音楽メディア・フリーマガジン

25市(ニーゴーイチ)

下北沢ライブハウスシーンにまた新たな光が射し込んだ。

CLUB251 25th ANV. EVENT
“25市(ニーゴーイチ)〜25日の革命〜”
2018/10/25@下北沢CLUB251
Act:Turns blue / 93° / arca / ReFrain ReFrain / メガホンズ / P.G Good Taste

 

今秋で25周年を迎える下北沢CLUB251のアニバーサリーイベントの一貫として毎月25日に開催の“25市(ニーゴーイチ)〜25日の革命〜”、その第5弾にして最終回が10/25に開催された。

 

 

トップバッターを務めたのは、ボーカルギターとドラムによる2ピース編成のP.G Good Taste。2人が奏でる楽器の音だけではなく、シンセなどの同期も使用したエレクトロ〜HIP HOP的なアプローチが特徴的だ。裏打ちをベーシックとした楽曲にリリックのリズムの当て方が独特で、遊び心を感じられる。「銀座で寿司」といった曲名にも現れているが、一発で覚えられるフレーズの繰り返しがキャッチーで中毒的な魅力があった。

 

 

“おはようございます、下北沢”と丁寧な挨拶から始まったのは、福井出身のロックンロールバンド、メガホンズだ。前向きに進んでいく姿を等身大で描いた1曲目の「風」に共感して聴き入っていると、2曲目からは急に熱い曲の連発で圧倒されそうになる。熱いというか、むしろ“暑い”…。暑苦しく、男臭い歌が説得力を持って鳴り響く。凄まじいばかりの想いと感情が込められた「あなた」から、ラストは「ロックンロールバンド」で真骨頂を見せつけた。

 

 

3番手に登場したのは、これまでに何度かCLUB251でもライブを観ているReFrain ReFrain。オープニングのセッションで幻想的な雰囲気を創り出し、オーディエンスを彼らの世界へと一気に引き込んでいく。現体制になってから観るのは初めてだったが、バンドメンバーの丁寧な演奏がVo./G.中村禎の歌の魅力を引き立てている。妖艶さと爽やかさが絶妙なバランスで同居するパフォーマンスは、まさに観る者を“虜にする”という表現が相応しい。

 

 

“これぞ下北系インディーズ!”と久々に思わせてくれたのは、神奈川発オルタナティブロックバンド、arcaだった。下北沢に脈々と続くギターロックの系譜を、王道的な解釈で昇華した楽曲がとても良い。コーラスのしっかりした曲が多く、広がりも感じられる。“僕らは英語で歌っているけれど、聴いている人の背中を押すことはできる”というMCのとおり、言葉数は決して多くないけれどもちゃんと芯の通ったロックバンドなのだと感じられた。

 

 

93°(キュウジュウサンド)もオルタナティブ系の要素を含んだ、ギターロックバンドだ。UKのバンドからの影響を感じさせる音楽性に、わかりやすさも併せ持った楽曲が素晴らしい。リスナーと目線を合わせて歌うVo./G.カナイの姿勢と存在感に、とても惹きつけられる。これまでに何度か観てきたが、ミドルテンポの新曲を交えて新たな側面も感じさせるステージングは、今後さらに大きな舞台へと繋がりそうな予感を抱かせるものだ。

 

 

トリを飾ったのは、普遍的なメロディと希望に溢れた蒼いサウンドを奏でる3人組バンド、Turns blue。個人的にはもう3年ほどの付き合いになるのだが、観る度にどんどんライブが良くなっている印象だ。最近のライブでは“希望”をテーマに掲げており、真摯に音楽と観客に向き合う姿勢からはその強い意志が伝わってくる。攻めまくりで見どころ満載のステージはまさしく“希望”の光を放つようで、この日に出演した他の5組も含めて未来への期待が大いに高まった。

 

Text:有馬ゴウジュン
Photo:マサ(Twitter,Instagram/@masalivephoto)

 

 

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