音楽メディア・フリーマガジン

Nothing’s Carved In Stone Vo./G.村松拓 連載『続・たっきゅんのキングコングニー』企画第1弾:ザ・サバイバル! 往路2000円、復路1000円で2人は帰って来れるのか?

『続・たっきゅんのキングコングニー』企画第1弾:ザ・サバイバル! 往路2000円、復路1000円で2人は帰って来れるのか?

たっきゅんが日本一の漢を目指す連載『続・たっきゅんのキングコングニー』。当然のことながら、強い漢は生き物としての生存能力も高いはず。ということで、同連載の記念すべき企画第1弾は、2017年を生きるたっきゅんの生存能力を試すサバイバル。まずはたっきゅんに行き先が書かれたクジを引いてもらい、新宿駅から片道2000円までの距離にある駅を指定。2人でその駅まで移動し、そこから1人1000円の所持金(交通費・食費込み)で新宿駅まで2日以内に戻ってくるというチャレンジ企画。1000円で途中まで電車を使って残りは歩いて帰ってくるもよし、ヒッチハイクするもよし、野宿するもよし、路上パフォーマンスでお金を稼ぐもよし、日雇いのアルバイトを探すもよし、パチンコで増やして豪遊するもよし。現代を生きる漢としての生存能力(経済力も含む)が試されるサバイバルなのだ。

 
 
 
 
前編

 
 
後編

 
 
 
 

ルール

その1.たっきゅんがクジをひいて行き先を決定。


その2.行き先は山梨・静岡・神奈川・千葉・埼玉・茨木・栃木・群馬 各県の任意の駅で、新宿から片道約2000円の距離。2人で行き先の駅まで移動し、そこから2日間以内に新宿まで戻ってくる。


その3.所持金は1000円(交通費/食費込み)。


その4.持参していい食料は生米3合、小麦粉400g(バーナー式コンロあり)。


その5.3時間に1回、幸運のヘルプクジがひける(但し罰ゲームもあり)。


その6.行き先の駅に着いたら、近くのカフェでビデオ撮影。飲み物代は当局が負担するので、2人の所持金に影響はなし。

 
 
 
 

編集長手記「たっきゅんと私のサバイバル」

新宿駅
 6月29日木曜日朝10時。新宿の会議室で『続・たっきゅんのキングコングニー』企画第1弾は始まりました。行き先クジは8つ。たっきゅんは「千葉に行きたい」と言っていましたが、彼がひいた封筒の中には「神奈川県 早雲山駅」と書いた紙が入っていました。行き先は、箱根の山の上にある駅に決まりました。

 
 
 
 

 
 
 
 
 たっきゅんと私は小田急線新宿駅から箱根湯本行きの急行に乗りました。その時の私は不安で震えていました。行き先がもし街中であれば、たっきゅんの路上ライブでお金を稼いだり、ヒッチハイクもできたでしょう。その街に住む人と一期一会の出会いがあったかもしれません。でも行き先は箱根の観光地。おそらく外国人も多いでしょうし、何しろ山の上。周りには何も無いのではないのでしょうか。そんな私の不安をよそに、隣のたっきゅんは寝ていました。

 
 
 
 
 
 
 
 
早雲山駅

 13時半、箱根登山鉄道箱根登山ケーブル・早雲山駅に到着。3時間以上かかりました。私たちは早速近くのカフェ『CAFE Ryusenkei』に入り、当面の作戦を立てました。カフェの店長さんによると、箱根湯本までは歩いて1時間半。とりあえず箱根湯本まで歩き、その後状況を見つつ、もし可能であればヒッチハイクができそうな小田原まで歩くことにしました。
 
 
 
 
 そのカフェの店長さん、なんとJUNGLE☆LIFEを知っていて、今回の企画を説明したところおもしろがってくださり、ありがたいことにラスク(300円)をいただくというサプライズ。「これは幸先がいいスタートだ」と、その後の苦労を知らない2人は浮かれていました。

 
 
 
 
早雲山駅〜箱根湯本駅(徒歩10.3km)
 早雲山駅から箱根湯本駅までは約10km。道中、スタートしてから3時間が経過したので、我々は休憩しつつヘルプクジをひくことにしたのです。
 
 
 
 
 たっきゅんがひいたヘルプクジには「2人でごみ袋いっぱいになるまでごみ拾い」と書いてありました。私たちは心が折れそうになりましたがなんとか踏ん張り、箱根湯本駅に向かうまでの道をごみを拾いながら歩きました(ごみは箱根湯本駅前の交番が引き取ってくださいました)。

 
 
 
 
箱根湯本駅
 箱根湯本駅に着いたのは16時。お米と小麦粉が入ったリュックを担ぎ、2時間半歩いてきた2人はかなり疲れていました。休憩しつつひいた2回目のヘルプクジは、またもや私たち2人を苦しめる内容でした。

 
 
 
 

 
 
 
 
 公衆トイレでパンツを脱いでノーパンになった私たちノーパンズは、ここで初めてお金を使うことにしました。買ったのは水。そう、箱根湯本まで歩いた私たちの喉はカラカラだったのです。水を飲み、ラスクを1枚ずつ食べ、なんとか元気を取り戻しました。『CAFE Ryusenkei』で貰ったラスクはとても美味しく、糖分と水が体内に吸収されていくのがわかりました。

 
 
 
 
 元気になったたっきゅんから「ヒッチハイクをやってみたい」という提案がありました。とりあえず今日の最低ノルマを「小田原到着」と設定した私たちは、箱根湯本駅前の道路で30分だけヒッチハイクをすることにしたのです。

 
 
 
 
 大胆にもゴール地点「新宿」と書いたスケッチブックを手に、道路脇に立つたっきゅん。案の定、車は全然停まりません。たっきゅんも私もヒッチハイクの経験がなく、いったいどれくらいの確率で車が停まってくれるのかが想像できません。「まあこんなもんか」と諦めかけていたそのとき、1台の車が我々の目の前で停まったのです。
 
 
 
 
 停まってくれたのは青果店のバンで、運転席にはインド人っぽい男性。彼の好意にテンションが上がる2人。しかし残念なことに、バンの後部座席には荷物がいっぱい積まれており、乗せることができるのは1人だけ。私たちはヒッチハイクを諦め、インド人の彼にお礼を言ってバンを見送りました。

 
 
 
 
箱根湯本駅〜小田原駅(徒歩6.1km)
 ヒッチハイクを諦めて、小田原駅まで歩くことした2人。もうすぐ小田原駅に着くというとき、たっきゅんが「コーヒー飲みたい」と言い出しました。歩き続けて疲労困憊なのに、食べ物でもなく吸収のよい飲料でもなく、どちらかというと“嗜好品”としてのコーヒーを求めるたっきゅんに、私は驚きました。この人はなんという漢なのでしょうか。無駄遣いを避けようとした私の説得もむなしく、結局私たちは自販機でタリーズコーヒーブラック(150円)を買うことにしました。

 
 
 
 
小田原駅
 19時半、太陽が沈んで暗くなってきた頃に私たちは小田原に到着し、「ヘルプクジを1時間に1回ひける」というルールに変更しました。
 
 
 
 
 路上でビデオをまわしながら今後の戦略を練りましたが、朝からラスク1枚しか口にしていない2人は疲労で頭がよくまわらず、「小田原で野宿」「ヒッチハイク」「移動」の3つしか思いつきませんでした。体力的にも気力的にもそろそろ限界が近づいていたのです。
 
 
 
 
 そして今度は私がヘルプクジをひくことになりました。ひいたクジには「編集長が近くの理髪店で散髪(代金は当局が負担します)」と書いてありました。ここにきて大幅な時間ロス。たっきゅんは肩を落としました。
 しかし! これは逆にチャンスでもあるのです! 美容師さんと仲良くなれば、家に泊めてもらえるかもしれませんし、車で送ってもらえるかもしれないのです。

 
 
 
 
小田原駅美容室
 20時、小田原駅の近くにあった美容室に入り、私は女性の美容師さんに髪を切ってもらいました。普段美容師さんとあまり会話をしない私ですが、白髪を染めるかどうか悩んでいるという話題を皮切りに、美容師さんが私の方言で兵庫県出身だと見抜いたこと、美容師さんは白髪染めをする中年が好みではないこと、たっきゅんと私は音楽関連の仕事に携わっていること、美容師さんは車を運転するのが好きなことなど、様々なことで会話がはずみ、私は満を持して「実は僕と彼は雑誌の企画で、所持金1000円で早雲山駅から新宿まで帰るチャレンジをしているんですよね」と切り出しました。そうです。私は勝負に出たのです。


