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plum

夢と現実の狭間を等身大で描き出す、メランコリック・ガールズバンド。

平均年齢19歳の3ピース・ガールズロックバンド、plumが初のシングル『夢のはなし』を12/5にリリースする。専門学校ESPエンタテインメント東京の同級生として出会った神奈川出身のG./Vo.未来(みく)と鹿児島出身のDr./Cho.おり、そして韓国ソウル出身のBa./Cho.ファヨンという3人で2017年6月に結成。都内を中心に精力的なライブ活動で練り上げてきたパワフルかつ繊細なサウンドに乗る、等身大の歌詞とメランコリックでキャッチーなメロディが魅力だ。大きな夢に向かって第一歩を踏み出した彼女たちのリアルな“今”に迫る、1stインタビュー。

 

「人数が少ないぶん、1人1人が“もっと頑張らなきゃ!”という感じになるじゃないですか。そういうチャレンジがしたいなと私は思っていたので、3ピースでやっていこうと思いました」

●ファヨンさんは韓国ソウル出身だそうですが、いつ日本に来たんですか?

ファヨン:2017年の3月です。でも日本語は高校生の時からずっと勉強していたので、今は普通に話せますね。

●元々、日本で音楽活動がしたいと思っていた?

ファヨン:はい、高校の時からずっと思っていました。バンドがやりたいと思っていたので、もっとロックの勉強がしたくて日本に留学してきたんです。

●日本のロックバンドが好きだったんでしょうか?

ファヨン:いや、普段は洋楽をよく聴くんですけど、日本のほうが(韓国よりも)バンドがメジャーな存在だと思うんですよ。そういうところに憧れて、日本にやって来ました。

●そこから専門学校ESPエンタテインメント東京に入学して、今のメンバーと出会ったわけですね。

未来:3人とも同級生なんですけど、コースがそれぞれ違っていて。私とファヨンは1年生の時に、週に一度だけ同じ授業に出ていたんですよ。そこで“バンドを組んでいないなら、一緒にやってみない?”という感じで、最初は軽いノリで誘ったんです。

ファヨン:未来とは授業が一緒だったから、どういう感じで歌うのかは知っていて。だから誘われた時もすぐ“バンドを一緒にやりたいな”とは思いました。

●おりさんはどういう経緯で?

未来:ドラムも女の子が良いなと思って、探していたんです。そういう中でファヨンの知り合いを通じて、おりを紹介してもらったという感じですね。

おり:私は同じ授業に出ていなかったから、2人のことは全然知らなくて。紹介されて3人でスタジオに入った時、初めて会ったくらいなんです。でも最初に音を合わせた時に、未来の声がすごく良いなと思ったんですよね。だから私もその場ですぐ“一緒にやりたいな”と思いました。

●ドラムも女子を探していたということは、最初から3ピースのガールズバンドを想定していた?

未来:私は元々、3ピースのバンドに憧れがあったんです。2人からも特にリードギターを入れたいとは言われなかったので、そのまま3人でやることになりましたね。

ファヨン:人数が少ないぶん、1人1人が“もっと頑張らなきゃ!”という感じになるじゃないですか。そういうチャレンジがしたいなと私は思っていたので、3ピースでやっていこうと思いました。

●最初からそれくらい本気でバンドがやりたいと思っていたんですね。

未来:この学校に入った時点で、本格的にバンド活動を在学中からしていきたいなと思っていたんです。だから、2人と一緒にバンドが組めて良かったですね。

おり:私も“音楽で食べていきたい”という気持ちがあって、鹿児島から上京してきたから。入学当初はメンバーが見つからなくて、バンドが組めていなかったんですよ。なかなか上手くいっていなかった時期に声をかけてもらったので、本当に即答だったんです。そこからもう1年以上続いているので、2人と出会えて良かったなと思います。

●バンドとしてやりたい音楽のイメージも明確にあったんでしょうか?

おり:3人とも好きな音楽もバラバラなので、“こういうバンドみたいになりたい”という共通のイメージはあまりなくて…。

未来:音楽的には歌もので、邦ロック的なイメージだけですね。

ファヨン:ポップス寄りな曲もありつつ、ロックな曲もあって、色んなタイプの曲をやっています。

●ファヨンさんは洋楽を聴いてきたということですが、それぞれのルーツとは?

