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Total Feedback 2018

STUDIO CHAPTER H[aus] 20th & Total Feedback 10th anniversary SPECIAL TALK SESSION

東京・高円寺HIGHにて毎月最終日曜日に開催されているシューゲイザー特化イベント“Total Feedback”が10周年を迎え、そのパーティーコンパイルアルバム第2弾を10/10にリリースする。前作から10年の間に変化を遂げたシーンを映し出すように、世代や国境や形態も含めて幅をさらに広げ、充実の内容となった今作。その発売を記念して、今回のレコーディングにも関わった茨城県日立市のレコーディングスタジオ・STUDIO CHAPTER H[aus]のエンジニア樫村治延氏をゲストに迎え、コンピ参加者たちによる座談会を行った。disk unionの小野肇久氏を司会進行役に、シューゲイザー・シーンの過去・現在・未来に迫る。

対談参加者:
樫村治延(STUDIO CHAPTER H[aus])
ハタユウスケ(cruyff in the bedroom)
中村雄一(ZEPPET STORE / LUCY'S DRIVE)
・ちゃん(・・・・・・・・・)
みきれちゃん(・・・・・・・・・運営)
こばやしあゆみ(SPOOL)
進行・小野肇久(disk union)

 

「世界中のシーンとつながる“ハブ”みたいなものとして、東京に“Total Feedback”があるというのが一番、理想的な形なのかなと思いますね」

●まずは“Total Feedback”10周年、おめでとうございます。この10年間で何か変化は感じていますか?

ユウスケ:基本的なところは、何も変わっていない気がしますね。そういう中で“Total Feedback”として一番変わったところは、海外組が増えたところじゃないかなと。たとえばPia Fraus(※エストニアのシューゲイザー/ドリームポップ・バンド)が出演したり、昔は日本のバンドだけでやっていたところから、今は何ヶ月かに1回は海外のバンドも参加するようになって。認知度が広がってきたという点では嬉しいなと思っています。

●シューゲイザー・シーン全体としての変化は、いかがでしょう?

ユウスケ:10年間での流行りというのは、やっぱりありますよ。それこそ5年前くらいは“J-ROCKシューゲイザー”みたいなバンドがたくさんいましたけど、今はほぼいなくなって。あとはSPOOLのように、オルタナ寄りのバンドも増えましたね。10年前はもっとわかりやすいシューゲイザーをやっていて、ちょっとずつ違いがあるようなバンドが多かったんですが、今はもう少しオルタナに寄っている感じがします。

中村:良い意味で、今の若い人たちは洋楽もJ-ROCKも同じ目線で聴いているんですよね。特に僕らは海外への憧れが強かった世代なんですけど、そういう感覚がないのは逆に面白いなと思います。たとえば10代の子たちは主にYouTubeで音楽を聴いているので、それこそGUNS N' ROSESとリアルタイムのエド・シーランとかを全く同じ目線で捉えていたりするのも面白いなと。

●実際、若い世代のSPOOLとしては今どんな意識で活動されているんですか?

こばやし:私はシューゲイザーだけではなくて、90年代〜00年代初頭の音楽が好きなので、そこを再現したいというか。聴いている人がその当時を思い出すような、ちょっと懐かしい感覚を自分たちの音楽で表現できたら良いなと思っています。

●シューゲイザーにこだわっているわけではない。

こばやし:“そこだけ”という感じにはしたくないので、自分が好きな音楽を取り入れながらやっていますね。

●なるほど。この10年間でシューゲイザーという言葉自体は定着してきた感じはしていて。昔みたいに“えっ、何?”と聞き返されることもなくなったというか。

ユウスケ:ようやく共通言語になったということですよね。認められるまで時間がかかっているぶん、年齢層も幅広いんですよ。50代のバンドもいれば10代のバンドもいるというのはなかなか他にはないことなので、そこはすごいなと思います。10年経って、パンクやモッズ、ロカビリーなんかと同じようにいわゆるジャンルの1つにはなれたのかなと。

