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NIKIIE

自由を手に入れた彼女は様々な表情で我々を翻弄する

PHOTO_NIKIIE012011年7月の1stアルバム『*(NOTES)』が内包性を詰め込んだアルバムだったとすれば、2012年4月にリリースしたミニアルバム『hachimitsu e.p.』では1歩踏み出して繋がりを求め、2012年9月のミニアルバム『CHROMATOGRAPHY』は自らが前に進むために本音や孤独を肯定的に吐露した作品だった。そういった道のりを経たNIKIIEがこのたび完成させた2ndアルバム『Equal』は、彼女の強烈な個性が核となった非常にみずみずしい作品。音楽性、メロディ、歌詞、アレンジ、世界観…そのどれもが振り切れていてバラエティ豊か。ひとつひとつの要素に一切の妥協がなく、音楽に対する欲張りな創作欲も伺えれば、ロック感溢れるライブを意識した表現欲も同時に感じさせる。3月には札幌・仙台・福岡のアコースティックツアー、そして東名阪ではオールスタンディングのライブハウスツアーを控えている彼女に、より自由になった表現についてじっくりと訊いた。

NIKIIE INTERVIEW #1
「私は“この人はこうだ”というイメージを持たれることがすごく苦手なんですよ。“あなたってこうでしょ?”って投げかけられると“そうならなきゃいけないんだ”って思っちゃう」

●昨年9月にミニアルバム『CHROMATOGRAPHY』をリリースし、初のオールスタンディングツアーNIKIIE LIVE TOUR 2012 “CHROMATOGRAPHY”がありましたが、初のオールスタンディングはどうでしたか?

NIKIIE:すごく楽しいツアーでした。バンドのメンバーと音楽以外でも色んなやり取りができて、普通に会話するだけでも信頼関係が深まっていったので、それをステージの上で音楽に変えていけたんですよね。始まる前は“オールスタンディングは無謀だったかな”と思っていたんですけど。

●そう思っていた理由は?

NIKIIE:オールスタンディングにチャレンジしたいという気持ちはあったんです。というのも、フェスとかに出たとき、みんなスタンディングじゃないですか。そのときの距離の近さや熱量って計り知れないなと思って。それを自分のステージで出したいな思ったし、やっぱりより近くに感じてもらえるライブがしたいという想いがすごくあったんです。だから「スタンディングでやりたい」と言って会場を押さえてもらって、ツアーをやることが決まったんですけど、今までは椅子があって、曲によって立って観てもらえる形だったから、最初からスタンディングでも本当にやれるのか…リハが始まった辺りから自分の弱さみたいな部分が出てきてしまったんです。

●ちょっと怖気づいてしまったと。

NIKIIE:そうなんです。でも、いざステージに立ったときというかSEが鳴ってステージへ出る時点で、ステージ中に会場からの熱気や期待感や想いが充満していて。それを受けて、自分自身もしゃんとしてやれた。

●しゃんとした?

NIKIIE:パワーアップするじゃないけど、みんなからのパワーを受けて、“自分も応えなきゃ!”と、自分でも知らなかった大きな私が自分の中から出てきたんんです。そこからお客さんとのキャッチボールも密にできて、セットリスト自体は変わらないけど、各会場でそのとき感じたことやそのときの反応でライブがどんどん変化していく気がしたんです。

●ライブが育っていったというか。

NIKIIE:だから毎回学ぶことが多かったし、バンドのグルーヴもどんどん増していったし、自分にとって1枚壁を破ることができたツアーでした。

●今後はどういう形のライブをやっていきたいんですか?

NIKIIE:椅子ありのライブもオールスタンディングも、できればどちらも続けたいです。椅子があるときの良さもあれば、椅子がないときの良さもあるんですよね。トライしたからこそ両方の良さを感じることができたので、どちらかではなくてどちらもやっていって、最終的に自分にとっていちばんベストな形にできたらいいと思っています。

●ところで1/30リリースのアルバム『Equal』なんですが…いちばん最初に取材させていただいたのは『紫陽花』のときでしたが、当時のNIKIIEさんの印象としては“お利口さん”だったんです。音楽も、受け答えも。

