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Natural Hi-Tech Records

Natural Hi-Tech Records特集 2013年・年明け早々から贈る、良い音・衝撃的な音との出会い

良い音と出会う、衝撃的な音と出会う。そして、アーティストとリスナーが出会う場所。そんなイベントを様々なライブハウスで企画しているNatural Hi-Tech Recordsが、1月にリリースラッシュを迎える。今回はその中から5組をピックアップして、誌面で紹介。ジャンルもキャリアも多種多様ながら、いずれも触れた者の心を揺さぶる力を持った作品揃いだ。本レビューを読んで興味を持ったなら音源を手にするのはもちろん、ぜひライブにも足を運んでみてほしい。一般的にはまだ無名でありながら、これほどまでに強力な個性とクオリティを持ったバンドがライブハウス・シーンには蠢いているのだから。

Natural Hi-Tech Records → http://www.naturalhi-tech.com/

wah-wah『wah-wah』

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静と動の切り替えから瞬時に空間を塗り替えるようなサウンドスケープを、wah-wahは描き出す。“激情型鋭角オルタナティヴ・サウンド”という表現からはとことん攻撃的な音を想像してしまいそうだが、実際に聴いてみるとそんな単純なものではないとわかるはずだ。ハードコアの臭いも漂わせつつ、それも1つの要素として消化した上で鳴らす彼ら独自の音。その音は外に向かって開かれていて、聴きやすいとさえ感じられるほどだ。そう思わせる大きな要因の1つは、G./Vo.栃の歌声だろう。激情が抑えきれなくなったかのように時折飛び出すシャウトもインパクト大だが、それが活きるのは穏やかさや優しさすら感じさせるメインのボーカルあってこそ。スピード感のあるサウンドに乗って、耳に残るメロディと凶暴なシャウトが効果的に絡み合うM-2「夢見る少年は僕を見て笑った」が象徴的かもしれない。静と動のどちらかに偏り過ぎないメリハリの付け方と、タメからの瞬発的な爆発力。そこの妙を心得たサウンドメイキングと様々な表情を見せる歌の表現力が、“wah-wah”としか言いようのない特異で美しい音楽を生み出している。

 

G./Vo.栃公之、Dr.足立雅彦、Ba.木場翔悟、G.福田昌義。2008年7月結成。都内を中心に活動する4ピースバンド。ハードコアのエッセンスを漂わせつつ、独自の激情型鋭角オルタナティヴ・サウンドを鳴らす。今作『wah-wah』は彼らにとって、初の全国流通作品となる。

wah-wah6p-CD

Natural Hi-Tech Records
NHCR-1099
¥1,890(税込)
2013/1/16 Release

http://wahwahband.web.fc2.com/

 

ZARIGANI$『DEAD BIRD』

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The Wedding Presentと共にアメリカ・カナダツアーをまわり、アメリカで絶賛を受けたというのも、この『DEAD BIRD』を聴けば納得させられてしまう。一音目が鳴り始めた瞬間から、音盤を飛び出さんばかりのエナジーが噴出。ベースボーカルとドラムという女性2ピースのどこから、これほどまでにダイナミックなサウンドが生み出されるのかと不思議に思うかもしれない。だが、そんな余計なことを考えさせないくらいに問答無用で圧巻の音が鳴り響いているのだ。キュートな歌声で小気味良く言葉が吐き出されていくのを聴いていると、自然と身体が揺れてしまう。頭で考えさせるのではなく、本能に訴えかけて踊らせる真の意味でのダンスミュージック。日本語だろうと英語だろうと、伝わるものは世界のどこでも伝わる。キャッチーなメロディとダンサブルなリズム、そしてハッピーなアトモスフィアは万国共通で届くものなのだから。少年ナイフやBaffalo Daughter、tokyo pinsalocksといった海外でも評価される先人バンドたちに続くのは、彼女たちかもしれない。『DEAD BIRD』を聴いてみれば、きっとあなたにも伝わるはずだろう。

 

Ba./Vo.EriとDr.Mizukiからなる、爆音2ピースバンド。2004年結成。2012年にはイギリスの大御所バンド、The Wedding Presentと共にアメリカ・カナダツアーを行うなど活動の幅を海外にまで広げている。アメリカでも少数派の2ピースバンドとして絶賛を受けた。

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Natural Hi-Tech Records
HNCR-1103
¥1,500(税込)
2013/1/9 Release

 

http://mnet.p1.bindsite.jp/zariganidollar/

 

 