●色々ジャンルがある中の1つとして、フラットに捉えられるようになった。

中村:個人的にはシューゲイザーと言われるバンドたちが出てきた時代からリアルタイムで活動しているんです。最初はそういう音楽って新しいものだったし、自分の中で刺激的なものだったので、ある程度は意識していたんですよ。LUCY'S DRIVEは元々バンドとして91年から活動を始めたんですけど、今は僕のソロという形になっていて。ソロになってからは、シューゲイザーというものを全く意識していないんですよね。意識せずとも、自分の中に刻まれた音楽の1つになっているから。その感覚が今の子たちとも近いのかなっていう。ただ、僕の場合は2周くらいまわっているんですけどね(笑)。

●STUDIO CHAPTER H[aus]も今年20周年を迎えたわけですが、樫村さんはスタジオ経営者/エンジニアとして、ここ20年で何か変化を感じていますか?

樫村:20年前にウチのスタジオを立ち上げた時はちょうど“狭間(はざま)”で、シューゲイザーバンドが一番いない時期だったんですよね。でも10年後くらいにまたブームが来るだろうと思って、あえて“チャプターハウス”という名前にしたんです(※由来はイギリスのシューゲイザーバンド・Chapterhouse)。そしたら10年後にドンピシャでマイブラ(※My Bloody Valentine)が復活したということで、そこの読みは当たっていて。

●マイブラの復活は2008年でしたね。他にもRIDEやSlowdiveといったバンドの復活や来日があった時だけ、シューゲイザーが盛り上がるというか。逆に今のバンドで、そういう存在がいないんですよね。

樫村:レジェンドばかりになってしまっているから。たとえば20代のエース的なバンドが複数出てくれば、もう少し違ってくるのかなという気はしますね。欧米に比べて日本では、シューゲイザーのバンド数が絶対的に少ない気がしていて。たとえばロンドンなんかに行けば、日本で言うメロコアやパンクバンドの半分くらいの数はいるという感覚なんですよ。

ユウスケ:でも海外でも、売れているシューゲイザーのバンドはほとんどいないですけどね。

樫村:オルタナ寄りになったり、ダンスロックの方向に寄ったりして、形を変えてはいるじゃないですか。海外の人って、同じところにとどまっていない気がするんですよね。もっとシューゲイザーを幅広く捉えているというか。

中村:最近は、メタルとシューゲイザーを合わせたようなバンドもいますからね。

ユウスケ:まさに最近、ブラックメタルとシューゲイザーを合わせたようなバンドを観ました(笑)。

 

 

●色んな変化形が出てきている中で、・・・・・・・・・(以下ドッツ)はアイドルでありながら、どうしてシューゲイザーを取り入れようと思ったんでしょうか?

みきれちゃん:まず1つの理由として、シューゲイザーの持つ“儚さ”や“エモさ”といった要素が、女の子たちのステージ上でのパフォーマンスと間違いなくマッチするはずだという確信があって。もう1つの理由として、アイドルの音楽が多様化している中でも、(活動を始めた)2年前の時点でシューゲイザーをガッツリやっているグループはいなかったんですよね。その2つがあった上で、どちらかというと打算的な理由よりは、“良いパフォーマンスを生み出す土壌になるはずだ”という想いから取り入れました。

●パフォーマンスしている当事者としては、“シューゲイザー”というものをどう捉えている?

