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coldrain × HEY-SMITH × SiM

出会うべくして出会った3バンドによる奇跡

4/4の心斎橋BIGCATから始まり、ファイナルとなる4/20赤坂BLITZまでの全国8公演のチケットが全てソールドアウトした“TRIPLE AXE TOUR '12”。

東京、大阪、名古屋と出身は違えど、時期を同じくしてバンドを始動させ、同じように先人たちの背中を見て刺激を受け、周りのバンドと切磋琢磨し、そして出会うべくして出会った同世代の3バンド。

それぞれ地元での自主企画イベントを成功させてシーンの注目を集めている彼らが呼応して開催された“TRIPLE AXE TOUR '12”。このライブを見逃すわけにはいかない。

パンパンに埋め尽くされたBLITZのフロアにまず登場したのはcoldrain。観客はひとつの大きな塊となっておもしろいように揺れる。その情景はまるで沸騰した湯の水面のようだ。その水面に大きな一石を投じるようにVo.Masatoがリボンマイクを高く掲げてフロアを煽り、“TRIPLE AXE TOUR '12”のファイナル公演は「To Be Alive」でスタートした。

重いリフとサビの爆発力が数えきれないほどのダイヴを誘発させた「Adrenaline」。Masatoが「120%で来てくれ!」と更に煽り、哀愁感たっぷりのメロディとG.Y.K.CとG.Sugiの2本のギターから繰り出される攻撃的なリフ、Ba.RxYxOとDr.katsumaが生み出す太いボトムが脳天に響く「Die tomorrow」、大きな手拍子が沸き起こってサビで一気に爆発させるエネルギーが凄まじい「The Maze」と、coldrainの5人は次から次へとキラーチューンを連発。SiMのVo.MAHがステージに乱入し、興奮の限界を超えたフロアでは肩車からのダイバーがステージ方向に次から次へと流れ、BLITZは手がつけられないほどの盛り上がり。

そして7月にリリースされるミニアルバムからの新曲「Six Feet Under」からの流れは壮観。えげつない角度で差し込まれたギターリフ、押し寄せる怒涛のグルーヴ。新曲にも関わらずサビではダイヴとモッシュを巻き起こし、カリスマを帯びたMasatoが「もっと来いよ!」と煽る。一瞬にも感じるcoldrainのステージは、「Final destination」で全ての感情を興奮で塗りつぶして終了。会場は異様な雰囲気に包まれており、客も含めた全体のテンションが半端ない。圧倒的だ。
次はHEY-SMITH。5人がステージに現れてVo./G.猪狩が「踊り狂え!」と叫べば、オーディエンスはまさに踊る狂って音に酔いしれる。

1曲目の「Endless Sorrow」から早々にダイヴと大きなコールが巻き起こる、coldrainに負けず劣らずのアグレッシブなステージ。「Drug Free Japan」「Longest Day」と続いてフロアはぐちゃぐちゃ。サーフモッシュ中に逆立ち状態になっている客も見受けられる中、猪狩の声でBLITZのフロアに4つの大きなサークルが起きる。「俺、今日自分のパンクロック人生が終わってもいいくらいの気持ちで来ました。お前らどうやねん!」と叫ぶ猪狩。まさにその言葉通りHEY-SMITHは凄まじい気迫を放ち、観客は5人に負けじと暴れまくる。ステージの上も下も汗まみれになって交わされるライブハウスならではのコミュニケーションが気持ちいい。

そしてcoldrainがそうだったように、HEY-SMITHもライブ後半にヤバいほどのピークを生み出した。「family」から「Go Back Home」「Skate Or Die」とキラーチューンを連発し、その音に煽られたフロアはカオス状態。そして最後はスペシャルサプライズ。バンドをやっている観客(女子)がステージに上げられ、猪狩が「この光景見とけよ。(お前も)絶対にやれよ」と言う。自分たちがそうだったように、受け継いだ魂を次の世代へと繋いだ「Come Back My Dog」は最高だ。

そしてSiMがステージに登場し、ツアーの終わりを惜しむような大歓声で会場が包まれる。2ndフルアルバム『SEEDS OF HOPE』が大きな反響を呼び、更に5/2に2ndミニアルバム『LiFE and DEATH』のリリースを控えている彼ら、4人の表情は気迫に満ちている。鋭くて重いリフ、太くタイトなグルーヴで始まった激キラーチューン「KiLLiNG ME」でMAHがいきなりステージダイヴ。刀を振り下ろすように演奏するG.SHOW-HATEとBa.SIN。興奮のるつぼと化したBLITZ。

激しい盛り上がりの中で、ダブやレゲエといった要素がなんとも言えない一体感を生み出していく。一見4人がそれぞれ自由に暴れているようにも思えるが、数多くのタフな現場で培ってきた抜群のアンサンブルは、絶好のタイミングで爆発点をフロアに放り込んでくる。数えきれないほどのダイバーが宙を舞う光景が目に焼き付けられていく。そんな中で、MAHが「どうしてもBLITZでやりたかった」と言う「Rum」は、幻想的な照明とも相まって奥深い世界観を作り出す。SiMの表現力の幅を見せつけられたオーディエンスは息を呑んで食い入るようにステージに集中する。

そして「I HATE U (It's Not A Play On Words)」「f.a.i.t.h」で再びBLITZはカオス状態へと突入。たくさんのサークルピット、数え切れないモッシュとダイヴ。全身汗にまみれて暴れまくる観客の笑顔と振り上げられた拳がステージに向けられ、圧倒的な余韻を残してSiMのライブが終了した。

3バンドのメンバーが入り乱れた3曲、「Come Back My Dog」「Set me free」「Fiction」を披露した贅沢なアンコール。更に猪狩が「もう1曲やっていい?」と言ってMasatoがベース、MAHと猪狩がギター、Task-n(HEY-SMITH)がドラムでヴォーカルがMukky(HEY-SMITH)というスペシャルな「DRUG FREE JAPAN」で終幕。観客は大満足でBLITZを後にした。

coldrainとHEY-SMITHとSiM。この日3バンドが見せてくれた景色は、過去に多くの現場で我々が経験してきた、ライブハウスで起きた奇跡そのものだった。彼らは次にどういった奇跡を起こしてくれるのだろうか? 期待せずにはいられない。

TEXT:Takeshi.Yamanaka