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夢への架け橋を完成させた彼らが理想郷へ手を伸ばす

 昨年9月、一度は発売延期という苦渋の決断を経て2ndフルアルバム『Dot of the Galaxy』を完成させたknotlamp。一切の妥協を許さず徹底的に突き詰めた作品を作るという信念に従い、彼らは難産の末に1つの分岐点とも言える名作を生み出した。だが、そのツアー中にもメンバーチェンジがあるなど、度重なるアクシデントが襲いかかる。KEIT(Vo./G.)自身もいまだかつてないほどに落ち込んでいたという激動の1年から、再び浮上してきたことを感じさせた“ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2011”。WING TENTの最終日でトリを務め、さらなる注目を集める中で完成させた新作ミニアルバム『Bridges We've Dreamed』は、闇を突きぬける光を感じさせるような作品だ。困難から逃げ出すことなく、真剣に向き合ったからこそリアルに響く歌詞。今まで以上に研ぎ澄まされたグッドメロディは、音楽的な幅を広げたサウンドと共に躍動している。人間的成長と精神の解放によって進むべき道のりを照らし始めた光の架け橋は、彼らを理想郷へとまっすぐ導いていく。

Interview

「(新作の制作をする時は)毎回、"何かを終わらせてまた新たな何かを始めているんだな"というところに辿り着くんですよ。自分の中では、それまでに築きあげてきた"knotlamp"というものが去年で一度ぶち壊れたと思っているんです」

「前作を超えるものを作ろうという気持ちはもちろんありつつ、過去の作品とは比較ができない場所に新しい"原点"も産み出そうとしていましたね。前作も分岐点だと思っていたんですけど、そこからさらに前へ進んだという意味で今作も分岐点になった」

「"自分の人生はこうだ"とか"自分はこうだ"と決めるのは人生最後の日でいいと、俺は常々思っていて。だって、人は変わっていけるものだから」

●前作の2ndフルアルバム『Dot of the Galaxy』(2010年9月)リリース直後にメンバーチェンジもあったりと、ここまで激動の1年だったのでは?

KEIT:"色んなことに試されている"っていう感覚が今もあって。その期間も"ここから先は本当に音楽が好きじゃないと進めないんだろうな"っていう気持ちがずっとありましたね。

●オフィシャルサイトのブログを読むと、精神的に落ちていた時期もあったようですが。

KEIT:落ちていた時しかなかったんじゃないかっていうくらいですよ(笑)。前作を作っている時も落ちていたんですけど、作り終えてからもまた落ちて…。それは毎回、作品を作る度なんですけどね。

●作品を作る度に落ちている?

KEIT:いつも最後は"もっとやりたいのに"っていう気持ちが残るから。それは次につながる部分でもあるんですけど、達成感がある中でも"これで良かったのかな?"と思ったりして毎回落ちてしまうんですよ。

●そこから浮上するキッカケは何だったんですか?

KEIT:何だったんだろう? …ひたすら耐えていた感じかな。時間が経てば身体の痛みも和らいだりするのと同じで、耐え忍んでいる内に荒れ果てていた土地が更地へ戻っていく感覚があって。そこで自分のやるべきことをしっかりやって、結果を出した瞬間にやっと自信に変わる。つらい心境の自分を先に進めてくれるような良い言葉とかに引っかかるアンテナの感度がすごく高くなるというか。

●前を向くことを後押ししてくれる言葉を探す感じですね。

KEIT:でも本当に落ちている時はアンテナを張ろうという気持ちにすらなれないので、そこへ行くまでにも時間がかかるんですよ。この1年間は本当に気持ちがボロボロだったので、"どうやって今、笑えているのか?"と訊かれても直接的な原因は自分でもわからなかったりして。今年の春頃はこれ以上ないくらいに心が病みきっていて、自分の中で前向きさや強さをまず見つけなくてはいけない状態で迷宮に入ってしまっていたかな。

●その頃には今回の3rdミニアルバム『Bridges We've Dreamed』の制作に入っていた?

