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陰陽座

過去と現在をつなぐ軌跡と次なる一歩を照らし出すベストアルバム第2弾

集合OMZ_0120陰陽座が2013年の最後に、ベストアルバム『龍凰珠玉』をリリースする。1stアルバム『鬼哭転生』から『臥龍點睛』までの楽曲をコンパイルしたベストアルバム『陰陽珠玉』から7年を経ての第2弾となる今作には、『魔王戴天』から『鬼子母神』までの楽曲を中心に全30曲を収録。だが、それだけではなく『陰陽珠玉』からもライブで人気のキラーチューンをピックアップし、さらには待望の新曲も2曲含んでいるということで新たなファンはもちろん従来のファンも絶対に見逃せない作品だ。“おまけ”というレベルには到底収まらない圧巻のクオリティを誇る新曲2曲は、まさにキラーチューンと呼ぶにふさわしい。これまでのライブを彩ってきた名曲たちに、心震わす新たな楽曲も加わった今作は過去と現在をつなぐ軌跡と未来へと向かう次なる一歩を照らし出している。

 

 

 

 

「このベストアルバムで一区切りを付けて一旦落ち着くというつもりは毛頭なくて、むしろ次の新作に向けて勢いを付けたいがために出すというくらいなんですよ」

●今回は2006年の『陰陽珠玉』に続くベストアルバム第2弾となるわけですが、このタイミングでリリースしようと思った理由は何だったんでしょうか?

瞬火:何らかの節目だからというよりは、単純に前回の『陰陽珠玉』以降に出した作品の楽曲が収められたベストアルバムというものが存在していないという現状に対して「もうそろそろ頃合いだな」という気がしたからですね。確かに前作のベストが結成から7年目に出ていて、今回のベストもそこから7年後に出るというのはあるんですけど、別にその“7年”というものを節目と捉えてこじつけようというつもりはありませんでした。

●瞬火さんの中で今が頃合いだという感覚があった。

瞬火:たとえば陰陽座のことを最近知って興味を持って下さった方が、たくさんアルバムが出ている中で何を最初に聴くかとなれば「とりあえずベストアルバムを聴こうかな」という場合が多いと思うんですよ。でも現状では7年前の時点までの曲しか入っていないベストアルバムしかない一方で、自分たちとしてはその後の作品でどんどん音楽的にもバンドとしても成長してきている実感があるんですよね。そこでできるだけ現在に近い楽曲を聴いてもらえるようにするためには、最近の作品からセレクトしたベストアルバムというものを作らないといけないなというところで「そろそろ必要だな」と思ったんです。

●初期の曲ももちろん良いけれど、バンドとしてはより進化した現在に近い音をまず聴いて欲しいというか。

瞬火:そうですね。初期の楽曲を切り捨てるなんて気持ちは毛頭なくて、今でも全ての時期の曲が重要なレパートリーなんです。でも経過した年月分だけバンドとして良くなっている部分はあるから、そこを今回のベストには入れたかったというのが本音です。最初のベスト盤だけだとそれ以降の7年分が入っていないということになるので、今現在のバンドの姿に近い曲が入っているベストアルバムが欲しいというのが純粋な理由ですね。

●今回の曲目を見た時に「甲賀忍法帖(龍凰Remix)」(Disc-『凰』M-1)が気になったんですが、“龍凰Remix”とは…?

瞬火:“Remix”と一言で言っても、原型を留めないようなものにもできますし、逆に原曲と並べて聴いてもわからないくらいの微妙な違いにもできますが、今回は完全に後者です。今回この曲に施したRemixというのもあくまでもベストアルバムという1つの作品としての整合性を図るために他の曲と音像の方向性を合わせただけで、原曲のイメージを全く損なってはいないんです。より近作の音像に近い方向へ寄せたことでビビッドになって聴きやすくなっていますし、声高にRemixだと言わなければ気付かれないような違和感のない仕上がりになっていると思います。

●誰にでも明白なくらい大きく変わったわけではない。

黒猫:でも音像が鮮やかになって、今の陰陽座の音に近付いているというのは感じますね。かつてのシングルやアルバムのバージョンでの「甲賀忍法帖」を愛して下さっている方が聴いた時にも違和感を覚えるような変化ではなくて、より良くなっているというか。(作品を)トータルで聴いた時に自然に聴けるような変化で、私もすごく気に入っています。

瞬火:新たに作り変えようとしたというよりは、「甲賀忍法帖」という曲の魅力を損なうことなく今回のアルバムの中でも違和感なく聴いてもらいたかったというだけのことですね。あと、この曲も含めた一部の曲はここ7年間の曲ではなくて、もう少し前の作品に入っていた曲というのもあって。

●実は『陰陽珠玉』以前のアルバムからも5曲収録されているんですよね。

瞬火:ちょうど前回のベストアルバムまでのアルバムから、今回のベストアルバムに収録したアルバムとでは音の方向性に大きく改善が図られていて。アルバムで言うと『臥龍點睛』(2005年)と『魔王戴天』(2007年)との間の時期が、ちょうど“陰陽座サウンド”というものにおける狭間でもあったんです。そこを埋めるために「甲賀忍法帖」では“Remix”という形を取ったんですけど、他の曲に関してもリマスタリングは施しています。

●「甲賀忍法帖」を『陰陽珠玉』に続けてベストアルバム2作両方に入れたのは、代表曲だからでしょうか?

瞬火:「甲賀忍法帖」はアニメ(『バジリスク』)のタイアップ曲というだけじゃなくて、そのアニメをモチーフにしたパチスロ機で今現在も使われていて。いまだに聴く機会が多いので、「甲賀忍法帖」で陰陽座を知って下さる方が今も一定数いるんですよ。もちろん主観的にも非常に思い入れのある曲でもあるんですけど、客観的に見て陰陽座の曲の中では「甲賀忍法帖」を知っているという人の数がおそらく一番多いだろうという判断からですね。

●他にも4曲が『陰陽珠玉』以前の作品から収録されているわけですが、その基準とは?

瞬火:こちらは単純に今現在のライブやツアーで演奏される頻度が高く、お客さんも盛り上がる曲の中から選んだ感じです。この『龍凰珠玉』をひとまず入門編として買って聴いてみたというお客さんがライブに来て頂いても何の遜色もなく楽しんで頂けるとは思うんですけど、その中に実際のライブでやる確率の高い曲が少しでも多く入っているほうがより良いかなと。アンコールでは、初期の定番曲が演奏されるのは必定ですからね。僕の実体験として近作しか知らないアーティストのライブに行ったら、アンコールで知らない曲のイントロが流れた瞬間に自分以外のお客さんが総立ちになったことがあって…。

●昔からのファンには定番の曲だったんでしょうね(笑)。

瞬火:「キタ〜!」っていう感じでその日一番の盛り上がりだったんですけど、僕は「知らねー…」っていう(笑)。あんな悲しみを陰陽座のライブをひょっこり観に来てくれた人になるべく味わって欲しくない!

黒猫:フフフ(笑)。

●そういう思いやりも込められていると(笑)。

瞬火:「悪路王」(Disc-『凰』M-13)なんかは特にアンコールでは定番の盛り上がる曲なので、会場がヒートアップしている時に「えー、何…この曲?」となるのは寂しいじゃないですか。だからせめてこのあたりの曲くらいは今作に入れることで、ライブでも一緒に盛り上がれるかなっていう。買って下さった方が「このベスト盤を買って良かったな」と思えるようにということと、自分たちのある時期の曲を1つの作品にまとめるということの2つをなるべく両立できるようにという気持ちで選んだ結果がこの選曲なんですよね。

●今作で陰陽座を初めて知った人がライブにも来るというところまで想定した選曲になっている。

瞬火:音源を聴いて気持ちが燃え上がったら、ライブも観たくなるというのがロックリスナーの自然な姿だと思いますからね。音源を聴いてくれた人がその勢いでライブにも来てくれる姿を思い描いているところはありますね。そういうイメージはベストアルバムだけじゃなく、オリジナルアルバムを作っている時でもライブDVDを作っている時でも常にあります。

●今回の曲順に関しても、ライブでの流れをイメージされていたりするんでしょうか?

瞬火:実際のライブとは多少異なるかもしれませんが、ある日のセットリストだと言われたら「そうなのかな」と思えるような進行にはなっていますね。そこはごく自然な感じで、こうなっていて。普段のオリジナルアルバムを作っている時も、もしその作品の曲順通りにやったとしてもライブが1本成り立つような流れを頭のどこかで考えている気がします。だからベスト盤で各アルバムから抜粋した曲を並べる時も、ライブだとありえないような流れだと自分が気持ち悪いというか。今回のベスト盤もそれぞれのDiscが2本分のセットリストだと言われたら、普通に「なるほどね」と言っちゃいそうな流れですよね。

●陰陽座の場合だとライブではDisc-『龍』が本編で、Disc-『凰』がアンコールなんていう展開も…。

瞬火:ありえますね(笑)。

黒猫:フフフ(笑)。

●アンコールが本編に匹敵するボリュームという(笑)。ところで『陰陽珠玉』以降の曲に関しては、どんな基準で選んだんですか?

