音楽メディア・フリーマガジン

RUSH BALL☆R

2018/5/19@大阪城音楽堂
RUSH BALL★R

Creepy Nuts / DATS / The Floor
Saucy Dog / SPiCYSOL / teto / キツネツキ
パノラマパナマタウン / リーガルリリー

前日の雨が嘘の様に夏を感じさせる晴天。そんな空の下には本当に様々な人がこの日を待ちわびていた。特に目立ったのは家族で来ている人の多さだ。小さい子が楽しそうに待っている姿は、ここ大阪城音楽堂という場所もそうだが、何よりもイベントの雰囲気が多くの世代に受け入れられているという事だろう。そんなRUSH BALL☆Rを作っているグリーンズの井上とFM802DJの大抜卓人の軽快なトークからイベントはスタート。

 

SPiCYSOL

SPiCYSOLのムーディーでアダルトなメロディで本編は幕を開けた。Vo.KENNYの「立ちたい人は立っていいんだよ!」の1言で一斉に立ち上がる風景はすでにライブのクライマックスの様な盛り上がりだ。「大人しいかと思ったら流石ですね大阪は!」とVo.KENNYが言ってしまうのも無理はない。その盛り上がりの熱を丸く収めるように、「Coral」のしっとりとしたリズムに情景が浮かんでくるかのようなラブソングで空気を作った。その空気にジャストマッチした新曲「Good Day」は最早新曲ではなく“神曲”だった。まるでコンサート会場かのように、熱と静寂という矛盾する感情が織り混ざったライブだった。

 

 

DATS

軽快な民族調なリズムから始まったのはDATS。音が波の様に押しては引いていく感覚は新鮮な風を会場に運んでくる。自然と体もその波に巻き込まれて揺れていき、やがてその波は一体感として浸透していった。Vo.MONJOEが「本能のままに踊っちゃいなよ」っと、正当化された本能は誰にも止められる事なく続いていく。自然を思い描く様なスピリチュアルなライブは、気づいたら終わっている程に夢中にさせた。

 

 

The Floor

「始まってすぐだけど全力出そうせ!」といって真っ直ぐ手を上げたのはThe FloorのVo.ササキハヤト。スピード感のある曲に爽やかな歌声が青春を連想させた。懐かしいノスタルジィな感覚になり胸の奥が熱を帯びている。そこにダンサブルなナンバーを続けて「ちょっと涼しくなって来たからみんなもっと熱くなろうよ!」と追い打ちをかけ、観客はそっと上着を脱いで両手を上げた。「最後の1秒まで楽しんで行こうぜ!」と、その上げた手を降ろさせずに最後の曲「イージーエンターテイメント」まで一気に駆け抜けた。

 

 

Creepy Nuts

「今からマイクの調子とターンテーブルと、そしてお客さんの調子を見たいと思います!」とリハーサルからカマしてくれたのはCreepy Nuts。最高にハイなビートに本番前の会場はすでに出来上がっていた。SEが流れると先ほどと同様に観客は立ち上がり彼らを迎えた。言葉と音が目まぐるしく押し寄せてくる感覚は頭で理解するのではなく、身体で感じると言った方が伝わるだろうか…。取り憑かれた様に体を揺らし続ける観客は、まるでゾンビタウンの様に不思議な集団になっていた。聖徳太子スタイルという、お客さんからもらったお題での即興ラップを華麗にキメた時には感染者は大いに盛り上がった。

 

 

パノラマパナマタウン

パノラマパナマタウンは激しいギターリフから始まった。「見た事ない熱狂を作りに来ました!」っと大声で伝え、そしてマイクを通さずに「こんなもんじゃねえだろ!」っと叫んだ。まだ1曲目の途中の出来事で、開始1分で会場の豹変っぷりは圧巻の一言だ。少し日も落ちて肌寒くなっているはずなのにお客さんは汗だくで暴れる。Vo.岩渕想太が「俺たちの大事な曲です」と言って「ラプチャー」が始まるとお客さんからは拍手が起こり、しっかりと彼らの曲を受け止めた。たった30分のライブでもパノラマパナマタウンの想いはしっかりと伝わっただろう。

 

