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ELIZABETH.EIGHT

不屈のライブバンドが描き出す漫画みたいな物語は続いていく

全ての作詞作曲を手がける絶対女王・ミワユータ(Vo.)と、切っても切れない絆で結ばれたメンバーによる6人組グラマラスガレージロックバンド・ELIZABETH.EIGHTがニューアルバム『リグランド』を完成させた。2010年に無謀と言われながらもSHIBUYA-AXでの自主企画を成功させた後、深見之春(G.)が急性骨髄性白血病、ミワが脳炎にかかり相次いで余命宣告を受けるという非常事態に…。そんな中でも残されたメンバーが活動を続け、2015年にはミワが奇跡の復帰を果たし、新メンバー・いたる(Key.)も加入して新たな一歩を踏み出した。幾多の困難にぶつかっては乗り越えてきたという、まるで漫画のような経歴を持つ通称“ベスハチ”に迫る1stインタビュー。

 

「“ロックバンドであり、かつ今までのELIZABETH.EIGHTを超えるゴージャスなアルバム”というテーマが自分の中ではありました」

●本日の取材は作詞・作曲担当のミワさんに加えて、こふじさんといたるさんという組み合わせですが、この2人がサウンド面でのキーマンになっているんでしょうか?

ミワ:そうですね。私は音楽については素人みたいなものなので、サウンド面はメンバーに任せている部分が大きくて。こふじには作曲を手伝ってもらうこともありますし、今作に関しては“いたる・プロデュース”くらいの気持ちもあったんですよ。

こふじ:今まではたとえばキッカケとなるようなギターのリフができたら、まずミワユータに聴いてもらって。そこで“良いね”となれば、みんなでそれに合わせて音を出していって、その中でミワユータがメロディをつけていくという流れで作ることが多かったんです。でも今回はいたるにサウンドのイメージを作ってもらって、キーボードで曲の形にまで導いてもらうような感じで作っていきました。

●いたるさんを制作の軸に置くということは、制作前から考えていた?

ミワ:自然にそうなりましたね。いたるは、そういう役割が向いているんだと思います。私や他のメンバーはライブ向きの人間なので、その場でドンッとやる中で形にしていくタイプなんです。でもいたるや今は(療養中で)いないG.深見(之春)は、ちゃんと作品全体のバランスとかを考えられるタイプなんですよ。だから彼が仕切ると上手くいくし、他のメンバーもいたるの意見を聞いて“なるほどね”という感じで納得しています。

●制作作業に関しては、いたるさんが得意?

いたる:確かに元々ライブよりも、曲を作ったりするほうが好きかもしれないです。あと、単純にキーボードは今までやってきた楽器ではないので、ライブでもまだ自分がどうしたら良いのかよくわかっていないんですよ。でも作曲は昔からやっていたことなので、そこに注力していくほうが自分には向いているのかなと思います

●いたるさんは元々、ベースボーカルだったんですよね。それがなぜキーボードを担当することになったんですか?

ミワ:最初は単純に“いたる”という人間が欲しくて、“ウチに来なさい”と誘って。でも既にベースもいるし、ギターも2人いるから、じゃあキーボードだなと思って、“鍵盤を弾いたことがある?”と訊いたんです。そこでもし“ないです”と言われたら諦めようと思っていたんですけど、“ちょっと習っていたことがあります”と言われたので“これは運命だ”ということでバンドに引き入れました。

●前からキーボードを入れたいとは思っていた?

こふじ:元々、ウチのメンバーはみんなTHE YELLOW MONKEYが好きなので、特にDr.(和泉)大佐は昔からキーボードをサウンドに取り入れたいと言っていたんです。いたるが入るとなった時も、大佐が一番喜んでいましたね。今までやれなかったことができるという期待感があったんだと思います。

●そういう意味でも、いたるさんが加わったことは大きかった。

ミワ:すごく大きいですね。極端なことを言えば、私の中では“いたるが入らなければもう終わっていたんじゃないかな”と思うくらいなんですよ。大きな病気をしたことで、幸福度のハードルが一気に下がってしまって。たとえば“生きていれば良いじゃない”とか“音楽をやれていれば良いじゃない”みたいな感じで、ハードルがどんどん下がっちゃうんですよね。

●あまり多くを求めないというか。

ミワ:でも新しい武器を持った人間が入ってきて、“こういうのもできるんじゃないか?”とか“今までやりたくても表現できなかったことが、この子の楽器があればできるんじゃないか?”と思い浮かぶようになって、欲がまた増えていったんです。“まあ、いいや〜”っていう感じでぼんやりと死んでいかなくて良かったなと、いたるが入ったことで実感しましたね。

