレンジで「夢想花」をやっていますが、それはそれでいいけど、僕の「夢想花」は船山基紀さんのアレンジがあって「夢想花」やと思ってる。

 

COMIN' KOBE'14でのモッシュ&ダイブ

●「夢想花」といえば、COMIN' KOBE'14で、1万人のモッシュ&ダイブがありましたね。“とんで、とんで”のリフレインで神戸ワールド記念ホールがうねってました!

円:いや〜、もう、感動するね。若い人達のフェスにお邪魔させてもらって、この年寄りを暖かく迎えてくれる。そういう意味では、この人達はウェルカムなんだ。あの時は、凄い光景をステージ上から見させてもらったね。

●僕はステージ袖から見てましたが、ほとんどが歌ってましたよ。“とんで、とんで”って。みんな曲は知っているって事でしょうね。

円:そうなんかな? 最近も映画の宣伝用に「夢想花」を使って頂いてますが、多分やけどさっきの話に戻るけど“寸止めしない”感動はいつの時代も通じるものがあるのかな? それが音楽の凄いところで、例えば、僕の好きな曲に石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」がありますが、あれって怪物級のメロディやもんね。あれって魂のメロディやろね。だから残るんだろうね。「越冬つばめ」もそうなんだけど、ひゅるり〜ってサビは寸止めしてなくてオクターブまでいってますが、当時森昌子さんのファンクラブから、ファンがカラオケで歌えないのはどうかなって意見が出た時に、森昌子さんが、私は難しいこの唄で、最優秀歌唱賞を取りたいと跳ね除けて、実際、最優秀歌唱賞を受賞した経緯があります。僕は“ひとつの抜けたもの”が、世の中に残っていくものだと思うね。

●なるほど。

円:僕は若い人に言いたい。音楽に寸止めはいかんよと。だって、世の中は寸止めばっかりでしょ。人と接する時には寸止めは必要だけど、自分の創る音楽に絶対“寸止め”はいかんよと。魂に寸止めが少しでもあればそれは通用しないと。昭和歌謡史に残る、「越冬つばめ」も「夢想花」も、今だにCMなんかにも使われるのは、魂は残っていっているからだと思うんですね。結局、小手先で作った唄ではないということですね。

●今日は、名言出ましたね。今までお話した中でも最高です!

円:いやいや、僕はね、常にこんな事考えて仕事してるんやからね。

●生真面目ですからね(笑)。

円:生真面目、言うな〜!

 

 

ジョン・レノン、矢沢永吉との共通点

●今回のCDを僕なりに分析しながら聴いてみたんですけど、円広志という作詞家、作曲家、妄想家の多面性が魅力だと感じました。

円:“妄想”って言うな! 想像や、想像! 音楽はみなそうやん。

●そして、ジョン・レノンのドキュメンタリービデオも思い出したんですね。「俺は作家として曲を書いてるけど、全てがそれとイコールではない」みたいな事をジョンが言ってるんですよ。いや〜、円さんとジョンを一緒にするのも、何なんですが!

円:それはどうかと思うな僕も(笑)。

●でも、僕にとっては、浪速のジョン・レノンですから。

円:やかましわい! 僕は、浪速のシートベルトや! 安全第一や!(笑)。

●これ、笑うところですよね(笑)。

円:“浪速のモーツァルト”って、いてはるでしょ。僕はその後をついで、「浪速のシートベルト」です。

●それやったら、浪速のシーボルトの方がええんちゃいます?

円:もう、ええやんか! 僕の好きにさせてくれや。

●でも「浪速のシートベルト」って、おもろい事も何ともないですよね。

一同:ハハハ(笑)。

●円さんとは長いお付き合いですが、今回は本当に新しい発見があり新鮮でした。

円:ジャングル・ライフやから、ちゃんと答えてるんですよ。ジャングル・ライフはアーティストの読者が多いし、アーティストとしての自分と、仕事に対する姿勢はきちっと伝えていかないといけないと考えていますから。

●矢沢永吉さんにインタビューした時も同じようなことを言われてましたが、矢沢さんの次に良かったです! もう、次から「浪速の矢沢さん」って呼んでいいですか?

円:2番めかい。もうええやろ! 浪速はいらんやろ!

●今後のアーティスト活動についてはどうでしょう!

円:“アーティストで何が1番大切やろうか”って考えた時、作曲をする、料理をする、絵を書く、要するにこれら全てアーティスト活動ですよ。1番大切なのは、自分自身の人生をアートしていくという事なんですよね。自分の人生を作り上げていく、いかに自分らしく生きていくのか。アーティストとしての生き方は険しくて苦しい道なんですね。僕が、自分らしく生きていくと言うのは“挑戦”しかない。だからしんどいし苦しいのよ。

●反論っぽくなりますけど、苦しい道をいく必要があるんでしょうか?

円:何を言ってるの、絵を書くこともそうだけど、アーティストとして活動している人は苦しいんですよ。

●円さんも絵を書いてますよね。僕は好きなテイストですが、外には出さないんですか?

円:お金儲けじゃないから出さないよ。これは自分の中から自然に湧き出てくるものだから。今回のアルバムには1カット僕の絵を使ってますが、ナイトフライトのイメージで、これも妄想で書いたものです。夜間の飛行機の窓から見知らぬ街が現れる。人は生まれたときからずっと見知らぬ街を旅しているいう意味合いの作品なんです。

●もっと円さんの絵は、表に出てもいいと思いますが。

円:機会があればね。そう言ってくれるのはありがたいけど、大した絵でもないからね。

●最近のバンドマンって、作詞・作曲は出来るし、絵やイラストも上手い人が沢山いますよね。

円:ほんとそうだよね。ビックリする才能の人もいますね。片岡鶴太郎さんなんかも凄い絵を書くしね。

●そんな才能をもって生まれて来るのも苦しいでしょうね?

円:適当にいってるわ(笑)。

●そんな事ないですよ。ちなみに、なんか安らぐ事ってあります?

円:今は毎週、故郷の高知に帰って、海を見て朝から料理してリフレッシュしてますよ。料理する時は、集中してやってるから楽しい。お金もらってないから、気ままにホント楽しくやってますよ(笑)。

●ハハハ(笑)。

円:料理は、音楽を創るプロセスと似てるんです。冷蔵庫を開けて、昨日の残り物のお肉や魚を自分の感覚だけで調理していく。失敗もあるけど凄く面白い。アドリブの楽しさやね。結構、本格的な料理作ってますよ(笑)。

 

画:円広志

 

中途半端な“夢”は描くな!!

●最後になりますが、読者にはバンドマンも多いので、先輩バンドマン、SSWとしてメッセージを頂ければ!

円:とにかく夢は大きく持って“これでええねん”なんて言うのは良くないと思う。実際、売れたらお金儲けも出来るし、巨万の富が入る場合もあるしね。そんなアーティストは沢山いてるでしょ。だから、若いうちは、夢を大きく持ってドンドン行けばいい。音楽は自由なので中途半端にヤラないこと。音楽だけは、どんな詞を書こうが、どんな曲であろうが、どんな歌い方であろうが許してくれる。そこに、ちょっとでも邪な感覚があるのは響かないし違うと思う。サザンオールスターズの桑田佳祐さんなんか、デビュー当時からそれが分かっていて今の地位を築いている好例だよね。

●それが、今回の肝にもなっている“寸止め”にもつながるわけですよね。今は多彩で、狭い音楽ジャンルも沢山ありますが、その世界観の中でも思いきりいけって事ですよね。

円:そうそうそう。例えば、仕事やバイトしたりして、上司に怒られたりしても、音楽だけは何の文句も言われない、だから音楽は思い切りやれば良いと思う。それに何の関係もないから。生活のために他のことをやったとしても音楽だけは思い切りいけよと言いたいね!

●要するに“自分の気持を裏切るな”と。

円:何、上手くまとめてるん。全部まとめるなよ!

●ホントに今日はいいお話が聞けましたし、勉強になりました。益々、円さんのファンになりました! ありがとうございます。

円:嘘言え(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

Interview:PJ

 


 

PROFILE
1970年代よりロック・バンドZOOMとして活動、浪速のポール・ロジャースとよばれる。1978年秋第9回世界歌謡祭「夢想花」でグランプリ獲得。夢想花は80万枚を超える大ヒットを記録。80年代には、TVドラマ、東宝映画「セーラー服と機関銃」にも出演。さらに森昌子に「越冬つばめ」山本譲二に「男詩」など数々の楽曲提供を行う。90年代は、ライブ、コンサート活動を活発化、CM提供、CFにも出演する。2000年代には円広志Withドンガン隊を結成ライブツアー開始。NHK朝の連続テレビ小説「だんだん」出演、同年関西テレビ「よ〜いドン」レギュラー出演。デビュー30周年をNHK大阪ホールで、新神戸オリエンタル劇場でのコンサートを定期化する。2018年1月には、森昌子との初デュエット曲「好きかもしれない~大阪物語~」を発売。

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