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LOW IQ 01

比類なきセンスとポテンシャルが今、数々のキラーチューンに新たな輝きを与える

187_LOW IQ_Aソロ活動15周年を迎える2014年を前に、LOW IQ 01がセルフアレンジアルバム『Meister Law』をリリースする。「T・O・A・S・T」や「Rules」のようなライブで鉄板の人気を誇る楽曲を、様々なゲストミュージシャンと共に新たな解釈でリアレンジ。スカ、ボサノヴァ、ポストロックといった多彩な音楽性を見せる斬新なアレンジは、広範囲に及ぶ音楽的バックボーンと尽きることなき探究心のなせる業だろう。常に攻めの姿勢で挑み続ける“LOW IQ 01”にしか成し得ないセンスとポテンシャルの高さを改めて実感させる今作は、紛れもなく“今”の輝きを放っている。

「『MASTER LOW〜』のシリーズとはまた違う、“一線を超えた音楽”。これは“新曲”として捉えてもらったほうがいいかもしれない」

●今回の“セルフアレンジアルバム”を作ろうという構想は、いつ頃からあったんでしょうか?

01:昔からやりたいなとは思っていたんですよ。6〜7年前から頭の中にはあったんですけど、本気でアレンジとかを練り始めたのは去年の11月からですね。

●昔からの構想を今、実行に移した理由とは?

01:何となく、この音楽が“今の音楽”かなと思ったんです。今の時代に出すべき音楽だなと思って。感覚的には、1stアルバム『MASTER LOW』(1999年)を出した時の感じに近いというか。当時のSUPER STUPIDをみんなが知っている中で“こういうアルバムを出すんだ!”って思わせた感じと、LOW IQ 01が(ソロデビューして)14年目に“こういうものを出すんだ!”っていう驚かせ具合が近いかなと。

●そこまでに築き上げてきたイメージをある意味で裏切るような作品というか。

01:あと、僕は色んな形態でライブをやっているんですけど、“音”を違う形に変えてみるのも面白いんじゃないかなと思って。“この曲をこういうバージョンにしてライブでやったら面白いだろうな”っていうのを実際にやってみたんです。

●今作はライブで定番になっているような代表曲を、違う切り口で調理した感もありますよね。

01:でもこっちのバージョンでライブをやっても、盛り上がると思うんですよね。もちろん原曲も好きなんだけど、サウンドの違いによる原曲超えというか。ソロでずっとやってきている『MASTER LOW〜』のシリーズとはまた違う、“一線を超えた音楽”。良い意味で原曲とは全然違うものにしちゃっているから、聴いてもらった人からは“別物”と言われることが結構多いんですよ。これはあくまでも“新曲”として捉えてもらったほうがいいかもしれないですね。

●原曲とは違う解釈のアレンジという点でいえば、M-6「Way It Is」は野外フェスに合いそうですよね。

01:横ノリで踊れる「Way It Is」は、“かなり踊れますよ”っていう(笑)。野外っぽい感じも出ているし、よりピースな感じになったんじゃないかな。…M-2「T・O・A・S・T」とかを聴いていると、どうしてもノッちゃうもんなぁ。最初に今作を自分で聴いてみた時も、“踊れる”というか身体が動く音楽だなと思ったんですよ。だから、ライブでもみんなの手がより上がる感じがするんですよね。ハンドクラップも増えるだろうし、静かに聴く感じのアルバムではないと思っていて。“こういう勝負の仕方もあるんだ!”と自分でも思いました。“原曲には勝てない”とか思っていたら、大間違いだなと。そういう意味で、僕の中では良い成功例のアレンジだと思っています。

●いわゆる“アコースティック・アルバム”のように、じっと静かに聴き入るようなものでもない。

01:“アコースティック”というものがキーになってはいるし、色んな曲にそういう音が入っているんですけど、“アコースティック・アルバム”ではないんです。オーガニックな匂いもありながら、すごく攻撃的だったりもする。実際、今回のアルバムではギターが1つも歪んでいないんですよ。そこでどうやってグルーヴ感やノリを出すかのかっていうところに挑戦してみたかった。グルーヴ感がスピード感を生むというか。“速い”わけじゃないけど、スピード感があるんですよね。4つ打ちの曲で身体が動く感じにちょっと近くて、良いBPM感がある。

●打ち込みを使っているわけじゃないけど、楽器のサウンドだけで自然と身体が動いてしまう。

01:今回は生楽器にもすごくこだわったんですよ。最近は何でもパソコンでできちゃう時代だけど、今回は“温かみのある音”をコンセプトにしていて。機械の力をあまり借りず、行けるところまで人力でやってみるというか。『MASTER LOW』を出した頃はまだPro Toolsがなかった時代で、今回はその時に近いやり方で録りたいなと。だから、何回も歌い直したりもしたんです。あと、アレンジがこういう感じだと、歌が逆にノビノビできるっていう。それによって、歌がすごく前に出た感じはします。

●だから、歌も生々しい感じがあるんですね。各曲のアレンジはどれもすぐに浮かんだんですか?

