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DOLLS REALIZE

デジタルもメタルもハードコアも飲み込んだ新世代ミクスチャー

地元・厚木を拠点に全国で精力的に活動する5人組バンド、DOLLS REALIZEが1stアルバム『LEAVING FROM CYBER SLUM』をリリースする。

前身バンドを経て2007年に現在の名前になった彼らは、2010年4月にはタワーレコード限定でミニアルバム『It's doors, not walls』を発売。
そこからひたすらライブを重ね、SiMやHEY-SMITH、Fear, and Loathing in Las Vegas等のツアーに参加する中で高い評価を得てきた。

磨き上げたライブ感に、デジタルもメタルもハードコアも飲み込んだサウンド。新たなミクスチャーの姿がここにある。

Interview

「みんな色々ある中でライブハウスに来ているかもしれないけど、ゴチャゴチャ考えていることを全部取っ払って音に身を任せて欲しい」

●前身バンドを経て、今のDOLLS REALIZEというバンド名になったのは2007年だそうですね。

YAG:ちゃんと音源を出してツアーもしたいなと思ったので、そのタイミングで名前を変えました。バンド名は"人形が悟る/気付く"っていう意味なんですけど、都会を歩いている人たちを見て「みんな同じような服を着て同じような化粧をして同じような流行に乗っかっているな」と思って。人形が売り出されるみたいな感じで、人が世の中に作られているように見えるのが俺はイヤだったんです。「俺らは人形じゃないだろう?」っていう気持ちを込めて、この名前を付けましたね。

●現代社会について思うことがテーマになっている?

YAG:今回のM-8「SMELL OF BLOOD」は、「サメのようになれ」と歌っていて。サメって血の匂いに反応するんですけど、人工のルアーとかには引っかからないんです。でも今の人たちって、血の流れていない偽物にもどんどん食いついちゃっている。そんなものより「血の流れている本物を自分の糧にするために大海原を泳ごうぜ」と歌っていたりもしますね。

●『LEAVING FROM CYBER SLUM』という今作のタイトルも現代社会に向けた言葉?

YAG:東京タワーに登って東京の街を見下ろした時に、「サイバースラムだな」と思って。一見、物は溢れていて良さそうなんだけど、すごく電気的な感じがする。豊かそうに見えて、実は人として潤っている人は少ないんじゃないかなと。特に夜の渋谷センター街とかを見ていると、昔のアメリカ映画で見たスラム街がそのまま未来化しただけのものに見えるんですよ。そういう発想から、このタイトルを付けましたね。

●同名のタイトル曲を最初に入れたのは、この曲がアルバム全体を象徴しているから?

YAG:歌詞の内容が全体にリンクしているわけではないんですけど、「サイバースラムから出ようぜ」というメッセージは何となく全体に通じるところがあって。「俺らは俺らの道を行こう」っていう想いは全体的に出ていますね。「違うものは違うままでいい。俺らは俺らのやるべきことをやる」っていう姿勢は全てに共通しています。

●YAGくんのブログを見ていても、言いたいことは一貫している気がします。

YAG:常日頃考えていることがブログや曲やMCにそのまま出るので、ちゃんと目や耳を向けてくれれば一貫したものが見えてくると思いますね。

●メッセージ性が強いのは特徴かなと。

YAG:俺個人としてはミュージシャンや音楽家とかいう以前に、ただの"表現者"だと思っていて。本がメチャメチャ好きでよく読むし、自分で文章を書くのも好きなんですよ。日頃からよく考えるし、自然と言葉には力が入るのかもしれないですね。

●リスナーに向けて伝えたいことがある?

YAG:リスナーに向けて言っていたりもするけど、俺が個人的に思うことも書いてあります。でも同じ時代を生きている同じ世代の人だったら、個人的なものだとしてもどこかに引っかかるところはあると思うんですよ。俺も他人の作品でそういうことがあるし、同じように誰かが共感してくれるかもしれないから。

●ちなみに、"個人的なこと"というのは?