NIKIIE:はい。

●でもライブでは狂気を感じる瞬間があって、一見お利口さんに見えるけど実はものすごい怪物を心の中に持っているというか、普段は理性で抑えこんでいる人なんじゃないだろうか? と僕は思っていて。

NIKIIE:フフフ(笑)。

●その後、リリースやライブを重ねていくうちに、その怪物がちょっとずつ表に出てきたのかなという印象を受けていて。むしろ、以前お利口さんだと感じたのは、いろいろと緊張して自制していたのかなと。でも、今回の『Equal』を聴いて、今までに感じなかったNIKIIEさんの危うさや怖さ、小悪魔的な女性らしさ、少しドロッとした部分も含めて自由に表現しているなと思ったんです。僕の勝手な解釈ですが、自分のやりたいことを音楽として表現できた作品なんじゃないかなと。

NIKIIE:そうですね。1stアルバム『*(NOTES)』を出すまでは、過去がないだけに1枚1枚がNIKIIEという印象を強めてしまうんですよね。だから自分のドロッとした部分をいちばん最初に出してしまったら、そういうイメージしか付かなくなっちゃうと思ったんです。

●うんうん。

NIKIIE:その後に全然違う切り口の真っ直ぐ歌った曲を出したときに、「全然違うじゃん!」って言われるんじゃないかなって。自分の中には色んな曲があるし、色んな私がいるからこそ、自分を見せる順番に対してすごく緊張感がありました。

●そうだったんですね。

NIKIIE:そういう意味で『*(NOTES)』までは本当にストイックだったんですけど、『*(NOTES)』という過去ができると“今度はこういう自分を見せたい”、“こういう自分と向き合ってみたい”という気持ちを自由に作品に込めることができたんです。チャレンジすることをためらわなくなったし、ミニアルバム『hachimitsu e.p.』(2011年4月)の「カナリア」も、振り切って自分のサニーサイドを出すことができたんです。

●なるほど。

NIKIIE:もしかしたら『*(NOTES)』まで聴いていた人には“急にポップでキャッチーで軽くなって…”とガッカリした人もいるかもしれないし、逆に『*(NOTES)』から入ってきた人もいると思いますけど、そういうことに振り回されずに自分が『*(NOTES)』で表現しきれたからこそ次にチャレンジできたし、“こういう風にしたかったからしたんだ”と納得ができているタフさが生まれたんですよね。だから『CHROMATOGRAPHY』では「Duty Friend」のように振り切って影の部分を出すアレンジにもチャレンジできたし、今作を作る中でも自分の多面性を意識したんです。

●多面性が制作のキーワードだったんですか?

NIKIIE:そうですね。アプローチとしては“光”と“影”という二面を作っていって、最終的にこの2ndフルアルバムは2つの融合だという目的地をなんとなく持っていたんです。

●サニーサイドを表現した『hachimitsu e.p.』からの流れとして、そう考えていたと。

NIKIIE:そういう意識がありましたね。果たして自分の光と影が1つになるのかもわからないんだけど、“それができたらいいな”という漠然とした目的地として置いてはいました。そこに向けて表現していく中ですごく振り切った曲にどんどんトライできて、全部振り切れたんじゃないかな? 何をやるにしても「これはバランスを見てこうした方がいい」みたいな意識があまりなくて。

●自分の表現したいことに忠実になれた?

NIKIIE:そうそう!

●さっき「自分を見せる順番に対してすごく緊張感があった」とおっしゃっていましたが、『*(NOTES)』をリリースするまでは特にその意識が強かったんですね。

NIKIIE:私は「この人はこうだ」というイメージを持たれることがすごく苦手なんですよ。「あなたってこうでしょ?」って投げかけられると“そうならなきゃいけないんだ”って思っちゃう自分がいるんです。今までもシングル『春夏秋冬』とかそうなんですけど、“こういう人なのかな?”と思わせておいて、カップリングにすごくダークな曲を織り交ぜていたりしたんです。

●そういう部分でバランスを取っていたんですね。でも女の子とか特にそうだと思うんですけど、見た目などから先入観的に見られることが多いような気がするんです。

NIKIIE:そうですね。例えば小学生の頃とか、みんなあだ名で呼んだり呼び捨てにしたり、くだけて付き合っているのに、私にはそれができないと言われたことがあって。

●あ、直接言われたんですか。

NIKIIE:そうなんです。だから呼び捨てにされたこととかなかったんですけど、そういう自分を作っていたのも自分だと思うし。他にも、例えば通信表で先生から“みんなのお姉さん的存在です”って書かれたら“そう在らなきゃいけない”というプレッシャーを感じたりとか。

