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nano.RIPE

自由に舵を取り、さらなる高みへ舞い上がる3人が放つ飛躍へのニューシングル

 nano.RIPEが昨年10月にリリースした1stフルアルバム『星の夜の脈の音の』以来、約6ヶ月ぶりにニューシングル『絵空事』をリリースする。

前作のリリースツアーファイナルとなった初の渋谷CLUB QUATTROワンマンを最後にDr.shinnが脱退しつつも、ライブ自体は大成功に終えた彼ら。

その後も動きを止めることなく、ライブ会場限定シングル『ゆきのせい』発売に続けて、2012年初のツアー“雪でのハナシ”を敢行してきた。

そんな中で発表される今作の表題曲は、TVアニメ『さんかれあ』のオープニングテーマにも決定。1年以上前からプリプロを重ねてきたという名曲が、最高の形でヴェールを脱ぐ。
これまでも何度かのメンバーチェンジを経験しながら、軸をブラすことなく活動を続けてきた彼らだからこそ歩める道がある。3曲すべてから今の充実ぶりが伝わってくるような今作で、nano.RIPEはさらなる飛躍を遂げていくことだろう。

Interview

「ツアーに出てライブを重ねていくと、必ずしもレコーディングしている"あの声"で毎回歌えるわけではなくて。でもそれが"あたし"だし、"ライブ"っていうものだと思うんです」

●昨年11/12の渋谷CLUB QUATTROでのライブを最後にDr.shinnさんが脱退したわけですが、そこから心機一転のスタートという感じでしょうか?

きみコ:3人になって、音の面ではどんどん変わってきていると思いますね。でもnano.RIPEはメンバーチェンジを何度も経験してきているので、それによって精神的にすごく崩れたりすることはなくて。軸となっているものはブレないまま、やってきているかなとは思います。

●今はサポートメンバーを加えて活動している?

きみコ:ツアー中の9月頃に脱退が決まったので、すぐにサポートを探し始めて。色んな人を紹介してもらって、今は試行錯誤しながらやっている感じですね。あたしの中で"バンドは4人"という美学がすごくあるので、できるだけ早く元の4人編成にまた戻したいなと思いつつ、せっかくの機会なので色々な人と一緒にやって試してみたい気持ちもあって。新しいnano.RIPEを見せられるような人に出会えたらなと思っています。

●今作リリース前に会場限定シングル『ゆきのせい』を発売したわけですが、これにはどんな意味合いが?

きみコ:去年の11月頃に何曲かまとめてプリプロをした中に「ゆきのせい」があって、みんなで「良い曲だね」と言っていたんです。でも冬の曲なので今出さないと次の冬まで待つことになるから、新鮮な内に聴いてもらうために会場限定で出すことになりました。

●脱退後も関係なく、曲作りは進めていたと。

きみコ:常に曲作りはしていますね。脱退によって大変な部分はもちろんあるんですけど、活動が止まってしまうことは全くなかったです。

●今回の表題曲M-1「絵空事」はTVアニメ『さんかれあ』のオープニングテーマなわけですが、タイアップが決まってから作ったんでしょうか?

きみコ:実は、この曲に関しては一昨年くらいから作ってはいたんです。『フラッシュキーパー』(2ndシングル、2010年12月発売)をシングルでリリースする時に、どっちにしようかと悩んだくらいの曲で。今回のタイアップのお話を頂いた時点であったストックの中で、この曲がアニメのイメージにすごく合うんじゃないかということで決まりました。

●ということは、歌詞もアニメの内容に合わせて書いたわけではない?

きみコ:アニメに合わせて少しは変えましたけど、完全に書き下ろしたわけではないです。アレンジも何度かプリプロをしている中でちょこちょこ変えたりはしていたので、やっと今の形になってリリースできるという感じですね。

●アニメのイメージと重なるのはどんな部分で?