KEIT:入っていましたね。そういう中でも何とか強さや前向きさを見つけていって、今年の6月頃には心も少し落ち着いてきたんです。それまでは、とにかく"これより下はない"っていうくらいのところにいたと思います(笑)。でも今は"そういう時に救ってくれるような強烈な音楽を自分で作っていけたら、これから先も生きている意味はあるな"と思っているんですよ。

●そういう心境がM-1「Blaze Drops」の"My passion's back again(情熱がまた蘇ってきた)"っていう冒頭の歌詞にも表れているのかなと。

KEIT:つらかった時期に思っていたことを正直に歌っている歌詞が、今回は多い気がしますね。(新作の制作をする時は)毎回、"何かを終わらせてまた新たな何かを始めているんだな"というところに辿り着くんですよ。自分の中では、それまでに築きあげてきた"knotlamp"というものが去年で一度ぶち壊れたと思っているんです。

●確かに今作の歌詞には"1つの時代が終わって、新しい時代が始まる"という一貫したテーマを感じました。

KEIT:一度なくなったところからの制作だったので、今回はそういうことをより強く感じられるんじゃないかな。より革新的なことや斬新なことが今作ではやりたいと思っていたんです。俺たちはジャンルや曲調的にも色んなことをやっていきたいというスタンスなので、速い曲や激しい曲だけじゃなくて静かな曲や聴かせる曲も含めてやりたい気持ちがあって。

●今まで自分たちで築いてきた"knotlamp"のイメージに囚われることはない。

KEIT:『Bridges We've Dreamed』というタイトルは"僕らが夢見てきた架け橋"という意味なんですけど、今作は次のどこかへ向かうための架け橋になっていると思うんです。自分たちが夢見てきた理想の形へと向かう架け橋というタイトルなので、そういう意味でも1つの何かが終わって新しい何かが始まるという部分は出ていると思います。

●次の段階へと向かう一歩目になっている。

KEIT:今作では今までやらなかったことに挑んでいるんです。前作を超えるものを作ろうという気持ちはもちろんありつつ、過去の作品とは比較ができない場所に新しい"原点"も産み出そうとしていましたね。だから今回はゼロから何かを生み出さなきゃいけないというところで、本当にもがいている感じがあった。前作も分岐点だと思っていたんですけど、そこからさらに前へ進んだという意味で今作も分岐点になったと思っていて。たとえば前作までにはなかった打ち込みの音を取り入れたりとか色んな角度から今回は新しいことに挑戦しているし、考える量や込めた気持ちも前より大きかったかもしれない。

●今までの流れに沿ったことを単にこなすのではなく、困難でもあえて新しいことに挑戦することで自分自身もワクワクできる。それができた瞬間がM-2のタイトルにもなっている"Holy Moments(神聖な瞬間)"なのかなと。

KEIT:音楽に対してリスクを背負った時に初めて、神聖な瞬間を味わえるというか。自分が子供の頃から参加している地元のお祭りでは、たまに死人が出たりもするんですよ。でもそういう危険を伴うお祭りだからこそ、神聖な瞬間も感じられるんです。どうなるかわからない緊張感も含めて、普段では味わえない瞬間がある。

●だからこそ参加していてワクワクもする。

KEIT:そうなんですよね。「Holy Moments」は打ち込みの音を入れたので、できあがった時に自分の中でも"今までにない"という感覚が強かったんです。"ファンの人たちにどう受け止められるんだろう?"っていうところでリスクも感じたし、そこで逆にテンションが上がった部分もあって。"それでも前に進むんだ"っていう確信を持って今はやれているんだということをこの曲では歌っています。

●リスクを伴うから楽しい部分もあるのでは?

KEIT:そういう部分もあるんでしょうけど、自分としては"つらいな"っていう気持ちが強いですね(笑)。良いテイクが録れたり、自分の思っている形に近づけた瞬間が見えた時にちょっと楽しさを感じられるくらいかな。その繰り返しだけど、悩んでいる時間のほうが絶対的に多いので、"音楽をやる"っていうのはそういうことなのかなと思っていますね。

●"音楽をやる"ことが"生きる"こと自体にもつながっているんでしょうね。

KEIT:そういう意味で、生きるか死ぬかを背負っているんですよ。音楽に今までも救われてきたし、その存在があるから自分はまっすぐ立てているということをいつも肝に銘じていて。何かから逃げ出してここにいるわけではないし、自分で選んでやっていることだから。音楽に怠けた気持ちで向き合うっていうことは自分の全てを怠けることでもあるし、台なしにするっていうことでもある。だからクオリティや理想を守るために妥協したくないし、良い作品を作りたいという気持ちが常々あるんです。音楽っていうものが、今は自分の全てになっていますね。

●より純粋に音楽と向き合うようになった?

