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Nothing’s Carved In Stone Vo./G.村松拓 連載 続・たっきゅんのキングコングニー Vol.24:10枚目のアルバム『By Your Side』もうひとつのインタビューの巻

続・たっきゅんのキングコングニー Vol.24:10枚目のアルバム『By Your Side』もうひとつのインタビューの巻

6/22の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ“Live at 野音 2019 ~Tour Beginning~”及びワンマンツアー“Tour Beginning Extra Show”を大成功させ、9/25に10枚目となるアルバムのリリースを控えているNothing’s Carved In Stone。今月号ではカバー&インタビューとして生形と村松にアルバムやバンド、そしてこれからのことをじっくりと訊いたが、たっきゅんが日本一の漢を目指す当連載『続・たっきゅんのキングコングニー』では「アルバム『By Your Side』もうひとつのインタビュー」と題して、更に深く濃く訊いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
先日、生形さんと2人でアルバム『By Your Side』の取材をさせていただきましたが、その後、色んなインタビューを受けてこられましたよね(※当取材は巻頭インタビューの約2週間後、9月上旬に敢行)。自分の中でアルバムは見えてきました?

 
 
ようやく話すことがまとまってきたというか。自分たちが考えていることや思っていることを曲にするわけなので、制作直後だとまだ言語化されていないというか。それが、取材で色々としゃべる中で整理されて、落ち着いてきた。

 
 
拓さん的に、今作のポイントとなる曲はあるんですか?

 
 
M-8「Music」ですね。

 
 
あ、わかる。アルバムを何度も聴かせていただいているんですが、「Music」はすごく刺さるし、残る。

 
 
歌えるし。

 
 
そうそう。

 
 
これはこじ開けた感じがありますね。新しい何かを。

 
 
アルバムの中でいちばん最初に形にした曲とおっしゃっていましたよね。

 
 
いちばん最初に作っていちばん最初に歌詞を書いて。サビのメロディも実は最初から変わったんですけど、それに伴ってもともと書いていた歌詞から変えたんですよ。

 
 
ほう。

 
 
“いつか誰か救えるような”という部分が、もともとは“一度くらい自分を救えなきゃ”と書いていたんです。

 
 
視点が内向きだった。

 
 
内向きだった。でも“いつか誰か救えるような”と書けたから、「こういうことだ!」と自分で納得して。

 
 
うんうん。

 
 
それが『By Your Side』という作品タイトルにも繋がっている。「Music」の歌詞を最初に書けたので“あ、もうこれでいこう”と思えたんです。

 
 
ということは、「Music」を書いたことによって歌詞の方向性が見えた?

 
 
うん、そこで決まった。あと、今回は絶対にメッセージがあるものにしたいと思っていたんです。今までは“Silver Sun”という言葉を使ったりとか、「寄り添えるように」とは言っていたものの…。

 
 
ちょっと記号化していたというか、例えていたというか。

 
 
そうだし、やっぱり自分のエゴがすごく強かったから、やりたいことを詰めていた。鳴りがいい言葉を…例えば「Brotherhood」の“壊れてゆく記憶の水面を蹴るよ”とか…そこを超えていこうと。

 
 
うんうん。

 
 
鳴りもいいし、歌い心地もいいし、覚えやすいし、歌えるけど、もっとストレートに。聴き手とこっち側のコミュニケーションの齟齬がないように出来たらいいと思って。

 
 
その話からすると、今まではコミュニケーションの齟齬があったという自覚があるんですか?

 
 
うん。思ってる。今まではそれで良かったんです。例えば「Beginning」で背中を押せるような曲にしたかったとか。こちらがいくら明確に伝えて、それがちゃんと伝わったとしても、そこから先に考えることはそのひと次第だから。“それでいいんだな”と思えたというか。

 
 
なるほど。

 
 
1対1の、コミュニケーションの最小限の単位で歌詞を考えられるようになったし。

 
 
うん。そういう部分で、「Music」はこじ開けた感じがありますね。簡単に言うと、こういう歌詞を書くのは勇気が必要だったんじゃないかなと。

 
 
