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Hello Sleepwalkers

新たな時代を切り拓くオルタナティヴロック 謎のベールに包まれたバンドの首謀者、シュンタロウに迫る

昨年10/5にタワーレコード限定でシングル『センチメンタル症候群』をリリースしたHello Sleepwalkers。

メンバー名以外バンドの経歴や詳細が明らかにされていないながら、同シングルで音楽シーンの注目を急速に集めているニューカ マーが、1/18にデビューアルバム『マジルヨル:ネムラナイワクセイ』をリリースする。

革命的かつ普遍的な輝きを放つ楽曲を生み出すソングライター&ギ ターボーカル、シュンタロウに迫るソロインタビュー。

Interview

「いままで聴いたことのないような音楽を見つけたくて。そういう曲ができたと思う瞬間がいちばん幸せです」

●楽曲の構成、音の鳴り、リズム・パターン、歌メロの動き、それらがひとつになったときのイノベイティヴなポピュラリティ。本当の意味でオルタナティヴなロックバンドが現れたなと思いました。

シュンタロウ:ありがとうございます。僕の作曲の方法がそう感じさせるんだと思うんですよね。曲の展開の仕方が一般的には珍しいみたいで(笑)。

●自分ではこれがふつうだと思っていた?

シュンタロウ:そうですね。自分の思うようにやっていたら、自然とこうなっていったというか。

●いわゆるマス・ロックと呼ばれるものとか、緻密に計算されたプログレッシヴなロックということだけでは片づけられないポップネスもHello Sleepwalkersの音楽にはあって。そのあたりの根源も探っていきたいんですけど。まずこのバンドはどのような流れで結成されたんですか?

シュンタロウ:このバンドができたのは僕が高校を卒業するくらいのときで。その前にやっていたバンドが解散したことが結成のきっかけになったんですね。前のバンドは僕とマコトと、あと3人いまと違うメンバーがいて。5人編成で、僕はギターを弾いて、唄ってはいなかったんですけど。

●唄ってなかったんだ。Hello Sleepwalkersを結成するまでは、唄いたいとは思ってなかった?

シュンタロウ:いや、唄いたいと思っていました。それで、このバンドでは唄おうと思って。それから新しいメンバーを探してこの5人になったんです。マコトとナルミは高校の軽音部が一緒で、タソコとは進学した大学で同じ学科だったんです。なかなかドラムが見つからなかったんですけど、ナルミ経由でユウキとコンタクトを取ることができて。ユウキだけ年下なんですけど、中学のときに一度彼のライヴを観たことがあって。年下なのにすごいやつがいるもんだなと思ったことをよく覚えてます。彼は2歳からドラムをやってるんですよ。

●早熟すぎるね(笑)。

シュンタロウ:はい(笑)。彼が入ってくれることになってすごくうれしかったですね。このバンドではいままでやりたかったことを全部やろうと思ったし、このメンバーとなら自分が考えている以上の音楽ができるんじゃないかと思いました。前のバンドは、自分とほかのメンバーのモチベーションの温度差があったんですよね。

●シュンタロウさんはバンド活動にすべてを注いでいたけど、という感じ?

シュンタロウ:そうですね。昔から僕には好きなことが音楽しかないので。中学生のころから学校が終わったらすぐ家に帰って、ギターを弾いて1日が終わるという感じだったし。

●シュンタロウさんの音楽の原体験はどういうものだったんですか?

シュンタロウ:僕は楽器を弾くようになってから、音楽を意識的に聴くようになったんですけど。最初は中学1年のときですね。姉がいるんですけど、そのとき姉は高校でバンドをやっていて。それで姉がバンドをやめるか、新しい楽器を買ったか、きっかけは忘れちゃったんですけど、姉がもっていたベースを売りつけられたんですよ(笑)。5千円で。

●身内なのにしっかり金を取られたわけだ(笑)。

シュンタロウ:そうなんです(笑)。それをきっかけにベースを弾きはじめたんですけど、これがおもしろくて。姉がHi-STANDARDのアルバム『MAKING THE ROAD』のスコアをもっていて。そこからHi-STANDARDの曲を弾き続ける毎日でした。タブ譜の数字が好きになったんですよね。学校にスコアを持ち込んで授業中にずっと見てるっていう感じでした。

●なんでそんなにハマったんだと思いますか?

シュンタロウ:自分が楽器を弾いたら、CDと同じ音が出るということ。ただただ、それがすごく楽しくて。

●最初はベースから入って、そこからギターを弾くようになったんですか?

