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MONICA URANGLASS

シーンを自在に行き来する魔術師からの2つのメッセージ

昨年7月、バラエティに富んだ2ndアルバム『PUXA』をリリースし、そのバイタリティとバンドとしてのポテンシャルを見せつけた自称・賛否両論バンド、MONICA URANGLASS。ライブハウスシーンとクラブシーンを自由に行き来する耐久力とクオリティを誇るサウンドは、ジャンルやシーンを超えて数多くの音楽ファンに支持されてきた。そんな彼らの次の一手は、ロックファンとクラバーに対して同時に放つシングル2作。レコーディングもすべて自分たちの手で行ったという今作は、彼らが実現したかった音をとことんまで追求した意欲盤。一見掴みどころのないMONICA URANGLASSが2枚に込めたメッセージを受け取って、暴れて踊れ。

 

「僕はパソコンのことが全然わからないので、68氏がいったい何をしているのか全然わからないんです。だから“帰りたいな…”と」

●アルバム『PUXA』以来の取材ですが、最近はいかがですか?

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)最近は忙しくしています。…これ、声のトーンを文字で表すのは無理ですか?

●無理です。

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)そうですか。

●前作のツアー後は、すぐに次の作品を作ろうとしたんでしょうか?

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)作品は作っていきたいなって。昨日寝る前に思ったんですけど、なんか、人間って、時間限られているじゃないですか。だから限られている時間の中で、如何に自分たちが納得できる作品を、如何に多く出せるか。それが勝負であり、闘いであり、我々は音楽を作るという名のもとに集まっているわけですから。寝る前にふとそう思ったんですよ。人生で、あと何枚出せるのかな? って。

●そうですか。

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)怖くなっちゃったんですよ。小説とか読んでいて、やっぱり人生って短いな、と。

●はあ…。今年の夏はフェスとかもありましたが、忙しくしていたんですか?

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)…夏?

68:夏はほとんど制作していました。ライブがあるときはライブに行って、あとはメンバーで集まってひたすら録音していました。

●今作を作っていたと。

68:そうですね。そもそも僕らは制作に時間をかけるタイプだし。

●今回は限定シングル2枚を同時発売ということですが、今回の4曲の制作はいつくらいから着手したんですか。

68:年明けくらいからです。

●あっ、かなり時間をかけている! ということは、前作のツアー後は結構すぐ準備に入ったんですね。

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)常に作品は作り続けます。人生は短いです。

68:2人に参加してもらったのは6月くらいからなんですけど、僕1人の作業にかなり時間をかけました。トラック作りと歌入れに。

●ほう。

68:あと、今回エンジニアを入れずに録りも全部自分たちでやったんです。だから録りの知識を覚えるのにも時間がかかりました。マイク立てたり。

●なるほど。技術的なことも含めて。

68:デスクトップ上の感じは全然クリアしていたんですけど、生を録ることに関してはレーベルスタッフとも色々と相談して。

●生でやりたかったと。

68:ギターとベースとボーカルって生だから、エンジニアさんとかに録り方を訊いたりして。JUNGLE☆LIFEの取材ではよく言ってたと思うんですけど、僕らはいつかは全部自分たちでやりたいと前から思ってきていて。

●あれ冗談かと思っていました。

68:本気です。MONICA WORKSっていうか。今回でレーベル業とマスタリング以外はコンプリートしました。ジャケットのデザインはGEORGEくんがやっているし。

●自分たちの手で録って色々と見えた部分もあると思いますし、苦労もあったと思うんですが。

68:楽しかったですね。例えばエンジニアさんが居たら、エンジニアさんを介してメンバーと話すこともあったんですよ。そもそもが仲間なのに、間に第三者が入るという。それはいい部分もあったと思うんですが、バンドの体質的にあまり合ってないと思うんです。客観的に2人を見ていても、そういう第三者を介したやり取りは合ってないんじゃないかなと思っていたので。だから僕が引き受けた方がいいんだろうと。

●なるほど。

68:だからとことんまでやりました。スタジオでの作業だけじゃなくて家でもできたし。ものすごく時間をかけることができたのは良かったな。

●メンバーがやりたい音、出したい音をとことんまで理解して、それが実現できたと。バンドとして一歩前進ですね。

68:そうですね。手応えを感じていますし、バンドとしてもこういうやり方の方がいいという感じです。

●それは最終的な音が自分たちの理想とするイメージに近くなったという感覚ですか? それとも、風通しが良くなったという感覚?

68:両方ですね。

●なるほど。…確かにこのメンバーは、いきなり第三者が入ってもすぐに理解できないでしょうね。そもそもインタビューでさえ満足に進行しないし(笑)。

68:そうですね。クリエイティブな部分で第三者が入ったとき、何かを言われて頭にきたりすることもあります。

●あるのか(笑)。

68:完璧主義なんでしょうね。

●完璧にしようと思って第三者に伝えようとするけど、その意図が完璧には伝わらないから諦めるんでしょ? 「あ、この人に言っても無理だ」と。

3人:そうそう。

68:だからそこからは盗むという作業になるんです。今まで何人かのエンジニアさんに携わってもらいましたけど、そこから盗んだものが今回の制作に活きている。物は盗めないけど、技術ややり取りとか、もっと言うとどう思っているかとかも含めて盗んできました。

