音楽メディア・フリーマガジン

pegmap×Jeepta

PLAYMATE TALK SESSION #2

 4年振りの音源となる『COME BACK e.p.』で、シーンの最前線に帰還したpegmap。

本企画“PLAYMATE TALK SESSION”では彼らと縁のあるアーティストとの対談から、その不思議な魅力に迫っていく。第2弾の今回は、10月に2ndフルアルバム『リードオフマン』をリリースしたJeeptaの石井 卓(Vo./G.)をゲストに迎えた。

激しいステージングでオーディエンスを熱狂の渦へと導くJeeptaと、観る者の視線を釘付けにする緊張感の中でじっくり聴かせるpegmap。ライブのイメージは正反対のような両バンドの接点と、お互いに対する想いとは…?

Interivew

「最初にライブを観た時に歌い手としてもすごいなと思ったし、初期の曲に関しては本当に心の叫びをさらけ出している感じがして。そこまでやれるっていうことが、男としてカッコ良いと思える」(Jeepta Vo./G.石井 卓)

●両バンドの出会いはいつ頃?

石井:4年くらい前に下北沢MOSAiCで対バンしたのが最初ですね。その当時、BYEE the ROUNDやTHE RODSとかも含めて、ワイワイやってたんですよ。

山本:懐かしいね(笑)。その頃はまだ会ったら、お互いに挨拶する程度だったけど。

石井:その後に僕らが『シナリオ』(インディーズ1stミニアルバム)を出した時のツアーで、東北を3ヶ所くらい一緒にまわったんですよ。pegmapはよく東北に行ってる印象があったので、誘ってみて。

山本:確かに東北へは行ってたけど、ツアーでは何の役にも立てなかった(笑)。

●当時の印象はどんな感じ?

山本:とりあえず顔がカッコ良いから、ムカつくなって(笑)。

石井:それ、どっかの楽屋で言われたね(笑)。僕はそれ以前から、当時よく出ていたライブハウスの人に「pegmapは観た方がいいよ」とか言われていたんです。pegmapはレーベルに所属してリリースもしていたので、自分たちよりも先に行っている印象でしたね。

●ボーカリスト同士としての印象は?

石井:外から観ていて、pegmapはボーカルがバンド内で一番強い感じがするんです。CDでもライブでも声を一番近くに感じるし、"リバーブは一切いらない"って言い切っているような男気を感じますね。

山本:こんなにも男気がないのに(笑)。俺は元々、"なんで声にエフェクトをかける必要があるんだ?"っていう意地みたいなところから始まってるから、今でもリバーブがかかってると変な感覚があって。

石井:僕はリバーブのかけ具合を各ライブハウスのPAさんに任せていて。僕の声は割とリバーブの乗りが良いらしくて、そのほうが自分で歌っていても気持ちよかったりする。でも山本くんの歌はそれがない分、膜みたいなものがなくて全てがダイレクトなんですよ。そういう音の作り方もカッコ良いし、ライブで曲に入る前のシーンとした時間が僕は好きなんですよね。

山本:あれは何も考えてないだけなんだけどね(笑)。ただ緊張してるだけなんですよ。

●緊張してるんですね。

山本:ステージではすごく緊張してます。基本的には内向的な人間なので、本当はずっと家でゲームをしていたいもん(笑)。

石井:ライブハウスの人に「今度、pegmapと一緒にやるんですよ」という話をした時も、「あいつらは全然喋らないから、友だちになるには相当な時間がかかるよ」って言われましたね(笑)。

山本:俺は他人の話に上手く返せないので、せっかく話しかけてもらっても申し訳なくて。逆に俺から見ると石井くんはフワフワしていて、つかみどころがないんだよね。すごくマイペースじゃない?

石井:そうかな…、人にはよく「マイペースだね」って言われるけど…。

山本:それって、マイペースっていうことなんだぜ(笑)。

●(笑)。プライベートの付き合いはない?

山本:プライベートで遊んだことはないですね。石井くんは落ち着いていて、すごく大人っぽいから共通点が少ない気がして。家では何してるの?

石井:何だろう…? 家に帰ったら、メシを食ってTVを観たりとか。

山本:オッサンかよ(笑)。でも全然まともだよね。俺は家に帰ったらゲームをしたり、ニコニコ動画三昧だったりする超"子ども"だから(笑)。自分はゲームがすごく好きなんですけど、音楽をやる人ってインドアなタイプのはずだから向いていると思うんだけど…。

石井:大学生の頃は昼頃に起きてきてゲームをやって、日が暮れる頃に大学へ行ってサークルのスタジオで練習するっていうのをやってましたね。

山本:結局、カッコ良い感じじゃん(笑)。どこでそういうカッコ良さを体得していくの?

石井:いや、僕は山本くんをカッコ良いと思ってるよ。

山本:(自分を指さして)これが!?

一同:(笑)。

●ライブでの山本くんは雰囲気がありますよね。

山本:それは余計なことを喋らないからで。喋るとボロが出ちゃう(笑)。

石井:MCでゲームのこととか話しちゃうとね(笑)。

山本:そこはボロじゃねぇよ! (笑)。

●本質なんだ(笑)。ライブでのたたずまいがあるのは2人に共通しているかなと思うんですが。

山本:石井くんはこの落ち着いている感じがライブで崩れる瞬間に、女の子はドキッとするんだろうなって。自分もそういう感じになりたかった…人として(笑)。石井くんみたいにすごく落ち着いていて、堂々としている人には憧れますね。

石井:僕はステージだと結構動くタイプなんですけど、山本くんは逆にドッシリ構えてるよね。

山本:動いたら、ギターが弾けなくなっちゃうから(笑)。

石井:山本くんは歌いながらアルペジオを弾いたり、変なコードを弾いていたりするのがすごいなって思う。

山本:元々は単純にギターで変なことをやりながら歌っている姿を見せたいっていう自己顕示欲からだったんだけど、それに慣れちゃってるというのはあるかな。どうしてもそういう音の響きがないと自分でもイヤになっちゃったので、めんどくさいことをいっぱいやらなきゃいけないんだよね(笑)。

●(笑)。ギターボーカルというのも共通点ですが。

山本:でも元々、自分は歌うための伴奏用にギターを持ち始めたので、ギタリスト的な意識はないんですよね。ギターボーカルにこだわりがあるわけじゃないけど、ギターを持たなかったらステージにどう立っていいのかわからない。

石井:それはわかる(笑)。僕も元々、歌うための伴奏用としてギターを始めていて。本屋でコードと歌詞が書いてある歌本みたいなものを買ってきて、部屋で熱唱していました(笑)。

山本:それは共通点だね。『月刊歌謡曲』とかでしょ?

石井:"ゲッカヨ"ね(笑)。

●2人とも歌謡曲のコピーがルーツにある。

山本:俺は小学生の時にMr.Childrenが好きになったのが最初で。中学校でDr.河村と同じクラスになってから色々と教えてもらって、Blankey Jet CityやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを聴くようになりましたね。

石井:僕もJ-POPから音楽に入りましたね。バンドを始めたのはX JAPANやLUNA SEAに出会ってからだけど、途中でHi-STANDARDとかのメロコアに影響を受けてパワーコードを覚えて…。そこから、ちゃんとしたコードを押さえるのがめんどくさくなってきた(笑)。僕はメロコアやミクスチャーが好きでモッシュとかダイブが起こるようなライブを観てきたから、そういう激しいステージが好きなんですよね。逆にpegmapは山本くんがドッシリ構えて地に足が着いている感じがすごく良いし、そういう中で時々見せるちょっとした動きがカッコ良かったりする。

●pegmapのライブは、お客さんもステージに見入っている感じですよね。

山本:自分自身も騒がしいライブが好きじゃないから、自然とそういう人たちに好まれるんじゃないかな。俺はライブを観て育ってきたわけじゃなくて、どちらかというとCDを聴いてきたからライブでどんな動きをしたらいいのかわからないっていうのもあると思う。

石井:たとえばライブで演奏が終わった後のギターの持ち上げ方とかに、何らかのスタイルが見えるんですよ。その人がどんな音楽を通ってきたかがそこでわかったりもするんですけど、山本くんはそういう部分が全然見えないのが逆にカッコ良いなと。それが最初にライブを観た時の印象だったんです。たぶん、この人はそういうことができないんだなって。

山本:何も知らないから、やりようがない(笑)。

石井:それが衝撃的でカッコ良かった。やっぱり、そういう方が人間味があるから。

●生々しいというか、作っていない感じがする。

山本:それは作れないからで…(笑)。

石井:最初にライブを観た時に歌い手としてもすごいなと思ったし、初期の曲に関しては本当に心の叫びをさらけ出している感じがして。そこまでやれるっていうことが、男としてカッコ良いと思える。

山本:…うっせぇ(照笑)。

一同:(笑)。

石井:だから僕はpegmapが好きなんですよ。そこまで好きなバンドは他にあんまりいないですね。"重大発表をする"という告知の上でのライブ(pegmap presents "PLAYMATE"@渋谷CYCLONE)が今年の2月にあった時も"解散しちゃうのかな?"と気になって、久々に観に行ったんですよ。

山本:観に来てたんだ!

石井:"これで解散しちゃったらまずいな"と思って。でも音源をリリースするという話だったから良かったなと思ったし、これからどんどんライブもしていくと言っていたのでウチの企画にも誘わせてもらって。今年の7月に渋谷O-Crestでやった自分たちのイベント(Jeepta presents "無限階段 三段目")に出演してもらったんです。

●Jeeptaとpegmapではライブのスタイルが全然違うから、観ているお客さんも面白いでしょうね。

石井:Jeeptaのお客さんはライブで身体を揺らすのが好きな人が多いと思うんですけど、そういう人たちにもpegmapみたいな静かに聴き入るタイプのライブを見せたいなという気持ちがあって。これまで色んなバンドと対バンしてきたけど、自分が特に好きになったバンドにはいつまでも残って欲しい。できれば一緒にやっていきたいという気持ちがあるから。

山本:Jeeptaは実際に頑張ってるから、多くの人に受け入れられるんだろうなと思うんです。それに比べて自分たちはまだ努力が足りないところもあって。周りがどんどん上に行くことよりも、歳を取っていくことから来る変な焦りは自分の中にあるんですよね。

石井:歳を取っていくにつれて横にいたバンドがいつの間にかいなくなっちゃうことも多いけど、昔から一緒にやっていたバンドとこうやって今もつるめているのはいいなって思う。まだ両バンドとも自主でやっている頃に知りあって、お互いに事務所が付いたりして規模もそれなりに大きくなっている中で今もまだ一緒にやれているのがいいなと思うんですよ。

山本:来年の夏くらいにまた対バンしようか。すごく時期が曖昧だけど(笑)。

一同:(笑)。

Interview:IMAI

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