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BULL ZEICHEN 88

自らの限界を超え続ける本物のフェイクスター

2006年、淳士とIKUOを中心に結成されたBULL ZEICHEN 88。

4人の経験に裏付けられたヘヴィかつテクニカルなプレイを基盤に、斬新なアイディアと各メンバーの個性が渾然一体となった彼らの表現は、唯一無二にして誰にも真似のできないもの。

結成以来7枚のシングルをコンスタントにリリースしてきた彼らが、待望の8作品目…1stアルバム『アルバム』を8/8にリリースする。
今回は栄二郎とIKUO、そしてステージでは一切発言のないSEBASTIANの3人を迎え、BULL ZEICHEN 88というバンドの本質に迫った。

Interview

「どこにでもいるようなバンドじゃなくて、観たいと思うようなバンドにならないとBULL ZEICHEN 88をやる意味がない」

●SIAM SHADEをやっていた淳士さんとLAPIS LAZULIをやっていたIKUOさんの2人が始めたという経歴からすると高い技術を持っていることは明白だし、事前に音も聴いていたのでBULL ZEICHEN 88のイメージはなんとなく想像していたんですけど、去年初めてライブを観たときにちょっとびっくりしたんですよね。なんというか、すごく人間味があるライブで。

IKUO:テクニック志向のバンドだと思っていたけど、違ったと?

●そうそう!

IKUO:そういう志向は一切ないですね(笑)。

一同:(笑)。

●それは栄二郎さんのステージングに依るところも大きいと思うんですが。

栄二郎:僕はもともとテクニカル畑ではなかったんですよ。どっちかというとパンクやエモ系のバンドばかりで、感情を出すタイプで。化粧もこのバンドで初めてするくらいのノリだし。

IKUO:SEABASTIANはミクスチャーバンドをやってきたし。僕と淳士くんの経歴からテクニカルなバンドを想像されることも多いんですけど、僕はこのバンドを組むとき、パンクバンドがやりたかったんです。僕は昔からメロディックパンクバンドも大好きなんで。だからこのバンドを組むときにパンキッシュな人間に声を掛けたんです。さっき「人間味があるライブ」とおっしゃって下さいましたけど、それは栄二郎とSEBASTIANという2人の存在が大きいと思います。

●なるほど。

IKUO:僕と淳士くんがバンドを組むというときに陥りがちなのは、すごく上手いギタリストとヴォーカルというパターンだと思うんです。でもそれはすごくつまらない。どこにでもいるようなバンドはやりたくなかったんですよね。ライブではグチャグチャになるバンドというか、ロックがやりたかった。

●なるほど。そのライブも6年間で変わってきたんでしょうか?

SEBASTIAN:変わりましたね。

IKUO:うん。テクニカルでおもしろい部分というのはお客さんもわかってるし、それはミュージシャンシップとしての個性としてあって当然だと思うんですけど、ライブはそこじゃない。どれだけ盛り上げることができるかというところでの勝負しかないと思っていて。だからといって、シンプルなパンクの曲を作ってライブで色々とパフォーマンスをしよう、とも思わないんです。それも普通のバンドですからつまんない。

●うんうん。

IKUO:要するにつまんないことをやりたくないだけなんですよ。どこにでもいるようなバンドじゃなくて、観たいと思うようなバンドにならないとBULL ZEICHEN 88をやる意味がないというか。そういう意味では、他のバンドにはないものを出したいのかもしれないです。例えそれが爆発的に売れなくても、「BULL ZEICHEN 88のライブすげぇおもしろい」と思う人が増えてくれればいいというか。だから好き勝手やるだけなんです。

●4人の中の自分の立ち位置みたいなものもだんだん変わってきたんでしょうか?