きみコ:最初に「女子高生がゾンビになるマンガだよ」と言われたので、「何だ、それ?」と思って原作のコミックを読んでみたんです。そしたら高校生なので恋愛模様もあれば、ゾンビとはいえ思い悩んだりするシーンもあったりして。設定としてはブッ飛んでいるんですけど、登場人物たちが悩んでいることやブチ当たる壁は普通の人とあんまり変わらないんだなと思ったんですよ。

●奇抜なテーマのようでいて、実は普遍的な内容になっている。

きみコ:そう考えたら"ゾンビ"ということに重きを置くのではなく、日常生活の中で発生する問題や悩みに自分が共感した部分を重ねて歌えたらなと思って。そういう曲をストックの中で探したら、この曲を見つけたんです。「絵空事」というタイトルだけど本当に絵空事を歌うんじゃなくて、逆に絵空事を否定するようなことを歌っているあたりが根暗なあたしらしいなと思います(笑)。

●自分らしい歌詞になっていると(笑)。サビの"半分に割れた太陽"という歌詞も一瞬、何のことだかわからない感じで、きみコさんらしい言葉だなと思いました。

きみコ:これはメンバーも何のことか、ずっとわからなかったみたいです(笑)。

●(笑)。地平線から太陽が半分だけ顔を出している状況のことですよね?

きみコ:そうです! さすが(笑)。夜が明けてきて、太陽がまだ半分しか見えていない情景のことですね。

●ちなみに"少し枯れた声で絵空事を歌う"という歌詞がありますが、ここで声が枯れている理由とは?

きみコ:このあたりは完全に自分のことを歌っています。ツアーに出てライブを重ねていくと、必ずしもレコーディングしている"あの声"で毎回歌えるわけではなくて。でもそれが"あたし"だし、"ライブ"っていうものだと思うんですよ。"今ここにあるものがすべてだ"と歌詞にもあるように、もちろんCDで歌っているあたしの声も本物なんだけど、この枯れた声も"今ここにしかないものなんだ"っていうことを伝えたかったんです。

●同じライブは二度とないから良いんですよね。"感情なんてだれかの錆びた物差しで測るものではないだろう"というのも、きみコさんらしい歌詞かなと。

きみコ:かなり否定的な言葉なんですけど、2番のAメロで毒を吐くのがあたしは大好きで(笑)。他人に感情を測られるというか、自分が落ち込んでいる時に決めつけられてしまうと、どうしても相手のことを否定的に見てしまう。自分の物差しが正しいと思い込んでいる時って、相手の持っている物差しは間違っていると思ってしまいがちなんですよね。

●この部分の歌詞は、原作でヒロインのお父さんが愛情の裏返しで怒りのあまり誤って、娘(=ヒロイン)を殺してしまうエピソードにも重なる気がしました。

きみコ:確かにそうですね。お父さんも愛情が強すぎたゆえに娘を縛ってしまって、でもヒロインにとってそれは重荷でしかなくて…という想いの差はこの部分の歌詞に当てはまると思います。あたしもすごく厳しい家庭で育ったので、学生時代は門限とかもあって。

●今では髪も真っ赤ですが…(笑)。

きみコ:今でこそ許されるんですけど(笑)、音楽についても自主制作でやっている時は「そろそろ見切りを付けなよ」と言われたりしたくらいで。だからヒロインの気持ちは、読んでいてもすごくわかったんです。こういう歌詞になってしまうのは、自分の根底にそういう経験があるからなんでしょうね。

●"自由に自由に舵を取って もっと高くへ舞い上がって"という歌詞も、今の心境に重なるのかなと。

きみコ:ドラムが抜けて3人になったけど、「3人だからできることっていうのも意外とあったんだな」と知って。色んなドラマーの方に叩いて頂いたことによって、新しいnano.RIPEを引き出してもらった部分もあるんです。だから、もっと頭を柔らかくして今の内に吸収できるものは吸収して、また新しいnano.RIPEとしてスタートしたいなという気持ちはあります。

●サポートメンバーの視点が加わることで、アレンジも変わったりするのでは?

きみコ:ノブ(Ba.アベ)が入った時もそうだったんですけど、アレンジでマンネリ化していた部分に新しい風が吹くというか。外からnano.RIPEを見ていた人たちなので冷静に見られるし、そういう視点から意見をもらって「確かにこういうことにも挑戦したら面白いかもしれないな」と思うことは結構あります。今は"より新しいnano.RIPEを"という部分に重点を置いてアレンジしている感じですね。

●今回の3曲はどうやってアレンジしたんですか?

