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G-FREAK FACTORY

2018年夏、G-FREAK FACTORYは日比谷野外音楽堂に立つ

昨年9月に始まった“風林花山” TOUR 2017-2018を今年2月新宿LOFTのワンマン公演で大盛況のうちに締め括った群馬の雄・G-FREAK FACTORY。彼らは早くもニューシングル『カモメトサカナ』を完成させ、同作リリースツアーのファイナルは日比谷野外音楽堂でワンマン公演を開催する。メンバーチェンジ、日比谷野外音楽堂、そして秋に控えるのは初の2日間開催となる“山人音楽祭2018”。どんなことがあろうとも、一歩も立ち止まることなく、挑戦し続け、生命力溢れる音楽を鳴らし続け、更に強く、たくましくなっていくレベル・ミュージックの体現者。茂木に現在点の想いを訊いた。
 
 
 

「俺が大好きな、憧れている先輩方が踏んできたステージ。あの場所をクリアしたらすごい敵を倒したというか、すごい敵と手を結べるというか」

 
 
 
●2017年9月から2018年2月までやっていた“風林花山” TOUR 2017-2018はどういうツアーでしたか?

茂木:すごくいい旅ができたと思います。たくさんの人からお力添えをいただいて、充実そのものというか。“こうやってツアーまわったらこんなにたくさんの人に会えるんだな”という実感がありました。

●ファイナルは新宿LOFTワンマン(2/25)でしたが、あの日は家坂さんの最後のライブということもあって、今までのG-FREAK FACTORYのライブでは感じなかったいろんな感情が渦巻いたんです。

茂木:セイさん(家坂清太郎)との思い出を噛み締めることも大事だし、振り返ることももちろん大事なんですけど、その後に進んでいくバンドがあるっていうことと、そこに新しいメンバーが入るということ。それから、少なからず目の前に居る人たちは永遠じゃないことをわかっていながら“永遠だ”と思ってくれていること…そういうのを全部加味していくと、もう前日まで本当に考えていたんです。

●おお、なるほど。

茂木:どういうライブにしたらいちばん筋が通るのかな? って。あのライブが果たして合っていたかどうかわからないんですけど、考え抜いた末に“こんな質感がいいのかな”というところに至ったんです。これなら何を言われても後悔しないなと。今まで俺たちはメンバーチェンジをいっぱい経験してきて慣れているとは言えど、少しずつ熟したところでのメンバーチェンジというのは初めてのことだったから。

●確かに初めて家坂さん脱退のニュースを耳にしたときは少なからずショックだったというか、“せっかくここまで来たのに…”という気持ちがありました。

茂木:うん。「でも大丈夫だよ」と言うことが必要だと思ったし、自分でもそう思っていないとダメになるとも思っていたし。メンバーで呪文のように「大丈夫だよ」と口走りながらツアーをやっていました。

●だから新宿LOFTのライブはひと言で説明できない感想で。寂しいし、期待もあるし、グッとこみ上げるものもあるし。人間味のあるライブだったような気がします。

茂木:周りのバンドが神業的なメンバーチェンジをした瞬間を何度か見ていたんですけど、ここはなんとしてでもハッピーなものにしないと、彼(家坂)のこれからの人生もあるし、僕らのこれからの人生もあるし。最後だからお涙頂戴じゃなくて、あくまでも通過点であるべきだし、あいつとはこれからもずっと友達だし。そういう色んなことを考えて挑んだライブでしたね。“これを乗り越えたらすげぇもんが見えるんじゃないかな”っていうハードルは多かれ少なかれどのバンドにもあると思うんですけど、その中のひとつなんじゃないかなと思いました。

“風林花山” TOUR 2017-2018〜FINAL SERIES〜@新宿LOFTライブレポート

●そしてそのライブでPxOxNさん(ex.LONG SHOT PARTY)がサポートドラムとして紹介され、その後正式加入となるわけですが、どういう経緯でPxOxNさんに?

茂木:セイさんが脱退することになっていちばん最初にPxOxNに相談したんです。彼がLONG SHOT PARTYをやっていたときからG-FREAK FACTORYのことは知ってくれていて、今までもレコーディングではドラムのチューニングとかで手伝ってもらっていたんです。

●なるほど。

茂木:大きめのハコのライブときにも来てもらっていて。要するに、ステージで叩いていないにしてもバンドの一部を担っていた人間で。で、「バンドをやりたい」と前から言っていて。だから「じゃあ一緒にスタジオ入ってみないか」と声をかけて。「何があったの?」と言われて「いやぁ、セイさんが辞めるんだよ」と。

●あ、家坂さんの脱退のことを話す前にスタジオに入ったんですね。

茂木:はい。付き合う前にセックスする、みたいな。

●アハハハハハ(笑)。

茂木:それで誘ったら「いいよ!」って。やっぱりバンドを止めたくなかったので、ファイナルのすぐ後のライブからPxOxNでいこうと。そこにPxOxNもちゃんと応えてくれたので、良かったなと思いました。

●ところで今作『カモメトサカナ』は、新体制になって初めて作った作品ということですよね?

