音楽メディア・フリーマガジン

ザ・スパイシー

“We Are THE SPICY!”を体現した新たな始まりの夜。

“We Are THE SPICY!”
10/29(月) 渋谷CLUB QUATTRO
スペシャルゲスト:パーマ大佐

 

5人組エンターテイメント・ロックバンド、ザ・スパイシーが10/29に今年2度目の渋谷CLUB QUATTROのステージに立った。4月に純烈をスペシャルゲストに迎えて企画ライブ“飛びだせ、スパイシー!!”を成功させた彼らだが、6月には元々の“スパイシーコウヤドウフ”から現在の名前に改名を経て、今回のライブに挑む。イベントタイトルの“We Are THE SPICY!”からも、その心機一転の想いが伝わってくるようだ。

何よりも今回のライブで興味を惹かれるのは、スペシャルゲストのパーマ大佐とどんな絡みを見せるのかというところだろう。どう来るかと思っていたら、まずはステージにパーマ大佐が登場して軽妙なトークで盛り上げる。オーディエンスと共に拍手の練習から“We Are THE SPICY!”コールでメンバーを、十分に温まった会場へと呼び込んだ。その熱気をさらにバーストさせるように「ババババーン」から、ド派手に幕を切って落としたザ・スパイシー。

 

 

ワイルドでロッキンなバンドサウンドに乗り、スパイシーナカーノ(Vo.)の古き良きアニソンのような明朗で男らしい歌声が会場中に響き渡る。歌だけでなく、全身を使ったアクションと全体を見渡す眼力で、フロアのヴォルテージをガンガン高めていくナカーノ。続く「くるまパラシュート」ではマラカスを振りながらゴキゲンにパフォーマンスしたかと思えば、「フィール・ザ・違和感」ではアコギに持ち替えて哀愁漂う歌謡メロディを聴く者の心に沁み入らせる。

スパイシーコウバヤシ(Key.)のプレイも効果的だ。曲ごとにギター、キーボード、パーカッションなどを使い分け、ザ・スパイシーのバラエティ豊かな楽曲をそれぞれに合った音色で彩っていく。スパイシータケウチ(G.)、スパイシーマツモト(Ba.)、スパイシーゴンゾ(Dr.)の楽器隊と一体となり、洋楽のロックやファンクから歌謡曲〜J-POPまでを独自消化したザ・スパイシーのサウンドにさらなる進化をもたらしたと言えるだろう。

 

 

「JIGA」で前半戦が終わりメンバーがいったん退場すると、パーマ大佐が再びステージに登場。歌詞はそのままでカッコ良くなった「ドラえもんの歌」、残酷じゃなくなった「残酷な天使のテーゼ」、バラードにした「アンパンマンのマーチ」と得意の歌ネタを連続で披露し、会場を笑いで包み込む。おかずに不満のある園児の気持ちを代弁した「おべんとうばこのうた」を熱唱した後は、「森のくまさん」をザ・スパイシーと共にドラマチックかつ壮大なフルバンド・バージョンで聴かせた。

スペシャルゲストとのコラボによりピースフルでハッピーな空気が広がる中、後半戦は「ピエロ・ランデヴー TOKYO」でスタート。その後もミドルチューンやバラードを交え、緩急を効かせたセットリストで魅了していく。客席からの手拍子と“Let’s Go SPICY!”コールが自然発生した終盤で、ラストに演奏されたのは「Y・O・Y」。名曲「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」のごとく、観客も全身で「Y」「O」「Y」を表現する。途中からウクレレを持ったパーマ大佐も加わり、会場全体に一体感を生み出して本編を終えた。

 

 

鳴り止まない“Let’s Go SPICY!”の声援に応えて、アンコールに登場した5人。バラードナンバー「菜ノ花畑」でスケール感を見せつけた後は、この日2度目の「ババババーン」を初回以上の勢いと熱量で放つ。最後はパーマ大佐も呼び込んで全員でフィナーレを迎え、イベントタイトルの“We Are THE SPICY!”を体現。音楽とお笑いの垣根を超えた化学反応の可能性を示した彼らは、ここからまたワクワクする未来を作り上げていくことだろう。

Text:IMAI
Photo:Hosaku Karouji

 

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