シュンタロウ:そうですね。ギターは中学2、3年のころから弾くようになったんですけど、最初はパワー・コードが好きで。気持ちいいからずっと弾いてました。でも、高校のときに軽音部に入って、部活でバンドを組んだんですけど。そこに他の学校に通っていためちゃくちゃギターの上手いやつが入ってきて。"そんなことまでできちゃんうんだ!"と思って。それで悔しくてなって、ギターの地獄のメカニカル・トレーニングをはじめました(笑)。

●あはははは。リスナーとしては洋楽も積極的に聴いていたんですか?

シュンタロウ:いや、洋楽はあまり聴かなかったですね。主に日本のロックを聴いていましたね。

●作曲をはじめたのは?

シュンタロウ:中2か中3ですね。ギターを弾きはじめたのと同じころですね。はじめて作ったのはメロコアっぽい、全編英詞の曲で。

●人前で披露することは?

シュンタロウ:そのころはなかったです。仲が良かった友だちにベースを頼んで、そいつとふたりで部屋で演奏して自己満足で終わるという感じでした。最初はどうやって作曲すればいいのか全然わからなくて。どう録音すればいいのかもわからなかったから、家にあったテープレコーダーを使って、どんどん音を重ねていくという方法を取ったんです。ドラムは枕の音で(笑)。

●いろんな意味でアナログな多重録音だ(笑)。

シュンタロウ:はい(笑)。音もごちゃごちゃしてましたけど、すごく楽しかったですね。

●それがシュンタロウさんにとって曲作りの原点になった?

シュンタロウ:そうですね。いまでも感覚的にはそう変わらないです。

●いまのようなあらゆるセオリーから解放された、比肩なき楽曲を作るまでにはどういう流れがあったんですか?

シュンタロウ:日本のいろんなロックバンドの曲を聴くようになってから、ギターの絡みとか、曲の表面的な勢いとは違うところに興味がいくようになって。こう弾いたらこんな音が鳴るのかとか、細かいところがおもしろくなってきたんですね。あとは、僕の場合、曲の構成を全部作ってから録るのではなくて、Aメロを全部録り終えてから、次のメロにいくというやり方なんです。それがどんどん違った展開になっていく原因なのかなと思うんですけど。そういう作り方しかわからなかったというのもあるし、おもしろかったんですよね。

●AメロならAメロで完結させたいという感じなのかな? ひとつひとつのメロディを完璧に表現したいというか。

シュンタロウ:ああ、それはあると思います。

●普通はAメロ、Bメロがあって、サビに曲のピークをもっていくというのがセオリーだし、多くはそこを目指すんだけど、シュンタロウさんの場合はすべてのメロをピークにしたいんだと思うんですよね。それをひとつにするバランス感覚もすばらしいと思うんだけど。

シュンタロウ:ありがとうございます。曲をまとめる上で最後に直したりもするんですけど、基本的には自分の好きなメロディやフレーズをその場その場で詰め込んでいくっていう。

●そのやり方は自然とそうなっていったし、誰の影響も受けてないんでしょ?

シュンタロウ:そうですね。それが心地よかったんでこうなってしまったというか。

●大袈裟にいえば、シュンタロウさんが家でひとり曲作りする時間は、自分の音楽の聖域を構築する時間でもあったと思うんですよ。それがいまHello Sleepwalkersのバンドサウンドで淀みなく、ダイナミックに解き放たれているんだと思う。

シュンタロウ:うん、そうかもしれませんね。自分で曲を作るときは、いままで聴いたことのないような音楽を見つけたくて。そういう曲ができたと思う瞬間がいちばん幸せですね。

●自分で曲を作りながら、ひたすら自分の曲に刺激を受けたいんだろうなって。完成する楽曲はその連鎖の結晶というか。

シュンタロウ:それもあると思います。刺激がないと次に行けないというか、放っておけないんですよね。やっぱり新しい音楽を作りたいから。

●曲作りのペースは速いんですか?

シュンタロウ:いや、ペースはすごく遅いほうだと思うんですけど。やることも多いので。リズムも僕が考えるし。たまにすぐにできる曲もあるんですけどね。ひとつの曲作りのなかで、新しいところが見えてすぐ次の段階にいける曲と、ずっとそこに留まってしまう曲があって。でも、そういう時間も楽しいんですよね。もがけばもがくほど完成したときが気持ちいいし。

●ある程度のところまでシュンタロウさんが楽曲の骨組みを作っていると思うんですけど、それをバンドに持ち込んだときにどういう変化が起きるんですか?