●無意識的なのかもしれないけど、周りからの期待というか、見られている像に合わせるようなことがあったと。

NIKIIE:本当はみんなと一緒に騒ぎたいとか楽しみたいだとか、怒られるようなことをしたい気持ちもあったのかもしれないけど、自分で制御していた部分があったんです。だから中学生のときに苦しくなって引き籠もってしまったのかもしれない。

●なるほど。

NIKIIE:私の一面だけでイメージを決められることがすごく怖いんです。色んな私がいるから、私を1つに見られないようにするために歌詞で色んな自分を出すっていう。

●「NIKIIEはこれだ」と当てはめられることが怖いんですね。だからこんなにも色んな側面を出そうと。

NIKIIE:うん。でも、今回のアルバムで色んな自分を表現したからこそ、次にはそれすら怖くなくなるきっかけになるんじゃないかと思っていて。

●うん。次はまた感覚が違ってくるんでしょうね。

NIKIIE:次は全部同じ編成で作ったとしても、今作が1枚あることでたぶん怖くない。そんなきっかけの1枚になった気がしています。

 

NIKIIE INTERVIEW #2
「やっぱり音楽になると、色んな表現があるし、向き合えば向き合うほど自分に嘘がつけなくなるので、どんどんこういう私も切り取って出てくる」

PHOTO_NIKIIE02●NIKIIEさんが表現したいことって、楽曲によって違うと思うんですよね。M-7「Mother's cry」はまず明確な想いがある曲だと思うんです。前作で言うと「good night my sweet home」のような。一方で、M-2「Morning in the dark」やM-4「Un Deux Trois !」は、明確な想いや答えというより、気分や感情などの曖昧なものを音楽全体で表現している。自分の感覚を既存の音楽に当てはめるというより、自分の感覚に忠実に表現しているというか。

NIKIIE:ああ〜。

●前から感じていたことではあるんですけど、歌詞だけに依存するのではなく、楽曲全体で表現をしたい欲がすごく強いんじゃないかなと。

NIKIIE:特に今作はそういう楽曲を選んでいるんです。自分のサニーサイドにある曲はわりとサウンド寄りで、そこに乗せる自分の言葉はシンプルで繰り返しが多いんですよ。音で滲み出させようとするのが私のサニーサイドの楽曲だと思っていて。

●そういう楽曲は、歌詞が軸にある曲と作り方は違うんですか?

NIKIIE:曲の書き方は同じですね。まずメロディや歌詞が出てくる以前にピアノで“何か抱えているんだけど、これは何なんだろう?”という状況をフレーズにしてみると、どんどん感情が出てきて歌詞とメロディもついて出て来るんですよ。つまりピアノがいて、それに寄り添う歌詞とメロディがいることが多いかな。それはサニーサイドでもダークサイドでも共通していることですね。

●ピアノを弾いていて、自分の感覚にピンとくる音があるんですか?

NIKIIE:ありますね。自分の心を掴まれる瞬間があって“ここだ!”と思うんです。

●それは気持ち? 情景?

NIKIIE:気持ちもだし、情景もです。例えばM-9「mannequin」とかはまさにそういう感じで曲になりました。

●この曲はヤバいですよね。

NIKIIE:ヤバいですか(笑)。確かにいちばんダークな曲ですよね。

●歌詞の内容は抽象的で、サウンドはなんとも言えない雰囲気だし、なんか生々しくて。

NIKIIE:この曲は“自分は本当に自分なのか?”という問いかけで作ったんです。さっきも言ったように、他人から求められている自分でいるときがみんなにもきっとあるんじゃないかと思って。ふとした瞬間に「何がやりたいの?」とか「一体何を求めているの?」という自問に対して答えが出てこないとき、自分は自分が求めている自分ではなかったのかなと思ってしまったんですよ。

●だから“マネキン”だと。

NIKIIE:うん。誰かからのマネキン。そういう瞬間があったんですけど、きっとお母さんっていう立場にある女性も、お父さんっていう立場にある男性も、職場でも学校でもみんなにそれぞれの役割があって、それを役として演じている瞬間があると思ったんです。でもそれに染まりきってしまうと本当に自分が自分じゃなくなるような違和感があって、自分が本当に自分なのかを問いかける曲を作りたいと思って、ピアノで弾いていったら出てきた曲です。

●自分が自分じゃないと感じたときのフレーズをピアノから探そうとしたんですか?

