優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、昨年12月にアルバム『Existence』をリリースし、ツアーを大成功させたNothing's Carved In Stone。同バンドのVo./G.村松拓の“自らの故郷である千葉県八千代市に流れる新川を綺麗にしたい”という想いがきっかけとなってスタートした当連載『たっきゅんのNEW RIVER PROJECT』、連載開始から1年経った今月号では、新川のごみ拾い(水辺周辺)を行った後、この1年の総括とこれからの展望を語った。
まずは新川のごみ拾い
『たっきゅんのNEW RIVER PROJECT』はちょうど開始から1年経ちましたけど、振り返ってみるとどうですか?
そうですね〜。覚悟してましたけど、一朝一夕にはいかないなって思います。地道だし、じわじわと見えないところで結果が出て来るのをずっと待つんだろうなって。それはわかっていたことですけど、なかなか自分で時間を作るのも大変だし、進歩を見せるのが難しい1年だったなって思います。
ただ、自分の中では、地道にやったお陰で自分が登るべき階段が見えた1年でもあったんです。だからみんなの協力もあって、始まりとしては良かったと思っています。そういう実感はありますね。
思い出してみると、この連載が始まった当初は本当に暗中模索だったというか。ごみを拾いたいけど、どの方向に進むべきかも見えていなかった。
そうでしたよね。でも、音楽とは別の話として、自分の一生の流れのヴィジョンが見えてきたというか、一生かかってもいいからやっていこうと決めることができたというか。それはすごく良かったですね。
別にすぐに結果が出なくてもいいから、ここに戻ってくればやることがある。自分で見つけたものだし、誰にも左右されないもの。別にそういうことを探していたわけじゃなかったし、たまたま自己満足から始まったものだけど、1年かけてそう思えるものになったことが良かったです。
ほら、今日はGWが始まったばかりでしたけど、新川のほとりには子供連れとかがたくさんいたじゃないですか。ピクニックというか、レジャーシート敷いてお弁当食べてる家族とか。
今日ごみを拾っててふと思ったけど、僕が子どもの頃から思っていたように、あの子たちの目にはごみが落ちてるのが普通に映っていて。きっとそれが当たり前になっていくんだろうなって。それってすごく寂しいなと思ったんです。
それを変えたくてこの活動を始めたことを、今日改めて認識したんです。一生かけて追い求めていくものを探していたわけじゃなかったけど、身を投じてわかったことというか。
今日ごみを拾いながら思ったんです。子供の頃から「自然は美しい」という認識がどこかであったんです。「美しい地球」とか「自然は綺麗」という考え方というか価値観は、いつの間にか刷り込まれていることだと思うんですね。
自分もそう思っていたんです。「自然は美しいものだから汚してはいけない」と。でもこの日本で、我々が生きている側にある自然は、すごく汚いと思ったんですね。
微妙なニュアンスの違いなんですけど、「自然は美しい」んじゃなくて、「自然は汚れている」というところからスタートしなくちゃいけないんだなって。
そうですよね。今日も水辺のごみを熊手で集めてたんですけど、土の中にテグスが大量に埋まっていて、マットみたいになっていたんですよね。その上に草が生えていて、ぶっちゃけ“うわ! 汚なっ!”と思った。
“視点だよな”って思ったんです。レジャーとしてああいうところに集まって、楽しい経験をするのはすごくいいことというか。普段仕事をして、たまの休みに子どもを連れてピクニックに来て。その場所が新川であることはすごくいいことだと思うんです。
僕から見たらそれは別に全然なんでもないことなんだけど、逆にレジャーとして来ている人たちから見たら、僕たちは違和感があったと思うんですよ。“休みの日に掃除して偉そうな顔して”と見られても仕方がないというか。
たぶん“何も考えずに楽しんでいる休日を邪魔しないでくれ”と思っていると思うし。それって、その人の立場でしかないから、ごみを捨てるのは仕方がないからだよなって思ったし。
そこに目くじらを立てて、あーだこーだと人の生活に関わっていく話ではないなと思って。だから今僕たちがやろうとしていることは、自分たちが見えることをしっかりと片付けて、本当に長い目で見て、例えば『荒川リバーフォーラム』のように場所を作って、気付く人を増やしていくことなのかなって。そのためには、ごみを拾っていることを表現して、そこに気付いてくれたり、認識してくれる人たちを大事にしていく活動も大切なのかなって。
決めた道を僕たちが歩いて、そこに賛同してくれる人たちを増やす環境を作り続けることが大事だなと。だから1年間で報告できることは少なかったけど、続けていく礎を作れたような気がしています。
僕はもともとごみ拾いに関心がなかったので、最初の頃はごみを捨てる人たちを非難する方向に気持ちが向いていたんです。“なんでごみを捨てるんだろう?”という怒りに近い気持ちというか。
そっちの方向に持っていかないとこの活動が進まないとすら思っていて。でもある時に拓さんが「みんな気付いていないだけ、きっかけがないだけ」と言っていて、そこで気付かされたというか。非難しても仕方がないというか、過去のこと(ごみが捨てられたこと)に心を動かさずに、先のことだけに心を動かした方が建設的だなと。
いろんなことをポジティブにやっていきたいね。この連載は1年経ったから一旦区切って、JUNGLE☆LIFEの誌面やwebではちょこちょこと進捗があったタイミングで報告をさせてもらいたいなと思っていて。
『たっきゅんのNEW RIVER PROJECT』の活動はもちろん続けますし、進捗は何ヶ月か毎にJUNGLE☆LIFEに掲載しますけど、それとは別にたっきゅんの連載も基本的にずっと続けるつもりですよ。
あれ? 「日本一なのはここに来てくれたお客さんたちだということに気付いた」とこないだのツアーで言ってたところなのに…。
そうです。どうにかなりたい(笑)。また俺たちの新しい限界を設定して、そこを超えていきたい。
そもそも『たっきゅんのキングコングニー』は、“一皮剥けたい”という衝動からスタートした連載でしたよね。もっと剥けたい?
もっと剥けたい。登り切ってない山もあるし、腕試しをしたいし、『たっきゅんの受け身の美学』みたいな対談もしたい。
わかりました!
※次号、新連載『続・たっきゅんのキングコングニー』スタート!! 乞うご期待!!
当連載へのメッセージや感想はyamanaka@hirax.co.jpまで!!
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