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首振りDolls すべてのピースが揃い、首振りDollsの第二章が幕を開けた

首振りDolls すべてのピースが揃い、首振りDollsの第二章が幕を開けた


 
“和”のテイストを内包する世界観と初期衝動、うねるグルーヴに破壊力のあるサウンドを兼ね備えたロックンロールの申し子・首振りDolls。2012年から精力的に活動を続け、2018年4月にアルバム『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』で華々しくメジャーデビューを果たした彼らが、約1年ぶりとなるアルバム『アリス』を完成させた。昨年末にメンバーチェンジを経験したものの、一瞬たりともバンドの歩みを止めることなく、更に勢いを加速させる3人。すべてのピースが揃った首振りDolls、ロックンロールの第二章が幕を開けた。
 


 
「それぞれの個性がえげつないから、もうこの3人じゃないと出来ないかなっていう感じはありますね。今バンドが固まった」


 
 
●このタイミングの取材だと触れないわけにはいかないんですが、2018年12月にBa.ジョンさんが脱退されましたね。既にSEX MACHINEGUNSさんとのスプリットツアーも発表になっていた時期だと思うんですが。
 
ナオ:はい。その時点では今作のレコーディングも決まっていました。
 
●結構なタイミングですね。
 
ナオ:私たちは2012年の結成以来、すごい数のライブをやっていて、おそらくすり減っちゃったんだと思います。リリースツアーなんて気合いが入りすぎて半年で100本以上やってきたので。
 
●ジョンさんからどういう話があったんですか?
 
ジョニー:明確な説明はなかったと思うんですけど、とにかく「辞めたい」と。燃え尽きた感じというか。今作のレコーディングが決まっていたんですけど「今の気持ちのままレコーディングをやりたくない」とも言ってました。
 
ナオ:ジョンのラストライブは去年の12/26だったんですが、言われたのはその1ヶ月前くらいだったんです。本当にドタバタの中でジョンから話があって。私としては、首振りDollsをやる前からジョンと一緒にバンドをやっていて10年くらいの付き合いなんですけど、そんなジョンが「辞めたい」と言うってことは限界なんだなと。
 
●ジョンさんの後任として加入したショーン・ホラーショーさんは、もともと知り合いだったんですか?
 
ショーン:そうですね。当時やっていたバンドでよく対バンしていたし、一緒にツアーもまわったりしていて。
 
ナオ:ジョンが抜けると言ったタイミングで、ラストライブまで1ヶ月しかなくて。でも私たちはその1ヶ月で新しいメンバーを見つけて、その新しいメンバーとSEX MACHINEGUNSとの2マンツアーをやらなきゃいけない。更に1月末からはレコーディングも控えていたので新曲も仕上げないといけない。
 
●なかなかですね(苦笑)。
 
ナオ:普通だったら「無茶だろう」という話なんですけど、ジョンから「抜ける」と言われてジョニーと2人で話し合って「やるしかないよね」という結論になったんです。そこで私が「サポートとかはどうだろう?」とポロッと言ったらジョニーが「サポートは絶対嫌だ」と。
 
●ふむふむ。
 
ナオ:そのときに2人が名前を挙げたのがショーンだったんです。2人とも同じ意見で「ショーンがいい」と。前から対バンしてて仲もいいし、かっこいいし。私はショーンのことをカリスマだと思っているんですけど、入れるならカリスマベーシストを入れたいなと。それでショーンに連絡したら二つ返事で「やる!」と言ってくれて。ジョンから「抜ける」と言われた次の日の夜にはショーンの加入が決まったんです。
 
●早っ!
 
ナオ:実質、メンバー探しをせずに次のステップに移れたんです。逆にそのスピード感がなかったら今回のリリースにはたどり着けていないですね。本当に奇跡だと思います。あそこでショーンに断られていたら、どうなっていたかも想像がつかない。
 
ジョニー:確実に今回のアルバムは完成していなかったでしょうね。
 
ナオ:SEX MACHINEGUNSとのスプリットツアーもどうなっていたことやら(笑)。
 
●ショーンさんは二つ返事だったということですが。
 
ショーン:首振りDollsは大好きだったし、当時やっていたバンドが活動休止したタイミングでもあったんです。だから「こんなに本気でやっているバンドに誘われたら、断る理由なんて無いな」ということで即答しました。
 
●色んなタイミングが合致したんですね。
 
ナオ:本当にそうですね。ジョンの脱退はパズルのピースが抜け落ちた感じだったんですけど、そこにショーンがバシッとハマったというか。バンドとしての第二章に清々しい気持ちで入れました。
 
●今回のアルバム『アリス』の曲を作り始めたのは、現体制になってからですか?
 
ナオ:ほぼそうですね。それまでに作っていた曲もあったんですけど、新しいメンバーになってから作り直したというか、当初予定していたものとは全然違う形にしました。
 
●新しいメンバーのショーンさんも今回3曲作曲されていますが、メンバーそれぞれが持ち寄るというのは、もともと決めていたんですか?
 
ナオ:決めていたというか、スケジュール的に逆算してそうするしかなかったというか。間に合わないから「みんな曲作ってきて」という話をして、それぞれが持ち寄ったんです。それが結果的に良かったなと思うんですが。
 
●新しいメンバーを探すときに「曲を作れるベーシスト」という条件だったわけではない?
 
ナオ:全然。メンバーになってから曲を作れることを知りました。
 
●えー(笑)。
 
ショーン:普段から曲を作るのは好きなので、全然苦もなく。今回の曲作りは、まず首振りDollsに足りないものを考えたんです。
 
●ほう。
 
ショーン:そこで横ノリとかハネのリズムが加わったらおもしろいなと思い、“これなら首振りDollsでかっこよくできそうだな”という曲を最初に持っていったら、うまく採用してくれたんです。それがM-3「PSYCHO CLUB」なんですけど。
 
●「PSYCHO CLUB」は首振りDollsになかったノリだと。
 
ナオ:こういう曲は考えたこともなかったし、おもしろいからやってみようと。
 
●新しい扉を開ける怖さはなかったんですか?
 
ジョニー:ゼロですね。「おもしろいな」って。
 
ナオ:新しいメンバーになって、変化を恐れるというよりは、変わることを善しとして、変わることを楽しみながらやっている感覚ですね。今、すごく楽しいんですよ。新しいバンドをやってる感じ。
 
ジョニー:うん。新しいバンドだね。
 
ナオ:今回14曲入りですけど、もともと10曲くらいにするつもりだったんです。でもメンバーそれぞれが曲作りに本気で取り組んだからこそ、これだけのボリュームになったというか。
 
●時間がない中で「これをやらなければならない」と作業を進めたわけではなく、「あれをやりたい」「これをやりたい」とモチベーションの高いものが集まった。
 
ナオ:そうですね。やりたいことをやっていたら、結果的にアルバムができたっていう。
 
ジョニー:レコーディング中にも2曲増えたんですよ。
 
●え?
 
ナオ:それはM-6「ティーネイジ〜new dolls ver〜」とM-14「ティーンネイジャーアンドロックンロール」なんですけど、レコーディング中のノリで「これも入れよう」となったんです。この2曲だけじゃなくて、今作は全体的なテーマやコンセプトを決めて作ったわけではなくて、できたものを入れたというか、初期衝動を詰め込んだっていう感じですね。
 
●なるほど。ちなみにショーンさんが最初に作ってきたという「PSYCHO CLUB」とM-4「黒い太陽」は、特に歌詞の内容が対になっているような気がしたんですが。
 
ナオ:あ、そうなんですよ。今回のジャケットはカネコアツシさんに描いていただいたんですけど、カネコ先生の『デスコ』という作品はダークヒロインの物語なんですけど、その主人公をモチーフにして書いたのが「PSYCHO CLUB」と「黒い太陽」なんです。
 
●あ、そうなんですね。
 
ナオ:『デスコ』ってすごく病んでて、でもウルトラバイオレンスでかっこいい世界観なんですよ。『デスコ』を読んで、勝手に映像化したときのオープニング曲やエンディング曲をイメージしたというか(笑)。ジャケットをカネコさんが描いてくれたっていうことともリンクさせたかったし。
 
●カネコさんの作品について「すごく病んでて、でもウルトラバイオレンスでかっこいい」とおっしゃいましたが、それは首振りDollsの音楽にも共通する要素だと思うんです。ギラギラしていて狂気じみていて、でもドロドロするだけじゃなくて痛快さも併せ持っている。それは首振りDollsが追求している表現なのかなと。
 
ナオ:そうですね。私が作詞をする曲は、マイナスの言葉を結構使ったりするんです。というのは、自分が思春期のときに大きい音でバーンって音楽を聴きたくときって、むかついたり、何か忘れたかったときだったりして。だから自分も、そういうときに聴きたい音楽を作りたいなって思うんです。
 
●うんうん。
 
ナオ:今作に至るまでには、メンバーチェンジがあったり、バンドをとりまく環境が変わったりした時期で、気持ち的にも落ちていたときだったんです。だから今作はリアルな気持ちが詰まっている気がしますね。
 
●なるほど。ジョニーさんは今回4曲(M-7「lazy」、M-10「地獄に堕ちた野郎ども」、M-13「星くずのメロディ」、M-14「ティーンネイジャーアンドロックンロール」)に作曲クレジットが入っていますが、楽曲を作るときはどういうイメージをするんですか?
 