NIKIIE:そうです。

●音楽をやっている人であれば、普通の人以上にそういうことを考えるんじゃないかと思うんですよね。“本当に自分のやりたいことは何か?”と。普通に生きていると、人に決めてもらう方が楽だったりもする。

NIKIIE:確かに。

●本当に自分のやりたいことをやろうとすると、怖さを感じるというか。

NIKIIE:でも人に決めてもらったことをやって全然違う方向に転んだときに、その人のせいにしちゃうじゃないですか。私はそういうのが嫌なんです。結局選択したのは自分のくせに、人から与えられたもののせいにしちゃうのはすごく嫌だなって思う。環境を嘆いてしまいたくなる瞬間も絶対にあるけど、その環境にしたのも自分自身じゃないですか。だから、そういう根本的な部分を忘れたくないと私は思うんです。そう思うようになったのは、「あなたはどうしたいの?」と訊かれたことがあって。

●誰に訊かれたんですか?

NIKIIE:よく思い出せないんですけど、母に訊かれたんだったかな? けっこう前なんですけど、本当に人生の転機となったタイミングで。母に「何がやりたいの? これからどうしたいの?」と訊かれて、“どうしたいんだろう?”と考えたときがあって。環境に振り回されるというか、環境ばかりを嘆いて、自分の手でどうするかということを忘れていたということに気付かされた。それから“自分はどうしたい?”とか“何のためにやるのか”とかを意識するようになりました。もちろん自分がやりたいことだけをやるっていうのはダメだとわかっているので、色んな視点もふまえて考えるんですけど。

●「mannequin」は既存の音楽に当てはめられないような独自性を感じたんですが、さっき話に出た「Un Deux Trois !」もかなり衝撃だったんです。『紫陽花』で感じていた“お利口さん”みたいなイメージがいい意味でぶっ壊された。

NIKIIE:自分のイメージを壊したいという願望からできた曲です。

●今までのイメージを壊したかったんですか?

NIKIIE:そうですね。歌詞やメロディも遊びながら“こうせねば”という概念を取り払って書きました。

●この曲を聴いて、僕はNIKIIEさんの一面しか見ていなかったということにすごく気付かされたんですよね。こんな表情も持っているのかと発見できて、“NIKIIE”というアーティストの中には色んなものがあるんだろうなと思いました。

NIKIIE:そうですね(笑)。もしかすると、受け取ってもらえる振り幅を超えているかもしれないんですけど、大きな振り幅でやってみました。自分でも受け止めきれない自分が普段の生活の中でもあって。

●自分でも受け止めきれない自分がいるのか。

NIKIIE:すごく楽しくいる自分がいたり、ものすごく落ち込んでいる自分がいたり、振り幅がもともと大きくて感情の起伏がすごいんですけど、そういう面は普通に生活している上ではなるべく見せたくないという想いがあったんですよ。でもやっぱり音楽になると、色んな表現があるし、向き合えば向き合うほど自分に嘘がつけなくなるので、どんどんこういう私も切り取って出てくるというか。

●今から振り返ってみると、もっと自由に自分を出してもよかったんでしょうね。

NIKIIE:今作みたいな状態で生まれていたらすごく幸せだったと思うんですよね。みんなとはしゃぐこととかができずにいたから…。

●今までのNIKIIEさんの雰囲気とは違うし、“そんな部分もあったんだ!”と驚かれるかもしれないけど、これがNIKIIEさんらしさというか。こういうの、なんかいいなと思って。

NIKIIE:逆に私からしたら“こんな部分もある”というよりも“実はこうでした”という感覚なので(笑)。人が受け止めるタイミングを考えなきゃいけないと思うんですよね。最初から全部見せてくれる人もいるけど、私の場合は幅が大きい分…。

●きっとまだ全部は見せていないんでしょうね。
NIKIIE:そうですね。フフフ(笑)。

NIKIIE INTERVIEW #3
「もっと表現の幅を広げたいなって。色んなことをもっと知りたいという知識欲みたいなものが出てきた」

●ところで候補曲は他にもあったんですか?