きみコ:「絵空事」は『フラッシュキーパー』の頃からあるので、少しだけ変わった部分もありつつ基盤になっているのはshinnさんと一緒に考えたアレンジですね。「アンサーソング」は脱退後、最初にサポートに入ってもらった中村逸人さんと一緒にアレンジして、「マイガール」は今現在サポートしてもらっている岩西航平さんと一緒に考えました。

●レコーディングはどなたが叩いているんですか?

きみコ:「絵空事」とM-3「アンサーソング」は同じ日にレコーディングして、どちらも玉田豊夢さんに叩いてもらいました。それがすごく素敵な感じに仕上がったのでもう1曲も玉田さんに叩いてもらおうと思っていたんですけど、その時はまだどの曲になるか決まっていなくて。M-2「マイガール」に決まった時に「こういうタイプの曲だとすごく素敵に叩いてくれる人がいる」ということで、スタッフが椎野恭一さんを紹介してもらったんです。

●「マイガール」だけはドラムが椎野さんなんですね。

きみコ:初めて椎野さんのドラムでこの曲を聴いた時に、オケだけで泣きそうになるくらい素敵で「こんなに良い曲だったんだ」と自分でも思うほどだったんです。それぞれの曲にすごく合ったドラマーに出会って、叩いてもらえた感じですね。

●そういうことも今の3人体制だからこそできた。

きみコ:まさにそうですね。この経験を今後4人に戻った時に活かしていけたら、脱退によって下がったり止まったりするんじゃなく、前に進むことができたと思えるのかなって。

●「アンサーソング」と「マイガール」は今作に向けて書いた新曲なんでしょうか?

きみコ:「アンサーソング」は今回のリリースが決まった後に書いたので新曲ですね。逆に「マイガール」は結構前からあったものを元に、歌詞やアレンジを変えたりして今の形にしました。

●「マイガール」が今の形になった流れとは?

きみコ:元を辿れば、Bメロだけは10年くらい前にあったものなんです。ジュンが作っていた全く別の曲のサビだけがすごく良くて、それを聴いた時に"魔法に掛かった男の子 初めて空を翔けた"というフレーズがパッと浮かんで。それを組み合わせて、2曲を合体させた感じですね。

●歌詞はどんなイメージで?

きみコ:「マイガール」に関しては同名の映画(1991年公開のアメリカ映画)があたしは大好きで、「この映画の主題歌を作ろう」と勝手に思って書いたんです。"魔法に掛かった男の子 初めて空を翔けた"という歌詞は主人公の男の子が死んでしまって、どんどん天国へ昇っていくイメージですね。

●映画をモチーフにした曲だったんですね。

きみコ:映画のワンシーンからイメージを広げたり、一部として取り入れることは今までもあったんですけど、完全に映画のストーリーそのものを歌詞にしたのは初めてですね。

●「アンサーソング」は、どんなイメージで書いた曲なんですか?

きみコ:恋人でも家族でも友だちでも、近ければ近い相手ほど言葉がなくなっていってしまうもので。でも言葉がなくてもわかる場面もあれば、やっぱりわからない場面もあって。そこで生じる摩擦みたいなものがなくなることはないと思うんです。言葉にして伝えるには自分の中の言葉が足りなくて、どう伝えたらいいのかわからない。そういう時に"2人の間には見えないけど、ちゃんと答えがある"ということを信じていたいなということを最近すごく感じたんです。

●それを歌詞に書いたと。"痣(あざ)になるくらい"という表現も、きみコさんならではの表現かなと思いました。

きみコ:あたしはライブが終わるといつも、どこかしらに痣ができているんです。ギターを演奏中に手で殴ったりするのでそこが痣になったりもするんですけど、それがあたしにとってはうれしいものというか。ライブが終わって家に帰って寝て、翌朝に起きた時に「昨日の出来事って本当にあったことなのかな」と思ったりもするんです。そういう時に痣が残っているのを見ると、「夢じゃなかったんだ」と思えることが結構あって。