こふじ:いたるは地元の香川からベース1本だけ持って上京してきたくらい行動力もあるし、音楽に対しても勉強家でストイックな部分があって。そういうところがそれまでのウチらには欠けている部分だったので、彼が新しいメンバーとして入ることでそこがプラスされるのはすごく良いんじゃないかという話もしていたんですよ。

●メンバーを加える度に、足りない部分や欲しい部分を埋めていっているのかなと。

ミワ:それも結果論ですよね。たぶん最初からそこまでは考えてはいなくて、“この人間が欲しい”ということだけなんです。もしその人の腕や足がなくなっちゃったとしても関係性が変わらないかと考えた時に、“楽器ができなくなっても良いや”と思える人だけを入れているんですよ。仮に楽器ができなくなったとしても、“じゃあ別のことをやらせよう”という感覚ですね。

●病気療養中の深見さんも“脱退”にしていないのは、そういう理由からですよね。

ミワ:たぶんウチのバンドに“脱退”はないですね。何か理由があってライブに参加できなかったり、楽器が弾けなくなっても除籍することはないと思います。よっぽど私のことが嫌いとかでなければ(笑)、自分からそう言うことはないです。

●ミワさんが病気で療養していた時期に、残された男性メンバー3人だけで活動を続けていたのもすごいなと思います。

こふじ:深見が病気で抜けた1年後にミワユータも同じようなことになって、“さすがにどうしようか?”とはなりましたけどね。一応、バンド内でミワユータがトップにはいるんですけど、他のメンバーと価値は変わらないというか。深見が休む時にはみんなで“やろうぜ!”と言ったのに、ミワユータが休んだら“やめます”となったら深見がかわいそうじゃないですか…。

ミワ:そんな理由だったの(笑)?

●ハハハ(笑)。

こふじ:そういう理由も1つあって。あと、深見が休む時にも話していたことなんですけど、自分たちがELIZABETH.EIGHTを休まずにやり続けることで、いつでも戻ってこれる場所になるじゃないですか。それはボーカルが抜けても同じだろうということで、3人でやると決めましたね。

●ミワさんは病気から復帰した後で、何か心境の変化はありましたか?

ミワ:病気をする前とは、またちょっと心境は違いますね。“売れるためなら何でもやってやる”みたいな迎合をするのではなく、もっと自分が気持ち良いなと感じることを素直にやるほうが良いと思うようになって。病気になる前よりも、もっと“ゆるやかな情熱”という感じになりました。

こふじ:そこが一番の変化だと思います。以前は曲や作品を作る上で、ミワユータの一言で物事が決まっていく感じだったんです。リフやフレーズに関してもこちらから色々と提示したものを、最終的に彼女がジャッジしていて。でも『ASK YOU!!』からいたるが曲作りにも参加するようになって、ちょっとずつサウンドがキーボード主体になっていくにつれて音楽のジャンルも変わってきたんですよ。そのあたりからミワユータも誰かに任せるという方向に、だんだんなっていきましたね。

●その流れを今作でも引き継いでいる?

こふじ:前作の『ASK YOU!!』と今回の『リグランド』でも、またちょっと違うんですよ。

いたる:『ASK YOU!!』ではキーボードが入ったことでやれることが増えたんですけど、その代わりにちょっと散らかっちゃったという印象があったんです。気に入ってはいたんですけどね。でも全体を通して聴いてみた時に“これはどういうバンドのどういう作品だ”というのが見えにくいなという心残りがあって。

●バラエティ豊かな反面、バンドの像がブレてしまっていた。

いたる:そこで今回は事前にどういうものにしたいか話し合って決めた上で曲をたくさん作って、そこから選んでいく方式にしたんです。できたものを詰め込んで1枚の作品にするのではなく、まず曲数を多めに作った中から雰囲気や色で分けていって。ある程度のグループができたら、そこを固めていくという感じでやれたのが今回の作品ですね。

●ある程度、統一感のあるものにしたわけですね。

いたる:もちろん聴いていて飽きないようなバラエティも出したいんですけど、1枚のアルバムを通して聴いた時に“こういうバンドなんだ”というものが伝わるようにしたかったんです。“ロックバンドであり、かつ今までのELIZABETH.EIGHTを超えるゴージャスなアルバム”というテーマが自分の中ではありました。

●そういうイメージで作った作品の中で、M-2「世界にひとりぼっちなら」をリード曲にした理由とは?

