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リーガルリリー

2019年に度肝を抜く新しい可能性を提示した夜

リーガルリリーpre.
『333』〜HappyNewRegalLily!! In OSAKA〜
ACT  リーガルリリー / MONO NO AWARE
2019年1/4(金)@梅田Shangri-La

2019年を迎えて世間が賑わってる今日、大阪の梅田Shangri-Laも大いに賑わっていた。新年という事もあり肩に力が入っている観客も少なくないだろう、そんな今日を最初に彩るのはMONO NO AWAREだ。

張り切っている観客の力をスッと抜いてくれるかのような心地よい脱力感が会場を包み込む。ハリのあるドラムと伸びやかなベース、それにG./Vo.玉置周啓の落ち着きのある歌声が徐々に浸透し、観客は自然と体を揺らしていた。MCでは「今日は新年と言う事で声を張っていきたいと思います! 」と、大きく叫び観客を惹き付けた後にあけましておめでとうと新年の挨拶を会場全体で行い「イワンコッチャナイ」へ続く。G.加藤成順のギターの弦が切れてしまうというプチハプニングがあったが、その間に披露したラップで観客は大盛り上がり、新しいギターを持って加藤成順が現れたらラップからそのまま曲に繋ぐという全てを楽しませてくれる演奏は、いよいよ終盤に向かう。ゆったりとしたリズムに絶妙に入ってくるコーラスが浮遊感を持たせる「DUGHNUTS」から旋律のはっきりした「東京」でしっかり会場の空気を締め、大きな拍手の中彼らはステージを後にした。

続くリーガルリリーは2018年7月に新メンバーのBa.海が加入し、スリーピース・ガールズバンドとしての新年初ライブだ。“3”という数字にこだわり、3人で3箇所3公演を回る、リーガルリリーpre.『333』というタイトルで、読み方は『バー・バー・バー』という。これはベトナム語読みで、ベトナムが好きなG./Vo.たかはしほのかがベトナムのビール「333」から取ったタイトルだという。会場ではその「333」を片手にまだかまだかとライブを楽しみにしている人も多く見られた。そうしているうちにSEの心地よい音楽が流れてきた。拍手喝采の中ギターの機械音が鳴り響き「スターノイズ」が始まった。軽快なギターリフと圧倒的な音圧で人々をグッと引き寄せた後に、ゆったりと曲調が変わり、たかはしが少し幼くもある不思議な歌声で観客を包み込んだ。そこからはMCをほとんど挟まずに演奏する。刻一刻と表情を変えていく彼女達の歌に観客も何とか食らいつき、緊張感の残っていた会場は徐々に一体感を生む。それに呼応するかのように彼女達リーガルリリーも純度を上げていった。「リッケンバッカー」が終わり「ビール飲みましたか? 私はビールが最近美味しく感じられるようになってきました」と、たかはしが言うと会場は「333」を掲げ相づちを打つ。「じゃあ最後まで…頑張ってください」っと笑わせてから次の曲へと続く。時折見せる言葉では表せないような切なさのある表情と激しく体を揺らすパフォーマンスは視覚と聴覚両方を奮わせる。そして大音量の中たかはしの声はよく通り、そしてコーラスに見え隠れする鋭さがフィルターを通さずに心に刺さる。誰もが抱えていたり、言えなかったりするような事、思っている事を代弁してくれているかのような、心が軽くなった感覚に陥る。最後の曲「蛍狩り」が終わる頃には目を閉じゆっくりと曲を聴く観客を多く見た。あっという間に本編ライブは終了し、彼女らは何も言わずにステージを後にした。拍手がそのままアンコールになり「猫の涙ギター」そして「the tokyo tower」を披露し新年初3人のライブは幕を閉じた。2019年は3月にアメリカ合衆国テキサス州オースティンで行われる「SXSW」のJAPAN NITEへの出演が決まっており、4月には仙台「ARABAKI ROCK FEST.19」の出演も発表されている期待のリーガルリリー。そして、アメリカ帰国後にそのまま凱旋JAPAN TOURを開催することが決定。その名も「春はあけぼのツアー」。今回は新体制のメンバー3人で行う初めての全国ツアーになるため、枕草子の一節を引用して、春とリーガルリリーの始まりを“あけぼの(明け方)”で表現。アメリカで更に成長した3人をいち早く見るならこの機会を逃す手はない。なお、本ツアーは福岡・岡山・金沢・札幌の4公演がゲストを迎えたツーマン形式、名古屋・東京・大阪の3公演はワンマンとなっている。ゲストの詳細は後ほど発表となるため、続報に胸を膨らませよう。2019年は飛躍の1年となること間違いない。

TEXT:SHUNYA
PHOTO:森好弘

 

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