 

teto

心に直接響くかの様に直接的なワードと歌声を披露したのはteto。感情的なギターの音に混じる本音が、人間はもっとシンプルなんだと教えてくれた。観客はステージ前に押し寄せて暴れ、まだ小学生ぐらいの子どもまでも叫び踊らせていた。大阪城音楽堂を、オールスタンディングのライブハウスの様に変えた演奏の中で「誰が正しいとか間違ってるとか、そういうのはわからないけど。やりたい音楽やってます!」とVo.小池貞利は最後に語ってステージを去っていった。これがシンプルなロックン・ロールなのかも知れない。

 

 

キツネツキ

SEはなく「どもキツネツキです。よろしく」と自己紹介し、太いサウンドを鳴らしスタートした。ダークなギターに和太鼓の様に太いドラムが重なり、そこに歌とコーラスの絶妙な高音がついてくるという、不思議な音が会場を魅了していく。そしてMCも独特な空気で観客を楽しませた。狐憑きをコンセプトにした9mm Parabellum Bullet菅原卓郎と滝善充のこのユニットは、童謡のカバーをロック調で披露。童謡のはずなのに観客は頭を上下に激しく動かし、不思議な空間は完成した。ライブが終わると同時に現実に戻って来た様な感覚に落ちた。

 

 

リーガルリリー

日も落ちて薄暗くなった時間に優しいメロディを奏でたリーガルリリー。照明が目立つ時間帯という事もあり、幻想的な空間は音だけではなく視覚的にも繰り広げられている。Vo.たかはしほのかの壁をすり抜けて届く歌声がその空間に色をつけ、ファンタジーな世界を連想させる。特に「スターノイズ」の世界感とマッチして想像だけでなく、曲の世界が現実になったような錯覚に陥る。聴く人によって色が変わるかの様に観客はじっとステージだけを見つめていた。

 

 

Saucy Dog

「寒いですよね? 準備運動しましょう!」と優しさを見せてくれたSaucy Dogは最初からハイテンポな曲で観客を揺らす…と思ったらこれはリハーサルだった。観客からも「これリハなん? びっくりしたわ(笑)」などと声が漏れた。そしてしばらくたってSEが流れて本日ラストライブがスタートした。男女の綺麗なコーラスが疾走感のあるリズムに乗って広がっていき、どこにいてもきっと音の違いなどないのだろう。クライマックスにVo.石原慎也は「もしも俺たちの曲を聴いて、月曜日も頑張ろうって思ってくれるなら、あなたの大切な人に近づけたのかなって思います」そう語った。このライブを見た人にはきっと心に残った言葉だと思う。

完全に日が落ちた大阪城音楽堂には多くの笑顔と少し残った熱気があった。帰宅路をいく人たちの「初めて見たけどめっちゃよかったな」とか「だから来てよかったやろ?」などという会話が、印象的だった。来年も再来年も続けれる様に、多くの人に伝えて欲しいと心から思う。

TEXT:SHUNYA
photo by 田浦ボン/橋本塁(キツネツキ)

 


 

RUSH BALL 20thANNIVERSARY

8.25SAT・26SUN・9.1SAT
OSAKA IZUMI-OHTSU-PHOENIX

【LIVE ACT】
8.25SAT
BIGMAMA / go!go!vanillas / キュウソネコカミ / クリープハイプ / サカナクション / ドラマチックアラスカ / フレデリック /
フレンズ / ポルカドットスティングレイ / 夜の本気ダンス / OPENING ACT:ReN / [ATMC] DENIMS / MONO NO AWARE / PAELLAS / teto / サイダーガール / ドミコ /パノラマパナマタウン / ハンブレッダーズ / ユアネス / リーガルリリー

 

8.26SUN
BRAHMAN / Crossfaith / Dragon Ash / MONOEYES / POTSHOT / SiM /SUPER BEAVER / The BONEZ / THE ORAL CIGARETTES / TOTALFAT /OPENING ACT:Ivy to Fraudulent Game / [ATMC] a crowd of rebellion / Creepy Nuts / FINLANDS / FRONTIER BACKYARD / SUNNY CAR WASH / TENDOUJI / Wienners /The 3 minutes / ココロオークション / 忘れらんねえよ

 

9.1SUN
ACIDMAN / [ALEXANDROS] / EGO-WRAPPIN' / POLYSICS / THE BACK HORN /the band apart / 9mm Parabellum Bullet / きのこ帝国 / サンボマスター/ストレイテナー / OPENING ACT:Saucy Dog / [ATMC] cinema staff / CIVILIAN / Dizzy Sunfist / LITE / mol-74 / The Floor / THE PINBALLS / THE冠 / 神聖かまってちゃん / ミオヤマザキ

 

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