シュンタロウ:やっぱりバンドにもっていくと曲の弱いところも見えてくるんですよね。バンドではそこを強化する作業をしますね。もしくは各メンバーが弾きやすいフレーズや叩きやすいリズムに変えて最終形になっていきます。

●曲をもっていくとみんなどういう反応をするんですか?

シュンタロウ:う~ん…変なリアクションなんですよね(笑)。やっぱり最初は馴染みにくい曲なんですかね? ナルミはストレートに「あの曲はあんまりおもしろくない」って言ってくるんですけど、ほかのメンバーはわりと淡々としているというか。みんなすごくシャイで、静かなバンドなので。僕も普段は積極的にしゃべるほうではないし。でも、実際に曲を完成形までもっていくとみんなの個性や価値観もすごく入り込んでいると思うし、それを感じられたときが楽しいですね。みんなすごいプレイヤーだと僕は思っているので。ライヴではガンガン弾いていても、しゃべるとダメになるタイプの人たちの集まりなんじゃないかと思ってます(笑)。

●でも、換言すれば音楽に全部込めてる人たちの集まりとも言えますよね。

シュンタロウ:ああ、それいいですね。そう書いていただけるとありがたいです(笑)。

●でも、ホントにそういうことなんじゃないかな。バンド名について聞きたいんですけど"Sleepwalker"って"夢遊病者"って意味じゃないですか。この言葉ってシュンタロウさんの書く歌詞の世界観を象徴していると思うんですけど。

シュンタロウ:Sleepは"寝てる"、Walkは"歩く"という意味じゃないですか。自分たちの曲は、現実感を唄っている曲もあるし、夢のなかにずっといるような曲もあって。この言葉がフィットすると思ったんですよね。

●どの曲にもこの世界の本当の有り様を見たいという思いと、そのために動き続ける、移動し続けるという意志を感じる。

シュンタロウ:なるほど。このアルバムに入っている曲は自分がもがいている時期に書いた曲が多いので。そういう感じが強く出ているのかもしれないですね。違うところに行きたいという欲求というか。今後、僕の状態によって歌詞は変わっていくと思うんですけど。

●僕はこのアルバムのなかで「センチメンタル症候群」と「寝てる」にシュンタロウさんが音楽を求めたり、創造する理由が顕著に表れていると思ったんです。

シュンタロウ:なるほど…自分の曲を客観視できないんですよね。取材をしていてみなさんにいろんな感想を言っていただくんですけど、"ああ、そうなんだ"って自分で気づくことが多いというか。曲に自分がそのまま入っちゃってるから客観視できないと思うんですけど…。「センチメンタル症候群」の歌詞に出てくる"真夜中の国道"は僕がバイトしていた店があった国道なんですけど(笑)。そのときはバンドもいまのような編成になってなくて。ユウキが入るちょっと前で、バンドをやりたくてもなかなか前に進めないもどかしさがあった時期ですね。さっきの話とつながりますけど、どこかに行きたいという思いが強かったと思います。「寝てる」は、現実感に対抗するための曲というか。世界には戦場もあるけど、僕らの小さな日々もあって。そういう世界に対して寝ることしかできない自分がいるというか…でも、最後に希望を持とうとしているんですよね。

●そうなんですよね。最後に"僕の願いは君の為 あなたの願いは誰かの為 そんな世界が今日も回る そんな事描き僕は寝てる 今日も寝てる"というフレーズに着地していて。寝ながらも音楽を描いて願っている。そこがすごくシンボリックだなと思ったんです。

シュンタロウ:ああ、なるほど。言われてみてそうかもしれないなって思いますね。

●あと、サウンドにも歌詞にも冷静な視点と前のめりの躍動感が常に同居している。

シュンタロウ:そうですね。例えば自分を音楽と切り離したところで考えると、すごく静かな人間だと思うし。音楽をやっているから人前で唄えるし、普段はこうやって人にしゃべることも苦手なので。

●つまり音楽は、シュンタロウさんを動かしているものである。

シュンタロウ:間違いないですね。自分は音楽がないとやっていけないです(笑)。逆に言えば、音楽があることは自分の特権だとも思ってます。僕にとって楽しいことが全部音楽のなかにあるので。底が見えないんですよね、音楽っていうものの。なので、どこまでも突き詰めていきたいと思うんです。

●常に新しい音楽を創造するという確信はありますか?

シュンタロウ:いや、そういう保証はまったくないと思うんですけど(笑)。僕もいつか作れなくなるのかなと思うときもあるし。でも、作り続けたらできるんじゃないかという希望も抱いてます。それを信じてやっていきたいですね。

interview:三宅正一(fixed)