そう。だから「Music」の歌詞を書いたとき、最初にメンバーに聞いたんです。「これストレートすぎない?」とか「めちゃくちゃ爽やかになりすぎてないかな?」とか。

 
 
曲調も爽やかですからね。

 
 
俺的には、この曲の歌詞を書くことは針の穴に糸を通すような作業だったんです。だって、別にアイドルグループが歌ってもいい曲になりそうな歌詞だし。でもそれを俺たちがやって、格好が付くようなものにすることが必要というか。そこが無いとアティテュードがぐちゃぐちゃになっちゃうから、そこは守りたいし、そのことも伝えたいし。だからすごく考えた。

 
 
そうだったんですね。あと今回訊きたかったんですが、昨年ABSTRACT MASHが復活して今年も色々活動していますが、“ABSTRACT MASHがある”ということが今の心境に何か作用しているんでしょうか?

 
 
ああ〜、そこは多少あるんじゃないですかね。余裕が無かったからABSTRACT MASHが出来なかったというか。言い換えれば“自信が無かった”ということだと思うんです。そこはやっぱりABSTRACT MASHが復活したときに思ったし、あと再開してからは、ABSTRACT MASHをやっていると自信がもらえることばかりなんですよ。

 
 
お。

 
 
あのバンドは“売れたい”とか“かっこつけたい”とか…もちろん俺たちなりにはあるんだけど…そういうところからちょっとかけ離れたところに居るんです。

 
 
そうですよね。

 
 
そこよりも、仲間でいることとか、家族のような感覚というか。

 
 
語弊がある言い方かもしれないですが、インディー感がありますね。

 
 
ありますよね。もしくは「ただこの4人でバンドやっているのが楽しいです」なのか。そういうレベルのものをたくさんの人に観てもらうということで。俺も色々と考えるタイプじゃないですか。だから「これだけのクオリティで」とか「新曲を演った方が」とか色々と考えてやっているんですけど、やればやった分だけお客さんが喜んでくれる。

 
 
うんうん。

 
 
考え方がすごく明確になりました。1人でやることと、ABSTRACT MASHでやることと、Nothing’s Carved In Stoneでやることの違いって何なんだろう? って考えていたんだけど…。

 
 
今年の春くらいはそれで頭を動かしてましたよね。

 
 
うん。結局ね、やっぱり俺は1人じゃないんだって。バンドはバンド。4人。どのバンドも。それで1人のときは1人。…これ、他の取材でも言ってること言っていいのかな?

 
 
全然いいですよ。

 
 
例えば焼き肉食べて「うめぇ!」ということを、俺が1人で言うときと、ABSTRACT MASHで言うのと、Nothing’s Carved In Stoneで言うのとでは、まったく別の人が言ってるわけなんです。バンドだから。あまり深く考えなくていいんだなっていう方向になってる。

 
 
それぞれに人格があるということ?

 
 
あるんです。つまり、いいバンドをやらせてもらっているということなんですけど。

 
 
そういうことですよね。キャラクターがあってオリジナリティがある。

 
 
そうです。もう充分考えたし、そういう部分でもう深く悩んだりすることはないと思う。

 
 
なるほど。そういえばアルバムのツアーはもうすぐですが、準備はし始めているんですか?

 
 
始めたところですね。M-5「Bridges」が難しいな〜。

 
 
あ、そうなんですか。「Bridges」は拓さんが作ってきた曲ですよね?

 
 
そうですよ。

 
 
弾きながら歌うのが難しい曲?

 
 
難しい(笑)。

 
 
ノリ?

 
 
ノリというか、このリフを弾きながら歌うのが難しい。

 
 
そういうの作品ごとにありません? 確か「Directions We Know」もそう言ってたような…。

 
 
フフフ(笑)。自分で作ってるのに(笑)。まあでもそうなっちゃうんですよね、好きなんです、そういうアプローチが。

 
 
歌メロとはちょっと別のところを走っているリフが好き。

 
 
そうなんです(笑)。あと譜割りね。

 
 
確かに譜割りは独特ですよね。センテンスが切れてるもん。

 
 
それが逆にいいなと思って。そういう譜割りにすると、逆に聴こえてくるっていうか。

 
 
それは英語詞に近い感覚なんですか?

