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カヨ

未知なる多彩な音との遭遇が心躍るパニックを引き起こす。

女性ボーカル・サアヤを擁する名古屋発5人組ロックバンド・カヨが、1stミニアルバム『PANIC COLLECTION』を完成させた。そのタイトルどおり、様々なジャンルをカヨ流にごちゃまぜにして料理した全6曲は、いずれもユニークな個性を光らせている。凶暴性、優しさ、可愛さを巧みにコントロールするサアヤの歌声に、キャラクターの異なるツインギターと骨太なリズム隊の織りなすサウンドが絶妙なバランスで融合。他に類を見ない独自性とキャッチーな中毒性を併せ持った言葉と音は、触れた者を一瞬でその世界観に引きずり込んでいく。

 

「みんなでアレンジすることで変わっていくのが本当に面白くて。どの曲でも、全部の楽器で変わっていくんですよ。そういうところがカヨをやっていて、一番面白い部分ですね」

●まるで人の名前のようなバンド名ですが、“カヨ”という名前のメンバーがいるわけではないという…。

サアヤ:そうなんですよ。横文字の長い名前だと覚えにくいので、短い名前が良いなと私は思っていて。何かニックネーム的な、そういう雰囲気の名前がかわいいなと思っていたんです。それで何となく、“カヨ”という名前に決めました。

イケヅ:僕が入った時には、もう既に“カヨ”でしたね。

●メンバーも色々と変遷を遂げている?

サアヤ:最初は私1人だったんです。元々やっていたバンドが上手くいかなくて“どうしようかな?”と思っている時に、たまたま街でワカに遭遇して。ワカは大学の軽音楽部の先輩だったんですけど、そこで“一緒にやりましょうよ”と声をかけて2人がまず集まりました。

●サアヤさんとワカさんの2人が出発点だったと。

サアヤ:そうですね。最初に私とワカがいて、その次がモリシタで…。他のメンバーは今に至るまで、コロコロ変わっているんです。

ワカ:最初からずっといるのは、その3人で。紆余曲折があって今の5人が揃ってからは、安定していますね。

●ヒロミさんとイケヅさんはどういう経緯で?

サアヤ:ヒロミは私の地元のライブハウスに出入りしていたので、知り合ったんです。イケヅはワカと私と同じ大学で、軽音楽部の後輩なんですよ。

イケヅ:僕は大学の頃からサアヤの歌が好きだったので、いつか一緒にバンドがやりたいなと思っていたんです。だから誘われた時は、即答でしたね。

●ドラムのワカさんが全て作曲しているところが、カヨの大きな特徴の1つかなと。

ワカ:最初はギターから音楽を始めたんですけど、昔から曲を作るのが好きで、ずっとバンドをやりたいと思っていたんです。でも大学に入った時にギターが上手い人は他にもたくさんいて、ドラムがたまたまいなかったんですよ。何よりもまずバンドがやりたい気持ちが強かったので、“じゃあドラムをやろう”というところから始まりました。

●そういう理由だったんですね。カヨにはギタリストが2人いるのに、どちらも曲を作っていないという…。

モリシタ:すいません…(笑)。

イケヅ:前のバンドでは曲を作っていたんですけど、カヨでやる感じではないなと思って。僕もワカの作る曲が好きだし、それがカヨの色にもなっているので、そこはお任せしようということになりました。

●どの曲にも共通しているのが、基本的にメロディはキャッチーなのに曲構成がどこかトリッキーなところかなと思いました。

イケヅ:そうなんですよね。シンプルなだけのものとは一線を画している曲が多いし、それがフックになってカヨの特徴にもなっているんだろうなと思っています。

●最初からトリッキーな展開を意識して作っているんでしょうか?

ワカ:キャッチーな部分は意識していますが、トリッキーなところは別に狙っていないですね。

イケヅ:ワカの元々持っているメロディセンスが好きだというのは、メンバー間で一致していて。とはいえ、みんなの好きなジャンルが一緒なわけじゃなくて、本当にバラバラなんですよ。最初にワカが持ってきたベーシックとなるものにボーカルも含めた全員で色付けをしていく中で、それぞれの個性が光るアレンジになっていくという感じですね。

●アレンジはメンバー全員でやっているんですね。

イケヅ:そこでカヨなりの面白い化学反応が生まれた結果、徐々に自分たちがやりたいことに近付いてきている感じはあって。今回も個々にやりたいことはやれているし、曲ごとにそれぞれのメンバーの色が出ていると思うんですよ。

●シンセや鍵盤といったメンバー以外の楽器の音も入っていますが、自分たちの出せる音だけには囚われていないのかなと。

ワカ:そういうところもあるかもしれないです。

イケヅ:確かに“囚われていない”というところは大きいですね。

●昨年11月にリリースした前作のデビューシングル『CHITOSE E.P』の頃からヴィジュアルイメージや曲調が大きく変化したのも、何かに囚われていないからこそでは?

サアヤ:今回の作品は“こういうところもあるんだよ”というものを見せる6曲になっているなと思っていて。だからアーティスト写真も思い切って、イメージを変えられたんです。

イケヅ:前作は“カヨ、始まりましたよ”というお知らせだったというか。今回は“さあ、ここから攻めて行くぞ!”という意志があるので、わりとどの曲も攻めているし、アー写もインパクトを出したいなと思っていたんです。だから、M-1「ときめきチェンソー」のMVもかなり攻めたつもりなんですよ。前回のMV「千歳ダンス」と見比べて“違うバンドじゃん”と言われるかもしれないけど、“僕らはこういうこともやれるんだぞ”というのを見せたかったところはありますね。

●“ここから攻めて行く”という意識がある。

サアヤ:結成からは時間が経っているんですけど、メンバーが固まってバンドがちゃんとやれるようになってからはまだ1年半くらいしか経っていないんです。だから、本当に“これから”という感じで。やりたいことがどんどん出てくるので、これからが楽しみですね。

●『PANIC COLLECTION』というタイトルも、ワクワク感を漂わせている言葉な気がして。

ワカ:ワクワク感に近い意味での“パニック”というところも確かにありますね。アルバム全体としてバラエティ豊かだし、タイトルはすんなりと決まりました。

サアヤ:私としては今回の6曲が出揃った時に“これだけやりたいことをやっちゃって、もうパニックのコレクションだな”というイメージが浮かんで。このタイトルが本当にピッタリだなと思っています。

●MV曲の「ときめきチェンソー」も独特なタイトルですが、妙にキャッチーというか。

サアヤ:とにかく誰かの耳に引っかかるようなタイトルを付けられたらなと思って。

●歌詞も曲調も含めて、カヨの不思議な世界観が出ている曲かなと。

ワカ:ちなみにこの曲のサビのメロディは、モリシタが持ってきたギターフレーズを元にしていて。元々は別のサビがあったんですけど、モリシタが持ってきたフレーズが良かったので、それをサビのメロディに持ってきたんですよ。ギターフレーズをサビのメロディに使うというのはカヨの中でも初めてのことだったし、歌詞やタイトルも含めて色んな挑戦をした曲だと思います。

モリシタ:この曲を最初に聴いた時、イントロでめちゃくちゃバカっぽいリフを付けようというアイデアが浮かんで。歌詞はまだなかったんですけど、ちょっとシュールなイメージがあったんです。

●原曲を聴いた時に、リフのイメージが浮かんだ。

モリシタ:それで実際に歌詞や曲名が付いて完成したものを聴いてみたら、そのイメージとも合っているなと思って。“「ときめきチェンソー」って…”とは思いましたけどね(笑)。その曲名もたぶん、僕のギターからイメージしたんじゃないかなと思います。

●この曲はモリシタさん発信なんですね。M-6「物の怪」はイントロのベースラインが強烈ですが、ヒロミさん発信でしょうか?

