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coldrain Vo.Masato × SiM Vo.MAH

“OUTBURN TOUR 2013”2ヶ月連続特集第1弾 coldrain Vo.Masatoの半生に迫るロングインタビュー

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coldrain Vo.Masatoの半生に迫るロングインタビュー

時代を築きつつある若きラウドロックシーンの雄、coldrainとSiM。結成時期も活動をスタートさせた場所も違うこの2バンドは、まるで磁石が引かれ合うようにシーンで出会い、常にお互いを意識し合い、常に切磋琢磨しながらそれぞれの活動規模を大きくしてきた。そんな彼らが、HEY-SMITHとの3者で昨年春に開催した“TRIPLE AXE TOUR”から1年後となる今春、2バンドヘッドライナーとして“MONSTER ENERGY OUTBURN TOUR 2013”で激突する。JUNGLE☆LIFEではその2バンドのヴォーカリストMasatoとMAHに焦点を当て、2ヶ月連続のロングインタビュー特集を展開。今月号では現在アメリカレコーディング真っ最中のcoldrain Vo.Masatoにスカイプで迫り、その半生について訊いた。

アメリカレコーディングと、Masatoのロックとの出会い
「自信も全然ないし、自分がイケてるなと思ったことはなかったんです。歌ってるくせに自分の声が嫌いだった」

coldrain●今アメリカでアルバムを絶賛レコーディング中なんですよね?

Masato:そうですね。

●どうですか、何か見えてきましたか?

Masato:そうですね、かなり。ひと味違いますね。

●おっ!

Masato:こっちに来てから特になんですけど、今までやってきたことを全部1回忘れて作ってる感じなんです。過去の曲が今まったく頭に入ってなくて。“今、何をやるか?”みたいな感じがあって。国内も国外も、周りが何をやってるかっていうのもまったく考えてなくて。1回こっちの環境に来てスタジオに入ると、情報とかにもいい意味で疎くなるっていうか。ネットとかはあるんですけど、基本的に普段の環境から離れてるので、自分たちのやってることにしか集中してないっていうか。だから新しいものができてるんじゃないかなっていう。

●楽しみですね。

Masato:バンドとしては新しい試みもあったりして。今までやらなかったことが音源として足されるんですけど。こっちに来て、5曲書き直したんですよ。

●何曲持っていったんですか?

Masato:10曲くらい持ってきて、4曲くらい捨てました。

●4曲捨てた?

Masato:はい(笑)。

●ハハハ(笑)。12月から行ってるんでしたっけ?

Masato:そうです。来て早々にイチから作れるだけ作るぞっていう状態に入って。今までっぽい曲はなくなりました。

●今までのcoldrainを知ってる人からしても「おっ!」と感じますか?

Masato:まず、まったく聴いたことがない音が入ります。

●おおっ!

Masato:バンドメンバー以上の音がありますね。事務所の社長も知らないことですけど。
事務所の社長:知らなかったです。

●今語られる初めての事実!

Masato:壮大な楽曲はすごく壮大になります。バンド5人の力以上のものを入れることにしたので。

●そういうことができるのは、ブレない自信みたいなものが今までの活動で構築できたからなんでしょうね。

Masato:そうですね。そのバランスはもちろん考えていて。でも新しい音と言っても、それはもちろんバンドとしての幅を超えるものではないんです。味っていうか、深みっていうか。付け足されるだけなので。

●楽しみにしています。ところで今月号ではMasatoくんの26年間を振り返りたいんですけど、子どものころのMasatoくんはどんな子だったんですか?

Masato:子どものころ…シャイでしたけどアクティブではありましたね。中1くらいのときに自分でロックに目覚めたんです。いちばんハマッたのはLimp Bizkitなんですけど、その前に人生で初めて買ったシングルがB'zの『LOVE PHANTOM』だったんです。それが小学4年生なんですけど。そのころからもしかしたらやっぱりロックだったのかなっていう。

●ロックなサウンドに何か響くものがあったんですか?

Masato:そうですね、なんとなくですけど惹かれたんです。その後、中学校に入って洋楽のアーティストを聴いて“かっこいいな”と思って。服もダボダボなものを着たり、キャップかぶったり、みたいな。

●いわゆるラウドロックの洗礼を受けたと。

Masato:でもそういうのが周りでは流行ってなかったんです。国際学校に行ってるのに、洋楽聴いてる人が全然いなくて。それこそ「Slipknot聴いてる」って言ったら「叫んでるだけじゃん!」みたいな。ラウド系といわれる音楽が日本では全然知られていなくて、Linkin Parkまでくらいはマイナーで。ツアーとかで来てましたけど、僕の周りでは知っているやつが全然いなくて。

●なるほど。

Masato:だからロックの話ができるやつを無理矢理作ったんですよ。サザンオールスターズとかMr.Childrenとかを聴いてる奴に、めっちゃヘビーなやつを聴かせて。

●ハハハ(笑)。

Masato:「聴いてみろよ!」みたいな。それでドラムを始めたのがKatsumaなんです。

●あっ、そこにKatsumaくん居たんですか(笑)。

Masato:当時、あいつはずっとゲームをやってただけなんですよ。あいつは『ダンスダンスレボリューション』がうまくて、「お前リズム感あるからドラムやったら?」って(笑)。

●ということは、彼はゲームがきっかけでバンドを始めたのか(笑)。

Masato:超ゲーマーなんです。

●そのころからバンドやりたいと思い始めたんですか?

Masato:そうですね。ゲームが音楽に変わったんですよ。みんなゲームしかやってなかったのが音楽に一気に変わったっていうか。スタジオに入るようになって。まったくギターが弾けないときから、僕は“オリジナルがやりたい”と思っていたんです。コピーするのが好きじゃなくて。

●そうだったんですか。

Masato:コピーも楽しいんですけど、最初から作りたいという気持ちがすごくあって。コピーすると同時にオリジナル曲を作り始めました。

●最初に作った曲どんな感じだったんですか?

Masato:いやもう超ヤバいっす。何も知らないし、理論的なことをまったくわかってないから。キーとかが勝手に変わったり、もう音楽として間違ってる(笑)。

●英語の曲?

Masato:英語ですね。カセットテープに録音してました。最初にライブしたときはさすがに全部コピーだったんですけど、僕らはまったく人に媚びるコピーをしないんですよ。学祭で盛り上がるからって人気の曲とかまったくやらなかったんです。

●ハハハ(笑)。わかる気がする(笑)。

Masato:みんな知らないのにガンガン頭振って。盛り上げようとして全然盛り上がんない、みたいな。それが中3くらいですかね。

●そういうのが楽しかった?

Masato:かなり楽しかったです。でも僕は中高のときは“このまま音楽をやっていきたい”という気持ちはそこまでなかったんです。将来のことがピンときてなくて。高校のときにバンド仲間が増えたり、ライブハウスに出るようになって、徐々にそういう気持ちが芽生えた感じですね。

●音楽で食っていこうとか、そういうことは最初まったく考えなかったんですか?

Masato:考えなかったです。自信も全然ないし、自分がイケてるなと思ったことはなかったんです。歌ってるくせに自分の声が嫌いだったし。CDもあまり出したくなかったんです。

●え? coldrainをやり始めたころも?

Masato:そうなんですよ。“納得いくまで出さねぇ”と思ってて。納得なんて一生できないんですけどね。

 

今のMasatoを形成する両親からの影響
「そのときに自分としても初めて自信を持ってバンドの話ができたんです。信念を持ってやっているかというところで」

●Masatoくんと話していると真面目な性格だと思うことがよくあるんですけど、昔からそういうところがあったんですね。

Masato:親のせいなんですけどね。現実的なところはあります。

●現実的なところ?

Masato:ここ1年くらいはなくなってきたんですけど、今まではすごく現実的っていうか。あまり変なチャレンジをしてないっていうか。真っ直ぐやってきただけなんですけど、でも最近はもうどうでもよくなりました。何をしてもいいかなって。ダメだったらダメでいいやと思えるようになった。

●ご両親が真面目なんですか?

Masato:そうなんですよ。すごく真っ直ぐで、2人ともかなり安定志向なんです。親父は貿易をやっているんですけど、それを知ったのは最近で。ここ2〜3年くらいですかね。俺、親父はすごく安全な人だと思ってたんですけど、実はめちゃくちゃ野望だらけだったんですよ。

●ハハハ(笑)。

Masato:そのことは20歳過ぎるまで知らなかった。親父が実はどれだけリスクを負って仕事をやっているかということを知らなかったんです。うちの親父、会社のやり方が気に食わないと思ったら独立してるんですよ。社長の跡を息子が継ぐとか大っ嫌いなんです。全員連れて会社辞めるんです(笑)。

●人生のギャンブラーだ!

Masato:そうですそうです(笑)。自分で作っていかなきゃ気が済まないみたいな。

●めっちゃロックな生き方ですね。かっこいい。

Masato:しかもそれで何度も訴えられたりしてますからね。

●ハハハ(笑)。前の会社の人に?

Masato:そうなんですよ。でもそれが親父は上手くいってて。親父が何か仕事であるたびに家族会議があって「我が家はヤバいです」みたいなこと聞かされても、なんだかんだ大丈夫だったんです。なんかすごいなーと思って。親父はなんだかんだあっても、自分がすっげぇやりたいことをずっとやってきたんです。

●自分がやりたいことのために戦ってきたんですね。

Masato:「気に食わなかったらやめる!」「でもそいつらには勝つ!」みたいな。諦める方の“辞める”じゃなくて、“倒すために辞める”みたいな。でも親父はいい大学を出ていて、親父の中では“やりたいことをやるのは大学を出てから”っていうのがあったので、僕には厳しかったんです。ここ2〜3年でそういうことを知って、そこから僕も考え方が変わりました。

●親父さんのことを理解したタイミングで変わったと。

Masato:そうですね。その話を聞かされたのもバンドでちゃんと独り立ちしたからっていうか。ちゃんとバンドだけで色々とやっていけるようになったとき、たまたまそういう話をする機会があって。初めてしっかり親父と飲んだときにそういう話を聞いたんです。

●親子というより男と男で?

Masato:そうですね。そこまではまったく認めてもらえなかったんです。「いつになったらバンドをやめてしっかり働くんだ?」みたいな。

●あらら。

Masato:めっちゃありましたね、うちの親は。

●でもお父さんと話したのは大きなポイントですね。

Masato:そうですね。やっぱりそのときに自分としても初めて自信を持ってバンドの話ができたんです。信念を持ってやっているかというところで。それ以来はお互いリスペクトし合ってるというか。

●お母さんはどういう人なんですか?

Masato:母さんはアメリカ人なんですけど、もともと教師をやっていて。だから僕が英語ができる理由は本当に母さんのおかげなんです。叩き込まれたんですよ。小さいころから家では母さんとは絶対英語で話すっていう。やっぱり両方の言葉をちゃんと身につけて欲しかったんだと思うんです。小さいころから英語をずっとやっていたから、今は全然違和感がないというか。特に、例えばアメリカに来て1週間とか経つと、自分の中にアメリカ人なところがあるなと自分で思います。会話もすごくスムーズにできるようになるし。こっちに来ると一気にその感覚が戻りますね。昔は英語が大っ嫌いだったんですけど。

●あ、嫌いだったんですか。

Masato:嫌いでした。だって小学生のころとか、特にあの時代はまだハーフって周りにあまりいなくて。ひとりだけ母さん外人だし。

●確かに。

Masato:そういうのがすげー嫌だったんです。授業参観とかで明らかに目立つじゃないですか。僕自身も目立ってるし。ずっと浮いてるという感覚がありました。いつまで経ってもそうやって人に見られてるっていうか。徐々に慣れちゃったのかな、そういうのは。

●Masatoくん自身は、自分がハーフであるということに関してはどういう感覚なんですか?

Masato:26年の人生で言えば、最初の13年は嫌でした。残りの13年はハーフでよかったなと思ってます。ちょうど半分くらいは得してるなっていうところもあるし、その分損してるなって思う部分もある。好きだった女の子に「外人顔が嫌だ」と言われたときは結構ヘコみました。

●それめちゃくちゃヘコむやん!

Masato:ハハハ(笑)

●ものすごい屈辱。

Masato:結構ヘビーですよ。日本人じゃない時点で、半分外人という時点でもうアウトですからね。そこで終わりですから(笑)。

●それはひどいな。

Masato:でもアメリカのいろんな文化が日本人とは違う風にわかるし、自分は普通の日本人と考え方がやっぱりちょっと違うのかなって思う部分もあります。僕の中には日本人の部分もあれば、アメリカ人の部分もある。

●自分の血にそういう部分を感じるんですか?