NIKIIE:わりと絞っていました。“この曲を入れたいな”というのが明確だったというか。

●アルバムのポイントになった曲はあるんですか?

NIKIIE:「Morning in the dark」はずっと入れたいと言っていた曲だったし、最後の最後までリード曲にしたいと粘っていたんです。無事この曲がリード曲になったんですけど。

●それだけ想い入れが強かった?

NIKIIE:最初から「この曲は絶対に化けるので、レコーディングしたい」とスタッフに言っていて(笑)。

●あ、リード曲にするタイミングで推したわけではなく、収録候補曲を決める段階から推していたのか。

NIKIIE:それからもちょっとずつ推して(笑)。

●どんどん昇格していったと(笑)。

NIKIIE:実は他にリード曲の候補があったんですけど「それもいいけどこの曲の方がすごくいいと思うんですよね」と(笑)。自分の中で今回のアルバムのテーマになっている曲だと思っているので。

●この曲は、歌詞で表現したいこととサウンドで伝えたいことのバランスが絶妙だと思うんです。更に“光は影にならない影でできてる”、“思いは声にならない声でできてる”というフレーズが忘れられなくて。矛盾を孕んでいるけど真実を捉えているような気がして、すごく深い言葉だなと。

NIKIIE:この曲を書いたときは、自分自身が精神的に真っ暗闇にいるときで。

●そういうの多いですね(笑)。

NIKIIE:迷って悩んでいる時期って、停滞したり変われていないことを感じて自分を卑下しがちなんですけど、そういう時期こそ実は前へ進んでいたり、自分が変化できるものを得ていて変化している時期だったりするんじゃないかなと思ったんです。

●ほう。

NIKIIE:夜明けも同じだと思うんです。まだ夜だと思っていたのに、気付けば一気に空が白くなって、太陽の実態が見えなくても夜明けを感じられるじゃないですか。夜がすごく長くて“もうダメかもしれない”というタイミングで朝が来るかもしれないから、ギリギリまで諦めちゃいけないなと思って。

●うんうん。

NIKIIE:“光は影にならない影でできてる”というのは、よく白鳥が涼しげに泳いでいるけど中では足をバタバタと掻いているっていう話があるみたいに、目にはすごく美しく見えるものでも実は努力や目に見えない想いがあるかもしれないということを込めたフレーズなんです。

●今のタイミングで自分が考えていることの核になっているし、作品としても核になっていると。想い入れがひときわ強いんですね。

NIKIIE:はい!

●あと「Mother's cry」もすごく印象的だったんです。というか、お母さんを泣かせちゃダメですよ!

NIKIIE:泣かせたのは中学時代なんですけど(笑)、常に自分を消してしまいたいと思っていた時期だったんですよ。自分の存在価値というか存在意義が見い出せないし、“私1人がいなくなっても変わらないだろう”と思っていたんです。でも思い返せば、自分が生きているだけでも誰かの希望になっていることってたくさんあるんだと気付いて、そのことの重みを大人になって理解したというか。

●後から気付くことってありますよね。

NIKIIE:この曲は母への想いを書いたんですけど、音楽を教えてくれた人とか自分が救われる言葉をくれた人とかも自分にとっては母みたいな存在だと思ったんです。そういう大切な存在を知れば知るほど強く生きていこうと思えるし、今はそうやって生きている。自分の存在意義になっているんですよね。

●そういう実感があるからこそ、中学時代のことをいつか曲にしたかった?

NIKIIE:したかった。これを私は過去として歌っているけど、実際にその真っ只中にいる人もいると思うし、自分の経験で誰かを救えるかはわからないけど、共有することで軽くなるものもあると思うので、届くといいなという想いもあって書きたかったんです。

●なるほど。NIKIIEさんは毎回作品のタイトルにいろいろな意味を込めるじゃないですか。今作の『Equal』は、今までよりもわかりやすい言葉ですが。

NIKIIE:わかりやすくしたんですよ!