 
 
いや、会話のテンポの話。

 
 
え? 会話のテンポ?

 
 
例えば「Bridges」の、“あの交差点 泳ぎ渡り着いたらtouch”の“あの”。

 
 
本来区切らないところにイントネーションがある感じ。

 
 
同じメロディなのにそのイントネーションが無い一節が他にあるだけで、そこの文脈を考えるようになるというか。

 
 
フックというか違和感になりますよね。通り過ぎさせない。

 
 
そうそう。でも「Bridges」は難しい曲に聴こえないでしょ?

 
 
はい。でも歌うのはめちゃくちゃ難しそう。

 
 
難しいけど一緒に歌ってよ。

 
 
フフフ(笑)。日本語詞だけじゃなくて、拓さんの譜割りは聴くとすごいフックに感じるんですけど、歌うのめちゃくちゃ難しいと思うんですが。

 
 
だって俺、譜割りと音符をめっちゃ考えてメロディ作るもん。

 
 
譜割りマンであり音符マンだと。

 
 
これ、コンプレックスだと思う。もともとそういうのが苦手だから。

 
 
え、まじで?

 
 
うん。でも違和感ってやっぱり気持ちよくなるんですよね。

 
 
うん、違和感気持ちいい。

 
 
違和感の話でいうと、「Bridges」はサビのコードも変なんですよ、実は。サビのいちばん最初のコードが、普通だったら行かないところに行ってて。

 
 
はいはい。

 
 
それでガーッといくと、頭では変に聴こえなくて、3つ目くらいのコードのときに“なんか気持ち悪い”と聴こえる響きになっているんです。

 
 
ほう、なるほど。

 
 
「Bridges」はすごくシンプルだし、歌にも全然エフェクトかけてない超1本録りの生歌っていう感じなんだけど、そのメロディとコードのバランス、セオリー無視の感じが、俺としては実験が実ったなという実感があって。

 
 
コード進行が異常なんですか?

 
 
うん、普通は絶対にしない。真一(生形)に「これ普通だったらマイナーだけど、どう思う?」って何回も言われた(笑)。最近The Beatlesを改めて聴いてるんですけど、イカれてるなと思って。

 
 
イカれてますか。

 
 
特にジョン・レノンは絶対にしないところにコードが行ってるんだけど、ちゃんとバランスを考えてるから変に聴こえない、でも不思議な感覚が聴き手に残るというか。すごいなと思って。実験に実験を重ねてやってたんだなって。

 
 
なるほど。

 
 
それはNothing’s Carved In Stoneだったら出来ると思うし、そういうことに挑戦していいバンドだと思うんですよね。だから敢えて「Bridges」のような歌モノというかバラードでやってみようと思ったんです。

 
 
おもしろい。「Bridges」で不思議だったのは、サビがどこかわかるんですけど、サビっぽく聴こえないというか。

 
 
ああ〜、そうでしょ? Aメロの方がサビっぽいんです。

 
 
この曲のサビどこですか?

 
 
サビはサビなんだけど(笑)、たぶんみんなが印象に残るのはAメロの方ですよね。

 
 
そうそう。

 
 
譜割りのお陰でそこに気持ちよさが作れたから。この実験は次にも活きてくると思います。

 
 
楽しみですね。

 
 
楽しみですね。…でもこうやって作品の話をしていて思うんですけど、歌詞の説明ってやっぱり難しいですね。最近、歌詞はスキルなんだなと思い始めていて。

 
 
あ、そう思います。スキルだけではないでしょうけど。

 
 
たぶん、自分だけのスキルみたいなものがあるんですよ。

 
 
はいはい、絶対的な正解/間違いがあるという話ではなくて。

 
 
だから山中さんが書く文章も山中さんの文章になるでしょ? 敢えてそこに突っ込んだら色々ありますよね?

