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knotlamp

果てなき苦闘の末に到達した高みから、この美しい地上絵のごとき名作が生まれた

今年6月にリリースしたシングル『Across my world』からImperial Recordsに移籍し、活動の場をメジャーフィールドへと広げたknotlamp。1月にはG./Cho.MAHIROが正式に加入し新体制となった彼らが、3rdアルバム『Geoglyph』を完成させた。昨年9月に発表した3rdミニアルバム『Bridges We’ve Dreamed(=夢見ている場所への架け橋)』の向こう側にあるものを見ようと、さらなる苦闘を経て辿り着いた今作。1つの高みへと到達したからこそ見えるスケール感の大きな世界観と普遍性を兼ね備えた、新たなマスターピースの誕生だ。

「飛び上がって今まで自分がいた所を見下ろした時に、初めて綺麗な地上絵が見えた。それを希望とたとえるなら、自分が一生懸命努力をして初めて見えるものなんです」

●KEITくんのブログ(2012/07/25)を拝見して、今回の制作を経てメンバーへの想いを改めて強くしたのかなと感じました。

KEIT:やっぱり、そういう部分はありますね。しかも今回は、MAHIROが制作から参加した初めてのアルバムというのもあって。

●前作の『Bridges We’ve Dreamed』(3rdミニアルバム)リリース後に、MAHIROくんが正式加入したんですよね。

KEIT:前作ではまだ僕が全部弾いていたので、今回はMAHIROにギターを任せられるということのありがたみを制作中ずっと感じていました。彼とは人としての部分というか、ヴァイヴスがすごく合うんです。バンドを一緒にやるなら人生を賭けるつもりでやるという想いもあるし、バンドの持つ難しさもわかった上で自分でやり甲斐を見付けられる人間なんですよね。作ってくるフレーズやライブに対する考え方とかまで含めて、今までで一番だなと感じています。

●MAHIROくん以外の3人は10年以上も付き合いがあるわけですが、そこにも上手く溶け込めている?

KEIT:俺だったら絶対にできないと思います(笑)。でもMAHIROは「knotlampが持つ良さに共感して、人生を賭けてもいいと思えたから入った」ということを言ってくれて。そんな気持ちでやっているということだけで、既に俺たち3人の16〜17年ものグルーヴに追いついて1つになれているというか。バンドに賭ける気持ちがどれくらいあるのかが大事だし、付き合いの長さとかは関係ないんですよね。

●バンドに賭ける気持ちが一番大事だった。

KEIT:やっぱり最後に頼るものは、気持ちですからね。好きだから続けられるし、壁も乗り越えられる。気持ちがないと始まらないという部分はあります。

●今も出た“乗り越える”という意味の“overcome”が、今作の歌詞には目立つ気がします。

KEIT:そうですね。メンバーチェンジがあってからのここ1年で、自分たちに求められるエネルギーがこれまで以上になっている印象がすごくあって。これまでのメンバーでのknotlampを見てきた人たちの中には、全く別物になったと思っている人も少なくないみたいなんです。でも曲の良さや4人の気持ちが1つになっている感じは今までで一番なんだっていうことを伝えるためには、より大きな気持ちが必要だなと。“乗り越える”というか、“一線を超えた向こう側に行かないと”っていう気持ちがすごくあるんです。

●メンバーチェンジを経たことで変わってしまったと捉えているファンに、伝えたい想いがあった。

KEIT:そういう人たちをライブハウスへ引っ張ってくるためには、それを証明する音源がまず必要なんですよね。そこでもしライブハウスまで足を運んでくれた人がいたとしても、今度はライブで心を掴む力がいる。もちろん新しい人たちに届けたい想いはあるんだけど、今まで応援してくれた人たちがいてここまで来られているわけで。だから前作には“橋”という意味の“Bridges”をタイトルに付けたし、(そこを経て)“乗り越える”というイメージが今はすごく強いですね。

●今作『Geoglyph』を作るにあたって、方向性は見えていたんでしょうか?