リサ=オフリー『鳴り止まないエゴイズム』

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抑えきれない感情が溢れ出してくるような、まさに“エモーショナル”な歌声がまず耳に入ってくる。“隠そうとしても隠しきれない”。そんな表現があてはまりそうな強い感情の放出。生身の人間性をさらけ出す歌の魅力を、ポストロック的なアプローチも見せる洗練されたバンドサウンドがさらに引き立てている。リサ=オフリーの『鳴り止まないエゴイズム』という作品からは、そんな歌と演奏の絶妙なバランス感覚を感じ取った。そして、そこのバランス感覚こそが彼らの音を悲しいだけの暗鬱なものにせず、希望の光を感じさせるものにしているのだろう。疾走感のあるサウンドに乗せて、振り絞るように歌う表題曲M-1「鳴り止まないエゴイズム」。サディスティックなギターと地を這うようなベースが印象的なM-2「Drain Me」。アコースティックギターの響きと優しい歌声がセンチメンタルな気持ちを掻き立てるM-3「あの頃のまま」。いずれも決してトーンは明るくないが、必ずどこかしらから光が射し込んでいる。彼らが最も影響を受けたというART-SCHOOLのカバーM-5「FADE TO BLACK」は、“その先”へと向かう彼らの意思表示かもしれない。

 

Vo./G.中島直都、G.久保大志、Ba.東海林恵祐、Dr.山中正。2006年1月結成。これまでに発表してきた自主音源がdisk unionインディーズ週間チャートでトップ10入りを果たすなど、実績を残してきた彼らが初の全国流通音源としてミニアルバム『鳴り止まないエゴイズム』をリリースする。

リサ=オフリー6p-CD [12.11.30]

Natural Hi-Tech Records
NHCR-1104
¥1,000(税込)
2013/1/23 Release

http://lisa-offree.net/

 

 

GEEKSTREEKS『シリアスネバーランド』

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荒々しく疾走感の溢れるバンドサウンドに、哀愁を感じさせるメロディ。M-1「メメント・モリ」なんていう曲名からもシリアスな世界観を想像する…が、よく聴いてみるとそこかしこにユーモアが忍ばせてあるのだ。ふと耳に飛び込んでくる言葉は“大丈夫、君には何もない”(「メメント・モリ」)だとか、“自殺するなら、死ぬ前に一発ヤらせろ”(M-2「エクスペリメント」)だとか。“えっ! 今、何て言った!?”と思ったら、彼らの術中にもうハマっている。シニカルな言葉が要所要所に織り込まれた歌詞を聴き取ろうとしていると、他にも数多くの遊び心がサウンドに取り入れられていることに気付くだろう。ギターロックをベースにしつつ、パンクやハードコア、ポストロックなども消化していることを想像させる楽曲と演奏。曲ごとはもちろん1曲の中だけでも様々な表情を見せて、聴く者を決して飽きさせない。そして何よりもフックになっているのは、飛び抜けてキャッチーなメロディラインだ。ライブではみんなが自然と歌い出してしまいそうな、覚えやすさと親しみやすさ。そこへさらに印象的な言葉も加わってくる彼らの音が、心に突き刺さったらもう抜け出せない…。

 

Vo.河野泰之、G.浅見祐輔、G.金成雅大、Ba.君島将平、Dr.斉藤晃司。VO.河野を中心に結成された疾走感満点でラウドな部分とみんなで歌えるようなキャッチーな部分が同居する5ピースバンド。激しく重なる怒涛のライブパフォーマンスと独特な世界観で観る者を掌握していく姿は、まさにライブバンドと呼ぶにふさわしい。

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Natural Hi-Tech Records
NHCR-1105
¥1,000(税込)
2013/1/5 Release

http://geekstreeks.jimdo.com/

 

アプリオリ『ヒトノユメ』

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“僕なりの答えをずっと探してる”という歌い出しから、そっと独りごとをつぶやくように想いが紡がれていく。淡々とした歌声と乾いたサウンドがメロディの哀感を余計に高め、生々しさを増している。シンプルに歌を引き立てる演奏は単に3ピースだからということではなく、明確な意志を持って削ぎ落としていった結果なのだろう。それゆえに、しっかり耳を捉える歌とメロディがこんなにもダイレクトに胸へ響いてくるのだ。現代の若者が抱えているであろう、得体の知れない不安感や絶望。それを真正面から乗り越えようとするのではなく、ただ打ちひしがれているわけでもない。時に嘆き、時に悲しみながらも生きていく。それは日常の中で数多くの人が普通にやっていることかもしれない。でも、それでいい。アプリオリが提示しているのは絶対的な“正解”なんかじゃなく、やはり“僕なりの答え”なのだ。今作にどこか懐かしさを感じるのはメロディの特質もあれど、誰もがかつて感じたことのあるような感情に寄り添っているからではないだろうか。だからこそ、この音に触れた後でまた明日からも生きていこうと思える。それだけでいい。

 

Vo./G.山口史章、Ba.ホンマヒロミツ、Dr.504。ソロやアコースティックユニット、インストバンドなどの様々な活動を経た山口が改めて歌と向き合うために、バンド結成を決意。2010年に集まった現メンバーがそれぞれのプレイスタイルの壁を乗り越え、“アプリオリ”の音を鳴らし始める。

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Natural Hi-Tech Records
NHCR-1108
¥1,500(税込)
2013/1/9 Release

http://www.apriori-music.com/