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SiM ONEMAN SHOWS CLASSiCKS TOUR 2019 2019/2/2@Zepp DiverCity東京ライブレポート

新たな幕開けを感じさせるSiM ONEMAN SHOW

SiM ONEMAN SHOWS CLASSiCKS TOUR 2019
2019/2/2@Zepp DiverCity東京

客電が落ち、会場にサイレンが鳴り響いてメンバー登場。昨年11月に配信リリースした新曲「DiAMOND」でライブは幕を開ける。歓喜の声をあげ、拳を振り揚げたオーディエンスの頭上にレーザー光線が降り注ぐ。

地を這うように分厚い音が襲いかかってくる。G.SHOW-HATEがステージ最前で身を乗り出しながら硬質な音を鳴らし、Ba.SINは太いラインを奏でながらくるくると跳ね回る。力強くリズムを繰り出すGODRiが笑顔で会場を見渡し、Vo.MAHが鋭い眼光で睨みつける。凶暴なサウンドで容赦なく我々の気持ちを揺さぶった後、巨大な一体感を生み出すメロディで一気に包み込む。静と動を司るかのようなステージングに、観客は乱舞する。

「PANDORA」では早くもダイバーが殺到し、「BRAiN」ではMAHが客席を指さして大合唱が起きる。ステージ上とフロアの息はぴったりと合っており、この場に居合わせた全員が全力でライブを楽しんでいる。かと思えば、「Blah Blah Blah」のコールが物足りなかったのかMAHは一旦制止し、「俺は昨日も2時間ゲロゲロになりながらやってたんだよ!」と煽り、更に大きくなったコールで「Blah Blah Blah」を再開、既にピークに達していたと思っていた会場の熱が更に跳ね上がる。

今回のツアーは「バンド結成14周年を記念し、旧譜楽曲にスポットを当てたツアー」とのことで、「普段聴き慣れない曲もあるかもしれないけど、そんなこと関係なくかっこいい曲ばかりだから思い切り楽しんでください」とMAHが告げ、続く「JACK.B」ではレーザーが飛び交う中、まるで沸騰した鍋の中のようなカオス的興奮状態に落とし込む。何をすれば客が喜び、どんな音を鳴らせば客が狂喜するのか…オーディエンスの心は完全に彼らの手中にあった。

「in the rain」では映像と共に歌詞(日本語訳)を表示させて楽曲のより深遠へと導き、「Turn Around」で楽しませた後、「スカの後のブレイクダウンみたいな、こういう曲を演っていると“SiMってほんと変わってるよね”ってよく言われます。これから演る曲もあまり他にないと思う」とMAHが言って「Here I am」を始め、曲中で何度も彼は「これがSiM!」と言い放つ。流行りのものを採り入れるのではなく、自分たちが良いと思うことを追求して貫いてきた彼らの自負とプライドが炸裂するステージに、会場の興奮は益々ヒートアップ。陶酔感を増幅させるヴォーカル、感覚を刺激するサウンド、巨大なコール&レスポンス、ラスタカラーの照明が瞬き、フロアがどんどん酔っ払っていく。常にシーンの一歩先を見据え、自らの手で切り拓いてきたSiMの真骨頂。

ゴジラの鳴き声のような音が鳴り響き、ステージにはGODRiのみが残る。文字通り会場を揺さぶるほどパワフルなドラムソロで沸かせた後、メンバーが再び登場してライブは後半戦へ。

「この4人で固定されてからちょうど10年。それまでメンバーがなかなか固定しなかったので、ベースSIN、ギターSHOW-HATE、ドラムGODRi、ヴォーカルMAHと言えるのがとても嬉しい」とMAHは感謝を告げ、同メンバーで最初に作った作品が『ANTHEM』(2010年3月リリース)であること、同作のツアーでSHOW-HATEが脳梗塞で倒れ、そこから復活してここまで辿り着いたことを感慨深げに振り返る。MAHは「たとえ倒れても立ち上がることが大事」と力強く告げ、『ANTHEM』から「Vitamin」「wishing」「ANTHEM」を披露。スクリーンにはメンバー1人1人の演奏する姿が映し出されたのだが、その表情からは、心からライブを楽しんでいることがよくわかる。1本1本のライブにかける想い、そしてその瞬間を全力で生きること、決して諦めないこと。4人がステージ上で体現する想いを受け、オーディエンスは何度も何度も拳を揚げて歓声をあげる。そんな客席を笑顔で眺めながら、MAHが「色んな人が、色んな想いを持って来てくれていると思います。でもそれを1人1人聞いていくのめんどくさいんで、みんなで一発モンキーダンスしませんか」と言って「GUNSHOTS」。熱気が溢れるままに「IKAROS」「On and On」と続け、いよいよライブは佳境に入っていく。

「SiM好きっていう人にはこの曲を知ってほしい。14年バンドをやっていて、いちばん音楽をやるのが辛くて、でも続けたいと思っていたときに作った」とMAHが言い、「夢がある奴! 死ぬ気でやろうな!」と想いを溢れさせて「Rum」を歌い切り、「Upside Down」では過去のライブ映像が流れ、オーディエンスは感情を溢れさせて暴れまくる。本編最後は「KiLLiNG ME」を大合唱。

アンコールでは、途中のMCでも言っていたがアルバムを作っていること、そして今年の夏はなにか新しいことをやりたいと告げ、新曲「LiON'S DEN」を披露。キャッチーなコールとミクスチャー的なアプローチのヴォーカリゼーション、壮大でハードロックなサウンドが印象的な同曲は、新曲にも関わらず激しい盛り上がり。最後はMAHが「強く生きていこう。強く! 強く!」と叫んで「Get Up, Get Up」、そしてウォールオブデスが炸裂した「f.a.i.t.h」で終演。今までのSiMの魅力を存分に味わえたとともに、新たな幕開けを感じさせる素晴らしいワンマンライブだった。

TEXT:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:スズキコウヘイ

 

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