SEBASTIAN:そうですね。一緒にバンドをやったことがないメンバーだから、最初はそれぞれの個性もわからないじゃないですか。だから最初の1年とかは探り合いですよね。でもやっぱりそこから生まれてくるものだったり、喧嘩したり色んなことがあったりして、3枚目のシングル『ボイマヘ』(2008年1月)辺りからパーンと変わった感じ。

IKUO:1、2枚目はほとんど僕が曲を書いていたんですけど、3枚目辺りからそれぞれがわかってきたから他のメンバーもどんどん曲を作るようになって。メンバー個々の本性が出てきたことによって、バンドの音楽性もより広がったんです。だから今はすごく"バンドっていう感じです。バンドの楽しさのひとつは、自分の想定や理想を上回ることだと思うんですけど、そういうことがBULL ZEICHEN 88ではたくさんあるんです。

●いいことですね。そういう6年間を経て、8/8に1stアルバム『アルバム』をリリースするわけですが、非常に濃いアルバムですね(笑)。

IKUO:そうですね。1曲1曲一生懸命作ってきたら結果的にどれも濃い曲ばかりになったという。アルバムを作ったことなかったですからね(笑)。今までの活動のベスト盤的アルバムです。

●PVになっているのは新曲のM-1「モンスター ~3/4 No good job night one shows~」ですが、この曲は1曲の中に色んな要素が入っていますよね。ゴリゴリと激しい部分もあればキャッチーな部分ももちろんある。と思ったら後半の間奏はカオスになる。アレンジは歌メロにリンクさせつつ、多面性のある楽曲で。そういう志向性はこの曲だけじゃなくて、BULL ZEICHEN 88のすべての音楽に共通することだと思うんですけど、単純に歌メロを作ってそこにアレンジを施しただけではこういう曲はできないと想像するんですが。

IKUO:基本的にヘヴィなものとポップなものを融合させる、ということがコンセプトなんですよ。両方の美味しいところ獲りというか、騒いでモッシュもさせたいし、キャッチーなサビも聴かせたい。どちらかに寄りたくないんです。最初から最後までポップも嫌だし、最初から最後までコアなものも嫌。多くの場合は最初にサビを作るんですが、「美味しいサビができた!」となったとき、次は「美味しいサビをどうやってAメロBメロで崩すか?」というアプローチになるんです。

●聴いてて思ったんですけど、特に「モンスター ~3/4 No good job night one shows~」なんて、サビ以外の部分はすごく歌うのが難しいんじゃないですか?

栄二郎:そうですね。正直な話、クリックを聴きながらリフを聴いているとわかんなくなるんですよ。だからレコーディングのときは自分でカウントを入れましたもんね。しかもウチはプリプロというものがないので、更に大変で(笑)。

●あ、プリプロは録らないんですか。それは大変ですね(笑)。

IKUO:僕は結構緻密にデモを作ってくるんですけど、レコーディングの現場で個々のアイディアが入って、曲が変わっていくんですよね。それがすごくおもしろいんですけど、例えば栄二郎は作詞を担当している淳士くんからスクリーモのディレクションとかも入ったりするので、余計に大変だという。

栄二郎:最初の頃はそれでもうパニックですよ。でもここ3作くらいは"きっとそうなるんだろうなということがわかってきたので(笑)、真っ白の状態で制作に挑むようになりました。ほぼ変わらない歌メロだけ完璧にして、後は真っ白な状態。

●何度もやるうちに、タフな作り方に対応できるようになったという(笑)。

SEBASTIAN:レコーディングはいつも自分の限界に挑戦する感じなんですけど、今回は新境地でもあったんです。M-10「Eden」は僕が作ってきた曲なんですけど、これは「Garden」(2011年6月リリース『カモン!!~メガトン未来~』収録)の姉妹曲なんですよ。この曲は英語詞ですけど、歌詞の内容も続編というか、アンサーソングになっていて。栄二郎は英語で歌うこともあまりなかったから、一緒にスタジオに入って2人で歌詞についてやり取りをしたりして。

栄二郎:もともと僕は英語で歌うことが嫌いなんです。自分の中に英語というものがないし、それを単語で発したとしても、自分がわかってないものを人に伝えるなんて無理じゃないですか。でも「Garden」と「Eden」はSEBASTIANが「どうしても表現したいことがある」と言って作った曲だったので、だったら発音から意味からちゃんとやろうということで2人で色々とやってきたんです。制作は毎回そういうことがあるので、4人とも常にスキルアップしてるんじゃないでしょうか。