美容師:えー! おもしろい企画ですね。でも残念。明日だったらどこまででも乗せて行ってあげますけど。
私:え!!
美容師:今日は予定があるからダメなんですよね〜。
私:あっ、あっ、でも僕ら今日、小田原で野宿するかもしれないですよ。だから明日も小田原に居るかもしれないし…。
美容師:この季節だと野宿しても全然平気ですよね〜。
私:そ、そうですね〜。

 『美容師さんナンパ作戦』は失敗に終わりました。

 
 
 
 
小田原駅
 再び小田原駅前に戻った私たちは、万が一の野宿に備えて米を炊くための鍋を100均で買い、その後できる限りヒッチハイクをがんばる、という作戦を立てました。時刻は20時半過ぎ。空腹と疲労でフラフラでしたが、約1km離れた100均ショップ『Can★Do 小田原荻窪店』に向かいました。

 
 
 
 
Can★Do 小田原荻窪店
 2人で広い店内をくまなく探しましたが、鍋もフライパンも売っていませんでした。そこで私たちはなんとかして米を炊く道具を買おうと知恵を振り絞り、ステンレス製のボウルと鍋蓋を買いました。こんなもので米が炊けるのでしょうか。

 
 
 
 
Can★Do〜国道1号線 新宿交差点(徒歩1.8km)
 米を炊くために火を使うことができて、野宿ができて、交通量が多い道路でヒッチハイクもできる。小田原駅近隣でその条件に合致する場所は、海にほど近い国道1号線でした。空腹でフラフラになってきた私たちは、残っていたラスク4枚を2枚ずつ分け合って食べました。その後、ヘルプクジで「チロルチョコ1人1個」「500円」と立て続けにラッキーアイテムをゲットして元気を取り戻し、国道1号線の新宿交差点を目指して「食べ物しりとり」をしながら歩きました。

 
 
 
 
ローソン 小田原浜町店
 ヒッチハイクに向けて動画撮影をするため、1号線沿いのローソンに立ち寄りました。撮影後、私がタバコを吸っている間にたっきゅんがローソンに入って行くのが見えました。嫌な予感がしました。そうです。たっきゅんはまたもやタリーズコーヒーブラック(129円)を買ったのです。ちなみに、タリーズコーヒーブラックは0kcal。エネルギーにはなりません。

 
 
 
 
国道1号線 新宿交差点
 たっきゅんは「新宿」と書いたスケッチブックを手に、道路脇に立ちました。小田原の国道1号線、時刻は23時すぎ。案外交通量は多くありません。車は一切停まる気配がなく、ビュンビュンと我々の前を通り過ぎていきます。ヒッチハイクを始めてから30〜40分くらい経ったでしょうか。我々はあることに気づきました。

 
 
 
 
 新宿交差点の近くで「新宿」と書いたスケッチブックを持っていたら、ふざけているだけと思われるのではないか。もしくは標識と思われるのではないか。

 
 
 
 

 私たちはスケッチブックの真っ白な新しいページに「シブヤ」と書き、再びヒッチハイクを続けました。この際、行き先は渋谷でもいい。とにかく誰か停まってほしい。その想いだけで私たちは道路脇に立ち続けました。
 
 
 
 
国道1号線 新宿交差点〜渋谷(自動車75.2km)

 「シブヤ」に書き換えてから10分ほど経った頃でしょうか。1台のハイエースが2人の目の前に停車しました。「え? 本当に?」私たちは目の前で起きた現実をしばらく信じられませんでした。

 
 
 
 
 停まってくれたのは、千葉で内装業を営む溝口さん。熱海の現場での仕事を終え、翌朝の練馬での現場のために夜通し走っていたということでした。「練馬まで行くからどこまででもいいよ」と溝口さんは言ってくれました。涙が出そうでした。

 
 
 
 
たっきゅん:乗せていただいてこんなこと訊くのも変ですが、なんで停まってくれたんですか?
溝口さん:ヒッチハイクするなんて、勇気が必要じゃないですか。だからすごいなって。

 
 
 
 

 
 
 
 