ヒロミ:そうですね。最初は自分がどういうアプローチをしていくかのイメージが湧かなかったんですよ。そういう時にサアヤがファーストインプレッションで出してきた仮の歌詞に、“物の怪”というイメージがあって。そこから浮かんだのが、このフレーズなんです。

イケヅ:女子2人による最初のキャッチボールの段階で上手くいったところから出てきたベースラインが、この曲のベーシックになっていて。この曲に関しては、ヒロミの個性から生まれた曲なんじゃないかな。1人1人の個性によって、今回は色んなバラエティに富んだ曲が生まれたんだと思います。

ワカ:僕の持っていった原曲が、みんなでアレンジすることで変わっていくのが本当に面白くて。どの曲でも、全部の楽器で変わっていくんですよ。そういうところがカヨをやっていて、一番面白い部分ですね。

●これからもどんどん変わっていくのでは?

イケヅ:実際、曲の作り方も変わってきていて。昔はもっと作りこまれた状態でデモが送られてきていたんです。

ワカ:それこそM-2「BLACK FRUIT PARADE」なんかは結成当初からある曲なので、当時はもっとガチガチに固めた状態でデモを持ってきていて。でもみんなが持ってくるものが面白いと気付いてからは、わりとシンプルな形で持って行くこと増えましたね。何となくの雰囲気だけは伝えて、そこからみんながどんなものを出してくるのか毎回楽しみにしています。

●「BLACK FRUIT PARADE」は、初期からある曲だったんですね。

イケヅ:ライブでも絶対やっているし、僕らが一番やりたいことを詰め込んでいる曲かもしれない。アレンジの時もこの曲が一番スムーズで、各メンバーのアイデアがポンポン出てきたんですよ。ライブでは1曲目にやることが多いんですけど、この曲でスイッチが入る感覚があって。僕らの中でも特に大事な曲ですね。

サアヤ:ずっと温めてきたものをようやく今回の作品で出せたという感じがします。

●“僕をパレードに連れてって”という歌詞もありますが、自分たちのライブにリスナーを引き込むようなイメージがある曲なのかなと。

サアヤ:ライブでも作品でも、“私たちのバンドの世界観に連れ込みたいな”という気持ちがあって。「BLACK FRUIT PARADE」は、特にその気持ちが強い曲ですね。冒頭から“頭の中のパイナップル缶を”というトリッキーな言葉から始まるし…。

●“黒いパイナップル”というイメージも、普通の人からは出てこない気が…。

サアヤ:宇宙のイメージとかけていて。ブラックホールという言葉も歌詞に入れたんですけど、“引きずり込みたいな”という気持ちが出ているんだと思います。

イケヅ:サアヤには黒く見えているんだと思います(笑)。メンバーから見ても、この人は何を考えているのか、本当によくわからないんですよ。そういうところが今回は前面に表れていて。

●サアヤさんの感性が前面に表れている。

イケヅ:普段の会話の時も擬音とかが多くて、ニュアンスで喋っていることが多いんですよ。感覚的に出ている言葉が多いんじゃないかなと思います。だから、こっちも感覚的に受け取っていますね。

サアヤ:ここは“バーン!”みたいな(笑)。そういうものもメンバーはすごく汲み取ってくれています。

●理論や理屈よりも感覚で呼応し合っているから、“何かっぽい”音楽になっていないのかなと思います。

イケヅ:“カヨってどういうバンドなんですか?”と訊かれた時が一番困るんですよ。一言では表せないバンドだし、それが特徴ではあるんですけど、上手く答えられなくて。

サアヤ:逆に“こういうジャンル”というものを、私たちが新たに作れたら良いなと思っていて。私たちだけの道を切り開いていきたいですね。

●現時点でもサウンドやヴィジュアル面も含めて、なかなか他にないものにはなっていますけどね。

イケヅ:音でも見た目でも、とにかくインパクトを残せるバンドになりたいなと思っていて。何も残らないよりは、良くも悪くも人目に触れて、見た人の記憶に残るほうが絶対に良いと思っているから。全てにおいてそうありたいんですけど、まずはライブを観て欲しいですね。今作の楽曲を聴いた上で、カヨがどういうライブをするのか観に来てもらえたら嬉しいです。

Interview:IMAI

 

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