瞬火:まずは四の五の言わずに、シングル曲を選びましたね。シングルとしてカットしている以上、それをベストアルバムに入れないなんていう天邪鬼なことをしても意味がないですから。あとはライブのレパートリーで定番になっている曲は、それを理由に選んで。逆にライブでそれほどやるわけではなくても、ある1つの時期におけるバンドの世界観がシンボリックによく表れているような曲は選びました。もちろん「じゃあ、なぜこれは入っていないんだ?」と言われる曲もあるでしょうが、自分がまずしっくりきたのがこの選曲だったので。全てのファンの人が納得いく選曲かどうかはわかりませんけど、納得がいかない人がたくさんいるというほうが嬉しいことではありますよね。

●それだけ思い入れを持って聴いてくれているということですからね。

瞬火:「これ以外の曲はいらないでしょ」って言われたら、悲しいですからね。「あれもこれも入っていない」って言われるほうが嬉しいことではあります。でもメンバーに「この流れで行こうと思う」と言って曲順を見せた時も、「動かしようがないくらい納得できる」というのが全員一致の意見だったんですよ。

黒猫:自分でも実際にこのとおりの曲順で聴いてみたんです。そしたら本当にライブの流れも想起できるし、Disc-『龍』とDisc-『凰』を1枚1枚の作品として聴いてもすごく完成されていて、これ以上はないなと思いましたね。

●『龍』と『凰』というタイトルで、2枚に分けている意味とは?

瞬火:今回の2枚に関しては、あえて色を付けないということを自分の中で決めていたんですよ。前回の『陰陽珠玉』では『陰』と『陽』という言葉にかけて、それぞれ静かで雰囲気のある曲とアッパーな曲とにはっきり分けたんです。結果的に勢いのある曲ばかり入ったものと、静かで長めの曲ばかり入ったものとに分かれたことで“色”はとても良く出せて。こんなにも“陰”と“陽”の音楽をやっているんだというのがわかる分け方に、自分たちでもすごく満足感はあったんですよね。ただ、それに対して誰かに文句を言われたわけでもないんですけど、後で自分で考えてみると静かな曲ばかり入っているディスクのほうが(CDプレイヤーの)トレーに載せる頻度が低いんじゃないかという…。

●そうなりがちですよね(笑)。

瞬火:メタルバンドのベスト盤を聴こうという時に、あえてそっちだけは聴かないですよね(笑)。『陽』のほうを聴いて「まだ物足りないな」という時に『陰』にも行くかもしれないけど、朝起きていきなり『陰』は聴かないなと…。ちょっと分け方が自己満足すぎた感じで自分でもちょっとやり過ぎたなと思ったので、今回はそういう分け方をやめようと思ったんです。どっちのディスクにも色んな曲が入っていて、気持ちよく最初から最後まで聴けるというか。もちろん人によって好きな曲は違うんでしょうけど、(曲調に偏りなく)平等に分けるっていうことだけが基準でしたね。

●『凰』のほうに『陰陽珠玉』以前の少し古い5曲が入っていて、『龍』のほうに新曲2曲が入っているのも意図的ではない?

瞬火:そこはまず、今作に新曲を入れた経緯からお話しする必要がありますね。前回のベスト盤には新曲を入れなかったんですけど、新曲を入れようが入れまいが陰陽座のことをとても好きだと言ってくれる方は「記念に」ということで買って下さるんですよ。どのみち買って下さるのなら、せめて新曲の1つくらい入っているほうが親切だろうという発想から今回は新曲を入れることになって。ただ、リスナーとしての僕自身の経験上、新曲が入っているということでベスト盤を買ってみたら最後のほうに1〜2曲くらい入っていて、それが魂を震わされるような曲だったことがあるかというとそんなことはあまりないわけです。

●いわゆるアウトテイク的なものが多いですからね。

瞬火:もちろん、ベスト盤の新曲というのはあくまでも“おまけ”みたいなもの、というのはむしろ常識的ですし、僕も買う立場としては納得ずくで買うので全く不満に思ったことはありません。でも僕たちが今回入れた2曲には“おまけ”という意味合いは全くなく、今現在の陰陽座が次の新作に向かっていっている勢いや気持ちをそのままダイレクトに表したような本気の楽曲で。かつ、ベストアルバムに正式に収録されるに足る楽曲というか。タイミングが違っていれば、他の曲と競り合って今作の席を勝ち取っていたであろう曲を入れなければならないっていう気持ちで作ったんですよ。

●他の曲に負けないキラーな楽曲を本気で作りにかかった。

瞬火:結果的に2曲とも今の自分たちのバンドとしての勢いがとてもよく表れたものになり、特に「吹けよ風、轟けよ雷」(Disc-『龍』M-1)に関してはそういう勢いが漲っているという手応えがあって。1枚目のディスクの1曲目という“ここ”しか置き場所が見つからなかったんですよね。むしろこの新曲を真っ先に聴いて欲しいと思うくらいの勢いを表すために、新曲を両方とも『龍』のほうに入れたんです。それに伴ってバランスを色々と取っていく中で、やや古い曲を新曲と混ぜてしまうよりもこう分けるほうがしっくりきたんですよ。

●「生きもの狂い」(Disc-『龍』M-10)のほうも、今回のベストアルバムのために作った新曲なんでしょうか?

瞬火:同じ書き下ろしの新曲ですね。まず最初に今のバンドの勢いをそのまま形にしたものを入れようということで、「吹けよ風、轟けよ雷」を作って。こういう勢いのある曲も陰陽座の1つの面を表していると思うんですけど、似たような曲を2つ入れるのも面白くないですし、色んな面を持っているという自負もありますので、それとは違う陰陽座の一側面を表した曲ということで「生きもの狂い」を作りました。ミドルテンポなのにハネたところもあり、こういう曲も1つの持ち味だと思うんですよ。1曲目とは全然キャラクターが違うんですが、これはこれで良い出来だなと思います。

●「生きもの狂い」という曲名にもすごくインパクトが…。

瞬火:これは単純に、“死にもの狂い”という言葉に対するイチャモンというか屁理屈というか…。“死にもの狂い”というのは要するに死を厭わぬ気持ちで懸命にやるということですけど、“死ぬ”よりも“生きる”ほうが大変だろうと。「じゃあ、死んだつもりじゃなくて、生きたつもりで狂ったほうが凄いんじゃないのか?」っていう…これは完全にイチャモンですね。言葉狩りです(笑)。

●“死にもの狂い”という言葉にイチャモンをつけている(笑)。

瞬火:“死ぬ”を“生きる”に変えたがる…というのは、「生きることとみつけたり」(Disc-『凰』M-15)も同じなんですけどね。「“死ぬこととみつける”よりも“生きることとみつける”ほうが大変なんじゃないの?」っていうだけのことなんですよ。これは本当にただの屁理屈です(笑)。

●ハハハ(笑)。ちなみにブログにも書かれていましたが、実は次の新作に向けて既に動き始めているとのことで。

瞬火:今は曲作りが順調に進行しているところですね。このベストアルバムで1区切りを付けて一旦落ち着くというつもりは毛頭なくて、むしろ次の新作に向けて勢いを付けたいがために出すというくらいなんですよ。過去の“珠玉”の曲と今の陰陽座の姿が伝わる新曲で、今までの軌跡と次の一歩をつないで照らすようなベストアルバムになっていると思います。色んな意味で今回の新曲が次の新作を文字どおり照らしていると自分でも思っていますし、そう思って頂いて間違いないです。

●12月の東名阪ツアーはベストアルバムのレコ発になるんですよね?

瞬火:時期的にはどう見てもそういうツアーなんですけど、元々は2013年の最後にライブをやって終わりたいという想いだけがあって。ライブのためのライブとしてツアーを組んでいたところに、その付近でたまたまベストアルバムが出ることになったんです。とはいえ直近にベスト盤が出るのに、それを無視した内容でやる意味もないですからね。だからベストアルバムが出たということと、2013年の最後にライブがやりたかったという純粋な気持ちとを両方足したような内容になれば良いなと思っています。

黒猫:陰陽座をずっと応援して下さっている方はもちろんこのツアーも楽しみにして下さっているでしょうけど、今回のベストアルバムを聴いて初めてライブに行ってみようかなという方もいらっしゃると思うんです。このベスト盤を聴いてもわかるように陰陽座には色んな幅広い楽曲があるだけじゃなくて、ライブでは最終的に「すごく楽しいな」って思える雰囲気があると思っています。ベストアルバムにも入っているような胸に響く楽しい曲が具現化して、目の前でライブとして執り行われるわけで本当に楽しいものが待っています。だから怖がらずに(笑)、ぜひライブにも足を運んで頂きたいですね。私としては、歌い足りない今年の集大成ということで最後に全力で歌いたいと思います!

Interview:IMAI