01:おおまかなイメージはあったんですけど、曲によってはレコーディングの1ヶ月くらい前にアレンジが決まったりもして。M-1「So Easy」のモータウンみたいなアレンジは、寝ている時に浮かんだんですよ。夢で見たというか、パッと起きて“今のアレンジ良いぞ”と思ったのでやってみたという。モータウンと言いつつ、モダーンズっぽさもあったりするんですけど。

●この曲には堀江博久(the HIATUS)さんがキーボードで参加していますね。

01:最近の彼がやっている音楽はまた違うと思うんだけど、彼は元々モッズ・シーンにいた人だから。R&Bやモータウンみたいな黒人音楽のオルガンやピアノなら彼に弾いてもらえば、僕の曲を変えてくれるだろうなと思って。「こういうの得意でしょ?」って軽い気持ちで頼んだら、本人曰く「正直、原曲を知っているから…」という感じで。僕自身はそんなにプレッシャーを感じていないのに、手伝ってくれる堀江くんには原曲を超えなきゃいけないというプレッシャーがすごくあったのは意外でしたね。

●参加する側のほうに、よりプレッシャーがあったと(笑)。M-9「Makin' Magic」でアップライトベースを弾いているテリー島倉(ex.東京スカンクス)さんとも、10代の頃からのお友だちだそうですが。

01:17歳くらいの時からの友だちですね。10代の頃は本当によく一緒に遊んでいたし、彼がウッドベースを弾いている姿もずっと見ていたので今回お願いしてみたんですよ。東京スカンクスを辞めてから10年以上弾いていなかったらしくて「弾けるかどうかわからないよ」と言っていたんですけど、実際に弾いてもらったら“さすが!”という感じでしたね。東京スカンクスであの当時弾いていた感じが出ていて、良かったなと思いました。

●今回はそういう01さんの頭の中にあるイメージに近い音を出すであろう人たちに依頼した感じでしょうか?

01:“この人なら僕の曲をもっとカラフルなものにしてくれるだろうな”という人に手伝ってもらった感じですね。

●mouse on the keysのメンバーが参加しているのは意外な気がしました。

01:ドラムの川崎(昭)くんは昔から僕のことを知っていて、アクロバットバンチのライブも観ていたらしいんですよ。でも実際に知り合ったのは最近のことで、ライブを観に行って“カッコ良いな〜”と思ったのでぜひ今回はお願いしたいなと。実際、オルガンやピアノも“おお〜、こう来るか!”という感じで、思っていた以上のものが来ましたね。やっぱり(各楽器を)得意な人にやってもらうことによって、僕もすごく勉強になるんです。今までどおりギターやベースとか自分で弾けるものは自分でやりましたけど、バンジョーとかは得意な人にやってもらおうと。

●バンジョーではQUATTROの潮田(雄一)さんが参加していますね。

01:彼は元々ギタリストなんだけど、TGMXから「バンジョーもすごく上手いよ」と紹介してもらったんですよ。実際すごく上手かったので「なんでそんなに弾けるの?」って経緯を訊いてみたら、彼はブルーグラスとかよりもアイリッシュが好きで弾くようになったらしくて。要するにアメリカよりもヨーロッパの音楽が好きだという部分で僕と話も合ったので、なおさら良かったですね。

●アイリッシュといえば、THE CHERRY COKE$のTOMOさんもアコーディオンで参加しています。

01:THE CHERRY COKE$とは、対バンしたこともあって。この曲をアイリッシュにするには、彼女のアコーディオンをどうしても入れてもらいたいなと思ったんです。フレーズとかにもアイリッシュな感じがあって、より一層そういう雰囲気にしてくれましたね。切なさも出たというか、泣きながら笑っちゃうみたいな…そういう味付けに持って行ってくれた。M-11「Not Alone」を聴いているとグワーッとこみ上げてくるものがあって、泣きそうになっちゃうんですよ。

●01さんが1人で演奏しているM-10「Swear」も、切ない感じがしました。

01:“切なさ”みたいなものは、「Swear」にすごく出ていると思います。この曲もただ単にアコースティックにしたというわけじゃないんですよ。フォークとかじゃなくて、中世の音楽みたいな感じというか…どこかクラシック的なニュアンスとかも入っているのかな。別にそういう音楽をよく聴いているわけじゃないんだけど、できあがったらそういう感じになっちゃいましたね。

●中世ヨーロッパ的な曲やアイリッシュもあれば、スカやボサノヴァ的な曲もあったりと色んな国の音楽要素が今作からは感じ取れます。

01:色んな国の音楽が入っていますね。「T・O・A・S・T」には、リンガラとかズーク(※前者はアフリカ、後者はカリブ諸島をルーツとする音楽のジャンル)みたいなノリがあって。80年代後半から90年代前半にこういうアルバムを出していたら、“ワールドミュージック”と言われそうなところもあるんじゃないかなと思うんですよ。もしかしたら、これは僕が19〜20歳くらいの時にやりたかった音楽なのかなと。でも当時はまだそんなに知識もなくてやれなかった音楽を、今は表現できるようになったのかなという気がします。焼き直しというわけではないし、今こういう音楽をやっている人はあんまりいないと思うから。そういう昔やりたかったものを、今の音楽として出したかった。

●経験を重ねてきた今だからこそできたわけですね。

01:普段やらない音楽を作り出す時って、普通はどんなアレンジにしようかと悩んだりするものなんです。でも今回はどれもサラッと出てきたというか、絞り出したわけじゃない。25年前くらいにやりたかった音楽が、今は自然とできるようになったんだなと思いますね。実験的なことやすごく勉強した感じがするものをやっているわけじゃないんですよ。そういう気張り方はしたくなかった。“僕、こういうことをやっていますよ!”とか“こんなことも知っていますよ!”っていう懸命さが出ているものじゃなくて、自然に出せたことが音や歌の感じにもつながっているのかな。

●25年前に同じことをやっていたら、背伸びしている感じが出ちゃっていたんでしょうね。

01:いやいやいや! 背伸びどころか、もう「ジャンプしてるでしょ?」っていう(笑)。背伸びだけじゃできないし、もし当時やっていたら“〜風”で終わっていたと思うんですよ。たとえば“モータウン風”とかになっていて、大人になってから聴いたら「わー、恥ずかしい…。俺、こんなことをやっていたんだ!」みたいなものになっちゃうというか…。

●若気の至り的な(笑)。

01:今作の何を見てもらいたいかと言えば、技術とかそんなものじゃなく、センスなんですよね。センスとポテンシャルだけを信じて作ったっていう。ある意味で、意地というか。“今流行っている音楽とは何か?”と考えた時に、思いっきりその逆を行ってやろうと思って。でも“今”の音なんですよ!

●蓄積してきたものを自分のフィルタを通して、ちゃんと“今”の音に昇華できている。

01:だから、みんなに早く聴いてもらいたいんですよ。「良いアルバムが作れました」って毎回言うんですけど、今回はそういう言葉じゃなくて。マスタリングが終わってから聴いた時に感動して、最初に出た言葉が「一番好き」だったんですよね。今までのアルバムを超えたかどうかは問題じゃなくて、自然と出てきたのが「一番好き」だった。

●自分が「好き」と言える作品。

01:それにLOW IQ 01の活動14年目にして、色んなことが知れたんです。今までやってきたことって“願掛け”みたいになっていたりして、それを崩すのはなかなか難しかったりする。別に“このままじゃいけない”と思っていたわけじゃないけど、ただちょっと当たり前になっていくみたいな部分があって。何か違う刺激を求めていたというか、多少は冒険心みたいなものも出していかないと音楽の面白さがわからなくなっていくのかなと。今回の制作では音楽の面白さをすごく知ることができたし、楽器の面白さやレコーディングの面白さも知れたんですよね。

●音楽の面白さを再認識したアルバムだったと。

01:今回のアルバムはミュージシャンにも評価されたいんですよね。といっても、ミュージシャンズ・ミュージシャンになりたいということではなくて。昔はまず何よりも、ライバルみたいなバンドのヤツに“すごいものを作ってきたな”と思ってもらいたいがためにやっていたというか。それに近い気持ちが今回はあったんです。要は、みんながやっていないことをやってみたいなっていうことなんですけど(笑)。

●でも、それって音楽やバンドをやる原点でもありますよね。そして来年は遂にソロ活動15周年なわけですが。

01:今のところは、また来年も良いアルバムを作りたいなっていうくらいですね。でも今回の作品が、色んな意味ですごく良いヒントになったというか。“これでいいんだ”という自信にもつながったアルバムなんですよ。今までのアルバムは詰め込みすぎなところがあったけど、そんなに詰め込まなくてもいいんだっていうことがこのアルバムですごく勉強になったんです。だから、次はどれだけシンプルなもので勝負できるかっていう。それこそアコースティックだけじゃない、歪みもある中でどれだけシンプルで深いものが出せるかっていうところになると思いますね。

Interview:IMAI

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