・ちゃん:元々は“シューゲイザー”という言葉も初めて聴いたくらい、メンバーは誰も知らなかったんです。最初は“あんまり明るくない音楽だな”と思っていたんですけど、ライブで実際に自分が歌ったり踊ったりする中で印象が変わっていって。シューゲイザーって基本的にウィスパーボイスでボソボソ歌う感じで、あまり大きな声では歌わないじゃないですか。

●確かにそうですね。

・ちゃん:でも私たちの場合はそこには囚われず、普通に歌っているんです。そういうパフォーマンスの中で、色んな方から“熱量が売りだね”と言われるようになって。それにオタクの皆さんも応えて、盛り上がってくれるんですよ。だから最初は“明るくないな”と思っていたシューゲイザーも、実は熱いものがあるジャンルなのかなと今は思うようになりましたね。

●実際にやってみて、シューゲイザーというものの印象が変わったと。

・ちゃん:そうですね。

ユウスケ:僕らからすると、ドッツがいて、ブラックメタルみたいなシューゲイザーバンドもいて、シーン全体がわけのわからないことになってきているのはすごく面白いなと感じているんですよね。そういう意味では今回の『Total Feedback 2018』も前作から10年経って、すごく変わったものができたなと思っています。前の正統派感とは全然違って、今のグチャグチャな感じが出ちゃっている気がして。

●確かに前作はベテランと若手という感じだったところから、今回はそこにアジア勢とアイドルも入っているという…。

みきれちゃん:元々、僕はシューゲイザーについて特別詳しかったわけではなくて、他のジャンルと同じようにフラットな目線で捉えた中で好きなものの1つだったんですよ。逆に言えば、僕みたいにフラットに聴く人間が入ってくるようになったから、今のシーンはグチャグチャになっているんだろうなと思って。イベントで対バンしたバンドの方々も、ドッツのことをすごく好意的に受け入れてくれるんですよね。それに僕はちょっと驚いているところはあります。

●意外とウェルカムだったと。

ユウスケ:僕自身も以前から若いバンドもいて、ガールズバンドもいて、ベテランもいる中で、絶対にアイドルが必要だろうと思っていたんですよね。そしたらドッツが出てきてくれたので、“やった!”と思いました(笑)。

みきれちゃん:だから今回のコンピについても、自分の感性的にはこの並びが全然不思議じゃない感じがしているんですよ。

ユウスケ:そうですよね。

●アジア勢を誘ったのは、どういう理由から?

ユウスケ:せっかくコンピを出すなら最近はアジアにもたくさん友だちがいるし、そのへんのバンドも混ぜたほうが絶対に面白いだろうなと思って。それでまずDoodleに相談してみたら、“あのバンドも参加したがっているよ”みたいな感じでどんどん広がっていったんです。

●今後もアジアとの連携を強めていくんでしょうか?

ユウスケ:でも元々、開拓したわけじゃなくて。自然発生的につながっていったわけなので、そういう感じでこれからも広がっていったら良いなと思っています。世界中のシーンとつながる“ハブ”みたいなものとして、東京に“Total Feedback”があるというのが一番、理想的な形なのかなと思いますね。

●SPOOLは今後、どういう活動を展開していきたいですか?

こばやし:シーン全体が多様化しているので、個々でやりたいことを確立していくというか。シューゲイザーやポストロックやオルタナとか色んな好きなものが混ざって化学反応を起こして、自分たちらしい音楽ができたら良いなと思っています。

●・ちゃんはどうでしょう?

・ちゃん:みきれちゃんがよく言っているんですけど、“ドッツが(観客にとって)今まで知らなかったものに出会う場所でありたい”という気持ちがあって。私たちをキッカケに、今まで知らなかった人たちにもシューゲイザーがもっと身近なものになったら良いなと思っています。

●もっと広がって欲しいという気持ちがある。

樫村:今、日本のリスナーって邦楽に偏っているじゃないですか。もっと幅広く洋楽も聴くような土台が整えば、そこから自然と色んな方向に目線も向かうんじゃないかなという気がしていて。そういう意味でも、もっと欧米との行き来が増えてくるのが理想的かなと思います。あと、バンドの絶対数が増えると良いですね。ウチのスタジオもシューゲイザー系のユーザーには、割引をしようかな(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

Interview:小野肇久(disk union)
Edit:IMAI

 

 

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