 「2人と楽しくしゃべりたいんで、ごめんね、下道で行くね」という溝口さんの言葉に感激しました。渋谷までの約2時間半、3人は話し続けました。たっきゅんからいろんな話をしました。愛知から上京し、現在は独立して社員と家族を養っている溝口さんからもたくさんの話を聞きました。溝口さん、本当に本当にありがとうございました。

 
 
 
 
渋谷〜新宿(徒歩4.3km)

 溝口さんと記念写真を撮って別れ、ゴールの新宿を目指して歩きました。疲れと眠気と筋肉痛でへとへとでしたが、チロルチョコを食べてなんとか新宿駅まで歩きました。「ゴールしたら一蘭のラーメンが食べたい」とたっきゅんが言いました。2人は一蘭のラーメンのことだけを考えながら新宿まで歩きました。

 
 
 
 
新宿駅
 午前4時。新宿駅に到着しました。新宿を出発して18時間。歩いた距離39.6km。使ったお金は695円。早雲山駅から新宿駅まで、たっきゅんと私は公共交通機関を一切使わずに辿り着きました。
 
 
 
 
 最初に入ったカフェでラスクをお土産にもらったこと、結果的に乗せてもらえなかったけれど箱根湯本駅のヒッチハイクで1台の車が停まってくれたこと。美容室で美容師さんと仲良くなることに失敗したこと。そして溝口さんとの出会い。渋谷まで送ってもらった道中、溝口さんからいただいた「2人と楽しくしゃべりたいんで、ごめんね、下道で行くね」「飲み物いります? お弁当買ってきましょうか?」「ヒッチハイクするなんて、勇気が必要じゃないですか。だからすごいなって」という温かい言葉、仕事や家族の話。別れ際の「ありがとうございます。お陰で眠くならずに運転できました」という言葉。
 
 
 
 
 おもしろチャレンジ企画のつもりで挑んだ今回の企画でしたが、想像もしていなかった一期一会に、たっきゅんと私はとても感動しました。疲れと眠気と空腹と筋肉痛でボロボロでしたが、ゴールの新宿に到着した2人の心の中はスッキリと晴れ渡っていました。朝の風を浴びながら、2人は笑顔で手を取り合いました。
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
※今回の企画は後日動画で公開予定!! 膨大な録画量なので時間が少々かかる見込み!! 震えて待て!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

当連載へのメッセージや感想はyamanaka@hirax.co.jpまで!!

 
 
 
 
 
 
おさらい:『たっきゅんのキングコングニー』はこんなにヤバい企画でした。
 
Vol.3:本当に強い漢は 1 合目から富士登山をするの巻
「普通は5合目から登るけれど、俺たちは1合目から日本一の富士山頂を目指したい」というたっきゅんの思いつきから生まれた記念すべき最初の企画。「日本一なるぞ」というフレーズが生まれた。


 
 
 
 
 
Vol.6:生き急げたっきゅん! 103mからファーラウェイ! の巻
日本最大級の高さ(100m)を誇る竜神バンジーを、「普通の人はそのまま飛ぶけど、俺たちは更に3m上にジャンプしてから飛ぼう」という挑戦をした企画。ツアーが始まってすぐというタイミングにも関わらずOKした事務所、エンディングテーマで大活躍したマネージャー。


 
 
 
 
 
Vol.8:キングコングニー忘年会!! 鍋をつつきながらたっきゅんと2014年を振り返る!!
スタッフの慰労も兼ねて連載を振り返った忘年会。罰ゲームで竹蟲の唐揚げ(ミャンマー料理)をレンゲ1杯食べることになった。


 
 
 
 
 
Vol.10:時は満ちた!! 今年こそ日本一の漢になるためにたっきゅん占いに行く!!
「日本一の漢になる」という目標を胸に、3人の占い師にたっきゅんの将来をみてもらった企画。渋谷のパパという強烈な個性と出会ったのは記憶に新しい。


 
 
 
 
 
Vol.11:船橋競馬 「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」の巻
船橋競馬の個人協賛(個人がレースのスポンサーになってレース名を付けることができる)という制度を利用して、当連載が協賛金(¥30,000)を支払って「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」というレースを開催した企画。連載の継続を賭けて馬券勝負に挑んだ。


 
 
 
 
 
 

当連載へのメッセージや感想、2人にやって欲しい企画案はyamanaka@hirax.co.jpまで!!

 
 
 
 
 
 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj