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DOBERMAN

まずはコレに触れてみろ。そしてソレに噛みついてみろ。これが例のアレだ。 誤解を恐れずに言う。こいつらの音楽と生き様が本物で、これがインディペンデントだ!!

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1998年、アントニオ猪木の引退と時を同じくして産声をあげたDOBERMAN。スカ・ミュージックを基軸とした独特の感性と幅広い音楽性でナイトクラブを喰い散らかし、ほどなくしてオーサカアンダーグランドシーンから頭角を現した彼らは、スペシャルズ、バッドマナーズ、バスターズなどのスカ・レジェンドと共演、賞賛を浴び、ヨーロッパを中心に韓国など世界各地でその名を轟かせ、瞳孔開きっぱなしの圧倒的なライブパフォーマンスでオーディエンスのドーパミンを大量放出させ続けてきた。

結成15年。フロンティアを求める八つの魂は、それぞれのパレードを歩き、光のスピードでFly。ロマンチックにいかないオレたちは、色々あって、まるで青春みたいっだった。空前絶後のSHOWには、ポテトサラダとテレポが必要だ。スモーキーマウンテンの空は光り、メメントモリを呼覚ます。あぁ、あとはユーレイを愛するのみ。これが例のアレなのか?

 

●まずは知らない人のために、結成からの15年を簡単に振り返ってみようと思います。1998年に結成して、2001年には東京スカパラダイスオーケストラと共演しているんですね。しかも2002年にはイギリスのスペシャルズを招いて国内ツアーを廻ったうえに、翌年にはなんとイタリアでツアーをしたという。

吉田田:ほぉー。

●「ほぉー」って、自分達のことでしょ(笑)。これはどういった経緯で?

タクロウ:これは知り合いのショウゴさんっていう人に誘われたんです。見た目は日本人だけど中身は完全に外国人っていう、ホントうさん臭い人なんですけど、「ヨーロッパ行かない?」という誘い文句に、ふたつ返事で「行きます!」って言ったんですよね(笑)。現地でギャラをもらって、そのお金でホテル代を払ったりして生活してました。

吉田田:ポケットに札束が入ってたからなあ。

●カッコ良いなあ。まるでブルースブラザーズやね。

タクロウ:札束が少なかったら「今日は稼ぎが厳しいから、明日はもっと頑張らないとね」とか言われたり。わからないことだらけだったけど、とにかく楽しかったですね。それが23、24歳頃でした。

●さらに2004年には、ヨーロッパツアーでスペインとイタリアを回っていますね。

タクロウ:前以上に、ローカルな街まで細かく廻りました。日本人がひとりもいないような街に日本のバンドが行ったもんだから、結構珍しがられて。

吉田田:向こうのテレビも出たりしたよな。笑っていいとも的な(笑)。

タクロウ:ロックが根付いている環境だから、オッチャン達もたくさんいましたね。

●現地はどんなお店でライブをしていたの? パブとか?

タクロウ:ライブハウスが多かったですね。広大な何もないところに、ポツンとライブハウスがあるんですよ。

小山:“こんなとこ、誰が来るんやろう?”っていうような場所にありました。

吉田田:今振り返れば、そのツアーが僕らにとって大きな節目になっていると思います。音楽性が世界に開かれたというか、ジャンルをそこまで意識しなくなったキッカケでした。それまでは2トーンやネオスカに固執していたんだけど、その頃から“音楽ってジャンルで縛らなくても、もっともっと楽しいものなんだ”って感じるようになったと思います。メンバーそれぞれの見ているビジョンも、そのツアーから同じものを持つようになりましたね。

タクロウ:良い感じにまとまりが生まれたなと思う。旅先では、事故ったり警察に止められたり、危険なこともあったけど…今思えば、共通の体験がプラスになっているかもしれませんね。

吉田田:僕、警官に銃を突きつけられましたからね。マドリードでベロベロに酔っぱらって、夜中に立ちションしたら、そこが大使館の入り口だったんですよ。そしたらいきなり警察に囲まれて、壁に手をつかされて。

●映画みたいや!

