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PLASTIC GIRL IN CLOSET

紅一点ベーシスト・須貝彩子をメインボーカルに据えた珠玉のガールズ・ポップ・アルバム誕生!!

187_main_AYAKO轟音ギターと柔らかなシューゲイザーサウンドに、どこかノスタルジックな蒼いメロディを歌う男女ツインボーカル。岩手という土地で伸びやかに育まれてきた独自の音楽性でジャンルや世代を超えた支持を、PLASTIC GIRL IN CLOSETというバンドは集めてきた。そんな彼らにとって通算4作目となるニューアルバムは、過去最大の意欲作と言えるだろう。紅一点の須貝彩子(Vo./Ba.)をメインボーカルに据え、ビジュアル面でも彼女を前面に押し出した今回のアルバム『A.Y.A -All of the Young Adults-』。昨年にはメンバー脱退も経て3人での新体制となり、今作を作り上げるに至ったその経緯とは? バンドの中心人物であり、全ての作詞作曲を手がける高橋祐二(Vo./G.)と彩子の2人に話を訊いた。

Interview #1
みんなにも「思い切ったね」と言われるんですけど、そのくらい思い切りたかったんですよね。「彩子がボーカルのバンドです」と言っちゃうくらいの思い切り方をしてみたかった。

●今回は彩子さん(Vo./Ba.須貝)のボーカルを前面に押し出した上に、ジャケットも顔のアップということですごくインパクトのある作品になりましたね。

祐二:自分は趣味でレコードやCDを集めているんですけど、昔から女性の顔がアップになっているジャケットって多いんですよね。そういうものがすごく好きだったので、いつか女性の顔がジャケットのアルバムを作りたいなとは前々から思っていて。そして前作の『ekubo』を作り終えた頃に、「思い切って彩子に焦点を当てたガールズポップみたいなアルバムを作ってもいいかな」とはちらっと思っていたんです。でもそのことを1回忘れていたんですよ(笑)。

●ハハハ(笑)。

祐二:それで去年の秋くらいに、また同じようなことを思って。その話をメンバーにしたら、彩子がJUNGLE☆LIFEの別冊で『ekubo』のインタビューをした時に、僕がそのことを話していると言うんですよ。

●確かに話していましたね。

祐二:そこで「やっぱり自分はブレていないんだな」と思って(笑)。1stアルバムの『TOY』が僕のボーカルだけの作品だったので、その逆のアルバムがあってもいいんじゃないかなっていうイメージは頭の中にずっとあったんですよ。それを女性の顔のジャケットで作ってみたいなということからでした。みんなにも「思い切ったね」と言われるんですけど、そのくらい思い切りたかったんですよね。中途半端にちょっと女性ボーカルが多いくらいのアルバムより、「彩子がボーカルのバンドです」と言っちゃうくらいの思い切り方をしてみたかったんです。

●当事者の彩子さんはどう思いました?

彩子:最初はやっぱり若干恥ずかしかったです…(笑)。でもジャケットが私の顔で、タイトルも名前にかけた『A.Y.A』となっていたら、かなりインパクトが強いなと思って。ガールズポップ・アルバムがテーマだったし、結果としては振り切れていて良かったなと思っています。

●“All of the Young Adults”というサブタイトルは『A.Y.A』の頭文字から後付けした感じですか?

祐二:いや、実はそっちのほうが先で。僕らの音楽って渋谷系とかの90年代っぽい匂いがあるせいか、30〜40代の方から高い評価を頂くことが多いんですよ。でも今回はもっと若い10代〜20代の層に僕らのやりたいことをちