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BACKDRAFT SMITHS

4つの個性が重なる時、爆発的な化学変化を引き起こす

bds_アー写オルタナティブロックにパンクやメタル、ファンクからJ-POPまでを独自に消化したサウンドを鳴らす4人組バンド、BACKDRAFT SMITHS。音楽的バックボーンも性格も異なるメンバー同士の化学反応が、ダイナミズムに溢れたバンドサウンドを生み出している。そんな彼らが、テレビ朝日系アニメ『最強銀河 究極(アルティメット)ゼロ 〜バトルスピリッツ〜』オープニングテーマに抜擢された表題曲を含む1stシングル『I Wish』でメジャーデビューを果たす。2006年に結成した前身バンドから心機一転、改名して新たなスタートを切った4人に初インタビュー!

 

 

 

「人それぞれに道筋というのがあると思うんですけど、別に一緒に見ていなくても僕が見たものを誰か大切な人と共有できたら良いなと」

●4人は元々どういう経緯で出会ったんですか?

優:元々、ナリとコニたんは小学校の同級生で、僕とコニたんは中学校で一緒だったんですよ。その3人が高校進学で、まず揃って。リズム隊2人は軽音部でバンドを組んでいたんですけど、その時はまだ僕はバンドを全くやっていなかったんです。僕は当時から俳優の仕事もしていて、祐弥とはその現場で出会いましたね。

祐弥:その時、優はロケバスの後ろの席に1人で座っていて…。何となく寂しそうだなと思ったので「遊ぼうよ」って声をかけたところから、一気に仲良くなったんです。お互いにまだ19〜20歳くらいの時でしたね。

●そこからバンド結成に至ったのは?

優:2人でよく遊んでいる中で、「バンドをやりたいね」っていう話になって。祐弥は元々ギターを弾いていたので、僕が「知り合いでバンドをやっているヤツがいるから、今度一緒にやろうか」っていうところから始まりました。ナリは高校を卒業してからも、1年に1回くらいライブをやっていたんです。それでナリを誘ったんですけど、最初は別のベーシストと一緒にHi-STANDARD(ハイスタ)のコピーとかをやっていましたね。

●最初はまずコピーバンドからだったんですね。

祐弥:僕はメロコアが大好きで、ナリはRed Hot Chili Peppersとかが好きでファンク系のバンドを元々やっていたんですよ。でも優はJ-POPや歌モノが好きで、バンドが好きなわけではなくて。2人でカラオケに行った時に優の歌を聴いて「こんなに良い声のヤツがいるのか」と思ったのでバンドを一緒にやりたいと思ったんですけど、ハイスタすら聴いたことがなかったという…。

優:当時はバンド的な音楽を全然知らなかったんですよね。祐弥に薦められてELLEGARDENを聴いて、“すごくカッコ良いな”と思ってからハマって。そこで祐弥にバンドソングのカッコ良さを教えてもらったんですよ。他にも海外のバンドを色々と聴いたりして“こういう曲をやりたいな”というところから少しずつオリジナルをやるようになって、その中で次第に“ちゃんとやっていこうよ”っていう感じになってきました。

●そこでバンドの活動が本格化した?

優:でも当時のベースは他のバンドもやっていたので、あまりガッツリと活動ができる状況ではなかったんです。そこでコニたんが浮かんだんですけど、彼は高校を卒業してから中国に留学していたんですよね。でも夏休みで帰国した時に、スタジオに誘って。「曲もこっちが全部書くし、デビューも見えているから」みたいな感じで輝かしい未来が待っているかのようなエサを目の前にぶら下げたら、まんまと食いついてきて(笑)。

コニたん:実際、中国でもほとんど毎日遊んでいた感じで全然勉強していなかったんですよ。これからどうしようかなと思っていた時に、ちょうどそういう話をもらって。自分も音楽をずっとやっていたし、「すぐ売れるって言うし…」と思って入ってみたら、「全然売れないじゃないか!」みたいな(笑)。

一同:ハハハハハ(爆笑)。

●そんなこんなで2006年に結成となるわけですが、当初はバンド名が違ったんですよね?

祐弥:最初は“HI-GOD VOICE”という名前だったんですけど、それは仮の名前だったんですよ。メンバーでバンド名を考えている時になかなかまとまらないから、「とりあえずこの名前にしない?」という感じで付けて。

優:でも今年になって「何かちょっと違うんじゃない?」という話になったんです。

●そこで名前を変えたと。

優:まず最初に“BACKDRAFT”という単語だけが出てきて。ただこれだけだと、ちょっとゴリッとしたバンドっぽく聞こえちゃうかなと思ったんですよ。実際の音はそこまでゴリッとしていないし、それを和らげるような言葉がほしかったんです。あと、略して“BDS”になる名前が良いなと言っていたら、コニたんが“SMITHS”を出してきたんですよね。

コニたん:完全にノリで、意味はないんですけどね(笑)。

●“BACKDRAFT”(※注:密閉された空間で火災が生じた際に、窓やドアを開けると爆発的に燃え上がるという現象)と付けたのには何か理由がある?

祐弥:その言葉にインスパイアされるものが僕にはあって。空気が触れると一気に爆発する感じというか。ウチのメンバーはみんな落ち着いているように見えてケンカっ早かったりして、実は気が強い人間たちなんです。そういう爆発力のある感じから、BACKDRAFTが良いなと思ったんです。

優:そんな想いのこもったBACKDRAFTに、何の意味もないSMITHSを付けました(笑)。

●そこでバンドとしての方向性にも変化があったんでしょうか?

優:元々はもっとラウド系の音をやっていたんですけど、何か飽きてきちゃって(笑)。
そういうものは僕たちよりカッコいいバンドが周りにもたくさんいるしね(笑)。もっと僕たちらしくて新しい音にして次のステップに行きたかったんです。

●自分たちらしい音楽をやろうとした。

優:ナリやコニたんはファンクっぽいバンドをやってきたし、祐弥はメロコアやメタルとかを通っていて、僕は完全にJ-POP出身というところで面白い化学反応が起きているのかなって。どんなにゴリッとしたものを持ってきても、僕が歌うと中和されると思うんです。変に偏らず、それぞれの良いとこ取りをした上で混ざり合えている気はしますね。

祐弥:お互いの個性を活かして、かつ妥協している点も一切なく納得したものを作れたら良いなと思っていて。それを聴いてくれた人が「良いな」と思ってくれたら、すごく嬉しいですね。

●それぞれの個性を活かしながら曲を作っていくのは大変だと思いますが。

優:ウチらの曲は祐弥が全部作っているんですけど、彼はすごく柔軟に意見を聞き入れてくれるんですよ。自分の想いをこめた作品を他人に「ちょっと違う」とか言われるのって、普通はプライドを傷つけられることだと思うんですよね。でも祐弥はプライドを一番強く持っている場所が自分のエゴとかじゃなくて、BACKDRAFT SMITHSっていうバンドの想いだっていうところがすごくカッコ良いと思うし、尊敬できる部分で。

●自分のエゴを出すより、いかにバンドをカッコ良くするかを考えているんですね。

祐弥:僕が1人でやっていたら絶対にこういう音楽はできていないし、このメンバーとやっているからできていると思っていて。1人で全部作って「これだ!」って勝手に決めたものは、きっとどこかで行き詰まるんですよね。たとえば自分の曲にドラムが違うアレンジを加えたとしても「そういう発想もあるんだ!」っていう感じだし、むしろ僕が助けられているんです。だからいきなり否定するんじゃなくて、まずは受け入れてみる。やってみて「ちょっと違うな」と思ったらやめればいいだけの話で、良い悪いをはっきり判断してくれるヤツらなので逆に妥協しなくて済むんですよ。

●そういう部分が音源にも出ている?

祐弥:それぞれに育ってきた環境が違うから性格も違うし、通ってきたジャンルも違う。今までもお互いを尊重しつつやってきたんですけど、それを今回で1つにまとめられた気がしていて。全員が平等でフラットな感じが今回の作品にはあって、何かを否定したり肯定するんじゃなく統一したような感覚があるんですよ。色んな性格の4人が同じようにフラットな状態で、音を出せている。それがすごくロックだなと感じています。

コニたん:M-1「I Wish」はライブや練習でもバンバンやっているんですけど、いまだに鳥肌が立ったりしますからね。バチっと決まった時は“おお!”ってなります。

●その「I Wish」は今回の表題曲でアニメ『最強銀河 究極(アルティメット)ゼロ 〜バトルスピリッツ〜』のオープニングテーマにもなっていますが、元々あった曲なんですか?

優:前からあったんですけど、元々は別のタイトルで。(アニメの放送が朝なので)「すごく朝っぽい曲だから良いよね」と言っていたんですが、元々の曲名は「満月」だったという(笑)。そこで“これから始まる1日に”という感じに、祐弥が歌詞を少し書き換えてくれて。

祐弥:大きく変えたというわけではなくて、朝に聴いてテンションがアガる感じだったり、より多くの人が共感できるように軽くいじったというくらいですね。

●「I Wish」というタイトルに込めた想いとは?

祐弥:歌詞の中に“my wish”という言葉が出てくるんですよ。“自分が見たものや感じたものを全て君と一緒に感じられるのが僕の願いなんだ”という意味を込めています。人それぞれに道筋というのがあると思うんですけど、別に一緒に見ていなくても僕が見たものを誰か大切な人と共有できたら良いなというか。

●疾走感のある「I Wish」から一転して、カップリングのM-2「Planetary Nebula」はバラード調の曲ですが、これもバンドが持つ別の側面を表している?

優:そうですね。ライブでは最近バラードをあまりやっていなかったんですけど、僕は歌モノが元々好きなのでそのあたりを反映した感じです。

コニたん:2曲入りのCDと決まった時に、ちょっと色の違った曲でいこうかと思って。

祐弥:“陰と陽”というか。やっぱり僕自身の性格としても強い部分もあれば、打たれ弱い部分もあるから。

ナリ:そういった意味でも僕ららしい2曲に仕上がっていると思います。

●改めて今回の作品を振り返って、どんな作品になったと思いますか?

ナリ:元々ラウド系の重たい感じの曲を主体にライブをしていた頃は、他にない爽やかなタイプの曲だったのでアンコールのシメとかでよく「I Wish」をやっていたんですよ。みんなで一緒に盛り上がれるし、自分自身もすごく好きな曲で。当時も「こういう感じの曲をもっと増やせば良いんじゃないか」と周りから言われていたし、こういう曲調が僕らの新しいスタイルなのかなと。これから新たにBACKDRAFT SMITHSとしてやっていく第一歩として、すごく良い作品になったと思います。

●新たなスタートを切る作品というか。

優:「I Wish」ができてメジャーデビューするというところで、気持ちも新たにしていきたいというのはありますね。色んな想いがこもった曲なので、それをみんなに共有してもらえたら良いなと思っています。カップリングに関しても僕たちらしいところを見せようというところで「Planetary Nebula」を入れたし、やっぱりライブにも来てほしい。12/8にワンマンがあるので、そこにも色んな想いを込めて全力で行きたいです。

コニたん:メジャーデビューということで色んな人が関わってくれて、今まで応援してくれていた人たちもすごく期待してくれているんです。だから今まで以上のものを背負っているというプレッシャーも当然あるんですけど、それは自分たちで乗り越えていかないといけない壁だから。しっかり乗り越えて、成長したBACKDRAFT SMITHSを見せられたら良いなと思っています。

Interview:IMAI
Assistant:森下恭子

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