Masato:視点がなんか違うなっていう感覚はありますね。大人になってだんだん出てきたなと思うし、最終的には両方のいいところを取れたらなと思いますけど。まあそのバランスが難しいですけどね。英語でアメリカ人としゃべっていると、すごく豪快なんですよ。言うことが全部アメリカのスタイルなんです。それが必ずしも日本で通用するわけじゃないというか、人に届くわけじゃないし。

●確かにそうでしょうね。

Masato:バンドでいうとMCとかに関係してくるのかな。“思ってることを全部言えばいいわけじゃねえよ”みたいな考え方もあるじゃないですか。そういう“言いたいことを言える”っていうアメリカ的な感覚を持ってるからこそできることはあると思うし、逆に日本のバンドとして海外に行くことがあったら、日本人としてできることがあるかもしれない。ハーフということで、そういうことが楽しみになりました。誰もやってないことっていうか、していないことができる。

●確かにそういう立場だからこそできることはある。

Masato:“日本人ではない”と思われていたのが悔しかった部分も絶対あるし、今となってはどこに行っても“違う”と思われたくないというか。日本だったら“日本人だ”とすごく思われたいし、同時に“外国人だ”とも思われたい。その両方のアイデンティティをなおさら強く表現したいっていうか。そういう想いがでかくなった気はします。

●うんうん。

Masato:昔は嫌だったんですよ。どっちかでよかった。でもバンドをやっていく中でそれが変わった感じがありますね。

 

心境の変化とヴォーカリストとしての成長
「自分のできないこととか自分のダメなところを表現することによって、それを吐き捨てて違うものに変えることができる」

coldrain-23●ところでMasatoくんはピンヴォーカルというものに対してはどう思ってるんですか?

Masato:どうなんだろうなぁ…確かに楽器が弾けたらいいなとは思いますけど、やっぱり歌というものに100%集中したいかな。きっとギターを弾きながら100%集中できる人もいるんでしょうけど、僕の場合はそれが自然にできなかったというか。全身全霊を入れるっていうか、やっぱりピンヴォーカルじゃないと100%歌にはいけないと思った。あと、単純にギターヴォーカルって常に何かやらなきゃいけないんですよね。

●そうですね。

Masato:歌ってるか、弾いてるか、歌いながら弾いてるか。昔はピンヴォーカルの何もやることがない時間が嫌だったんですよ。coldrainの前にギターヴォーカルでバンドをやっていたんですけど、弾いてるか歌ってるかだったので、常にやることがあるからいいなと思ってたんです。でも今は何もやってない瞬間のほうが好きなんですよね。

●あ、そうなんですね。

Masato:飛ぶだけでいいとか、ダイヴしても音は鳴り続けてるとか。そういうのがすげえ自分としては好きになった。そういう意味では、僕の中では逆に幅が広がった感覚があります。表現としてできることは多いし、機材のことを心配しなくていいし。

●うんうん。

Masato:そういうのが好きですね。ギターヴォーカルに対して“かっこいいな”という憧れはありますけど、でも僕は一生ピンでやるんじゃないかなと思います。

●あと、coldrainというバンドはどんどん変わってきたという印象があるんですが、Masatoくん自身はどう思っていますか?

Masato:今、常に1年単位で信じられないですもん。

●え? 過去の自分たちが信じられないということ?

Masato:はい(笑)。感覚が常に変わってるんです。逆に後輩のバンドとか見ると、10代後半とか20代前半ですげえ定まってんなって感じがするやつはすごいと思います。Fear, and Loathing in Las Vegasとかが最初に出てきたときに“すごいな”と思いましたもん。1stアルバムであれだけちゃんと定まってるのはすごいなと。感心のみですよ、本当に。俺らなんか、今でもなんか常に自分たちを探してるっていうか。

●そういう感覚なんですか。

Masato:良く言えば常に1stアルバムの気持ちっていうか。だから安心感はないですね。何をやっても。安定してるとも思わないし、ちょっとしたことでCDなんて売れなくなるだろうし、人も来なくなるだろうし。もちろん長い間サポートしてくれてる人はいっぱいいるんですけど、感覚としては“すげえ俺らいい感じだな”とか“やってきたな”っていうのはないです。CDを出すたびに不安はありますし。自分たちが作ったものに自信があるだけに“ダメだったらヤバい”みたいな気持ちも常にある。でも、それが今回は初めて気にならないんですよね。諦めとかじゃないんですけど、“もういいや”みたいな。

●最近そういう心境になれたとさっき言ってましたね。

Masato:だからやってることが初めて定まってるというか。毎回定まってはいますけど、今作っているアルバムは、初めて無謀なことというか、今までやってないことをやりたいと思えた1枚になるのかな。

●そういう感覚か。なんか新鮮ですね。

Masato:coldrainは常に危険ですよ、かなり。

●デビュー前後から知っていますけど、それほど危険な雰囲気はないですけどね。でもライブが変わってきたのはすごく印象深いんです。僕が初めてライブを観たのは1stシングル『Fiction』(2008年11月)を出す前後くらいの下北沢MOSAiCなんですけど。

Masato:もうそんなのヤバ過ぎですよ(笑)。

●ハハハ(笑)。

Masato:下北沢MOSAiCなんてヤバ過ぎですよもう(笑)。

●お客さんを煽って「みんなで楽しもうぜ!」みたいな感じのライブだった(笑)。

Masato:「そんなんじゃ盛り上がるか!」みたいな感じですよね。

●今から思えばね(笑)。

Masato:ハハハ(笑)。そんなこと今はわかってますからね(笑)。自分でもヤバいなって思いますもん。

●でも、言ってることとか表現したいことは当時から一貫している。

Masato:うん。やってることが変わってるとは思わないです。それが不思議ですよね。例えば言ってることは一緒だけど、自分でもその感覚が違うんですよ。説得力じゃないけど、やっぱりやってきた分だけ自分の言葉にも力が生まれるのがなんとなくわかるし。言いたいことに裏付けがちゃんと付いたっていうか。“かっこいいから言う”とか“いい言葉だから使う”とか、そういう感覚が減ったっていうか、今はまったくないんです。歌詞に関してもそうだし、MCに関しても。「盛り上がって下さい」じゃなくて「行くぞ!」みたいな違い。そういう気持ちの違いがあります。

●うん、そうですね。ライブを観たらそれは明らかですね。

Masato:そうですね。

●その話に関係するかも知れないんですが、Masatoくんのライブに於ける佇まいがいい意味でふてぶてしくなったと思うんです。それは前回のインタビューでKatsumaくんも言っていたんですけど、自信というか。以前と比べてすごく大きな違いだと思っていて。

Masato:中身は雑魚ですけどね(笑)。

●中身は雑魚なのか(笑)。

Masato:でも弱みを…自分の弱いところを弱みにすることをやめたんです。

●弱いところを弱みにすることをやめた?

Masato:弱さも武器にしようって。別にできないことをやるわけじゃないから、不安も武器にするっていうか。歌詞だと、自分のできないこととか自分のダメなところを表現することによって、それを吐き捨てて違うものに変えることができる。自分に対して正直になることもそうだし、人が以前と比べて理解してくれるようになったし。さっき言ってたみたいに、盛り上がってもらおうとするんじゃなくて、“盛り上げる”という気持ちに変わったんです。できなかったらそれまでで、自分ができることをやるっていう気持ちに変わったんです。“何かができていない”と思うことじゃなくて。

●徐々にそうなっていったんですか?

Masato:そうですね。人にどう思われているかというのが気にならなくなりました。気になんないわけじゃないですけど、“盛り上がってなきゃダメ”というよりも、“伝わってなきゃダメ”という価値観になった。

●うんうん。

Masato:“こういうことをちゃんと伝えていきたいな”という気持ちが芽生えたのもあります。自分から言えることも増えたし、“言いたい”と思えることも増えた。足りていないと思うことを常にプラスアルファなものにしたというか。

●いいことですね、それは。

Masato:だから今アルバムを作っていて思うのが、歌詞で自分と戦うことが減りました。それは初めてのことなんですけど、人と戦うようになったというか。もちろん自分の中身とも戦うけど、やっぱり改めて言いたいことがあるぞと。自分の中身と戦えてないやつに対して言いたいことが増えましたね。