●物は盗んだら駄目ですよね。

68:例えば「もう1回録りたい」と思ったとして、エンジニアさんにクオリティとは別のところで「でもさっきのテイクはバッチリだったよ」とか言われたりすると、そういう空気を2人は感じやすいんです。だから、僕はとことん付き合いました。完璧に付き合いましたね。完璧主義なので。

●「完璧主義」と言うのは2回目ですね。

GEORGE:だから今回は納得するまでできました。どこか今までは“伝わる範囲で100%を目指そう”みたいな感じがあって、だんだんその100%の枠が小さくなってきていたというか。やっているときは別にそう感じてはいなかったんですけど、作った後で振り返ってみるとそうだったなと。だから妥協とはちょっと違うんですが。

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)楽しかったです。「ANTHEMA TIC.TIC.TIC」という曲がありまして、うちのGEORGEさんがベース録りをしていたんですよ。68氏と一緒に作業していて。

●はい。

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)で、この曲はギターが入っていないので、僕はやることがなくてソファーで寝ちゃったんです。で、「ANTHEMA TIC.TIC.TIC」の最後にはベースの特徴的なフレーズが入っているんですけど、そのフレーズのやり取りで2人が楽しげにキャッキャ騒いでいて、僕はその声で目覚めました。

●そうですか。

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)68氏にずーっと付き合っていただけるんですよ。で、付き合っていただいたにも関わらず、僕は帰りたくなっちゃうんです。

●アハハハハハハ(笑)。

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)録ったあと、68氏は色々と作業をしているじゃないですか。パソコンでやるわけじゃないですか。そのとき、僕は画面を見ているんですよ。でも僕はパソコンのことが全然わからないので、68氏がいったい何をしているのか全然わからないんです。だから「帰りたいな…」と。

一同:アハハハハハハ(爆笑)。

68:それはすみませんでした(笑)。

●今回、なぜ2枚に分けたんですか?

68:これは完全にレーベルサイドからのアイディアだったんです。

●あ、そうなんですか。

レーベルスタッフ:これは…。

68:(レーベルスタッフに向かって)うるさい!

●あっ、レーベルスタッフが普通にインタビューに入ってこようとして止められた。

68:レーベルサイドから「MONICA URANGLASSはクラブでもライブハウスでもやれるので、クラブ仕様とライブハウス仕様の2枚を同時に出したらおもしろいんじゃない?」と言われたんです。

●なるほど。

68:ここまで二面性を出せるバンドってあまり居ないなと自分でも思ったんです。エレクトリックな感じと、ロックのニューウェーヴな感じ。だからそのアイディアに乗っかったんです。アルバムとかだとリード曲があるじゃないですか。そこでどっちの側面を出すかということは、自分たちの中でも争っていた感じがあって。だったら、2枚同時にリリースして両方で勝負させようと。

●そういう経緯でこうなったんですね。これは意図的かどうかはわからなかったんですが、前作『PUXA』はビートがバラエイティに富んでいる作品だったと思うんですが、対して今回の4曲のビートはそこまでバラエティに富んでいるわけではないですよね。属性としては結構近いビートの4曲という気がして。

68:僕は基本的にはビートの魔術師なんですけど…。

●そうなんですか。

68:あっ、ガス代とか払いに行くときはビートの魔術師にはなってないんですけど…。

●はい。

68:『PUXA』は自分たちが培ってきたビートを提示したかったんです。でも今回はさっき言ったようなアイディアがまずあったので、ネタばらししちゃうと、ロック盤『INT/ACC ~intonation~』とクラブ盤『INT/ACC ~accent~』を作って、各々のビートをテレコで表現したかったんです。

●やっぱりそういう意図があったんですか。

68:はい。ロックの曲2曲(「O/M/G」と「RAY RAY RAY」)、クラブの曲2曲(「ANTHEMA TIC.TIC.TIC」と「SIN&BAD」)を筋だけ書いてビートを逆にしてから曲にして、それぞれ好きな人たちに提示したかったんです。クラブ盤『INT/ACC ~accent~』の方はロックっぽくしたくて、ロック盤『INT/ACC ~intonation~』にはクラバーとかがダンスミュージックとかで使うセオリーをふんだんに散りばめているんです。だからさっき「今回のビートの振り幅は属性として近い」とおっしゃいましたが、敢えてそういうところに特化せずに作ったんです。

●おお、すごく考えている!

68:僕は基本的に電気代を払いに行くとき以外はビートの魔術師なので、『PUXA』では“意外と俺らはビート持ってるよ”ということを伝えたかったんです。でも今回はそういう伝え方ではなくて。

●ということは、作品としては非常にメッセージフルですね。

68:そうですね。あとは、思いっきりダンスミュージックな曲にGEORGEくんのベースを入れてみたかったし、思いっきりニューウェーブな曲にリーダー(KAZ-TICS)のギターを入れてみたかったというのもあります。一見違和感があるっていう。「ANTHEMA TIC.TIC.TIC」とかだと、最後がベースで終わったりするのはその違和感というか、引っかかる感じを出したかった。

●KAZ-TICSさんが寝てたときのベースの話ですね。

68:行き来している感じを全体を通して感じて欲しかったんです。

●よくわかりました。ところでそろそろインタビューは終わりとなりますが、KAZ-TICSさん最後にひと言お願いします。

KAZ-TICS:(田村正和のモノマネで)こんばんは、田村正和です。

Interview:Takeshi.Yamanaka

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