ファヨン:私はニルヴァーナやレディオヘッドとかが好きで聴いてきました。ベースラインに関しては、そういうバンドから影響を受けている部分もあると思います。

未来:私はずっとガールズバンドが好きで、高校生の時に一番好きだったのはSCANDALでした。そこからSHISHAMOやyonige、チャットモンチーといったガールズバンドにひたすら影響を受けてきて。最近はファヨンの影響で洋楽も聴くようになったんですけど、やっぱりパラモアとか女性ボーカルのバンドが好きですね。

おり:私は元々Base Ball Bearがすごく好きで、バンドがやりたいなと思ったんです。でも普段は邦ロックやJ-POPを中心に色々聴くので、特に“これが好き!”というものはないかもしれないですね。

●最初に3人でスタジオに入った時は、誰かのコピーから始めたんでしょうか?

未来:とりあえず3ピースのガールズバンドということで、最初はSHISHAMOやyonigeの曲をコピーしていました。そういう中で“良い感じだね”となって、徐々にオリジナル曲を制作したりライブもするようになっていきましたね。

●作詞・作曲は未来さんが担当しているんですよね。

未来:とりあえず最初は私が作詞・作曲したものを弾き語りの形で持っていって、3人で一緒にスタジオで作っていくという流れでやっていて。初めての曲をそういう形でやってみた時に“イケるな”と思ったので、ずっとそうしています。

●“イケるな”と感じたのは、どういうところから?

未来:私が持っていった曲に対して、2人がドラムパターンとベースラインを付けてくれたんですよ。“こんなに簡単に曲って作れるんだな”とわかったので、“これならイケるな”と思いました。

●そこから未来さんが原曲を作ってくるという流れができたと。

未来:初期はファヨンが何曲か作ってきたこともあったんですけど、最近はほとんど私が書いていますね。

●ファヨンさんが書いてきた曲は、ちょっとタイプが違ったりした?

ファヨン:だいぶ違いましたね。

未来:英詞だったし、曲調もかなりロック寄りな感じだったんです。

おり:メロディも洋楽っぽい感じでした。

●なるほど。

ファヨン:あと、未来のほうが曲を書くペースが速くて。“バンドの方向性を決めたいな”という話もしていたので、未来が書いたほうが良いかなと思ったんです。

●未来さんは曲を書くペースが速いんですね。

未来:今の時点で、plumの持ち曲が10数曲くらいあって。毎日書いているわけではないんですけど、突然思い立ったら書き始めて、その日のうちに1曲はできるという感じですね。1ヶ月おきくらいにスタジオに持っていって3人で新曲を作っているので、周りのバンドからも“曲ができるのが速いよね”と言われることはあります。

●曲ができる時は、頭の中にインスピレーションが湧く感じでしょうか?

未来:私は歌詞から先に書くんですけど、日頃から思い付いた言葉を携帯電話のメモに書き貯めているんです。その中から“これを曲にしたいな”と思った歌詞を選んで、自宅でメロディを口ずさみながら譜面に書いていく感じですね。

●今回のM-1「夢のはなし」も何かインスピレーションがあって作ったんですか?

未来:3日間くらい連続で、同じ人が夢に出てきたことがあって。それがその時ちょうど私がちょっと意識していた人だったんですよ。しかも起きた後は、ちょっと嫌な気分になって…。その時の気持ちをとりあえずメモしておいて、後から歌にしました。

●嫌な気分になった理由とは?

未来:“なぜこんなに毎日、夢に出てくるんだろう?”と思って。

●それは…その人のことが好きだからでしょうね(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

未来:そうなのかな…。いや、でもその頃はもう忘れかけているくらいの時期だったんですよ。そんな時に“今さら夢に出てくるんだな”と思って。

●そういうモヤモヤした気持ちを歌詞にしたと。歌詞は実体験を取り入れることも多いんでしょうか?

未来:私の場合は歌詞の一部だけ、自分の感じたことや実話を元にしている場合が多くて。「夢のはなし」は全編でその時に見た夢について歌っているんですけど、そういうタイプの曲は他にあまりないかもしれないですね。

●ちょっと珍しいタイプの曲なんですね。メンバーはこの曲を初めて聴いた時にどう思いましたか?

ファヨン:最初に弾き語りで聴かせてもらった時は、サビがキャッチーで良い感じの曲だなと思って。もうちょっと曲に変化を付けたいなと思ったので、“Aメロはこういう感じにしたらどうだろう?”ということを話し合ったりしましたね。

●ドラムもすぐ浮かんだ?

