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Pay money To my Pain

今作で彼らは更なる成長を見せつけた 誰も到達していない地点へと辿り着いた

PHOTO_PTP2013年、活況を見せる日本のラウドロックシーン。毎月、たくさんの新しいバンドがCDをリリースしていく中で、ラウドロックの占める割合は数年前とは比べものにならないほど多くなっている。そんな現在の音楽シーンを語るに際し、Pay money To my Painの存在は外せない。

2006年、彼らが1st CD&DVD『Drop of INK』でデビューを飾った当時、Vo.Kはアメリカ在住、他のメンバーは日本在住という状況で、非常に限られた数のライブ機会にも関わらず、彼らは音楽ファンから多くの支持を集め、その活動規模を目まぐるしく拡大させていった。2009年にKが帰国するまで彼らはその体制のまま活動を続けるのだが、イレギュラーな体制にも関わらず彼ら4人を繋いでいたのはいったい何なのか。その答えは、11/13にリリースされた4thアルバム『gene』、そして彼らが過去に発表してきた作品の中にある。

Pay money To my Painの音楽はラウドでヘヴィなだけではない。彼らは作品を重ねるごとに、その音楽の中に人間性を色濃く出すようになり、壮大かつ叙情的なサウンドの世界観はより深く広くなり、そしてリリックはより人間くささと熱量を帯び、ライブはより大きな一体感を生み出すようになった。

特にフロントマン・Kの人間的な成長は大きかった。不器用で人見知りでナイーブで、しかし人一倍熱さを持った彼は、ステージの上で輝いていた。2010年6月19日、渋谷AXで開催された“STAY REAL TOUR”ファイナル。KはMCで「自分はもともと人に対して心を開けなかったけど、STAY REAL…そのままであれと思ったんです。そのままでいてください」と言った。そのツアーを境に、彼らの音楽はより強く深く響くものになり、Pay money To my Painは本当の意味で唯一無二の存在になった。

最高傑作と呼び声の高いアルバム『Remember the name』を2011年1月にリリースし、彼らは押しも押されぬラウドロックシーンの代表バンドへと成長した。東日本大震災で延期になったリリースツアーファイナル、2011年5月2日の渋谷AXでは伝説的なライブが繰り広げられた。ラウドでヘヴィな楽曲ではオーディエンスの感情を沸騰させ、キャッチーなメロディは強烈な一体感を生み、格段に成長した表現力は観る者の心を魅了した。

そして2012年12月30日、Kが急逝。たくさんの音楽ファン、そして多くのバンドマンがその死を悲しみ、Kがありのままの自分を表現したPay money To my Painというバンドが止まってしまうことを悲しんだ。彼らの音は、Kの歌は、Pay money To my Painのライブはもう観ることができないと誰もが思っていた。

しかし2013年11月13日、Pay money To my Painの4thアルバム『gene』がリリースされた。Kが亡くなる前に全曲オケまでは録り終えていたという楽曲は、悲報から約1年の時を経て、Pay money To my Painの遺伝子を受け継いだKYONO(WAGDUG FUTURISTIC UNITY / T.C.L)、Masato(coldrain)、葉月(lynch.)、JESSE(RIZE / The BONEZ)、Taka(ONE OK ROCK)とシーンを代表する5人のヴォーカリストの手を借りつつ完成した。

Pay money To my Painを繋いでいたのはいったい何なのか。彼らを偉大なロックバンドへと成長させた力の源は何なのか。その答えは今作を聴けばわかるだろう。それぞれが出す音と組み上げたアンサンブルに魅了され、自らの生き様を投影し、バンドとともに挫折と成長を重ねてきた4人の魂が刻まれた音と言葉。今作で、Pay money To my Painは更なる成長を見せつけた。誰にも真似のできない音楽を、ラウドロックという言葉だけでは説明しきれない世界観を作り上げた。Pay money To my Painは誰も到達していない地点へと辿り着いたのだ。

今作を聴いて確信した。Pay money To my Painはとても人間味に溢れ、音楽性に富み、ライブの表現力が高くて、そしてたくさんの人に愛され、日本の音楽シーンを代表する最高のバンドだ。これまでも、そしてこれからも。

TEXT:Takeshi.Yamanaka