YAG:「こういうのって、どうしたらいいんだろう? わかんねぇ!」っていう気持ちをそのまま書いた歌詞もあります(笑)。そういう葛藤とか、「こういうふうにやっていくべきだな」ってひらめいた時の感覚をそのまま書いてみたりもして。「忘れないように、曲にしておこう」っていう部分がデカいのかもしれないです。

●最初から今みたいな歌詞を書いていたんですか?

YAG:今は現代社会のことがメインですけど、2007年頃は自然や地球みたいなもっと大きなテーマについて歌っていました。精神の根底についてとかまで考えていて…、当時は仙人になろうと思っていたんです(笑)。

●(笑)。そこの視点が変わったのはなぜ?

YAG:俺だけ高尚ぶってそんなことを考えているより、すぐ横にいる友だちや大事なヤツらと笑って過ごすためには今この時代を戦い抜かなきゃいけないと思うようになったんです。そういう気持ちの変化からですね。

●身近なものの大事さに気付いたというか。

YAG:ライブの打ち上げで酒を飲んで仲間と色んな話をしている時の空気もすごく好きだけど、逆に音楽とは全く関係がない友だちと遊んだりもしていて。サラリーマンのつらさを聞いたりして、ツアーをやっているだけではもらえない刺激がそこにはあるんです。

●1つの見方だけじゃなく、色んな立場の考え方を知ることが刺激になっている。

YAG:ミニアルバム『It's doors, not walls』(2010年4月)のタイトルには、「壁じゃなくて、ドアなんだ」という自分なりの考え方が出ていて。今って、"壁"っていう言葉をすごく耳にする時代だと思うんですよ。音楽家たちもジャンルや、オーバーグラウンド/アンダーグラウンドの違いとかについて"壁"っていう言葉を使っている。でも、それを"壁"と捉えて壊すんじゃなくて、よく見たら「ここにドアノブがあるんじゃないの?」っていうか。

●壁だと思っていたら、開けるためのドアノブを最初から探そうともしない。

YAG:でも目を凝らすと、「ドアノブがあるじゃん」って気付いたりする。そういう部分にフォーカスしていくっていう、自分の"ものの考え方"が出ていると思います。

●その前作『It's doors, not walls』をリリースしたことで、活動に弾みがついた部分もあったのでは?

YAG:ツアーで40本くらいまわったのは初めてだったし、他のバンドとのつながりはかなり増えましたね。先輩たちにも名前を知ってもらえたりして、その後の活動に弾みが付いた部分はあります。

●横のつながりが増えることで、ライブにも呼ばれるようになるわけですからね。

YAG:あと、ジャンルに関係なく色んなバンドと対バンさせてもらってきた中で、ハードコアやメロディックパンクのエッセンスが自然と入ってきた部分もありますね。元からメンバーの中にもあった要素でしょうけど、やっぱり色んなバンドと直接やり取りすることが刺激になって。それで曲に厚みを増した部分はあるかもしれない。

●サウンドのベースにしているのはラウドロック?

YAG:基本的にはみんなラウドロックが好きですけど、そこ以外の好みは分かれているかもしれない。疾走感のあるメロディが好きなメンバーもいれば、J-POP的なメロディが好きなメンバーもいて。RONO(G.)は昔のロックも掘り下げて聴いていたりするし、K-TAI(G.)もビックリするくらい色んな音楽を知っているんです。

●ギタリスト2人もタイプが違う?

YAG:K-TAI(G.)は90年代後半とかの洋楽っぽいフレーズが得意で、RONOは洋邦問わずルーツっぽい感じのものや東洋っぽいフレーズが得意だったりして。

●「LEAVING FROM CYBER SLUM」やM-2「MISREPRESENTATION」にはオリエンタルな雰囲気もありますね。

YAG:そういうオリエンタルな雰囲気を持ってくるのは、RONOですね。それぞれに出してくるアイデアが違うので、曲作りをしている時に好みの違いをより感じたりします。自分たちが昔憧れていたラウドロックをそのままやっている感じにならないのは、そういう部分があるからかもしれない。

●デジタルな音も使っているけど、オリエンタルな雰囲気やルーツ的な音も入っているのが面白い。

YAG:今作でデジタル音を目立つ感じで使っているのは、3曲だけですからね。今後はどうなるかわからないけど、今は別にそこだけを押し出したいわけじゃないんですよ。頑固に「これ!」と決め付けているわけじゃないので、泥臭いパンクがやりたくなったらやるし、レイヴサウンドを取り入れたいと思ったら入れちゃう(笑)。その時々の俺の衝動を出していくという感じです。

●サウンド面でも、YAGくんが核になっている?

YAG:サウンド作りの面はメンバーに任せていますけど、最終的なアレンジとかについては俺がかなり口出ししていますね。俺は楽器ができないので、全部ジェスチャーや雰囲気で伝えるんですよ。そこからメンバーが音にしてくれたものをつないで、組み立てていく過程で俺がかなり指示しています。

●途中で急に曲調や雰囲気が変わる曲も多い。

YAG:それはたぶん俺のせいですね(笑)。俺は音を視覚的に感じているんですよ。たとえばリズムが地面だとして、その上を歩いていると木々や建物が出てきたりする。そういうものがギターのフレーズだったりするんですけど、そのまま歩いて行くと夜になったり、急に土砂降りになったりもして。そういう感じで1曲の中を旅していると何かしら事件や出来事が起こるということを、曲で表しているんだと思います。

●すごく感覚的な曲作りをしているんですね。

YAG:曲は基本的にスタジオでジャムりながら作っているんですけど、メチャメチャ気分がノッたらその場で歌を乗せちゃったりしますからね。適当にフリースタイルで歌詞を乗せたものが「最高!」となって、5分くらいでできちゃう時もあって。

●曲作りは全員でのジャムがメインになっている。

YAG:ジャムの中から良いフレーズやリフが出てきた時に、そこから広げていく感じです。M-6「W.O.R.D」はUxG(Ba.)が1曲まるまる作ってきたんですけど、ウチらの中ではかなり珍しいパターンなんですよ。こういう疾走感がある曲は今まで音源にしたことがなくて、今作で初めて形にした感じですね。去年の暮れくらいからメロディックパンクとか速い曲をやるバンドと対バンする機会が増えた影響が、そのまま出ている曲だと思います。

●ライブでの経験が特に反映されている曲だと。

YAG:基本的に俺らの歌詞はラップの部分に日本語が多くて、サビは英語というパターンが多いんですけど、M-13「REALIZATION」だけはサビも日本語なんです。これはライブで歌った時に、そこのメッセージがお客さんに伝わって欲しいという気持ちがあって。ずっとライブばかりしているせいか、曲を作る上でもライブで「ここは聞き取れて欲しいな」とか考えちゃうんですよね。

●曲にライブ感があるのは、そういう感覚で作っているからでしょうね。

YAG:メンバーが出した音に対して、「良いんだけど、踊れない」と俺がよく言っていて。俺もオーディエンスとして普通にクラブやライブハウスへ行くんですけど、そういう時ってノれる曲がやっぱり一番良いから。自分たちの曲を作っている時もスタジオの中で一瞬リスナーになるような感覚で作っているので、ライブのイメージが湧きやすいのかもしれないですね。

●今作リリース後にはまたツアーが控えています。

YAG:みんな色々ある中でライブハウスに来ているかもしれないけど、ゴチャゴチャ考えていることを全部取っ払って音に身を任せて欲しい。そしたら楽しめると思うから。あと、元気をなくしているような人が身のまわりにいたら、「俺はこういうのが好きなんだけど、今日は一緒に行ってみない?」って強引にでも連れて来て欲しいですね。思いっきり非現実的な世界を楽しんでもらって、「ここはここでいいじゃん」って言いたいんです。楽しいことは共有したいし、それで仲間を広げていけたらいいなと思います。

Interview:IMAI

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