いたる:この曲はバカみたいにポップなメロディがサビになっているんですよね。1曲だけ飛び抜けてポップで聴きやすい曲を入れることの面白さもあるかなと思って。M-1「ブラックフロア」みたいなロックバンドとしてのカッコ良さを持った曲もあるんですけど、「世界にひとりぼっちなら」はそういうものを超えた“何か”があるというか。それもあって、今回のリード曲にしてみました。

●単にカッコ良さだけではない魅力を持っていたと。

こふじ:「世界にひとりぼっちなら」の大元になるものは結構前にできていたんですけど、アレンジが途中で進まなくなって。アレンジが“ダセェ”と感じていたので、一度寝かせることにしたんです。でも“良い曲だからいつかやりたいね”とは言っていたものが、今回の『リグランド』を作ろうとなった時に曲調やテーマ的に合うんじゃないかとなったんですよね。

●そこから今作にリアレンジして収録した?

こふじ:リアレンジしようとなった時に、今回はいたるが指揮を取ることになって。“こういう感じの音でやってみよう”とか“〜みたいな雰囲気を目指そう”というアイデアに基づいてやっていくと、すぐにできあがったんですよ。“アレンジの目線がちょっと違う角度になるだけで、こんなにすぐできるものなんだ”というのを実感した曲でもありますね。

●いたるさんが加わった効果を実感したわけですね。

こふじ:自分の中では特にそうですね。

ミワ:M-4「フォルティッシモ」も、そういう感じでした。やっぱり、今回の作品はいたるの入った効果が大きいんです。どの曲にもそういうところがあると思いますね。

●現体制での土台ができた作品という感じでしょうか?

ミワ:まさにそうですね。

こふじ:前作の時はまだフワフワしていたんですけど、この作品から作り方が変わったという感じがします。

●前作の時点ではまだ、いたるさんも入って1枚目だったわけですからね。

いたる:やっぱり入った当初は、どの曲も自分が制作から関わった曲ではないじゃないですか。その延長線上で前作はレコーディングしたので、“ELIZABETH.EIGHT+キーボード”みたいな感覚があったんです。でも今回は初めて自分の音ありきのELIZABETH.EIGHTになったというか。今までのカッコ良いところを残しつつ、これまではあえてしてこなかったことも加えた上で、雰囲気は崩さないようにというところにこだわって作りました。

●今までの“らしさ”も保ちつつ、新たな一面も見せられている。

ミワ:現状でベストな状態だなと感じています。

こふじ:たぶん次もその先もこういう感じで、『リグランド』を作ったやり方をベースにしてやっていくと思うんですよ。だから今作は、キッカケの1枚になったと思いますね。

●プロフィールにも“漫画みたいな経歴”と書かれていましたが、本当に紆余曲折を経て今に至っているというか。

こふじ:ホームページのプロフィールが、日本で一番長いバンドなんじゃないかっていう(笑)。章分けされていますからね。

ミワ:短くまとめて、あれなんですよ。もっと漫画みたいな出来事がいっぱいあって。

●あれもまだ一部に過ぎない…。

こふじ:あと、深見もまだ今後戻ってくる流れではあって。だから、もう一波乱は確実にあると思うんですよ。

●そういえばM-7「寝室より」には、深見さんが参加しているんですよね?

こふじ:『ASK YOU!!』の時にも「ヘブンズ・イン・ザ・バッグ」という曲で、深見に1本ギターを入れてもらっていて。今回の「寝室より」に関しては、ギターのパートを深見に全部任せてフルアレンジしてもらいました。3〜4本くらいギターを重ねているんですけど、彼が全部弾いています。

●今後また深見さんが戻ってきた時に、バンドにどんな変化が生まれるのかも楽しみですね。

ミワ:そうですね。とはいえ戻ってきてすぐにウチらと一緒に過酷なツアーをまわれるかというと難しいだろうし、そうなるにはまた何年かかかると思うんです。

こふじ:先ほども言ったように、どんな形でも良いと思っていて。別にギターが弾けなくても良いんですよ。深見は療養中に打ち込みの勉強もしていて、パソコンを使ったアレンジもできるようになっているらしいので、在宅のメンバーみたいな形でもアリだなと思っています。でもワンマンの時はいつかステージにも立ってもらって、一緒にできるようになれば良いですね。

Interview:IMAI

 

 
 
 
 

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