音楽メディア・フリーマガジン

Nothing’s Carved In Stone Vo./G.村松拓 続・たっきゅんのキングコングニー Vol.32:STAY HOME 外出自粛期間中のたっきゅんにZoomでインタビューを行いましたよの巻

続・たっきゅんのキングコングニー Vol.32:STAY HOME 外出自粛期間中のたっきゅんにZoomでインタビューを行いましたよの巻

SPECIAL ONE-MAN LIVE“BEGINNING2020”や“Hand In Hand Tour 2020”が新型コロナウイルス感染拡大の影響によって延期となったNothing’s Carved In Stone。我がJUNGLE LIFEも配布先の大半が休業になり、ついに5月号から紙での発行は一旦休止することを決断しました。とはいえ、WEBの更新は継続しますので、もちろん当連載も毎月更新します。というわけで今月は、緊急事態宣言が5月末まで延長となった5月初旬、お家時間を過ごしているたっきゅんにリモートでインタビューを行いました。
 
 
 
 

 
 
最近どうすか? やばい?

 
 
うーん、悲観はしてないですけど、JUNGLE LIFEの配布先は5月現在、半分以上が休業状態なんですよ。

 
 
ああ~、「そうなりそうだよね」っていう話は先月してたじゃないですか。でも今回のインタビューにあたって山中さんからそういう内容のLINEをもらって、実感が湧いて「うわ!」って思いました。

 
 
現実的になりますよね。4月号は予定していたインタビューもライブレポも全部なくなったのでライブハウス特集をしたんですけど、その号を配布するタイミングで緊急事態宣言が出て、ライブハウスやスタジオはもちろん、CDショップが休業に入ってしまって。

 
 
はい。

 
 
今現在も4月号は返送されてきているんですが、おそらくJUNGLE LIFEを置いてくださっている店舗でも、お客さんはあまり来ていないと思うんです。そうなったら、読んでもらえないフリーマガジンを出す意味が果たしてあるのかと。

 
 
ああ~。

 
 
だから5月号から紙で出すことは当面休止にしました。

 
 
これからどうするんですか? 元に戻すことを考えているんですか?

 
 
状況次第ですけど…以前のようにライブができるような状態にならないと、紙で配布する意味は少ないのかなと。

 
 
そうですよね。今、色んな情報が錯綜してますけど、秋頃にはみんなライブをやり始めるんじゃないかっていう話もあったりして。席ありが前提になるんだろうけど、ライブハウスで演るのなら間隔を空ける必要があるだろうし。

 
 
ううーん。なるほど。

 
 
結局は全体の動きに準じてくると思うんですよ。だからまだどうなるかはわからないけど…。

 
 
そういえば、8月以降のフェスやイベントはまだ中止の発表はしていないですよね?(※当インタビューは5/8に実施)

 
 
そうそう。基準がはっきりしてないから、いきなり元に戻るというよりリハビリ的な期間が必要だと思うんです。徐々に戻していかないと。

 
 
そうでしょうね。

 
 
仮にそういう動きが8月くらいに始まったとしても、結局はワクチンがないとみんな嫌だよね。

 
 
治療薬も色々出てきているみたいですが、感染してから使うものですからね。

 
 
そうそう。対処療法ですもんね。

 
 
インフルエンザみたいな感じで、事前にみんながワクチンを打てないと安心できない。

 
 
そうだよね。だからよく話に挙がるのは…1年以上っていうか、長い目で見たほうがいいんじゃないかっていう。

 
 
ワクチンが完成する=最低でも1年、みたいな。

 
 
そうですよね(苦笑)。その間、山中さんはどうするんですか?

 
 
いつまでこの状態が続くか、現時点では判断ができないですけど、WEBは続けます。ただ、今現在、音楽メディアは世の中で必要とされていないと思うんです。

 
 
うん、外に出れないし。

 
 
アーティストからリスナーに対しての発信はWEBとSNSがあれば可能だし。その間に誰かが介する意味はあまり無いというか。

 
 
うん。今はそうかもしれない。

 
 
ただ、アーティストだけじゃなくて、今はテレビに出ているような人たちもみんな自分で発信し始めているじゃないですか。芸人さんや芸能人だったら動画なんかで自分で発信することのつじつまが合うと思うんですが、アーティストが何かを発信する…例えばライブの配信だったとして、それはライブハウスのライブとは絶対にイコールではないと思うんです。