 
 
はい、でもそこを自分から説明するのは野暮だとも思う。

 
 
思う思う。歌詞は、大人になってから書き始めるのと、若い頃から書き始めるのとでは全然違うような気がするんです。ある程度成熟してから書く歌詞っていうのは、理由と結果が欲しい。

 
 
はいはい。

 
 
大人になると「結局何だったの?」ということを書きたくなっちゃう。でも若いときに書いた歌詞って…例えば俺、若い頃に「広げ拾って」という曲の歌詞を書いたんだけど…。

 
 
お、ABSTRACT MASHで最初に作った曲。

 
 
その曲に“溶ける届けるって 転んでいるから思える”というフレーズがあるんです。

 
 
なんだそれ。

 
 
頭おかしいですよね(笑)。でも俺の今の脳でも言いたいことはわかる。

 
 
へぇ〜。

 
 
そういう、一種の発明家みたいな。そういうアプローチはあの頃から歌詞を書いてたから出来るんだろうなって。「結局何なの?」と言われるような部分が今も残っているのは、そういうことだと思う。俺の中ではイメージがあって、伝えたいことがある文章にちゃんと仕上がっているんです。“壊れてゆく記憶の水面を蹴るよ”…あれは悲しくて、だけど前向きな文章。

 
 
はい。

 
 
「Brotherhood」のような歌詞は、「広げ拾って」みたいな歌詞を書いてこなければ書けなかっただろうなって。

 
 
若い頃の感性って、キチンと説明はできないかもしれないけど、自分なりに「絶対にこうだ」という確信があるんですよね。

 
 
ですよね。「そうだ! これだぜ!」って。

 
 
そういう歌詞の追求ってすごくおもしろいですね。こういう話を拓さんとすること自体もすごく興味深いし、これからも楽しみ。

 
 
これからも追求しますよ。俺、1人でコミックバンドやろうと思ってて(笑)。

 
 
コミックバンド?

 
 
うん。山中さんとかと。

 
 
僕、楽器弾けないんですけど(苦笑)。

 
 
ボーカルでいいじゃん(笑)。

 
 
ハハハ(笑)。でも僕、コミックバンドは天才だと思っていて、言葉遊びとかダブルミーニングがものすごく長けている。音楽脳がすごく発達していると思う。

 
 
そうそう。音楽を使って演劇をするっていう側面もあるし。だから「カムバックマイひざ軟骨」っていう曲作ろうよ。“ひざが悪いんです”っていう内容の歌(笑)。

 
 
そういうの大好き(笑)。

 
 
「メジャーリーガー」っていう曲作ろうよ。

 
 
「メジャーリーガー」はどういう曲?

 
 
目の下のクマがすごい人の歌。

 
 
アハハハハハハハハハ(笑)。
 
 
 
 

 
 
 
 
当連載へのメッセージや感想はyamanaka@hirax.co.jpまで!!

 
 
 
 
 
 
 

10th Album
『By Your Side』

 
Silver Sun Records
[初回限定盤:CD+DVD]
DDCZ-9058
¥3,500+税
[通常盤:CD]
DDCZ-9057
¥2,800+税
 
2019/9/25 Release

 
 
“By Your Side Tour 2019-20”
10/02(水)恵比寿LIQUIDROOM:Newspeak
10/04(金)金沢AZ:Suspended 4th
10/06(日)高崎club FLEEZ:Tempalay
10/12(土)高松MONSTER:BBHF
10/13(日)松山W studio RED:雨のパレード
10/20(日)LIVE ROXY SHIZUOKA:teto
10/27(日)郡山HIPSHOT JAPAN:WOMCADOLE
11/03(日・祝)札幌PENNY LANE24:CVLTE
11/04(月・祝)函館club COCOA:CVLTE
11/08(金)鹿児島CAPARVO HALL:SIX LOUNGE
11/10(日)広島CLUB QUATTRO:SIX LOUNGE
11/17(日)長野CLUB JUNK BOX:teto
11/27(水)滋賀U★STONE:Age Factory
11/28(木)神戸VARIT.:Age Factory
12/10(火)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3:DATS
12/11(水)F.A.D YOKOHAMA:DATS
 
[2020年] ONE-MAN
01/09(木)Zepp Tokyo
01/11(土)Zepp Fukuoka
01/13(月・祝)仙台Rensa
01/17(金)Zepp Nagoya
01/18(土)Zepp Osaka Bayside
 
 
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