●それは本当に心の中から出てきた、Masatoくんが言いたいことなんでしょうね。

Masato:そうですね。言いたいなと思うことが増えました。そういうところは以前と違いますね。たぶんステージ上でもそういうのが変わったのかなって。

●はい。

Masato:だから失敗するときは思いっきりコケるし、うまくいったと思うときは今まで以上にうまくいくようになったし。両方のピークが変わった感じです。

●さっきのお父さんの見方が変わったということもあるし、色んなことが色々と影響してるんでしょうね。

Masato:今までは“がんばればうまくいく”と思ってた部分が強かったんですけど、“人生にはがんばってもうまくいかないことだってある”というところにいきました。だからこそ、なおさら自分がやってることを失敗させたくないという気持ちが強くなった。考え方に影響を与えることができても、人間を変えることはできないし。そういう風に変わりましたね。

“OUTBURN TOUR 2013”を共にする盟友・MAHについて
「そろそろお互い本気で戦い始めた(笑)。もう兄弟みたいになってきましたね。だから話さなくてもなんとなくわかるんです」

PHOTO_Masato03●“OUTBURN TOUR 2013”ではSiMと2バンドでヘッドライナーを務めるわけですが、MasatoくんにとってSiMのMAHくんはどういう存在ですか?

Masato:何なんだろうな(笑)。僕の中では正反対な存在ですね。

●正反対?

Masato:MAHって僕と正反対なところと、共通しているところがあるんですよ。バンドに対するベクトルとかツアーに関する考え方はすごく共通しているんですけど、ヴォーカリストとしての感覚とか表現とかの考え方が結構違ったりしていて。

●ああ〜、なるほど。

Masato:バンドとしては一緒にされがちなところもあるんですけどね。SiMとcoldrainってやっぱり音楽性が近いところもあったりするし、お互い予想外のことを結構やるし。そういう刺激は常にあるし、次の動きがいつも気になるということもありますね。どう動いてくるとかっていうのがすごくおもしろいし、見ているといちばん悔しいです。

●いちばん悔しい?

Masato:というか常に悔しいですね。例えば対バンして、どっちかが盛り上がっていてもそうじゃないところが見えるんです。どっちのほうがいいライブをしてるかっていうのが見える。いかにお客さんを盛り上げたとか、そういうところじゃなくて。「あれができてるな、あいつは」みたいな。そういう瞬間があったり、長い間見てきているだけに、やっぱり成長とかもわかるし。そういった悔しさもあるし、嬉しさもある。

●お互い知っているからこそですね。

Masato:今の状況としてはSiMがたくさんの人に知られて、逆に俺らより知られているみたいな感じが僕は単純に嬉しいんです。一時期はcoldrainがSiMを追いかけて、次はSiMがcoldrainを追いかけて、みたいな。今coldrainはSiMを追いかけてるのか追いかけていないのか何とも言えないところに来ていて。常に“一緒に登っていくぞ”という感覚が嬉しいし、楽しいですね。

●このツアー、すごいことになりそうですね。

Masato:そうですね。今回は特にそうなると思います。去年の“TRIPLE AXE TOUR”を経てですからね。戦う感はあのときとは比じゃない。

●比じゃないのか(笑)。

Masato:“TRIPLE AXE TOUR”はHEY-SMITHとSiMとcoldrainのみんなで作ろうという感じだったし。

●そうですね。みんなのグルーヴがありましたね。

Masato:でも今回は結構リアルな戦いになると思います。

●このツアーについてはMAHくんと話しました?

Masato:いや、そこまでじっくりは話してないです。逆に、最近はどんどん戦ってる感がありますね。もうお互いに対して「ライブでこうしたら?」とかそういう関係じゃないんですよ。なんかもうお互い黙るみたいな(笑)。「もうお前にアドバイスは与えない」みたいな。

●アハハハハハ(笑)。

Masato:そろそろお互い本気で戦い始めた(笑)。もう兄弟みたいになってきましたね。だから話さなくてもなんとなくわかるんです。

Interview:Takeshi.Yamanaka
Asisstant:Kaori.T

次号、SiM Vo.MAHの半生に迫るロングインタビュー掲載!!




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