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ナノ

終わらないアゴニーを乗り越え、明日へ生命をつないでいく。

ナノにとって2019年第1弾作品となる、ニューシングル『KEMURIKUSA』が2/6にリリース。前作のシングル『Starlight, Star bright』発売から約3ヶ月という短いスパンで放たれる今作の表題曲は、たつき監督(『けものフレンズ』ほか)の最新作ということで話題を集めるTVアニメ『ケムリクサ』のオープニングテーマとなっている。アニメの世界観とリンクしつつ、ナノの持ち味を発揮した勢い溢れる楽曲はライブでの盛り上がりを大いに予感させるものだ。3/16には次なるワンマンライブも控える中で、猛スピードで進化を遂げていく姿から片時も目が離せない。

 

「暗い部分もあるからこそ、外に向けてはポジティブさや楽しいことを求めるんですよね。人と関わる部分ではすごく前向きでいたいなって思うし、苦悩に対しても“自分1人で何とか乗り越えてやるぞ!”と言えるくらいの根性はあるから」

●2018年を振り返って特に嬉しかったこととして母国アメリカでのライブと並んで、12/22のワンマンライブ(@AiiA 2.5 Theater Tokyo)で弾き語りされたことをTwitterで挙げられていましたよね。ナノさんの中では、それほど大きなことだったんでしょうか?

ナノ:自分の中で、ずっとやりたいことだったから。元々、趣味で作詞・作曲していた頃から、いつか弾き語りでライブがやりたいなと思っていて。ただ、デビュー以降の方向性としてマイク1本で歌うことにまず集中しようと思っていたので、これまではギターを自分で弾いてこなかったんです。

●それがこのタイミングで実現した理由とは?

ナノ:最近は色々と新しいことに挑戦してみたくて。デビューからずっとついてきてくれているファンの人たちに向けて、ナノから何か新しい表現や刺激を届けたいなと思ったんです。それで本番ではちょっと緊張する場面もありましたけど、“こういうこともこれからやっていきたいんだよ”という意思表示としてやってみました。

●やはり緊張はしたんですね。

ナノ:より生々しい自分を見せられるチャンスではあるんですけど、そういう意味でも緊張はしましたね。今までやったことがないものをどういう形で、クオリティを下げることなく届けられるかというところでも大きなチャレンジでした。でも冬という季節もあって、お客さんもクリスマス・コンサートを観に来たような温かい気分で、ちょっと大目に見てくれるんじゃないかなと思っていたんですよ(笑)。そんな気持ちもあったので、自分にとってはすごく良い初舞台になったなと思います。

●今後も弾き語りはやりたいと思っている?

ナノ:やりたいです! これはもう断言します。今後は自分がもっと先頭に立って、バンドやライブ自体を引っ張っていける存在になりたいんです。そうなるためにも、色んなことに挑戦していくことが重要だと思っていて。恐れることなく、新しい自分を見つけていきたいですね。

●2019年第1弾リリースとなる今回のニューシングル『KEMURIKUSA』も、新たな側面を見せる作品かなと思います。表題曲の制作にあたっては、TVアニメ『ケムリクサ』のたつき監督と打ち合わせをされたそうですが。

ナノ:作品の監督さんと会ってから曲を作るということは、今まであまりなくて。たつき監督はこの作品にすごくこだわりを持たれているので、ナノが書く歌詞の世界観についても(制作作業を)始める前にちゃんと共有しておきたかったんだと思います。まだメロディも何もない段階でクリエイターさんとナノと一緒に打ち合わせして、“どういう曲が良いか”、“歌詞はどういう世界観が良いか”というアイデアを色々と出していきましたね。でも打ち合わせの時点では、明確な答えが監督から出ていたわけではないんですよ。

●あ、そうなんですね。

ナノ:(アニメ)作品自体もまだ制作途中だったので、こちらにも色々と相談してくれて。でもキーワードやアイデアとしては、“こういう方向性です”というものはしっかり持っていましたね。

●その方向性とは?

ナノ:打ち合わせの段階で、世界観がかなりできあがっていたんです。ネット上にも20分くらいの(自主制作の)アニメーションが上がっていたので、それを見させて頂いて。打ち合わせでは、監督から“廃墟”のイメージと言われたんですよ。

●廃墟のイメージから歌詞を書いていった?

ナノ:自分の中で“廃墟”のイメージはモノトーンで、とにかく活き活きしていない感じだったんです。でも活き活きしているものが何もないからこそ、逆に“生命”というものがより際立つんじゃないかと感じたので、それをどうにか歌詞にしたいなと思いました。結局、たつき監督が言いたかったのは、“生命の大切さ”なんじゃないかと思ったんですよね。

●そこが今作のテーマだと、ナノさんは読み取ったと。

ナノ:監督は“廃墟”や“グレー”という言葉を強調していたんですけど、作詞家としてのナノの解釈では“生命”だと思ったんです。『ケムリクサ』という作品自体も、“生きるために戦っている”ものなんじゃないかなと自分は解釈して。だからM-1「KEMURIKUSA」は、そういう歌詞になりました。

●今回の歌詞では、“アゴニー(=苦しみ)”という言葉が特に印象的だったのですが。

ナノ:自分は作詞をする時に何か1つ重要なキーワードが降りてくる場合が多いんですけど、今回はその“アゴニー”という言葉だったんです。普通の人があまり使わない言葉や、歌詞ではあまり聞かないような言葉をあえて入れたい気持ちがあって。そうすることで、その言葉がグッと人の心に残ると思うんですよ。

●実際、すごく印象に残りました。

ナノ:タイトルは「KEMURIKUSA」ですけど、自分の中では“これはアゴニーの曲だな”と思っていて。MVを視聴してくれた人たちからも“アゴニーが一番印象に残った”と言ってもらえているので、みんなにちゃんと伝わったんだなという嬉しさがあります。

●agonyは“苦しみ”という意味の英単語だそうですが、painやsufferとはニュアンスが違う?

ナノ:painは“痛み”で、sufferは“苦しみ”という意味なんですけど、agonyは“苦悩”なんですよね。もがくほどの苦悩というか。肉体的な“痛み”ではなくて、メンタル的なものなんです。

●精神的な苦悩を表している。

ナノ:究極の“生と死の狭間”とは、“苦悩”なんじゃないかなと思っていて。人それぞれの苦悩というものは結局、自分にしか解決できないじゃないですか。人に助けてもらえないことって、一番苦しいと思うんです。自分にしか答えが見出だせないことというのは、本当に“苦悩”だったりするから。そういう苦しさは、人間が生きている限りあるんじゃないかなと思います。

●ナノさん自身も、そういった苦悩を経験してきた?

ナノ:色々ありましたね…。未だにありますけど、自分は必ずと言って良いほど何かしらの脱出方法というか、それを乗り越える方法を見つけてこられたから今も生きていると思うんです。そこを抜け出すことが一番重要で、それはどんな人間でも可能だと思うんですよ。途中までは“無理!”って感じるかもしれないけど、振り返ってみたら“結局乗り越えられたな”と思えることってたくさんあると思うから。

●そういうナノさんの人生観と、歌詞の世界観が上手く重なったところもあるのでは?

ナノ:そうですね。メンタル面での“自分との戦い”を自分はよく歌詞にするんですけど、この「KEMURIKUSA」に関してはその“究極形”というか。一番強い想いが、ここに入っているのかもしれないです。

●“Finding my life in the KEMURIKUSA”という歌詞には、どんな想いを込めているんでしょうか?

ナノ:“ケムリクサ”というものはアニメの中で、生命をつなぎとめる重要なものだと聞いていて。その“ケムリクサ”自体というよりは、“生命をつなげるツール”のことを歌っているんですよ。だから、そこは“生命をつなげるものが見つかった”という表現になっているんです。たとえば“音楽”や“家族”だったり、生命をつなげるツールはそれぞれに違うから。それを“ケムリクサ”という1つの言葉で表現することによって、みんなの想いをつなげられるんじゃないかなと思いました。

●TVアニメ『ケムリクサ』は“赤い霧に包まれた、荒廃した建造物に囲まれた人気の無い世界を舞台に3人の姉妹が生き抜く物語”とのことですが、MVで赤い霧が使われているのもアニメとリンクしている?

ナノ:そうですね。自分自身もデビューした頃から赤というか“マゼンタ”色がすごく好きで、ずっとテーマカラーにしていたんですよ。それで今回のアニメを見た時に偶然にも黒とマゼンタがメインになっていて、自分のデビュー当時を思い出させてくれたんです。ちょっと運命的な感じがしたので、久々に自分もこの色と再会しようかなと思って。だからMVに関しても自分から“モノトーンを基調として、マゼンタ色の煙があって…”というイメージを伝えたら、ああいう仕上がりになりました。

●MVへのYouTube上でのコメントを見てみると、『ケムリクサ』のファンも喜んでいる感じがしました。

ナノ:そうだと良いですね。中には“たつき監督の世界観と、どこが一致しているんだろう?”と疑問を感じる人もいるかもしれないですけど、そこが刺激になって欲しいなと。“こういう見方もあるんだ!”というふうに感じてもらえたら嬉しいです。

●カップリングのM-2「Spiral Eye」もサイバーな雰囲気があって、どこか「KEMURIKUSA」と世界観が近いように感じました。

ナノ:これは偶然ですね。でも今、世界全体がそういう方向性になっているじゃないですか。サイバー世界がこれだけ広がっている中で人間も生きていくようになって、考え方も昔とは違っていて。そういうところを歌詞にしてみたいなと思ったので、現代のサイバー世界をイジる感じで書いてみました。この曲は今まで自分が書いた中で一番、“現代”のことに触れている感じがします。

●現代の世界に対して、ナノさん自身が思っていることを書いている?

ナノ:そうですね。完全に100%のサイバー世界になっていない、リアルとバーチャル、アナログとデジタルが入り混じってグチャグチャしている世界だからこそ、自分も含めて色んな葛藤があると思うんです。そういう世界の中で、みんな何かしらの悩みを抱えていると思うから。それを軽い感じでイジっちゃえば、気持ちがちょっと楽になるんじゃないかなと思って書きました。

●SNSやネット上のコミュニケーションで悩んでいる人も多いですよね。

ナノ:結局どんなに世界がサイバー化しても、向かい合っている相手は人間なんですよね。SNSを通して自分が書いたことを読んで欲しい相手はロボットじゃなくて、やっぱり人間じゃないですか。“これはデジタルだから、人は傷付かないや”と思ってしまいがちなんですけど、その向こう側には自分と同じ“生身の人間”がいるということを思い出すと、また感覚が変わるんじゃないかなと思います。

●デジタルなツールを使っていても、その向こう側には生身の人間がいることを認識することが大事。

ナノ:逆に言えば何か自分に返ってきたものも生身の人間が返しているわけだから、それをシャットアウトしすぎてもいけないなと思うんです。自分の発信したものに対して返ってくるものもある程度は大事にしつつ、考え方を広くしておかないといけないなっていう。

●閉じるのではなく、どんどん広げていきたい気持ちが強い?

ナノ:大らかでいなければいけないと思っています。自分の器を大きくしないと、心が傷付きやすくなってしまうというか。ネガティブなものを完全に排除することは、この社会ではどう頑張っても不可能だと思うんですよ。だから排除することに集中するよりも、どうやったらポジティブなものを増やせるかに意識を向けたほうが絶対に良いと思うんです。プラスが増えていけば良いだけの話ですからね。

●元々そういう考え方の人だったんですか?

ナノ:たぶん内面的には物事に対して辛く感じやすいし、ストレスも溜まりやすいんです。でもそういう暗い部分もあるからこそ、外に向けてはポジティブさや楽しいことを求めるんですよね。人と関わる部分ではすごく前向きでいたいなって思うし、苦悩に対しても“自分1人で何とか乗り越えてやるぞ!”と言えるくらいの根性はあるから(笑)。

●自分の中での苦悩や葛藤を、前に進むためのエネルギーに変えることができているのでは?

ナノ:特に自分の場合は音楽があるから、それができているという幸せもあって。原動力にはなっているんじゃないかなと思います。

●ここまでのお話を聞いていて、今回の2曲はどちらも前に進んでいく姿勢を体現しているように感じました。

ナノ:恐れずに進化していきたいし、前に進んでいきたいから。今までの自分ではない“自分”をどんどん探していきたいなとすごく思っています。

●3/16のワンマンライブ「Remember again」も、そういう姿勢が見えるものになるのかなと。

ナノ:去年12月のワンマンは“楽しむ”という部分が大きかったんですけど、今回は“更新していく”という気持ちが強くて。“ここからまた未来に向かって爆発していくぞ!”というライブにしたいですね。そういう意味でもすごくパワフルで、新しい感じにしたいなと思っています。

Interview:IMAI

 

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