KEIT:いつの間にか"もっとデカい存在になりたい"っていう想いと、"もっとスキルアップしたい"っていう気持ちを一緒に考えてしまっていたというか。俺たちは元々、自分たちが好きな音楽をやりたくてバンドを結成したわけだし、ぶっちゃけ今は"バンドの名前を広めたい"とかいう気持ちはどうでもいいと思っていて。それよりも自分たちの中で、どれだけ価値を持った作品を作り上げられるかっていうだけになったんです。かといって他人のことを考えていないわけじゃなくて、最終的にはファンの人たちをすごく喜ばせる作品を作れているかどうかが1つの勝負だとは思っていますけどね。

●まず自分たちが本気で良いと思える作品を作ろうとした。

KEIT:長年連れ添ってきた仲間たちと今でも音楽がやれているわけだから、"これが良いよね"っていうものをメンバー間だけでも共有できていればいいんじゃないかなって。今回は本当に自分たちがやりたいことをやる勇気を持てたんです。それは曲が良くないとできないことだけど、今回はそこに挑戦できるクオリティを持った作品だったから。

●打ち込みの要素が特に強いM-4「New Dawn」は、今作の中でも特に挑戦的な曲ですよね。

KEIT:でも元々、こういう引き出しは持っていたんです。デビュー前に自分たちだけでやっていた頃はもっと色んなタイプの曲があったし、トラックを流してラップしているような曲まであったんですよ(笑)。打ち込みの要素も単に今まで出していなかっただけで、元々は持っていましたね。

●CDデビュー以降のイメージしか、ほとんどのファンは知らないわけですからね。

KEIT:デビュー以降に知ってくれたファンからの期待に応えたい部分もあるから、今までの作品はその流れの中で作っていたんです。だけど今回は"ここで俺たちは1回、先に行かせてもらうよ"っていうような作品にしたというか。今作のツアーでも今までと変わらずライブは楽しんでもらえるはずだからファンとの絆はそこでちゃんと守りつつ、作品では"こういうこともやらせてもらうよ"っていう感じですね。

●ミニアルバムとはいえ、音楽的な幅の広さを感じさせる作品になったと思います。

KEIT:そういう部分をもっと出していきたいですね。でも違うことをやろうとすればするほど、メロディや歌のクオリティがもっと高くないといけなかったりもするので大変なんですよ。形だけ違うことなら簡単にできるんですけど、やっぱり良い歌じゃないとダメだから。

●そこはknotlampの中でずっと変わらない部分ですよね。

KEIT:サウンドがどんなジャンルに変わったとしても、"歌"っていうものは絶対に守っていくと思います。やっぱり自分が聴く側だとしても、歌が良いバンドのほうが思い入れが強いんですよね。自分たちの音楽も他人から聴かれた時にそうじゃないといけないと常々思っていたから、成り立ってきた部分もあるんだろうなって。原点としてそういう気持ちがないと、俺が作る音楽の意味はないと考えるように自然となっているんです。

●それがknotlampの、バンドとしてのオリジナリティにもつながっていく。

KEIT:これからはそこがより濃くなっていくと思いますね。"このアルバムから、こういう感じが始まったよね"と後に言われるような作品になったので、本当の勝負は次の作品だと思っているんです。

●もう次の作品へと気持ちが向かっている。

KEIT:既に今の時点で、福岡に帰ったら次作に向けた曲を一気に書こうと思っているんです。"書こうかな"っていうフワッとした気持ちじゃなくて、"書きたい!"と思っているから。

●今までなら作品を作り終えた後に一度落ち込んでしまってまた戻ってくるまでに時間を要していたところが、今回はすぐに次の作品へと気持ちが向かえているのはなぜ?

KEIT:本当に強くなったんでしょうね。打たれ強くもなったし、瞬発力もすごく上がった。でも自分が強くなりすぎて、他人の力はいらないっていうような寂しい人間にはなりたくないんです。ちょっとくらい弱さがあるほうが人間らしいと思うから。"強さ"の意味を履き違えないように、バランスを取りながら力をつけていけたらいいなと。

●自分の弱さを認められるのも強くなれたからこそじゃないですか?