おり:すぐ浮かびました。ドラムに関しては未来から“こういうパターンで”と指示されることが結構あって。そこから自分なりにアレンジしていく感じですね。基本的には、未来がイメージしたところから広げていく感じで作っています。

未来:私としては、ストレートなロック調にしたかったんです。歌詞を自分で読み返した時に、“スローテンポの曲ではないな”と思っていたから。

●「夢のはなし」は今回のシングルの表題曲にもなっているわけですが、現時点での代表曲的な存在なんでしょうか?

未来:そうですね。最近はライブでも1曲目にやることが多いです。

おり:plumの“顔”みたいな曲だと思います。

●だから、この曲を選んだと。M-2「ミッドナイト」のほうは、どういう基準で?

未来:「ミッドナイト」のほうが、「夢のはなし」よりも前にできていて。私自身も好きな曲だったので“カップリングに入れるならこの曲かな”って、すぐに浮かびましたね。

●「夢のはなし」も「ミッドナイト」も、“夜”を想起させる曲名ですよね。夜に曲や歌詞を考えることが多いんでしょうか?

未来:確かに多いですね。曲を作るのは、ほとんど深夜だと思います。夜中の2時とか3時くらいに、夜な夜な作っていることが多いです。考えごとをするのも夜が多いのかもしれない。

●「ミッドナイト」の歌詞は、どういうイメージで書いたんですか?

未来:「ミッドナイト」は、夜に“眠れないな…”と思ったところから始まっていて。それがサビの部分になっているんですけど、序盤には恋愛的な感情も入っていますね。

●サビにも“少しの期待はもたせてよ 君の笑顔にすがっていたい”という歌詞がありますが、これは恋愛のことではない?

未来:そこは…自分としては恋愛対象として見ていなかった人について言っているのかな。恋愛対象として見ていなかったくせに、それでもその人の笑顔にすがっちゃう自分もいたなと思って…、ズルいですよね…(笑)。

●ズルい女だったんですね(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

未来:今、自分で歌詞を読んでいて“私、ズルいな…”って思いました(笑)。

●そういう女の子らしさもありつつ、サウンド的にはパワフルなのが特徴ですよね。

未来:3ピースでロックなサウンドをやりたいという気持ちが全員にあるから、音圧が薄くなっちゃうのはイヤなんです。ガールズバンドだということもあって、そこは特に気を付けている部分ですね。

おり:私は“女子ドラマー”と言われるのがあまり好きじゃなくて。“女の子にしては上手いね”とか言われるのがすごく嫌なので、“脱・女子ドラマー”を目指してやっているんです。Base Ball BearのDr.堀之内(大介)さんみたいな、男っぽいドラマーになりたいなと思っています。

●バンドとしての目標は、どういうところに置いているんでしょうか?

未来:バンドとしては知名度を上げて、大きくなりたいという目標がまずあって。ファヨンが韓国出身というのもあって、アジアツアーをできるくらいになりたいですね。日頃から“いつか韓国でライブがやりたいね”という話もしているので、それくらい大きなことができるようなバンドになりたいです。

ファヨン:韓国でライブがしたいですね。そういうこともできるくらい、“plumの音楽を聴いてくれる人がもっと増えたら良いな”と思っています。

おり:私も地元の鹿児島で、いつかライブがしたいと思っていて。バンドとしてもっと大きくなって、胸を張って帰れたら良いなと思います。

●夢への第一歩にもなる作品ができたのでは?

未来:本当に自信のある作品だし、胸を張って“たくさんの人に聴いて欲しい”と言えるものになりましたね。初めてplumを聴くという人にもオススメできる2曲なので、本当にたくさんの人に手に取ってもらって、何回も聴いて頂けたら嬉しいです。

●12/11にはワンマンライブも控えていますが、意気込みはいかがですか?

未来:ワンマンライブは初めての経験なので、今からプレッシャーを感じていて…。でも“plumってカッコ良いな”と思わせる自信は絶対にあるので、たくさんの人に来て頂きたいですね。

ファヨン:普通のイベントライブだと、持ち時間が25分〜30分くらいじゃないですか。でも私たちは持ち曲が10曲以上あるし、全部良い曲だと思っていて。それを他の人に伝えるためにも“頑張らなきゃ!”と思っています。

おり:会場のキャパも大きいので今から緊張しているんですけど、そういう場所でやらせて頂く機会はなかなかないことだから。色んな人の力を借りてワンマンが実現できることに感謝も込めて、全力でplumのパフォーマンスを見せたいと思います。

Interview:IMAI

 

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