 
 
全然イコールじゃない。

 
 
あくまでも疑似的な体験というか。かといって、芸人やYouTuberみたいなことをアーティストがやったとして、リスナーがそれで満足できるかというとそういう話でもない。

 
 
俺も弾き語りの配信ライブの話があるんだけど、それはクオリティ的な基準をクリアできるからやろうと思っていて。お客さんが居るからライブはかっこいいと思うんです、見え方として。

 
 
はい。

 
 
そこに興奮するわけだし。アーティストが何か発信するとしたら、お客さんがパンパンになっているフェスの映像を公開するとか、そういうコンテンツの方が理に適ってるじゃん。

 
 
そうですね。

 
 
もしくは、映像作品くらいのクオリティのものを作って発信するとか。それくらいやらないと…ライブを自粛している期間が終わったらそういう発信をする必要が無くなるかもしれないから別にいいんだけど…もともと淘汰されることをやっても、人の心には残らないと思うんです。

 
 
はい。

 
 
だからアーティストの目線で考えることを忘れちゃいけないなって俺は思うんです。場繋ぎ的なことはやりすぎちゃだめだと思う。

 
 
ですよね。そんな中で音楽メディアができることって、アーティストとリスナーそれぞれが欲していることを少しだけでも補完できるようなこと…例えばオンラインでインタビューやアーティスト同士の対談の機会を作るとか、そういうことなのかなとぼんやり思っていて。

 
 
うんうん。

 
 
こないだ仲のいいバンドの人からLINEのビデオ通話で連絡があって、そこで話していたんですけど、アーティストはアーティストで人に会いたがっていると。バンド仲間やお客さんに。

 
 
ああ~、やっぱりそうだよね。俺も会いたい。

 
 
だからその人は、いろんな人とLINEのビデオ通話で話していて。

 
 
ハハハ(笑)。なるほど(笑)。

 
 
だから僕ができることは、そういう場所を作って、それをリスナーにも見てもらえるように動いてみようかなと。別にプロモーションみたいなかしこまったものじゃなくて。

 
 
なるほど。おもしろいかもしれない。

 
 
実現できるかどうかわからないけど、ちょっと考えてみようかなと。これはまた具体的になったら相談させてください。

 
 
わかりました!

 
 
 
 

 
 
 
ところで最近は何をしているんですか?

 
 
今の状況は準備期間にするしかないかなと思っていて。だから曲を作るために機材をいっぱい揃えて、パソコンも新しいの買って。

 
 
おお。

 
 
レコーディング用の機材やソフトも揃えたんです。

 
 
ということは、打ち込みで曲を作ることができる環境になったと。

 
 
環境はそうなりましたね。揃えたところだから今は色々と試しながら勉強してます。今はネットで調べればすぐに色々と出てくるじゃないですか。1つのエフェクトのかけ方とか、ソフトの使い方とか、そういうのをすごくわかりやすく解説してくれている人たちが居るから、それを参考にして色々と勉強して。

 
 
なるほど。

 
 
今まで、全部感覚でやってたんですよ。これはどういう理由でこうなっているか、みたいな方程式を知らなかったんですよ。それをちゃんと勉強しておくと、プロデューサー目線で自分の音を捉えることができる。これからもミュージシャン人生は長いし、ここで終わろうとも思ってないし。

 
 
はい。

 
 
だから「自分に足りないものは何だっけな?」って勉強してる。歌ってギター弾いて、なんとなく曲を作ってライブする…それ以外の重要なところが俺は抜けてるから。

 
 
さっきおっしゃってた、プロデューサー目線的なところとか。

 
 
そうそう。だからめっちゃ音楽聴いてるし、調べてるし、打ち込みで曲を作っているし、っていう感じかな最近は。

 
 
もう打ち込みで曲は作っているんですか?

 
 
作ってる。聴く?

 
 
やった!

 
 
聴こえるかな…ブワワワワワ~ン♪

 
 
だめだ。ハウリングしてる(苦笑)。

 
 
Zoomだとだめっすね(笑)。また今度。

 
 
はい。

 
 
そんな感じで、最近は曲を作ったり料理を作ったりしてますね。

 
 
なるほど。あとそういえば、先日SNS上でのやり取りがきっかけで「Baby, Stay Home」という曲が生まれたじゃないですか。

 
 

「Baby, Stay Home」とは?
 
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、営業を自粛している施設を支援する企画「Save Our Place」から、13組のアーティストが参加した楽曲「Baby, Stay Home」が4/18の20時にダウンロード開始となった。

 同作は、1982年生まれのミュージシャンがSNS上で突如始めた楽曲制作が元になり、飛び入りした同世代のミュージシャンを巻き込んで広がったもの。家で過ごすことが多くなった人へ向けての歌詞とメロディーを、それぞれが自宅で吹き込み公開しては次につなぎ、わずか10日間ほどで完成した、まさに今の世の中へ向けて作られた楽曲。

 参加メンバーで話し合った結果、「Save Our Place」にてダウンロード販売することに決定。クレジット決済手数料を除く楽曲の収益と新たに追加された投げ銭システムの収益は、3月、4月に参加メンバー自身が中止を決定した会場を中心に、ライブハウスとクラブへのドネーションとして全額送られる。


 
参加アーティスト 
岩崎慧 (セカイイチ)
Keishi Tanaka
柴山慧
谷川正憲 (UNCHAIN)
LOVE
岸本亮 (JABBERLOOP, fox capture plan, POLYPLUS)
紗羅マリー (LEARNERS)
岩崎愛
村松拓 (Nothing's Carved In Stone, ABSTRACT MASH)
桃野陽介
松本誠治 (the telephones, We Come One, Migimimi sleep tight大宮Base)
ナギケン (HardyRyan)
 
COVER DESIGN
TA-1 (KONCOS, Anoraks)


 
ドネーション対象施設
FEVER (東京) / GRAPEFRUIT MOON (東京) / musica hall cafe (札幌) / ONZO (高知) / Organ Bar (東京) / SHELTER (東京) / Sound lab mole (札幌) / UnderSea (高松) / WWW X (東京) / 440 (東京) / ファンダンゴ (大阪) / ムジカジャポニカ (大阪)
 
 
「Baby, Stay Home」

https://ototoy.jp/_/default/p/531822

 
 

 
 
曲ができあがっていく経過も見ていたんですけど、すごいですね。

 
 
82年生まれのLINEグループがあるんですよ。そこはナギケンがグループの主催者みたいな感じなんですけど、俺はたまたま入れてもらったんです。

 
 
はい。

 
 
そこで盛り上がって「作っちゃおう」という話になって。ちょうどみんながライブを中止や延期にしていた時期で、ライブハウスを支援しようという企画になって。

 
 
マスタリングとかはどうしたんですか?

 
 
慧くん(岩崎慧)がやってくれたんです。みんな自分で録れるから、動画も自分で編集してSNSにアップして、後からみんなが慧くんに音源データを送って、慧くんがパチパチパチパチってまとめてくれて。

 
 
すごい! スピード感もすごかったですよね。

 
 
それがすごく良かったと思います。世の中が外出自粛をするようになって、その最初の時期に収めたいっていう気持ちがきっとみんなの中にあったんでしょうね。ダラダラやってたら飽きちゃうし、話題にもならないから…っていうのを、話はしてないけどみんな共通でわかってて。

 
 
はい。

 
 
だからすごく早かった。俺も1日くらいでやって。ああいうのって楽しいね(笑)。

 
 
そういう人たちだから当然なんでしょうけど、みんなめちゃくちゃ歌うまいし。

 
 
うまいよね~。すごく楽しかったし、刺激的でした。みんな自分とちゃんと持っているし、形にすることが責任だっていうことがわかっている人たちだから。流石だなって思いましたね。

 
 
ミュージシャンっぽい発信というのはこういうことなのかなって見ていて思いました。

 
 
そうですよね。いい経験だったな。クリエイティブな人たちって、音楽を作るというところ以外にもクリエイティブが散りばめられているんですよね。「こういう形で出したらいいじゃん」とか「だったらこういうことは言わない方がいいね」とか、“人に伝わること”を創り出している感じがして。

 
 
うんうん。

 
 
そういうところがみんなすごいなって。改めて勉強になりましたね。

 
 
そういう動きもありつつ、今は準備期間ということで、終息したときのために英気を養っていると。

 
 
そうですね。みんなも今は大変だと思うけど、お互いがんばりましょう。
 
 
 
 

 
 
 
当連載へのメッセージや感想はyamanaka@junglelife.co.jpまで!!

 
 
 
 
 
 
 
 
 
『続・たっきゅんのキングコングニー』まとめページ
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj