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ALTERNATIVE MEDICINE

もしかしたら“永遠”は存在するかもしれない

ALTERNATIVEメロディックサウンドを基調としたサウンドと良質なメロディ、洋楽に通じるポップネスを散りばめたセンスが魅力のALTERNATIVE MEDICINE。昨年6月にシングル『Forget About It』をリリースした彼らは、国内外のアーティストと共演し、そのライブを磨き抜いてきた。そんな彼らが完成させた1stフルアルバム『Forever』は、数々のステージで溢れてきた様々な想いが詰まった、ALTERNATIVE MEDICINEの宣言ともいえる作品。同作を携えて全国をめぐるツアーは10/4からスタート。オーディエンスが熱狂し、ステージの3人と一緒に歌う光景が目に浮かぶようだ。

 

 

●リリースは2012年6月のシングル『Forget About It』以来となりますが、フルアルバムは今回が初めてなんですか?

SHO:そうなんですよ。結成13年目にして初めてのフルアルバムです。2010年に出したアルバム『SONGS TO SING ALONG TO』は8曲入りで、OWL CITYのカバーも入っていたので。

●ここ最近のトピックスでいうと、8月にThe Wonder Yearsの来日ツアーサポートがありましたね。

SHO:あれはやばかったですね。3年前から“BEYOND[THE]BLUE Tour”(KICK ROCK INVASIONが主催する次世代メロディック・エモに特化したV.A.『BEYOND [THE] BLUE』シリーズに参加するアーティストを中心に組まれたイベント/“Warped Tour”や“Bamboozle”、“Soundwave”などに出演するアーティストが参加する)に出演させてもらっているので、The Wonder Yearsとの対バンも何度かはあったんですけど、今回はThe Wonder Yearsが単独で来日するということで、何本か一緒にやらせてもらって。

●はい。

SHO:The Wonder Yearsはアメリカではすごい人気で、“Warped Tour”だとメインステージに出るような大きなアーティストなんですよ。そのメンバーが僕たちのライブを全日観てくれて「マジでやばい」って褒めてくれて。今もメンバーとはメル友だし、「次はアメリカに来い」って言ってくれているので、本当に行こうかなと。

GO&RIE:え? 初めて聞いた…。

●2010年に出したアルバム『SONGS TO SING ALONG TO』のインタビューで聞きましたけど、もともとALTERNATIVE MEDICINEはSHOくんとGOくんの2人で始めたバンドで、当時はメロディックというよりギターロックバンドで下北沢界隈で活動していたんですよね。

GO:そうです。

SHO:でもそれじゃあなんかしっくりこなくて、せっかくバンドをやるんだったら自分たちが本当に好きな音楽をやろうと思って今のようなサウンドになったんです。だからこそなんですけど、年々ライブでは緊張するようになって。

●自分たちの音楽がいいと信じているからこそ、“伝えたい”とか“もっとたくさんの人に”という気持ちがより強くなって、それが積み重なって緊張感にも繋がっている?

SHO:そうなんですよ。

●そういう気持ちは今作『Forever』の楽曲に表れていますよね。目の前に居る大切な人…お客さんだったりに対して歌っている曲が多いなと。語りかけているし、ライブハウスで一緒に楽しもうというマインドを感じるし、もっと具体的に言うとシンガロングがめっちゃ多い。

GO:それはもう、その通りです。シンガロング系です。やっぱり僕たちは、ライブハウスでどう盛り上げるか? っていうところに尽きるっていうか、それしか手立てがない。話題性があるようなバンドでもないし。だからそこを盛り上げていかないと、バンドの底上げにはならないと思っていて。そこはかなり意識した作品にしようって、曲を作っているSHOくんに僕たち2人から伝えて。

SHO:例えば「踊れる曲がほしいね」って言われたんです。“踊れる曲ってなんだよ?”と思ったんですけど、イベントとかに出たときにお客さんがめっちゃ盛り上がっている光景を観て“こういうことかな?”と自分なりに作ってみたり。

●うんうん。

SHO:今作にはRIEちゃんが歌っている曲が3曲ありますけど(M-3「Everything’s Alright」、M-7「Freedom」、M-13「Memories」)、人のために作ったことも今回が初めてだし。

●あ、そうなんですね。この3曲はRIEさんがコーラスじゃなくて歌うことを前提で作ったと。

SHO:そうです。今回の制作は2回にわけて録ったんですけど、最初に8曲分のレコーディングが終わったんです。その8曲を聴きながらレーベルの人も含めて話してて、「RIEちゃんが歌うのはどうだろう?」というアイディアが出てきて。残りは3曲録ると決めていたので、その3曲はRIEちゃんが歌っているものにしようという前提で作ったんです。キーが違うから結構大変だったんですけど、でも反面、いい意味で無責任にもなれるんですよ。僕が歌うんじゃないから思い切った遊びができるというか。

●ああ〜。

SHO:自分では怖くてできなかったけど、人が歌うんだからやってみようかなっていう挑戦ができました。ダンサブルな曲だったり、日本語詞だったり。

GO:そうそう。今回の日本語詞の部分も、最初は英語にしていたんです。でも「ん? これはちょっと違うかも」って、なんかバランスが悪かったんですよね。

RIE:SHOくんは英語の発音がネイティブなのに、私は発音があまり上手じゃなくて。

GO:でも逆にツインヴォーカルなんだから、RIEちゃんは日本語で歌ってもいいんじゃないかなって。それが良かったというか、新たな発見でした。僕たちたくさん武器を持っていたんだって。

●そのRIEさんが歌っている「Memories」なんですけど、対象をぎゅっと限定している歌詞ですよね。他の曲とちょっと歌詞のテイストが違うなと思って。

RIE:自分がヴォーカルとして歌詞をつけるとき、“何を書こうかな?”と考えたんですけど、歌う対象をある人に当てたいなと思ったんです。それは以前一緒にバンドをやっていたメンバーなんですけど、その子は私に対して曲を書いてくれたんです。WHERE'S ANDYのCHIKAちゃんが。

●お。

RIE:自分に向けられた曲ってそうそう無いじゃないですか。前のバンドを解散したときはちょっと変な感じで別れちゃったんです。その後、CHIKAちゃんがWHERE'S ANDYで私に向けた曲を書いてくれて、本当に嬉しくて。これは返さなきゃダメだなって。

●なるほど。

RIE:CHIKAちゃんはCHIKAちゃんで色々と思うところがあってWHERE'S ANDYをやっていて、私も私で色々と思うところがあってALTERNATIVE MEDICINEをやっていて。そこで今回、返せる機会をもらったなと思ったので、1曲CHIKAちゃんに向けた曲を書こうと。かなり個人的なことをわがままでバンドの曲にしてもらったんです。

●めっちゃいい話だ!

SHO:CHIKAちゃんに宛てた歌詞だということは、僕たち2人は直接は聞いていないんです。聞いたのは今が初めてで。でもレコーディングのとき、ヴォーカルブースにRIEちゃんが歌詞を書いた紙を置いていたんですけど、その紙に「SONG FOR CHIKA」と書いていて(笑)。
一同:アハハハハ(爆笑)。

GO:女子っぽいな(笑)。

RIE:最初に8曲録ったとき、今作は絶対にいいアルバムになるなっていう確信があったから、私も自分の気持ちをぎゅっと入れなきゃって。

●そういうドラマがあるんですね。ところでタイトル曲のM-1「Forever」ですけど、すごくキャッチーな楽曲ですよね。さっき「今作は目の前に居る大切な人に対して歌っている印象が強い」と言いましたけど、この曲がその極みだと思ったんです。

SHO:歌っている内容的にも、「Forever」は聴いてくれるお客さんに対しての気持ちや想いを書いているんです。できることならお客さんにずっと聴いてもらいたいし、ずーっとその人たちの前で演奏していたい。だけど残念ながら、僕たちはどんどん年を取っていくし、いつかはバンドができなくなるわけで。でも“ずっと”っていうのは僕たちだけじゃなくて、みんな思っていることだと思うんですよ。毎日ライブハウスに行けたらいいし、毎日好きなバンドのCDを聴いていたいって思っていると思うんですよ。永遠っていうのは存在しないけど、でもこのCDを聴いてくれたらいつでも君のために歌うからっていう気持ちを込めたんです。

●この曲を1曲目にしてアルバムタイトルにしたということ自体が、ALTERNATIVE MEDICINEの宣言でもあると受け取ったんですが。

GO:そうです。もうそれしかないです。大宣言です。

●ハハハ(笑)。

SHO:その想いは今回のアーティスト写真やジャケット写真、ミュージッククリップにも表れているんです。ヘッドホンをつければいつでも僕たちの音楽が流れるっていう。

●バンドのいろんな想いが詰まったアルバムなんですね。リリース後はツアーがありますが、満足度の高いアルバムができたが故に、今まで以上に楽しみですね。どのようなツアーにしたいですか?

RIE:永遠ってすごく不確かなものじゃないですか。存在するのかしないのかよくわかなかったんですけど、今回アルバムタイトルにして曲にしてみて、もしかしたらこのアルバムとか私たちの曲って、自分たちが思ってもいない何十年後何百年後にも存在するんじゃないかなって思えたんです。“永遠なんて存在しない”ってちょっと悲観的になっちゃうこともあったけど、永遠を信じて生きていきたいなって今は思うんです。だから今回のツアーでは、そういう想いを届けたいなと思ってます。

GO:さっきも言いましたけど、僕たちにはライブしかなくて。ライブは限られた時間ですけど、自分たちが伝えたいことや表現したいことを大事にして、みんなのハートを鷲掴みにしたいです。

SHO:本当に今回の曲には自信があるし、客観的に聴いてもいいと思えるんです。だからそれをライブで100%、いや、100%以上出して「CDよりもライブの方がいいじゃん」って思われるところまで辿り着きたいですね。盛り上げるとか、伝えたいことをMCで言うとかはもちろん大前提で、自分がいいと思っている曲を伝えることにこだわるツアーにしたいです。

interview:Takeshi.Yamanaka

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