KEIT:“新しいことをやりたいな”とか“もう少し広げたいな”という気持ちはありましたね。あとは、今までの曲と並べてライブでやった時にもっと伸びる楽曲にしたいという狙いはありました。

●ライブで演奏する時に今までの代表曲と並べても遜色ないどころか、超えてすらいくような曲というか。

KEIT:M-3「理想飛行船」とかは絶対に、そういう曲になっていくと思いますね。何よりこのメンバーで作る初めての作品だから、(今後の)基本になるものだという意識があって。そういう意味では、これが1作目という気持ちで書いたんです。

●この4人で新しいknotlampになったような感覚?

KEIT:それでもいいかなと思ってはいるんです。ライブでも今までの曲もやりながら、お客さんを絶対に楽しませるっていう気持ちは変わらないので。それさえあれば“新しい”という受け取り方をされてもいいかなと。

●前作では大胆に打ち込みを取り入れたりもしていましたが、今作ではそこまで目立たない気がします。

KEIT:そうですね。最近は打ち込みを取り入れているバンドが多いので、逆に自分たちは“やりたくないな”という気持ちもあって。元々、自分は歌と弦楽器とドラムだけで成立しないとバンドはダメだと思っている人間なんですよ。そういう方向に走らなくても良いアルバムや良い曲を作れるし、良いライブができるから。

●流行りに乗っていると思われるのも癪だし(笑)。

KEIT:売れるためにそういう方向へ走るようなことが嫌いだから自分はバンドを始めたところがあるし、音楽って好きなことを好きなだけやる自由が詰まったものだと思うんですよ。だから、このバンドはその時代の流行りみたいなものには乗っかれないですね。

●そういう意識がある中で、M-5「Depression’s Dance」には打ち込みをすごく自然に取り入れられているのは、前作で試したことの成果なのかなと。

KEIT:そうだと思います。このバンドは何でもアリだし、打ち込みが入ってもカッコ良いものになるということを見せられていると思うんですよ。だから、打ち込みを入れただけで「前と違う」とか「knotlampらしくない」とか言われるようなところに自分たちはいないと思っていて。そういう意味でも「Depression’s Dance」は、何の違和感もなく聴いてもらえるんじゃないかな。

●前作には“夢見ている場所への架け橋”という意味のタイトルを冠したわけですが、そこからの延長線上に今作のイメージが見えていたりもした?

KEIT:どこかに向かうというイメージはあったんだけど、先は見えていなかったです。“ここからどうなるんだろう?”っていう気持ちがあったから、その先が未知なイメージの“架け橋”というところで終わっていたんじゃないかな。自分自身、あまり先を見て曲を作るようなタイプじゃなくて。その時の衝動一発でアルバムができていくものだという気持ちが強いし、その方が音楽やバンドマンのあるべき姿だと俺は思いますね。

●計画性よりも、その時々のパッションを大事にしている。

KEIT:それがあってこそ、ヴァイヴスが生まれると思っているんですよね。だから今作を作り始める時も、逆に“どうなるんだ?”っていう自分に対する疑問や自分への挑戦みたいな感覚がありました。いつも良い歌と良いメロディーを目指しているというところは変わらないので、それをどれだけ情熱的にやれるかだけなんですよ。いちいち次のことまで考えるのは面倒くさいし…(笑)。

●ハハハ(笑)。以前、KEITくんはいつも作品を作り終えた後は必ず精神的に一度落ちるという話をしていましたが、今回はどうだったんですか?

