雷神-RAIJIN STAGE-
dustbox / EGO WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX / G-FREAK FACTORY / HAWAIIAN6 / 秀吉 / マキシマム ザ ホルモン / 10-FEET / 東京スカパラダイスオーケストラ / YOUR SONG IS GOOD
風神-FUJIN STAGE-
cro-magnon (Jazzy Sport) / DE DE MOUSE / DJ178 / EELMAN / FAT PROP / Fragment / GEORGE TIGER ONE / 小林慶 / mabanua (laptop set) / NAIKA MC / Raiji & Chips / R da Masta / scrumbles
G-FREAK FACTORYが2008年に開催したCROSS-CULTURE-FES“COLOSSEUM”。2009年には2DAYSに拡大して大成功を収めた同イベントが、規模と形を変え、地域の様々な協力を得て、群馬県史上最大のロックフェス“GUNMA ROCK FESTIVAL2012”となって開催された。
普段は競輪場として使われているグリーンドーム前橋。大きなドーム内の真ん中に雷神-RAIJIN STAGE-が設置され、ステージ前にはスタンディングエリア、そしてそのエリアを包むように競輪のバンクが広がっており、更にその周囲をぐるりとアリーナ席が取り囲む。地下には風神-FUJIN STAGE-、そして野外ステージではアコースティックライブやお笑いライブが展開されるという群馬の一大ロックイベント。会場には頬を紅潮させた笑顔の観客が溢れていた。
印象的だったのは、出演アーティスト全員がまるで自分のイベントのような気持ちで臨んでいたこと。秀吉やHAWAIIAN6、マキシマム ザ ホルモンなどが自分のステージで発起人・G-FREAK FACTORYと“GUNMA ROCK FESTIVAL 2012”への想いを溢れさせ、そして10-FEETは自らの持ち時間を削ってまでこのイベントに対する想いを大声で叫んだ。
興奮に胸を膨らませて待ち望んでいたその瞬間が訪れる。トリは当然G-FREAK FACTORY。毎回毎回、その場その瞬間にしか生み出せない熱と気迫と感情を振り絞って音を鳴らす彼ら。高崎頼政太鼓とのコラボで始まったそのステージは、過去に何度も観た彼らのライブとは別次元の凄まじさを持っていた。楽器隊が生み出す抜群のグルーヴと、Vo.茂木の“生き様”ともいえる歌。その熱量と純度は、広いグリーンドームの空間を埋め尽くしても余りあるものだった。
「やっとこの日が来た。ずーっとずーっと待っていたこの日が来た」と茂木が感慨深げに告げて「チャンダンの香るこの部屋から〜第二章〜」が始まる。たくさんある彼らの魅力のひとつは、有無を言わさずにその場にいる全員の気持ちを巻き込んでいくエネルギーを持った音。Dr.家坂が繰り出すパワフルなボトム、Ba.吉橋の得も言われぬグルーヴィーなベースライン、感情を持ち上げるG.原田のギター、そして老若男女問わず、言語や肌の色の違いを問わずに突き刺さってくる茂木の歌。「おい! 信じられるか? ここは群馬だぜ?」と言うその表情は晴れ晴れとしている。
トランペットにken iikawa(ex.LONG SHOT PARTY)、キーボードに前メンバーである鴨居哲也を迎えた体制となって観客を沸かせた後、新曲「EVEN」を披露。優しいメロディと言葉がたくさんの手拍子と一緒になり、会場全体が温かい空気で包まれる。
そしてライブは佳境を迎え、彼らの代表曲の1つである「SUNNY ISLAND STORY」が始まる。イントロの叙情的なギターの後、チャカチャカと軽快なレゲエのリズムに茂木が歌を乗せる。徐々に加速していく感情。ステージを広く使って身体全体で歌う茂木。そんな4人が出す音と言葉にグッと感覚を没入させていくオーディエンス。広いグリーンドーム内の全ての人間の意識が収束するステージ。茂木が叫ぶ。原田が感情を振り絞るようにソロを奏で、吉橋は身体を揺らせてベースを弾き、家坂は一心不乱にリズムを刻む。最高の音を出す4人。沸く会場。興奮に塗りつぶされる興奮。そんな最高な流れのまま、本編最後は「島生民」。“音楽”や“歌”という言葉では説明しきれない、圧倒的な存在感を放つ同曲。初めてこの曲をライブで聴いたときから一瞬も色褪せない感覚。茂木が命を燃やすこの歌に、心臓がブルブルと震えているのがわかる。
「俺らだってこれだけできるんだぜ。だから心に決めたことは絶対に止めんじゃねーぞ。絶対に忘れねぇでくれ。色んな人の色んな想いが詰まってるから」「最後に演らせてもらって光栄です。群馬のG-FREAK FACTORYでした。ありがとう」という言葉に、叫びに近い声で応えるオーディエンス。アンコールは「風」、そして出演者がステージに出てきて一緒に歌った「日はまだ高く」。同曲の“限りない故郷に愛を”という歌詞が、想いが、感情が、そのすべてが溢れているイベントだった。「何回も生まれ変わるつもりでやるんで、これからもよろしくお願いします」という茂木の言葉を胸に刻み、会場を後にした。
TEXT:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:kiraba