茂木:そうです。

●今作収録の3曲はいつ頃に作ったんですか?

茂木:今年の2月ですね。PxOxNでいこうとなって「すぐ作ろう!」と。だから全然時間がなかったんです。日々「こういうのどうか?」と貯めていたデモを持っていって、ボツにすることもなくまず形にしていったんです。

●表題曲M-1「カモメトサカナ」ですが、タイトルがまず新鮮だったんです。

茂木:この曲のタイトルはすごく悩んだんです。今回のリリックは何をやってもダメで、書いてはボツにしての繰り返しで。それで色々と悩んでいて、ツアーで色んな所に行って色んなものを見て感じたことをお手紙のように書いてみた、という感じですね。

●歌詞に“カモメ”や“サカナ”というワードが出てきますが、タイトルは歌詞から?

茂木:そうです。この歌詞はちょっと変態ですよね。

●変態(笑)。どの辺が?

茂木:“空を飛ぶサカナ”という表現とか。

●ハハハ(笑)。現実的には存在しないものですからね。でも聴くと情景が浮かんでくるので、歌詞としてはすごく豊かな表現だと思うんです。そういう比喩は前から多いのかなと思うんですが。

茂木:わかり過ぎない表現は好むところですね(笑)。わかり過ぎないというか、俺だけがわかっていればいいかなって。

●でも言葉で伝えすぎない方が、伝わる感覚はあると思うんですよね。

茂木:リスナーとしても余白があるものが好きというか。SIONさんの「夕焼け」という曲で、“歩道橋の上で 夕焼けに気づいた/左の頬をさわられ 夕焼けに気づいた”というフレーズがあるんです。やばくないですか? 「左の頬をさわられた」って。左の頬ということは北に向かって歩いてて、夕日に触られたことなんて誰もないと思うけど、その感覚ってわかるじゃないですか。とんでもないなと。

●はいはい。

茂木:それだけで情景や温度がパッと伝わってくる。たったそれだけの言葉で、聴く側が思い描ける情景を作ることができる人ってやっぱりすごいなと思うんです。

●茂木さんが目指すところはそういう表現なんでしょうか?

茂木:そうですね。いかに簡潔にすごいものを表現できるか…それはきっとみんな考えていることだと思うんです。忌野清志郎さんとかもそうですけど、日本語を逆手に取って表現するのがうますぎる。

●なるほど。以前のインタビューで「勢いのある曲よりもシンプルな曲の方が歌うときにエネルギーが必要だ」みたいなことをおっしゃっていたじゃないですか。「カモメトサカナ」は相当なんじゃないですか?

茂木:この曲、おそらくライブは大丈夫なんですけど、歌録りはめちゃくちゃ時間がかかりました。6時間くらいかかったんじゃないかな。

●あ、そうなんですか。

茂木:例えば今回のM-3「new:」は1時間くらいで録ったんですよ。でも「カモメトサカナ」はエネルギーを使いますね。この曲、ヴォーカルとしては4パターンくらいあるんですよ。冒頭のトーンとBメロのトーン、サビの抜けるトーン、それぞれが全部違っていて。そもそもこの曲は漠然と“終わりにいくにつれてだんだん拡がっていくものを作りたい”というところから始まったんです。ドラムにしても音数が少ないところから始まってだんだん高揚していく曲というのは今までやったことがなかったからチャレンジしようということで。

●はい。

茂木:だからヴォーカルも頭から思い切りやるわけにはいかなくて。ヴォーカルは30パターンくらい録ったんじゃないかな。

●うわ。

茂木:そういう経緯があったから“ライブではどうやってやるんだろう?”とメンバーみんな思っていたんですけど、リハで初めて演ったときに思っていたよりちゃんとできたんですよね。手応えを感じました。

●ライブではすごくポイントになる曲だと思うんですよね。

茂木:ポイントというか、保つか/保たないかですね。自分たちのテンションもフロアのテンションも。そこを保たせられなかったら負けです。

●なるほど、そういうことか。

茂木:作っちゃったから、後は僕らの問題ですよね(笑)。いかにライブで表現できるか。

●ハハハ(笑)。この曲のライナーノーツで原田さんが「10年前からこんな曲をやりたかったんだ」と書かれていたのが印象的だったんです。

茂木:今の事務所に所属する以前、バンドがダブに思い切り振り切れていた時代があったんですけど、そのときに作っていた曲が「カモメトサカナ」の雰囲気に似ているんですよね。こんなにポップではなかったんですけど。いわゆるPolarisみたいな感じというか。

●ああ〜、なるほど。空間表現のようなスペーシーな音楽というか。

茂木:そうそう。そういう音楽がすごく好きで、感化されて振り切っていた時代があったんです。ROVOやストロボ、audio activeみたいな、すべてを忘れさせてくれる音楽というか。そういうバンドは“FUJIROCK FESTIVAL”に結構出ているから観に行って、そこで衝撃を受けたのがPolarisで。メンバーに「こういうのやりたいんだ」と聴かせて。その頃はルーツロックレゲエとUKのダブくらいしかわからなかったからどんどんハマっていって、そういう楽曲も作って。でもライブでは演っていなかったんです。表現力が足りなくて。

●そういう背景があったから「10年前からこんな曲をやりたかった」と。

茂木:そうですね。10年前というと30歳前半…そんな年でそういう音楽を演っても説得力がないですよね(笑)。

●そしてM-2「FAKE SPEAR」も新鮮でした。この怪しい感じは今までなかった雰囲気だし、茂木さんの声に合っている。

茂木:この曲のヴォーカルは地声に近いんですよね。まったく力んでないです。

●この曲はTHE CHERRY COKE$のMUTSUMIさんがアコーディオンで参加されていますが、どういうきっかけで?