KEIT:今回も落ちましたよ。レコーディングに入る前は本当に無力さとかを重く感じてしまっていて、自分でも“危ないな”と思うようなゾーンまで行きかけていたんです。曲ができあがってきたところで初めて落ち着いてきたんですけど、そこまでは張り詰めた感じで眠れない日々を繰り返していて…。1つでも良くなる可能性があるなら、そこを良くしたアルバムを出さないといけないと思っているから。

●自分の中で妥協できない気持ちが強い。

KEIT:作曲者としての責任感もあるし、バンドとして周りにいる人たちへの責任感もあって。しかも今回はメジャーという新しいフィールドで出す初めてのアルバムなので、“こんなものしかできないのか”って思われたくない。もちろんそう思わせない自信もあるけど、“圧倒したい”という気持ちがあったんです。周りは「もうそのくらいでいいんじゃない?」と言ってくれたりするからこそ、逆に“圧倒したい”とか“サプライズを起こしたい”と思う。メンバーやスタッフみんなに“うわ! こんな曲を作ってきやがった!”と思って欲しい気持ちがあるんですよ。きっと欲ばりなんでしょうね。

●理想が高いゆえの苦悩なんでしょうね。

KEIT:自分ができることと理想とのギャップはすごくあって、“自分はこうなれるはずだ”って思い込んでいるんですよ。バンドって、その思い込みから始まる部分もあるから。でもバンドを長く続ける中で徐々に実力も付いてきたからこそ、余計に手が届きそうで届かないもどかしさに病んでいたというか。“あと少しなのに、なぜ行けないんだ!?”っていうところが、一番苦しかったですね。それで今回もどん底まで落ちていました。

●でも、そういう気持ちがバンドを高みへと押し上げるエネルギーにもなる。

KEIT:そうなんですよね。結局はそういうところまでやったからこそ、“もうここまででいいや”っていう踏ん切りも付くんです。絶対に後悔はしたくないし、納得がいかないアルバムにはしたくない。ものを作るということについては、自分のハードルは常に上げ続けています。だから、今作を作り終えても“まだまだこんなものじゃない”と思って、すぐに次のアルバムのことを考えていたりもする。

●音楽を作っている限り、それを延々と繰り返すわけですからね。

KEIT:そう、いつまでも終わらないんですよ。いつの間に、自分がこんなにもドMなキャラになったのかと思うくらいで(笑)。バンドというものに打ちのめされて、自分というものの小ささや無力さみたいなものをこれだけ見せつけられてもまだ続けたいと思う…。バンドって、本当に困ったものですよね。

●今作はそういう苦悩を乗り越えて、色んな経験を積み重ねてきたことがリスナーにも伝わる内容になっていると思います。

KEIT:絶対にそうだろうなと思いたいです。今までのファンも満足できるし、新しい人にも入りやすいアルバムができたと思っているから。ただ、まだやれますね! MAHIROが入ったことでさらに広がったし、制作意欲がまだまだある…、これは一生なくならないのかな。

●『Geoglyph(=地上絵)』というタイトルにも、今の想いが込められている?

KEIT:音楽を通して自分たちが人をハッピーにできたり、自分たちがハッピーになれたりするような希望が日常生活のいったいどこにあるのかっていう疑問があって。そこを自分なりに色々と考えていく内に、あるがままの生活が穏やかに進んでいることが人にとって一番幸せなんだという気持ちが芽生えてきたんですよ。自分たちが笑顔になれるものはそんなに特別なところにあるわけじゃなくて、普段の何気なく食べるご飯だったり、友だちや家族との時間の中にあるんだなと。

●ありふれた日常の中にある幸福に気付いた。

KEIT:それは俺が飛び立って高いところに行こうっていう夢を持って進む中で、初めて見えたことで。飛び上がって今まで自分がいた所を見下ろした時に、初めて綺麗な地上絵が見えた。それを希望とたとえるなら、自分が一生懸命努力をして初めて見えるものなんですよね。それが生きていくということなんだなと思ったんです。

●音楽を通じて、1つの人生観にまで辿り着いたというか。

KEIT:今作を作る中で本当に深いところまで行ってしまったことで、自分なりに汲み取った経験があって。そこで得た自分なりの“強さ”や“幸せ”に対する理論を、次のアルバムではもっと出していけたらいいなと思っているんですよね。

Interview:IMAI
Assistant:Hirase.M

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