吉田田:そうそう。それでも小便は止まらへんという。

一同:あはははは(笑)。

小山:メンバーも周りにいたんですけど、みんな完全に他人のフリでしたからね(笑)。「ちょっと様子を見よう」みたいな。

●そうなんや。でも、それは日本じゃ経験しようと思ってもできへんからね。

小山:経験したくないですけどね(笑)。

吉田田:とまあ、言い尽くされへんくらい問題がたくさんあったツアーでした。

●よく生きて帰ってこれたね。

タクロウ:ほんまにそうですね。ライブでは暴れ回るやんちゃな兄ちゃんもいれば、ずっとキスしてるようなカップルもいたんですが、海外ではそれが普通で。楽しみ方はそれぞれやから、やる方も意識的にまとめあげなくて良いんですよね。全員のコール&レスポンスを求めるわけでもなく、ひたすら音楽が奏でられる空間をみんなが求めて来ている。それ以来、個々に楽しみながら、相手の心に響いているかどうかを求めるようになりました。このツアーがなかったら、感じていなかったかもしれませんね。

●それを10年前に体験したわけですが、2006年には韓国の釜山に行ったそうですね。そして2008年は“FUJI ROCK FESTIVAL”に出たり、結成10周年で自分達の企画イベントをやったり。

吉田田:“DOBERMAN★THE★CIRCUS”をやったのがちょうど10周年の時だったから、強烈な思いがあったなあ。

タクロウ:10年続けて来たっていう事実も大きかったし、全員が楽しめるようどういう風に面白く消化しようかと苦心しました。しかも、入場無料で。

●こうやって訊くと、1年毎に明確な動きが見えるけど、あまり世間には露出していないよね。

吉田田:僕らはそんなつもりはなかったんですけど、“あいつらは自分達だけでやっていくんや”っていうような感じに見えるらしくて。上手く世間と絡めてなかったんです。

タクロウ:マネージャー専業の人がずっと不在で、メンバーそれぞれがおのおのの繋がりで動いていた部分もあったのかなと思います。僕らの場合、ブッキングやジャケットのデザイン作成さえも、メンバーがそれぞれ同じ温度で取り組んでいますからね。

小山:人数が多い分、それでも出来てしまっていたんですよ。

●自分達で何でも出来る反面、バンドとしては扱いにくいイメージになっちゃうんだ。自分達ではわからなかったの?

タクロウ:全然知らなかったです。“何で僕らってこんなに声をかけられへんのやろう?”ってずっと疑問に思ってました(笑)。

吉田田:それに、やんちゃなイメージが先行しすぎてたよな。僕らはそんなに無茶苦茶なこともしてないし、すごく良い奴らなのに。イメージって怖いわあ。

●こっちが怖いわ!

一同:あはははは!

●今回のアルバムですが、一貫性はありながらも“コレはひと味違うぞ”っていうメッセージを感じる。ジャケットの新幹線も唐突やけど。奥の深さを感じる。

小山:3枚目のアルバムからずっと同じ人に書いてもらっていて。その子は大学の同級生でポルトガルに住んでるんですけど、スカイプでやり取りしながら、次のジャケットアイディアを話していたんですよ。その中で「前とは違ったものにしたい」というイメージを2人で共有していて、意味がなくても良いから“これは何だろう?”と思われるようなものを作った方が良いんじゃないか、ということで新幹線が出てきたんですよ。完全にヒラメキですね。その時点ではまだピンと来なかったんですけど、タイトルが決まった時に全部がハマったような気がして。まとまりのあるモノが出来たなと思います。

●しかも、この新幹線が曲の情景を1つ1つ吸い取り輝かせているような気がする。今回の音源は、すべての曲にPVが作れそうですよね。どの曲でPVを作るのか、相当迷ったのでは?

吉田田:確かに。最初は「全曲PVを作ろうか」なんて言ってました。

●音と情景が浮かぶというか、イメージが鮮明に浮かんでくる。このアルバムは繰り返し聴いても飽きないね。この作品から何か変わったと思う?

小山:今回からスパッと変わったわけではないですけど、歌詞は結構変わった気がする。

吉田田:今回はリハスタジオで15分で書いた曲もあれば苦しんで作ったのもありましたね。一箇所で書いていたら思いつかへんから、いろんなところに行って書きました。文豪が温泉でカンヅメになっているみたいに、京都に泊まり込んだりしましたよ(笑)。

●そうなんや! 吉田田くんって全然そんなナイーブなイメージがなかったわ。

タクロウ:意外とデリケート(笑)。

●個人的には「メメントモリ」とか「スモーキーマウンテン」とか、死生観やリアルが見えた気がしました。身近な人の死をキッカケに、感じたものやそれに対する決着のつけ方というのがあったのかなと思って。

吉田田:大切な人を亡くしてから、音楽は楽しい情景だけを書かなあかんのではなくて、死も含めての人生讃歌やと思ったんです。“辛いこともあるけど、頑張ってやっていこうぜ”みたいなものであってほしいから、楽しい曲も悲しい曲も応援歌のつもりで作ったんですよね。僕の書く歌って、聴いた人全員が同じ感想にたどり着くタイプのものではないから、人によって捉え方が違ったりするんですよ。それがジャケットやタイトルにも通じていると思うんですよね。五感に訴えかけているというか。

●吉田田くんが作詞で、曲は原さん、Yusukeさん、タクロウが書いているけど、全部同じ人が書いたんじゃないかってくらい統一感があるのはなんでやろう?

タクロウ:バンドサウンドをイメージしながら作るから、いきなり想像できない要素を入れたりは無いです、今のところ。15年も経てば、頭の中でメンバーそれぞれの出すニュアンスもわかるようになりますし。

●DOBERMANのアレンジって、やりすぎてないというか、それっぽいアレンジをしないよね。例えば“ここをこうしたら、もっとレゲエっぽくなるのに”と思ってもやらなかったりするでしょ。

吉田田:ただ単に知らないからじゃない? 本当のレゲエのバイブを知っているやつがおらへんという。

タクロウ:“○○っぽく”とかはできるけど、その胡散臭さを自分らが一番よく知ってるから。自分らしさが上回るようなビートやアレンジじゃないと納得できない部分はありますね。

●速すぎず遅すぎず、程良い一定のビートでよくまとまってるなと思う。これだけ曲のアプローチが違ったら、やっぱり要素として“ユーロっぽい”とか“○○っぽさ”みたいなことを入れたいやん。でも、実は入れたくても入れられなかったと。

タクロウ:そういうスキルがないですからね(笑)。

吉田田:僕なんて、「ユーロっぽい」とか言われても、何にも浮かばへんもん。タクロウはその辺もある程度わかるだろうけど。

タクロウ:“ちょっと○○寄りだな”とかいうのはわかるんですけど、そのイメージをサウンドでやって、良いものが完成するかと言えばそうとも限らないし。メンバーのMAXの力を完全に引き出さないと意味がないから、それは気をつけています。

●今回の中の曲でいうと、M-4「まるで青春みたいだった」はオイコールから始まるんだけど、わざと気怠くやっているというか。普通だったらもっと勢いがあると思うけど、そこがDOBERMANっぽい。あれは狙ってやってるの?

吉田田:狙ってますね。あれは「怠い感じでやって」って指示がありました。

●それがきっちり伝わってきて良いよね。でも、久し振りに音源を聴いて、“あれ? DOBERMAN変わった?”っていう印象があったんですよ。今までの作品とは明らかに振り幅が違うなと。

吉田田:変わらないカッコ良さもよくわかるんですけど、今作は“変化を恐れズ”というのがキャッチコピーなんです。僕らは音楽ルーツを再現しているわけではなくて、現在進行形で自分達の作家活動をしているわけやから、変化していくことを楽しまな損やなと思って、自分がやりたいようにやったというか。

●ボーカル自体も、歌がちゃんと届くように作られているなと思う。それにこの手のドラムって、やりすぎるとうるさいんやけど、全然嫌みがない。

吉田田:今回は、ジョン・レノンのミックスをやっていたというグレッグ・カルビさんにマスタリングをお願いしたんです。そしたら、音が変わったらしいですよ。僕はわからないですけど…。

タクロウ:全然変わったよ、ヌケが良くなった。ボーカルが前に出るようになりましたね。昔はダンスミュージックの意識が念頭にあったけど、年々歌を伝えたいという気持ちが強くなって、今回は一番強いかもしれない。

●納得のいく、力のある作品が出来たわけですが、確かに歌に“愛”と“説得力”がある。今後は、どのような予定を立てていますか?

タクロウ:今年の夏に、大きなイベントを大阪の服部緑地でやります。実はこのイベントは前からやっていて、純粋に僕らの音楽を届けるというものなんです。これはずっと大事にして来たイベントだし、一昨年のイベントが終わってすぐに同じ場所を押えました。

吉田田:もともとがツレ同士でやってるバンドやから、メンバーチェンジもなくて。このバンドでとんでもないことするというよりも、ずっと続けていけるかが大事。みんな仕事や家庭がある中で、どうすればもっとライブが出来るのか。あるいは、良い曲を作るために時間を割けるのか。そういうことを重視しているから、のし上がってやろうなんてあんまり思ってないですね。

●最近では「結婚するからバンド辞めます」みたいな人も多いやん。でもDOBERMANはこれだけのメンバーがいて、メンバーチェンジもなく15年続いていて、しかもみんなが仕事や家庭と両立しているというのはすごいですね。メンバーとはどんな間柄なんですか?

吉田田:それこそ友達というか、ツレみたいな感じですよ。リハが終わった後なんかも、盛り上がってずっとしゃべってたりして。

タクロウ:曲についてしゃべることが2割くらいで、あとは確定申告の話とか家の話ばっかりです(笑)。

●そうなんや(笑)。家庭と両立するとなると、それぞれに割く時間も重要じゃないですか?

タクロウ:いや、みんなめっちゃ割いてますね。けど、その繋がりをしんどいと思いたくない。例えば、タカシ(吉田田)が早くに結婚して子供も出来てる姿を見てるから、周りのメンバーも“結婚して子供が生まれても、楽しくバンドができるんや”って励みになるし、そうやってみんなで支え合って。僕らは田舎に帰らないといけないメンバーとかも、たまたまいなかったから。そういうことは本当にラッキーかも。

●すごいな。そういう仲間って貴重ですね。今後、中長期的な展望ってあります。

吉田田:ひとつのやり方として、“全員が仕事をしながらでも普通に15年続けられるよ”っていう姿を見てほしいなと。最近って、就職が決まったらバンド解散っていう話が多いじゃないですか。僕らがバンドを始めた頃は、一種のジャパンドリームみたいなものがまだまだあって。“自分達もCDを売って生きていけるんじゃないか”っていう夢があったけど、今はその可能性さえも見えないというか。10代の子達が“大人になってもバンドができるんや”ってことを感じられたら、辞めていく人も少なくなると思うんです。

●なるほど。

吉田田:ちゃんと働きながら家族がいても良いモノを作れるし、一線でできるということを、あえて言いたい。生活感を出したくないから、仕事をやっていることを隠す人も多いじゃないですか。僕らはガッツリ働いているし、ワーキングクラスっていうのを出していってもいいなと思います。

小山:うちらメンバーにはサラリーマンもいますし。そいつなんかホントすごいなと思いますね。

●昔からのファンはもちろん、新規の人達にも届くといいですね。これからはDOBERMANのどこを見て、感じてほしいですか?

吉田田:“15年もやってるバンドのステージ、見てみたくない?”って感じですよね。やっぱりライブに来てほしいというのが一番にありますね。こうなったら初めて来る人には何かあげようかな。「飴」とか(笑)。

小山:もので釣った(笑)。

吉田田:結局は聴いてもらったり、見てもらったりしないと始まらないじゃないですか。だから、“僕らにチャンスをくれ!”って思います。例えば宮崎駿が新作を出したら、日本中がジャッジするじゃないですか。良いと言う人もいれば悪口を言う人もいるけど、結局全員が「見た?」とか「まだ見てない」とか、話題として触れているのが羨ましくて。ボロクソ言われても良いから「DOBERMANの新譜聴いた?」って言われるのって、最高だなと思うんです。DOBERMANのことを好きになる可能性のある人って絶対にたくさんいるのに、出会うチャンスがないのが一番ネックだから、接点がほしいよね。そのためにも、新しい売り方をしていかなあかんと思います。とりあえず勝手に音源を送って、あとで集金に行くようなシステムとか(笑)。

小山:まずはだまされたと思って、一回聴いてみてほしいです。

●このCDを聴いて僕が思ったのは「ごめんなさい、勘違いしてました」っていうこと。DOBERMANは良い人達やね(笑)。

吉田田:むしろ、怖いって言われる理由は何なんですかね? 不思議でしょうがないんです。

●アー写とか普通に怖いやん。でも今日話してみてDOBERMANに対する誤解が完全に解けた気がする。

タクロウ:いやぁ、いろんなしがらみが解けた気がしますね。

●タクロウのしがらみは簡単になくなるね。僕、タクロウとは何回も会ってるのに今日、開口一番で「初めまして」って言われたからね(笑)。

一同:あははは!

●まあ、今回のインタビューでは、何でもイメージや色メガネで見たらあかんという社会勉強をさせて頂きました。読者のみなさん、DOBERMANは怖くないし、案外エエ奴らです(笑)。

Interview:PJ
Edit:森下恭子

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小山泰弘

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吉田田タカシ

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タクロウ