KEIT:今作を作り終えて今こういう気持ちになれているのも、強くなれたからだと思います。トラブルや物事に対する時に心持ちが変わってきたんでしょうね。たぶん、この強さが次の曲や歌詞にも出てくるんじゃないかな。これこそがミュージシャンだと思うんですよ。こういう想いをいっぱいしないと、ダメなのかなって。そうやって作った曲が支持されなくても、それはそれで仕方ないから精一杯やろうと今は思える。

●"色んなことに試されている"と最初に話されていましたが、困難も自分たちに対する試練と捉える感覚はM-5「Siren」の歌詞にも出ていると思いました。"Laying many traps we must clear and we sometimes call it destiny(クリアしなきゃいけないたくさんの罠が仕掛けられてて、俺たちは時々それを運命とか呼んだりしてる)"とありますよね。

KEIT:たとえばknotlampはだいたい1曲3分くらいだけど、それを聴いている間にも人生は3分先に進んでいる。その曲を聴いて"良いな"と思っている3分間は人生の中で幸せな時間になるわけだから、自分たちの音楽を聴いて時計の針をどんどん先に回してもらえるような存在になれたらいいなと思っていて。この曲では今に絶望している人が少しでも元気を出せるような音楽を聴いて時間をどんどん進めていけば、必ず今よりも良い時間が待っているんだっていうことを伝えたいんです。

●同じ時間を過ごすにしても、ポジティブな気持ちで過ごしていくというか。

KEIT:つらいことがあっても、人間っていうのは時間が経つほどに落ち着いてくる部分があると思うんです。だから"自分の人生はこうだ"とか"自分はこうだ"と決めるのは人生最後の日でいいと、俺は常々思っていて。だって、人は変わっていけるものだから。

●そういう気持ちは"今日この世界が最後の日なら~"ということを歌ったM-3「Oblivion Color」にも出ている気がします。

KEIT:今回の歌詞は、もう自分が思っていることのままですよね(笑)。"こういうことがあったけど、俺はこうやって乗り越えたよ"とか"こういうふうに捉えたよ"っていうことを、曲を通して報告しているだけというか。音楽っていうものは笑顔になるためにあると俺は思うから、そういう作業も音楽をやる1つの楽しさなんじゃないかな。

●ちゃんと他者に向けて歌っているし、その存在の必要性もM-6「Beautiful Days」で"you(君)"の大切さを歌っていることでも伝えている。

KEIT:そこでもリスクを背負って行かないといけないんだなと思ったんですよ。他人と関わることでケンカや裏切りも起こるかもしれないし、ある意味でリスクがある。だけどそれでも素晴らしいことだと思えるようになったのが、今年に入ってからで。去年までの俺はあまり他人を信用していなかったので、新たに知り合った誰かとあまり仲良くなることもなくて深入りはしない感じだったんです。

●リスクを恐れて、必要以上に踏み込まなかった。

KEIT:でも今年になって、そこの壁を1枚取り払って他人を信じて付き合ってみた時に、つながりがすごく広がったんですよ。だから今は、1人きりで生きていける人間がカッコ良いとは全然思わなくて。"周りに支えられる部分があってもいいじゃない"って思えるようになったのは、俺が他人に対してそう思うようになったからなんです。今までは周りから"こいつは他人の意見を聴かない"と思われていたかもしれないけど、そういう部分もなくなりましたね(笑)。周りから近寄ってきてくれることも多くなったのは、そういう雰囲気が自分から出ているからかなって。

●今のKEITくんの雰囲気が良いから、それが周りにも伝わっている。

KEIT:それこそが"愛"や"絆"にもつながると思うんです。やっぱりリスクを背負って先に進まないとダメだし、そういう部分も含めて何かを信じるっていうことは素晴らしいことだなと思いましたね。だから作品でもどんなに新しいことをやって不安やリスクがあったとしても、"それでいいじゃん"と思えるようになった。

●あきらめじゃない"それでいいじゃん"ですよね。

KEIT:あきらめではなくて、その後に"だから楽しいんだよ"とか"だからカッコ良いんだよ"と続く"それでいいじゃん"ですね。

●リスクを恐れて同じ足場の上をぐるぐるまわるんじゃなくて、隣に見えている次の足場に思い切って跳べたというか。

KEIT:足場を飛び移る途中で"落ちてもいいや!"って思えているんですよね。次に進みたい気持ちはあるし、そう思った自分の想いが守れたなら"それでいいや"って思えた。

●跳んだこと自体が大事なんだと。

KEIT:結果がどうとかじゃなくて、そう信じていきたいですね。そういう部分でも強くなったのかな。今作を踏まえて、次の作品ではそろそろ開けたアルバムができるんじゃないかなと思っています。今作を機に"こういうところに行きたかったんだね"というのが見えたと思うから、みんなにも期待していてほしいですね。

●今は自分たちのやりたいことが具体的に見えているから、すぐに次の作品へと気持ちも向かえているんでしょうね。

KEIT:本当にそうですね。"次はこういうことがやりたい"っていう気持ちが"今回、もっとこうやりたかったのにな"っていう想いよりも先行しているから、最近の心境はすごく良いんだと思います。

Interview:IMAI