●痣を見て、現実にあったことだと実感できる。

きみコ:怪我するのはダメだけど、ライブに来てくれるみんなもちょっとくらいは痣を作って、帰宅してからそれを見て「nano.RIPEのライブでできた痣だな」と思い出してほしいんです。痣が消えるまでライブを覚えていてもらって、それが消える前にまた新しい痣を付けにライブへ来てほしいなっていうことをMCで言ったことがあって。その時のイメージで出てきた言葉だと思います。

●歌詞の中にある"何千回と繰り返した"というのも、そういう体験を繰り返してほしいという気持ちにつながる気がします。

きみコ:確かにそうですね。言葉にしなくてもわかってもらいたいことでも衝突してわかり合って、でもまたわからなくなってぶつかってということを繰り返していく内に、確かなことになっていくんじゃないかなと思っていて。痣を作っては消えてを繰り返す内に、自分が強くなっていく部分もあると思うんですよ。

●それはこれまでメンバーチェンジを繰り返す中で絆を深めてきたという意味で、nano.RIPEにも当てはまるんじゃないですか?

きみコ:それはあると思います。特にあたしとジュンは15年くらいずっと一緒にいるんですけど、「もう無理かもしれない」と思ったことが何回もあったから。でもその度に乗り越えてきたことによって、自分が何を歌いたいのか明確になっていったんです。"それでもバンドをやりたいということは、言いたいことがあたしの中にあるんだろう"っていう気持ちがあって。そういうものがどんどん明確になっていった部分はあると思いますね。

●言いたいことが明確になっているから、歌詞の言葉もさらにきみコさんらしいものになっていく。

きみコ:あたしは歌詞を書くのがすごく早くてメンバーにも驚かれるんですけど、究極を言ってしまえばどの曲も同じことを歌っていて。"結局、あたしはこれが歌いたかったんだ"という部分が明確なので、それに対して切り口が違うだけで「何を歌おうか?」と悩むことがない。歌詞を書き始めると一気に書けてしまうのは、そうやって色んな経験をしてきたからなのかなと思います。

●お話を聴いていると、今のすごく充実している心境が伝わってきます。

きみコ:今は周りの環境も自分たちの精神的な面も、すごく良い状態で保てていると思います。メンバーが抜けてバンドが止まってしまうというのが、何よりもイヤだったんです。昔もshinnさんが加入するまでの3ヶ月くらいの間、バンドとしてのライブができない時期があって。でも止まってしまうのはどうしてもイヤだったので、その間も苦手だけど弾き語りのライブをしたりしていたんです。その点、今は周りの人が色んなドラマーを紹介してくれたりするおかげで、バンドでのライブも止めずにいられる。活動を止めたくないという気持ちはかなり強くありますね。

●今作のリリース後にはまたツアーも予定されているわけですか?

きみコ:まだ本数は出揃っていないんですけどもちろん行きますし、7月にはワンマンツアーも予定しています。あと、夏フェスにも出たいですね。3月に"A FES 2012"というアニメのフェスに出るんですけど、やっぱりロックフェスにも出たいんですよ。

●よく考えたら前作の1stフルアルバム『星の夜の脈の音の』が出たのも去年の10月でまだ半年くらいしか経っていないわけですし、リリースもライブも活動のペースは全く止まっていない感じがします。

きみコ:普通ならリリースするのも難しい今の時代に、ランティスにいるというのは強みだなと思っていて。ランティスに入ることに対して、インディーズ時代から応援してくれていた人たちも最初は「えっ!?」と思っていたかもしれないけど、「ここに入ったからこそ、みんなにたくさんの歌を届けられるんだよ」っていうことを見せていきたい。アニメソングを歌うからといって中身が変わってしまうわけじゃなくて、"nano.RIPEがアニメソングを歌っている"というだけなので。歌っていることの中身は全然変わっていないんです。今のこの勢いをライブだけじゃなくて、リリースのほうでも見せていきたいですね。

Interview:IMAI

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