ジョニー:僕は初期パンクとかハードロックが好きなので、例えば今回の「星くずのメロディ」なんかは、僕はThe only onesの「Another Girl, Another Planet」が大好きなんですけど、そのアナザーソングを勝手に作ったというイメージで。
 
ナオ:初めて知った(笑)。
 
●ハハハ(笑)。3人それぞれ、すごく作曲の個性がありますよね。
 
ナオ:あ、そうですね。すごくわかりやすいかもしれない。「首振りDollsはこういう音楽だ」っていう定義みたなものは、メンバーの中では特にないんです。だから何でもやれちゃうんです。たぶん、この3人だったら何をやっても首振りDollsになると思う。
 
●でも、まだ加入して4ヶ月しか経ってないメンバーが居るのにそう思えるってすごいですよね。
 
ナオ:なんなんでしょうね、体感的にはもう2年くらい一緒にやっている感覚があるんです。
 
ショーン:そうだね(笑)。
 
ナオ:今までもそういう感覚はあったんですよ。新しいことにチャレンジしてみて「あ、意外とイケたな」みたいな。その延長線上で、メンバーチェンジがあってバンドが変わったとしても、首振りDollsは首振りDollsっていうか。でも今、3人とも曲を作れるようになって、さっきおっしゃったように3人それぞれの個性がえげつないから、もうこの3人じゃないと出来ないかなっていう感じはありますね。今バンドが固まったというか。
 
●3人のバランスがすごく絶妙だと。
 
ナオ:そうですね。3人それぞれが全部違う色で、3ピースバンドとしてのいちばんいい形になったかなって思います。ジョンはジョンの個性があって、それはそれで良かったんだけど、ジョンは割と支えるようなタイプの人間で。その後、自分の個性をぐいぐい出してくるショーンが加入して、もうこの3人じゃないとだめになったというか、誰かが欠けると首振りDollsではなくなるかなって。
 
●なるほど。アルバムを通して聴くと、曲順もすごく意味があるような気がしたんです。アルバムの前半には絶望感がある楽曲が多くて、でもアルバム後半は穏やかになるというか、光が射してくる印象がありまして。
 
ナオ:ありますね。うんうん。
 
●それはここ半年くらいのバンドの状況に符号しているのかなと。そして最後の「ティーンネイジャーアンドロックンロール」では、首振りDollsのロックンロールを体現している。アルバム全体から「色々と苦しいことがあるかもしれないけれど、ロックンロールは最高なんだ」という強いメッセージが伝わってきたというか。
 
ナオ:素晴らしい。
 
ジョニー:次の取材からそれ言わせてもらいます(笑)。
 
●「ティーンネイジャーアンドロックンロール」の歌詞に“ロックンロールに夢中さ”とありますけど、3人それぞれの“ロックンロール観”を最後に教えてください。
 
ナオ:ロックンロールは、辛いときに寄り添うこともできるし、励ますこともできるし、ぶん殴ることもできるし、怒ることもできる。私にとっては「最強の友達」みたいな感じですね。
 
●ジョニーさんはどうですか?
 
ジョニー:「ティーンネイジャーアンドロックンロール」で歌っているように、ロックンロールってティーンネイジャーのものでしかないと思うんです。僕はおっさんですけど(笑)、10代の自分が好きそうなものを鳴らしている。クソガキたちに向けてやってます。
 
●なるほど。ショーンさんはいかがですか?
 
ショーン:ロックンロールは“個性”ですかね。必ず誰にも人とは違う部分があると思うんです。何か光って見えるというか、人とは違う部分を見せていくことがロックンロールなのかなって。
 
ナオ:そうだね。私たちは化粧をしてバンドをしてて、世間からしたら変なヤツでしかないですけど(笑)、それでも堂々としていたらいいと思うんです。人と違うことは恥ずかしいことじゃないっていうか。それを体現してバンドをやっているのかもしれないです。

 
interview:Takashi.Yamanaka
 
 

Member
L-R
Ba.ショーン・ホラーショー
Dr./Vo.ナオ
G./Vo.ジョニー・ダイアモンド

リリース情報
Album 『アリス』

KING RECORDS
KICS-3800
¥2,700+税
2019/5/22 Release

more info→
https://kubihuri.com/

 
 
 

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