茂木:この曲を作っているときに「アコーディオンを入れたい」と思ったんです。それですぐに声をかけて。

●曲の雰囲気にすごくマッチしていますよね。

茂木:カリブの海賊というかメキシコというか、南米の雰囲気にしたいなと思って、そしたらTHE CHERRY COKE$がすぐに思い浮かんで。自分たちのレコーディング中でもあったんですけど「いいですよ」と快くOKしてくれて。嬉しかったですね。

●なるほど。そして1時間で歌録りが終わったという「new:」はライブで強力な武器になる勢いのある楽曲ですね。

茂木:現場をちゃんと睨んで作った楽曲です(笑)。それにPxOxNがすごく活きる曲を今回入れたくて。PxOxNにもそういう話をしていて、でもあいつは「そういう曲は要らない。歌だよ」と言うんです。でも俺はPxOxNじゃなきゃできないものを入れたくて。

●メンバーチェンジしたところの説得力というか必然性というか。

茂木:やっぱりメンバーチェンジをすると質感が変わってしまうのは当然のことで。それがいいとか悪いとかいう話じゃなくて、違和感は絶対にあるわけで。

●うんうん。

茂木:今演っている曲たちは、PxOxNがチューニングをしているけどあいつの曲ではないんですよ。だから早くあいつと一緒に作った曲をみんなの前で披露して、早く「自分たちの曲」と言える状態にしたいという気持ちがすごくあるんです。PxOxNからすると、今までは曲の正解が自分ではないところにあるじゃないですか。でも今回の3曲は自分の曲だから「正解はお前なんだよ」っていう。それを持たずに「メンバーだ」と言うのは本当にキツいと思うから、存分にやってほしかったんです。

●ライブが楽しみですね。

茂木:楽しみですね。

●それに今回のツアーはなんといっても日比谷野外大音楽堂という。

茂木:そうなんですよ。でも未だイメージが沸かないんですよ。

●え?

茂木:すごく昔に2回くらいイベントで出演したことがあるんですけど…、未だイメージは沸かないですね。

●お客さんとして行ったことは?

茂木:バイトしに行きました。SIONさんのライブ。だからこそイメージが沸かないんです。あの野音のステージに自分たちが立つという。例えば去年THA BLUE HERBが大雨の中で演ったんですよ…そんなの超えられるわけないじゃないですか。

●ハハハ(笑)。

茂木:日比谷野外大音楽堂って色んな伝説があるじゃないですか。だから平らな、何もない野音じゃイヤだなと思っているんですよ。今までの先輩方を超えられるライブじゃなきゃ演っちゃダメな場所だと、勝手に思ってるんですよ(笑)。

●ああ〜、なるほど。

茂木:それくらい日比谷野外大音楽堂っていうのは俺の中でハードルが高いんです。俺が大好きな、憧れている先輩方が踏んできたステージ。あの場所をクリアしたらすごい敵を倒したというか、すごい敵と手を結べるというか。そういう歴史があると思うんですよね。そういう場所に立つというのは背筋が伸びることだし、「今、俺は此処に立っている」と酔っぱらいに行くことだと思うんですよね。

●日比谷野外音楽堂は空や緑も含めて会場だと思うし、明るいうちにライブが始まってだんだん暗くなっていくじゃないですか。そういう自然の演出とG-FREAK FACTORYはめちゃくちゃ合うと思うし、映えると思うんですよね。

茂木:だといいんですけどね。あと、日比谷野外音楽堂は席があるじゃないですか。

●はい。席があります。

茂木:あの“席あり”という環境が自分にどれだけプレッシャーを与えてくるのかな? というのはあります。今まで席ありのライブに誘われても断ってきたんですよ。

●おお、色々とハードルがありますね。

茂木:断らなきゃよかった(笑)。

●経験しとけばよかったと(笑)。

茂木:席ありの会場でできる人はすごいと思うんですよね。座っているやつらを目の前で見るというのが、どうしても自信がなくて。

●ハハハ(笑)。でもとにかく楽しみです。きっと茂木さんのことだから、その日ステージに立つまでどういうライブをするのかは決め込まないと思うんですけど。

茂木:フフフ(笑)。そのつもりです。

●終わった後で聞きたいですね。「あのとき、どういう感情でしたか?」って。

茂木:うん。そうしましょう(笑)。

Interview:Takeshi.Yamanaka

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