●バンドとして新しい表現をしようとしたとき、各自が自分に無いものを手に入れないと成立しないんですね。

IKUO:そうそう。だから毎回せめぎ合いです(笑)。

SEBASTIAN:このバンドは特にそれが多いですね。

IKUO:特に淳士くんの発想が独特なんですよ。例えばM-6「アライブ」のエンディングのコーラスとか、最後1回だけ変わるんですよ。それが僕なんかはまったく発想になくて、最初は冗談だと思っていたんです。そしたら「おもしろくない?」って。このバンドはそれが「いいね、おもしろいんじゃない」で通っちゃうんです。

●ああ~。

IKUO:そこで「なんか変だよ」と言う人が1人もいなかった。それはこのメンバーの人の良さなのか、淳士くんのおもしろさを絶対的に信頼しているのかはわからないですけど、「おもしろければいいじゃん」っていう価値観というか柔軟性があるんです。それが僕はすごく好きで。特に淳士くんは思い付きが形になる人なんですよね。

栄二郎:そういうアイディアが出たとき、メンバーみんなが笑うんですよ。それってすごくいいことですよね。お客さんも笑うわけですから。

SEBASTIAN:普通でいたくないというところですね。真面目にこなすことだけはやりたくない。そこに遊び心がないと絶対に嫌だねっていう。

IKUO:そう。遊び心がないと。

SEBASTIAN:淳士くんはそこが基本だと思います。別にドラムに執着しているわけでもなく。

●え? あんなにドラムセット大きいのにですか?

栄二郎:エンターテインメントとしてトータル的に考えたとき、その中の1つの要素としてドラムがあるんです。

IKUO:ドラムは個性的だし派手だし手数も多いですけど、それが自分なりの表現だと思っているだけというか。だから「BULL ZEICHEN 88は本格的なバンドです」とか恥ずかしくて言えないですよ(笑)。どっちかと言うとエンターテイナーです。

栄二郎:だから僕らはフェイクスターでいいと思っていて(笑)。

IKUO:そうだね(笑)。

SEBASTIAN:そういう意味では、僕はBULL ZEICHEN 88でかなり変わりました。もともとロックに対する自分なりの美学を持っていて、そこをしっかりとしたいタイプだったんです。でも「間違っているわけじゃないけど、ここではちょっと違うよ」と教えてもらった気がします。自分の足りないものを気付かされたというか。それでだいぶ変わってきましたね。

IKUO:そういう意味では俺も変わったよ。1枚目のシングル『Infinity』(2007年5月)の頃とかギャグも何もなくて真面目に音楽をやっていたんですけど、2枚目のシングル『flywar』(2007年8月)辺りからちょっとずつ変わっていった。

SEBASTIAN:そうだね(笑)。

栄二郎:僕はさっき言ったようにパンク出身だったので、最初から淳兄ぃ(淳士)のアイディアに乗っかっていけたんですよ。でも2人はそれぞれ美学があったからね。

IKUO:僕はテクニカルな美学があって、SEBASTIANはロックの美学があって。だから4人ともルーツがまったく違うんですけど、淳士くんがリーダーである由縁というのが、うまく今のBULL ZEICHEN 88に繋がっていると思います。

●いいバンドですね。ところで最後にアルバムタイトルのことを聞きたいんですが、『アルバム』って…。

IKUO:これも淳士くんのアイディアです(笑)。

SEBASTIAN:「『アルバム』ってどう?」ってゲラゲラ笑いながら。

IKUO:有り得ないですよね(笑)。

SEBASTIAN:でも否定のしようがないというか。

●ハハハ(笑)。

IKUO:さっき言ってた美学もクソもないですよね(笑)。

栄二郎:"写真のアルバムという意味でのアルバムですね。だからメモリアル・アルバムです。

SEBASTIAN:昔から言ってるんですけど、頭の堅い人は本当に嫌いなバンドだと思います。

●アハハハハハ(笑)。

SEBASTIAN:でも決して投げっぱなしではないんですよ。

IKUO:想像がつくのはつまらないですからね。

Interview:Takeshi.Yamanaka