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スムルース

この3人にしか表現できない“thmRock”完成! 結成15年目の集大成的アルバム

今までスムルースに触れたことのある人たちにとっては懐かしい感情を呼び起こし、初めて触れる人たちにとっては新しい出会いの興奮をもたらす。

約1年振りのリリースとなる彼らのニューアルバム『WHOOP HOOP』は、そんな魅力を持った作品だ。
やさしさや安心感というアットホームな魅力はそのままに、原点回帰的な勢いに満ちたバンドサウンドが躍動。聴く者全てを包み込んで広がっていく“歓喜の輪”が、今作には渦巻いている。

結成15年目を迎えた3人にしか鳴らせない“スムロック”の完成を、自ら祝福しているかのような集大成的傑作が誕生した。

Interview

「不安がいっぱいある世の中にスムルースが歌いたいことは、関西風に言うと"もうええやん"っていうことなんです(笑)」

●今回のニューアルバム『WHOOP HOOP(フープフープ)』は前作の『Beautiful Days』(13thアルバム/2011年1月)から約1年振りのリリースですが、ここ数年の速かったリリースペースからすると少し時間をかけた感じがしますね。

徳田:今までのようにトントン出していくのが嫌だったわけじゃないんですけど、今回はたっぷりと聴いてもらえるものにしたいという気持ちがまずあって。ちょっとずつ曲を出してきたりもしていたので、今度は1枚にかける労力を増やして充実させたものでいきたいなと思っていたんです。

●10thアルバム『UNITE』(2008年12月)から12thアルバム『HAND』(2010年5月)までの3部作は6~8曲くらいだったわけで、そこからすると確かに今作は倍以上のボリュームがあります。

徳田:曲自体はどんどんできてくるので、すぐに貯まっていくんですよ。今作を作り始めた段階でも既に半分くらいの曲はあったんですけど、結局は最後の最後までずっと作り続けて、この1年間で一番良いものを総決算したっていう感じでしたね。

●今作を作る上でのイメージは見えていた?

徳田:僕らはいつもテーマに合わせて書いていくという方式ではなくて、やっていく内にだんだん見えてくる部分が大きいんです。今回もアルバムの半分以上が出来たくらいの時に、自分の中で『WHOOP HOOP』っていうタイトルが見えてきて。"歓喜の輪"っていう意味なんですけど、喜びがどんどん渦を巻いていくのが感じられるようなポジティブで明るい曲を書いていこうっていう気持ちはありました。

●ポジティブな方向に向かったのはなぜ?

徳田:ライブが見えるアルバムにしたいっていうのが、一番にあったんです。そこの先入観があったから、ノリが良くて楽しいっていう感じになったのかもしれませんね。ここ数年のライブを積み重ねてきた中で、そろそろセットリストの主力曲をチェンジしたいなと思っていて。基本的に今は「祝福の紙吹雪」(『WALK』収録)とかで終わることが多いので、そこに向けて展開していく曲の流れが決まってきちゃっていて、自分の中でも少しマンネリ感はあったんですよ。それを変えたいなというところから、曲ができていった感じはします。

●ライブを変えたいというイメージがあったと。

徳田:まだイメージがモヤモヤとしている中で、甲子園に阪神戦を観に行ったんですよ。それがすごくダイレクトに、自分の中でピンと来て。

●阪神戦がキッカケになった!?

徳田:ああいう開放的な場所って、周りの音が渦になったような感じで聴こえるんですよ。隣の人との感覚が狭いからなのか、単に阪神ファンがうるさいだけなのかはわからないですけど(笑)、その時に"これはホンマにすごいな"と思ったんです。老若男女を問わず色んな人がうごめいている中で、みんなが1球の結果次第で盛り上がったり盛り下がったりしている様がまさに"歓喜の輪"というか。輪の形になっているスタジアムの中を歓喜がぐるぐるといつまでも回っていくようなイメージが、僕の中ですごくキーワードになって。"ポジティブなものがいつまでも渦巻いているようなアルバムにしよう"と具体的に決まったのは、それがキッカケでしたね。

●M-4「人生はお楽しみ~Everything is as it is taken~」の歌詞にも"WHOOP HOOP"という言葉が出てきますが、これはわざと?

徳田:意図的に入れましたね。歌詞にはなっていないけど、M-9「チャーミングベイビー」でも"HOOP"と歌っていて。世界共通なのか、気分が良くなると誰もが"フー!"って言う気がするんです。言う方も言われる方もテンションが上がるんですよね。すごく良い言葉だし、これは使えるなと思いました。

●意味とかじゃなく、"フー!"っていう言葉の響き自体にインパクトがあるというか。

徳田:アホな方が良いんですよね。元々そういう部分をみんな持っているはずなのに、大人になって変に知恵が付いてしまっている。やっぱり酔っぱらってタガが外れた時とか、アホになっている時が一番楽しいじゃないですか。そこが今作のテーマに沿うようなところで。

●そういう意味で甲子園は、普段は真面目に働いている人もアホになれる場所だったりします。

徳田:球場ではお客さんが選手や監督に向かって怒鳴っていたりするけど、普段の会社では絶対あんなふうに愚痴をぶつけたりしないわけで。そういうやりたい放題の空間だから楽しいんだろうなって。ライブも同じで、そういう"アホ"になれる空間作りっていうか。僕らはずっと"アットホームロック"をやっていると言ってきたんですけど、最近では"スムロック"っていう言葉にしているんです。

●"スムロック"というのは?

徳田:"スムロック"でやっていこうとしているのは、来てくれた人がアホになれるライブということで。みなさんがどうかはわからないですけど、僕は家の中では全裸でも平気なわけです。そういう気を遣わない我が家っていうものと、基本的に同じような空間作りを僕らのライブではしていきたい。そこでも『WHOOP HOOP』というのは、アホな自分が出せる"フー!"っていう言葉のイメージとわかりやすい一致をするので、今作にはもってこいのタイトルだったと思います。

●今作にはそういう振り切ったアホな感じというか、遊び心のある曲が散りばめられている気がします。

徳田:シリアスな曲もありつつ、"フー!"っていう言葉みたいに意味のない感じの曲もあって。自分自身も取材されると、答えに困るような曲もありますね。

●特にM-10「ステキな計画」は、遊び心が詰まっている感じがしました。

徳田:レコーディングで一番盛り上がったのは、この曲かもしれませんね。他の曲は真面目にやっている中で、これは"フザけられるだけフザけよう"みたいな感じで細かいことをいっぱいやっています。でも意外と深みもあったりして。

●曲調が途中で急に変わるのにはどんな意味が?

徳田:要は"どこまで行くんだろう?"って思わせて、リスナーの気持ちを煽っている感じですね。出だしの感じから、あの展開は絶対に予想できないだろうなって。"まさかこんなことになるなんて…"っていうのはまさに人生と同じだし、人生の山あり谷ありみたいな感じを表現したかったんです。

●実は結構、大きなテーマを歌っていたりしますよね。

徳田:"答えは1つなのに"っていうことが、この歌で言いたかったことなんです。答えは1つなのに問いがたくさんありすぎて、みんな迷っている。本当はみんなわかっているはずなのに、"暇つぶしのつもりかな?"っていうくらい自分で色んなことを複雑にしてしまっていて。そういう問題が山ほどあるなと思っていたのを、そのまま歌詞にした感じですね。受け取り方次第というか、"変な曲だな"で終わる人もいれば"何かあるな"って引っかかってくれる人もいるような仕掛けを入れています。

●受け取り手次第で発見できる仕掛けが潜んでいる。

徳田:この曲と「パンが焼けたよ」に引っかかる人は多いだろうなと思います。僕はよくごはん派に見られるんですけど、完璧なるパン派なんですね。ずっと前からパンを歌にしたかったので、ついに満を持しできたという。3分もないっていう短さも気に入っています。

●この曲の歌詞はどんなイメージで?

徳田:内容は意外にも失恋ソングなんですけど、曲調は明るいっていう。"悲しい曲を笑顔で歌うことで、逆にグッと感動する曲になる"っていうのをどこかで読んだことがあって、確かにそういうことってあるなと。何かが振り切れて急に笑い出している人や、フラれているはずなのにめっちゃテンションの高い人っているじゃないですか。それによって周りの人も逆に心配になるような感じをイメージしているんですよね。

●泣き笑いみたいな感覚ってありますよね。

徳田:不思議な感じですよね。だから喜劇王のチャップリンも本当はヒットラーと同じくらいの孤独を抱えているにも関わらず、ああやって人を笑わそうとする姿に妙な感動を覚えるところがあるのかなと。自分でも説明ができないんですけど、この曲は最後の方で妙に泣けてくる感じがあって。狙って作った以上に、素敵な仕上がりになったことへの達成感はあります。

●M-1「やさしくつづくみらい」は、今作のポジティブさを象徴している気がします。

徳田:この曲は元々、結婚した親友を送り出す意味も込めて作った曲だったんです。普通は結婚式って女の子が主役だと思うんですけど、そうじゃなくて"友よ、頑張れ"っていうスタイルで男のほうに向けてエールを歌った曲はありそうでなかったというか。ちょっとマニアックな話になっちゃうんですけど、その結婚した親友というのは「ともだちファミリーレストラン」(『UNITE』収録)の歌詞に出てくる"スイカ魔人"なんですよ。

●元々はスイカ魔人に向けた曲だったと。

徳田:でも今の気持ちとしては結婚だけじゃなく、何か新しいことを始める人に対して"頑張れ!"っていうような応援ソングになったなと思います。これを1曲目にしたのは、聴いている人をダイレクトに応援するようなスムルースでありたいという願いがこもっていて。

●「やさしくつづくみらい」っていう言葉選びも、スムルースらしい気がします。

徳田:歌詞でもキャンドルの灯りにたとえているんですけど、ちょっと前だけを照らす光のやさしさをイメージしていて。真っ暗闇の人生の中で僕らは、ちょっと先だけが見えるロウソクのやさしい光の中を歩んでいるような気がするんです。本当は未来がやさしく続くなんて思えないし、絶対にみんな不安じゃないですか。でも過去を振り返ってみると、実は今までの人生はやさしかったんじゃないかと思える部分もあったりする。"不安なことはたくさんあるけど、今も何とか生きている"っていうことは、未来も何とかなるんじゃないかなって思えるから。そこで、未来はやさしくつづくんじゃないかと思ったんですよ。

●「WHOOP HOOP」に出てくる"幸せは怖がりだから"っていう歌詞も、今のお話に近いのかなと。

徳田:今作で伝えたかったことをタイトル曲に入れ込みたくて、そのフレーズを入れたんです。今回のテーマにもなっている祝福や歓喜って、とても怖がりなものなんだっていう。喜びや幸せって、すぐになくなりやすいものだから。でもそれを怖がってもしょうがないっていうところから始まったら、色んな部分で力強く歩んでいける気がする。"怖がらずに、幸せにどっぷり浸かってみてはどうかな?"って思うし、そういうキーワードにさっきの"フー!"があって。

●あ、そこに戻るんですね。

徳田:つべこべ言わずに"フー!"って叫んでみたら、何か良い感じになると思うんですよ。不安がいっぱいある世の中にスムルースが歌いたいことは、関西風に言うと"もうええやん"っていうことなんです(笑)。

●それも今までの歩みの中で達した結論の1つというか(笑)。スムルースは、今年で結成15周年を迎えたわけですが。

徳田:僕らは今年で結成15周年なんですけど、それって丸14年活動してきたっていうことじゃないですか。意図したわけじゃないんですけど、今作の収録曲がちょうど14曲なんですよ。だから丸14年間の歩みがそのまま14曲に集約されているというか。毎回アルバムを作るたびに「今の自分たちの集大成」と言うんですが、今回はその言葉がより具体的に表れている作品だと思います。15周年分が詰まったものになっているので、これを引っさげて完全なる"スムロック"をライブでも見せていきたいですね。

Interview:IMAI
Assistant:森下恭子

「不安がいっぱいある世の中にスムルースが歌いたいことは、関西風に言うと“もうええやん”っていうことなんです(笑)」

●今回のニューアルバム『WHOOP HOOP(フープフープ)』は前作の『Beautiful Days』(13thアルバム/2011年1月)から約1年振りのリリースですが、ここ数年の速かったリリースペースからすると少し時間をかけた感じがしますね。
徳田:今までのようにトントン出していくのが嫌だったわけじゃないんですけど、今回はたっぷりと聴いてもらえるものにしたいという気持ちがまずあって。 ちょっとずつ曲を出してきたりもしていたので、今度は1枚にかける労力を増やして充実させたものでいきたいなと思っていたんです。
●10thアルバム『UNITE』(2008年12月)から12thアルバム『HAND』(2010年5月)までの3部作は6~8曲くらいだったわけで、そこからすると確かに今作は倍以上のボリュームがあります。
徳田:曲自体はどんどんできてくるので、すぐに貯まっていくんですよ。今作を作り始めた段階でも既に半分くらいの曲はあったんですけど、結局は最後の最後までずっと作り続けて、この1年間で一番良いものを総決算したっていう感じでしたね。
●今作を作る上でのイメージは見えていた?
徳田:僕らはいつもテーマに合わせて書いていくという方式ではなくて、やっていく内にだんだん見えてくる部分が大きいんです。今回もアルバムの半分以上が 出来たくらいの時に、自分の中で『WHOOP HOOP』っていうタイトルが見えてきて。“歓喜の輪”っていう意味なんですけど、喜びがどんどん渦を巻いていくのが感じられるようなポジティブで明るい 曲を書いていこうっていう気持ちはありました。
●ポジティブな方向に向かったのはなぜ?
徳田:ライブが見えるアルバムにしたいっていうのが、一番にあったんです。そこの先入観があったから、ノリが良くて楽しいっていう感じになったのかもしれ ませんね。ここ数年のライブを積み重ねてきた中で、そろそろセットリストの主力曲をチェンジしたいなと思っていて。基本的に今は「祝福の紙吹雪」 (『WALK』収録)とかで終わることが多いので、そこに向けて展開していく曲の流れが決まってきちゃっていて、自分の中でも少しマンネリ感はあったんで すよ。それを変えたいなというところから、曲ができていった感じはします。
●ライブを変えたいというイメージがあったと。
徳田:まだイメージがモヤモヤとしている中で、甲子園に阪神戦を観に行ったんですよ。それがすごくダイレクトに、自分の中でピンと来て。
●阪神戦がキッカケになった!?
徳田:ああいう開放的な場所って、周りの音が渦になったような感じで聴こえるんですよ。隣の人との感覚が狭いからなのか、単に阪神ファンがうるさいだけな のかはわからないですけど(笑)、その時に“これはホンマにすごいな”と思ったんです。老若男女を問わず色んな人がうごめいている中で、みんなが1球の結 果次第で盛り上がったり盛り下がったりしている様がまさに“歓喜の輪”というか。輪の形になっているスタジアムの中を歓喜がぐるぐるといつまでも回ってい くようなイメージが、僕の中ですごくキーワードになって。“ポジティブなものがいつまでも渦巻いているようなアルバムにしよう”と具体的に決まったのは、 それがキッカケでしたね。
●M-4「人生はお楽しみ~Everything is as it is taken~」の歌詞にも“WHOOP HOOP”という言葉が出てきますが、これはわざと?
徳田:意図的に入れましたね。歌詞にはなっていないけど、M-9「チャーミングベイビー」でも“HOOP”と歌っていて。世界共通なのか、気分が良くなる と誰もが“フー!”って言う気がするんです。言う方も言われる方もテンションが上がるんですよね。すごく良い言葉だし、これは使えるなと思いました。
●意味とかじゃなく、“フー!”っていう言葉の響き自体にインパクトがあるというか。
徳田:アホな方が良いんですよね。元々そういう部分をみんな持っているはずなのに、大人になって変に知恵が付いてしまっている。やっぱり酔っぱらってタガが外れた時とか、アホになっている時が一番楽しいじゃないですか。そこが今作のテーマに沿うようなところで。
●そういう意味で甲子園は、普段は真面目に働いている人もアホになれる場所だったりします。
徳田:球場ではお客さんが選手や監督に向かって怒鳴っていたりするけど、普段の会社では絶対あんなふうに愚痴をぶつけたりしないわけで。そういうやりたい 放題の空間だから楽しいんだろうなって。ライブも同じで、そういう“アホ”になれる空間作りっていうか。僕らはずっと“アットホームロック”をやっている と言ってきたんですけど、最近では“スムロック”っていう言葉にしているんです。
●“スムロック”というのは?
徳田:“スムロック”でやっていこうとしているのは、来てくれた人がアホになれるライブということで。みなさんがどうかはわからないですけど、僕は家の中 では全裸でも平気なわけです。そういう気を遣わない我が家っていうものと、基本的に同じような空間作りを僕らのライブではしていきたい。そこでも 『WHOOP HOOP』というのは、アホな自分が出せる“フー!”っていう言葉のイメージとわかりやすい一致をするので、今作にはもってこいのタイトルだったと思いま す。
●今作にはそういう振り切ったアホな感じというか、遊び心のある曲が散りばめられている気がします。
徳田:シリアスな曲もありつつ、“フー!”っていう言葉みたいに意味のない感じの曲もあって。自分自身も取材されると、答えに困るような曲もありますね。
●特にM-10「ステキな計画」は、遊び心が詰まっている感じがしました。
徳田:レコーディングで一番盛り上がったのは、この曲かもしれませんね。他の曲は真面目にやっている中で、これは“フザけられるだけフザけよう”みたいな感じで細かいことをいっぱいやっています。でも意外と深みもあったりして。
●曲調が途中で急に変わるのにはどんな意味が?
徳田:要は“どこまで行くんだろう?”って思わせて、リスナーの気持ちを煽っている感じですね。出だしの感じから、あの展開は絶対に予想できないだろう なって。“まさかこんなことになるなんて…”っていうのはまさに人生と同じだし、人生の山あり谷ありみたいな感じを表現したかったんです。
●実は結構、大きなテーマを歌っていたりしますよね。
徳田:“答えは1つなのに”っていうことが、この歌で言いたかったことなんです。答えは1つなのに問いがたくさんありすぎて、みんな迷っている。本当はみ んなわかっているはずなのに、“暇つぶしのつもりかな?”っていうくらい自分で色んなことを複雑にしてしまっていて。そういう問題が山ほどあるなと思って いたのを、そのまま歌詞にした感じですね。受け取り方次第というか、“変な曲だな”で終わる人もいれば“何かあるな”って引っかかってくれる人もいるよう な仕掛けを入れています。
●受け取り手次第で発見できる仕掛けが潜んでいる。
徳田:この曲と「パンが焼けたよ」に引っかかる人は多いだろうなと思います。僕はよくごはん派に見られるんですけど、完璧なるパン派なんですね。ずっと前からパンを歌にしたかったので、ついに満を持しできたという。3分もないっていう短さも気に入っています。
●この曲の歌詞はどんなイメージで?
徳田:内容は意外にも失恋ソングなんですけど、曲調は明るいっていう。“悲しい曲を笑顔で歌うことで、逆にグッと感動する曲になる”っていうのをどこかで 読んだことがあって、確かにそういうことってあるなと。何かが振り切れて急に笑い出している人や、フラれているはずなのにめっちゃテンションの高い人って いるじゃないですか。それによって周りの人も逆に心配になるような感じをイメージしているんですよね。
●泣き笑いみたいな感覚ってありますよね。
徳田:不思議な感じですよね。だから喜劇王のチャップリンも本当はヒットラーと同じくらいの孤独を抱えているにも関わらず、ああやって人を笑わそうとする 姿に妙な感動を覚えるところがあるのかなと。自分でも説明ができないんですけど、この曲は最後の方で妙に泣けてくる感じがあって。狙って作った以上に、素 敵な仕上がりになったことへの達成感はあります。
●M-1「やさしくつづくみらい」は、今作のポジティブさを象徴している気がします。
徳田:この曲は元々、結婚した親友を送り出す意味も込めて作った曲だったんです。普通は結婚式って女の子が主役だと思うんですけど、そうじゃなくて“友 よ、頑張れ”っていうスタイルで男のほうに向けてエールを歌った曲はありそうでなかったというか。ちょっとマニアックな話になっちゃうんですけど、その結 婚した親友というのは「ともだちファミリーレストラン」(『UNITE』収録)の歌詞に出てくる“スイカ魔人”なんですよ。
●元々はスイカ魔人に向けた曲だったと。
徳田:でも今の気持ちとしては結婚だけじゃなく、何か新しいことを始める人に対して“頑張れ!”っていうような応援ソングになったなと思います。これを1曲目にしたのは、聴いている人をダイレクトに応援するようなスムルースでありたいという願いがこもっていて。
●「やさしくつづくみらい」っていう言葉選びも、スムルースらしい気がします。
徳田:歌詞でもキャンドルの灯りにたとえているんですけど、ちょっと前だけを照らす光のやさしさをイメージしていて。真っ暗闇の人生の中で僕らは、ちょっ と先だけが見えるロウソクのやさしい光の中を歩んでいるような気がするんです。本当は未来がやさしく続くなんて思えないし、絶対にみんな不安じゃないです か。でも過去を振り返ってみると、実は今までの人生はやさしかったんじゃないかと思える部分もあったりする。“不安なことはたくさんあるけど、今も何とか 生きている”っていうことは、未来も何とかなるんじゃないかなって思えるから。そこで、未来はやさしくつづくんじゃないかと思ったんですよ。
●「WHOOP HOOP」に出てくる“幸せは怖がりだから”っていう歌詞も、今のお話に近いのかなと。
徳田:今作で伝えたかったことをタイトル曲に入れ込みたくて、そのフレーズを入れたんです。今回のテーマにもなっている祝福や歓喜って、とても怖がりなも のなんだっていう。喜びや幸せって、すぐになくなりやすいものだから。でもそれを怖がってもしょうがないっていうところから始まったら、色んな部分で力強 く歩んでいける気がする。“怖がらずに、幸せにどっぷり浸かってみてはどうかな?”って思うし、そういうキーワードにさっきの“フー!”があって。
●あ、そこに戻るんですね。
徳田:つべこべ言わずに“フー!”って叫んでみたら、何か良い感じになると思うんですよ。不安がいっぱいある世の中にスムルースが歌いたいことは、関西風に言うと“もうええやん”っていうことなんです(笑)。
●それも今までの歩みの中で達した結論の1つというか(笑)。スムルースは、今年で結成15周年を迎えたわけですが。
徳田:僕らは今年で結成15周年なんですけど、それって丸14年活動してきたっていうことじゃないですか。意図したわけじゃないんですけど、今作の収録曲 がちょうど14曲なんですよ。だから丸14年間の歩みがそのまま14曲に集約されているというか。毎回アルバムを作るたびに「今の自分たちの集大成」と言 うんですが、今回はその言葉がより具体的に表れている作品だと思います。15周年分が詰まったものになっているので、これを引っさげて完全なる“スムロッ ク”をライブでも見せていきたいですね。

Interview:IMAI
Assistant:森下恭子までスムルースに触れたことのある人たちにとっては懐かしい感情を呼び起こし、初めて触れる人たちにとっては新しい出会いの興奮をもたらす。約1年振り のリリースとなる彼らのニューアルバム『WHOOP HOOP』は、そんな魅力を持った作品だ。やさしさや安心感というアットホームな魅力はそのままに、原点回帰的な勢いに満ちたバンドサウンドが躍動。聴く 者全てを包み込んで広がっていく“歓喜の輪”が、今作には渦巻いている。結成15年目を迎えた3人にしか鳴らせない“スムロック”の完成を、自ら祝福して いるかのような集大成的傑作が誕生した。