●そうだったのか(笑)。

NIKIIE:わかりにくい言葉が好きなんですけど、今回はひと言でわかるタイトルにしようと思ったんです。でも、収録曲も曲順も決まったのに、ギリギリまでタイトルが決まらなくてどうしようかと考えていて。光と影って全然別物ではあるけど自分の中では1つのものなので、“全然違うものを1つにまとめられる言葉はないかな?”と探し当てたのが“Equal”だったんです。最後の最後に頭に浮かんで、光と影は自分にとって等しいものだし、“光+影=私”でもあると思ったんですよね。

●「Morning in the dark」で表現していることが、タイトルにも関係しているんですね。さっきおっしゃっていたように今作ではやりたいことができた実感があると思うんですが、今後どうなっていくんでしょうか。

NIKIIE:今後は逆にすごくシンプルに、超ポップな音楽をやってもいいなと思うし。

●そうですね。超ポップな方向にいったとしても、ただのポップミュージシャンとは思えない。

NIKIIE:私は性格が捻くれているので、ポップだったとしてもどこかで捻った要素が出てくると思うし、自分にしかできないようなものができたらいいなと思っています。だから、純粋なラブソングとかも歌ってみたいという気持ちが生まれてきましたね。…そういえばJUNGLE☆LIFEでいちばん最初にインタビューしていただいたとき、「ラブソングないでしょ?」って言われた(笑)。

●そんな失礼なこと言ってましたっけ?

NIKIIE:「素直な曲はないでしょ?」って(笑)。

●ハハハ(笑)。そんなNIKIIEさんが、ラブソングも歌ってみたいという気持ちが出てきたと。

NIKIIE:今なら歌えそうな気がします。

●楽しみですね。リリース後にはアコースティックツアーとバンド編成でのツアーがあるんですよね。なぜこういう形にしたんですか?

NIKIIE:『*(NOTES)』のツアーのときも弾き語りとバンド編成のツアーを並行していたんですけど、当時はまだ何もわからない状態だったんです。ライブツアーの経験がそんなにある方ではなかったので、精一杯だったというか。

●なるほど。

NIKIIE:一生懸命だったけど、自分を俯瞰して見ることができない精一杯さだったんですよね。だから今回フルアルバムを出して、アコースティックという緊張感のある編成とオールスタンディングのバンド編成で、『CHROMATOGRAPHY』を経て変化した自分でチャレンジしたいなと思ったんです。新たに自分にプレッシャーを掛けてみました(笑)。でも、自分で課題を課すのはいいんですけど、怖いんですよね(笑)。

●でも今作のように、ライブも思うがままに自由にやったらいいんじゃないんですか?

NIKIIE:そうなんですけど、今はまだ怖いです。ツアーが始まるときに楽しめる状態に持っていけたらベストかなと思っています。

●今作はバラエティに富んでいるので、ライブで表現するのは難しいでしょうけど、思いっきりやれる曲が多そうだし。

NIKIIE:そうですね。しかも今作の曲だけで13曲もあるので、選曲に悩みますね。既存の曲を聴きたい人もいると思うので…。

●本当ですね。何曲くらいやろうと思っているんですか?

NIKIIE:まだ全然考えていないです。1曲がけっこう長いので、これから計算しつつ選曲していきます。

●ツアー楽しみにしています。2013年は音楽に限らずやりたいことはありますか?

NIKIIE:今年は色んなものを吸収する年にしたいんです。もっと表現の幅を広げたいなって。色んなことをもっと知りたいという知識欲みたいなものが出てきたというか。だから本をたくさん読むとか、何か勉強してみるとか、海外に行ってみるとか。海外はずっと「行きたい」と思っていたので、今年は行けたらいいな。

●どこへ行きたいですか?

NIKIIE:ドイツに行きたいですね。ゲーテが詩を書いていたライン川の見える丘があるらしくて、そこへ行ってみたいです。ゲーテは高校生のときに読み始めて、そのときは全然よくわからなかったんですけど、ただなんとなく読んでいたら、だんだん年齢を増すごとに興味を持つようになったんです。だからゲーテが詩を書いていた景色を観たらどんな気持ちになるのかなって。

●ドイツで新しい曲ができそうですね。

NIKIIE:行きたい。行く!

Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:Hirase.M

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