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FLOWLIGHT

失うものなんて、まだ何一つこの手にはないから。 高鳴る場所へ飛び立っていく少女たちの十代白書。

平均身長150cmという小さな身体からは想像もつかない、存在感・躍動感・熱量でリスナーの感情の色を変える3人組ダンス&ヴォーカルユニット、FLOWLIGHT。ROCK&POPをベースした楽曲とドラマチックなパフォーマンスを武器に活動する彼女たちが、3ヶ月連続でシングルをリリースする。3号連続インタビューの完結編となる今回は、十代を駆け抜ける彼女たちの勢いを表すような疾走感のあるロックサウンドが印象的な3rdシングル『十代白書』について語ってもらった。十代にして数々の挫折や苦悩を乗り越えてきた3人は、これからも夢の実現に向けて走り続けていく。

 

「学校でも自分の想いを出せずに我慢しちゃったり、殻にこもっちゃったりして、言いたいことが言えない世の中だと思うんですよ。“僕を壊して”という歌詞がそういう十代ならではの心情にも当てはまっていて」

 

●3rdシングル『十代白書』の表題曲は、まさに3人とも十代の今だからこそ自分自身を重ねて歌える歌詞なのでは?

Hazuki:初めて聴いた時にすごく衝撃を受けた曲で、“えっ、自分のことを言われているの…!?”って思うくらいでした。学校生活を送っている同世代の子たちなら、誰もが感じていることだと思うんですよ。タイトルにも“十代”と入っているとおり、世の中の十代のみなさんに聴いて欲しいなって思います。

●どういうところに衝撃を受けたんですか?

Hazuki:私が一番衝撃を受けたのは“失うものなんてまだ何一つこの手にはないのに 守り始めている僕を壊して”という歌詞で、もう心臓をギュッと掴まれた感じがしたんです。学校でも自分の想いを出せずに我慢しちゃったり、殻にこもっちゃったりして、言いたいことが言えない世の中だと思うんですよ。“僕を壊して”という歌詞がそういう十代ならではの心情にも当てはまっていて、すごくカッコ良い表現だなと感じました。

●“失うものなんてまだ何一つこの手にはないのに”という部分は、FLOWLIGHTとしての心境にも重ねられるものかなと思ったんですが。

Hazuki:それはすごく感じました。1番の歌詞では“何一つこの手にはないのに”と言っているんですけど、最後の部分では“何一つこの手にはないから”に変わっているんですよ。そこにも気持ちの変化が表れているというか。この曲を歌っていくにつれて自分自身もどんどん強くなって、成長していく姿をライブでも見せられたら良いなと思っています。

Kotono:この曲の振り付けは、私が考えさせてもらったんです。アップテンポで楽しい曲調なので自分自身も楽しくなるし、そういう感覚を伝えられたら良いなと思って。あと、私も歌詞がすごく良いなと思っていて、特に“このため息を深呼吸にして”という部分が好きなんですよ。ため息をついちゃうこともよくあるけど、それを深呼吸に変えて“高鳴る場所へ飛び立とう”っていう感じで、すごく前向きになれる曲だなと思います。

●2人とも「十代白書」の歌詞を気に入っているわけですが、Nonokaさんはどうですか?

Nonoka:2人はこの曲がすごく好きだと言っているんですけど、私はこういう“青春”っぽい経験があまりなくて。“お揃いの笑顔”とか“タイムラインに知りたくもない情報だらけ”みたいな状況とはちょっと遠いというか、あまり派手じゃない学校生活だったんです。だからそういう具体的な情景描写を見て、最初は気持ちが入らないところがあったんですよね。

●最初はあまり共感できなかった。

Nonoka:でもレコーディングを終えてから、気持ちが変わって。レコーディングって何度もテイクを重ねたりするので、たくさん歌うじゃないですか。そこでやっと、歌詞を飲み込めたところがあったんです。それに加えてKotonoが振り付けしてくれたおかげで、自分の中でのこの曲に対するイメージも変わってきたというか。“決して学校での話だけじゃないんだ”ということに気付いてから、やっと好きになれましたね。

●実際に歌ったり踊ったりする中で、曲への理解が深まっていったんですね。

Nonoka:最初は“歌詞もサウンドも良いのになぜ私はあまり好きじゃないんだろう…?”と、自分でも不思議だったんですよ。でも何回も通して練習する中で息が上がった状況で、サビの“失うものなんてまだ何一つこの手にはないのに〜”という部分を歌っていた時にハッとさせられて。全然疲れていない状態でただ歌詞を眺めている時と、すごく疲れていながらも全力で歌っている時とでは、感じ方が全く違うんだなというのもわかったんです。そういう経験を通して、「十代白書」は色んな人に向けた曲なんだなと感じられました。

●何回も歌っていく中で、自分たちのものにしていくという部分もあるのでは?

Kotono:そうですね。何回も歌う中で“こういう解釈もあるんだ”と気付けたりもするから。“こういう感情で歌ったら気持ち良いな”と感じたりもして。何回も聴く度に、味が出るような曲ですね。

Nonoka:3rdシングルまでの話をしてきて思ったんですけど、FLOWLIGHTの曲ってみんながみんな同じお話を想像しなきゃいけないものではないんですよね。ちょっと話が逸れるんですけど、私が出ている番組で震災(※東日本大震災)の特集をやった回があって。その時に(震災をテーマにした)合唱曲に取り組んでいる福島県の女の子に密着したVTRを観させて頂いたんです。その女の子が“色んなエピソードがあって、震災への想いというのは人それぞれに違うわけだから、全員が気持ちを揃えなきゃいけないわけではない”という話をしていたんですよ。

●同じ物事に対して、みんなが無理に同じ気持ちになる必要はないと。

Nonoka:それはFLOWLIGHTの曲にも言えることなんじゃないかなと気付いて。だから“こういう歌なんですよ”というのを無理強いはしたくないし、かといって何も考えずに聴いて欲しくはないと思うようになりました。

●聴いた人がそれぞれの想いを抱いてくれれば良い?

Hazuki:そうですね。FLOWLIGHTの曲について、みんなで“この楽曲はこうだよね”みたいな話し合いをしたことは一度もないんですよ。歌い方やダンスの部分ではすごく試行錯誤しているんですけど、“この歌はこういう解釈だよね”という話し合いは全くしていなくて。だからそれぞれに解釈が違ったり、思い描いている場面が違ったりすることもあると思うんです。でも、それが自分の一番感じるものだから。

●本心で自分が感じたことというか。

Hazuki:無理にみんなで気持ちを揃えて(本当は)自分が思っていないことを歌っても、想いが出せないと思うんです。みんな違うことを思って歌っているかもしれないし、お互いにどう思っているかは知らないけど、だからこそ全ての曲で自分の想いが出せているんじゃないかなと思いますね。

Nonoka:“気持ちはそれぞれ違えど、終着点がこの歌詞”みたいな感じなんですよ。

Kotono:道は違っても、最後は一緒なんだろうなって思います。

●それぞれの想いを出しつつも、全て自分たちの曲として表現できている。

Hazuki:そういう意味でも、ライブ中は全員の個性が出せているんじゃないかなと思います。たとえば“この子はめちゃくちゃ笑顔で歌っているのに、なぜこの子は泣きそうな顔で歌っているんだろう?”みたいなこともあると思うんですよ。曲に対する捉え方や思い描いているものが違うからなんだろうけど、それがステージ上で1つになっているから。

●1曲の中でも、3人それぞれの表情が違ったりするのもFLOWLIGHTの魅力なんでしょうね。

Nonoka:アイドルシーンの中で“かわいくて、楽しくて、盛り上がれる”ということは大事だと思うんですけど、それだけじゃなくて。歌詞やステージに立っている人間の表情、あとはお客さんと一緒に楽しんでいる空気だったり、そういうものも感じ取って欲しいなと毎回思うんですよね。盛り上がってもらいつつ、歌詞の意味もちゃんと考えて欲しいから。でも強制はせずに、みんなが自然とそうなってくれるように自分たちから働きかけていけたら良いなって思います。

●なるほど。カップリングのM-2「Mr Darling」は、3作の中でも特に個性の強い曲かなと思いました。

Hazuki:そうですね。私はめちゃくちゃ好きです!

Kotono:感情に身を任せるような曲なんですけど、途中にセリフみたいな部分もあって。自分の中では“遊び曲”にしたくて、3人でワチャワチャしているようなステージを作りたいなと思って振り付けも考えています。

●3人でワチャワチャ(笑)。

Hazuki:早くこの曲で暴れたくて、しょうがないです(笑)。

Kotono:お客さんにも“オイオイオイ!”という掛け声で入ってきてもらって、一緒に盛り上がれる曲だと思うんですよ。これも新たな“盛り上がり曲”になるんじゃないかな。

Nonoka:イントロのベースがめちゃくちゃカッコ良いんですよ。私はこういう曲調がすごく好きなんです。AメロやBメロもブラックミュージックみたいな感じでみんなカッコ良く歌っていて、サビで思いっきり爽やかになるというか。爽やかな部分もありつつ、ちょっと荒っぽい感じで歌っていたりもして、そこのギャップが面白いなと思います。

●1曲の中でもギャップを感じられる曲だと。

Nonoka:カッコ良い曲調なんだけど歌詞はかわいくて、歌い方は勢いもありつつ爽やかで堂々としているっていう。曲の中でも、色んな表情が見える曲なんじゃないかなと思います。歌っていても楽しいし、聴いていても楽しいし、ライブでも音源でもどちらでもアガれる曲なんじゃないかなと思いますね。

Kotono:序盤は強めに歌う感じなんですけど、自分はそういう歌い方をするのが初めてだったのでめちゃくちゃ苦戦して…。やりすぎちゃって、ヤンキーみたいなドスの利いた歌い方になったりもしたんですよ(笑)。

●歌い方で苦戦した?

Nonoka:Kotonoの中で、“荒っぽさ”という部分が引っかかっていたんだと思います。気怠くて、ちょっとチャラチャラした感じの荒っぽさだと思うんですけど、それが新境地すぎて迷っていたんじゃないかな。

Kotono:そうなんですよ。見た目は荒っぽいと思われがちなんですけど、中身はそこまでじゃないから…。

一同:ハハハハハ(笑)。

●そこもギャップがあると(笑)。

Kotono:結構、怖がられたりするんです…。

Hazuki:見た目は一番ヤンキーっぽいんですけど、中身は全然違うんですよ(笑)。この歌詞の“恋している”感じに一番近いというか、Kotonoが実は一番“乙女”で“いい子”だから(歌い方に)苦戦したのかなって思います。“ごめんね 君が思ってるほどいい子じゃないけど”という部分をKotonoが頑張って荒っぽく歌っているのに、マネージャーからは“その歌い方、いい子な感じになってるよ”って言われたりもして。そういうギャップがめちゃくちゃかわいくて、キュンキュンしちゃいますね(笑)。

Nonoka:あえて狙ったのかっていうくらい、“無理している感”がかわいいですね(笑)。

●さて、ここまで3枚のシングルについて語ってもらいましたが、カップリングも含めて6曲ともすごくバラエティ豊かなものになりましたね。

Nonoka:カップリング曲が表題曲よりイマイチでもダメだけど、表題曲よりもすごいと“もったいない!”って思われるじゃないですか。そういうこともなく、どれも良いものになったなと思います。

Hazuki:6曲ともすごく良い楽曲を用意してもらったんですけど、私たちが楽曲に引っ張ってもらっていてはダメだと思うんですよ。ちゃんと曲を自分たちの中に落とし込んで、歌もダンスも盛り上げ方も自分たちのものにして、それをステージ上でいつどの瞬間でも出していけるように成長していきたいなと思っていて。まだライブでそんなにやっていない曲がほとんどなんですけど、3rdシングルのリリースイベントが終わる頃にはどれも“これがFLOWLIGHTの曲だ!”っていうのがお客さんにも伝わるくらいにまで仕上げたいですね。

Kotono:3枚とも良い曲づくしで、ボリューム感がすごくあって。“FLOWLIGHT”という名前の由来になっている石があるんですけど、色んな色があって熱を与えると発光するんです。この6曲でみんなと私たちの熱を共有し合う中で6色だけじゃなく、もっと色んな色にこれからも変化し続けられるグループになれたら良いなと思っています。

Interview:IMAI

 

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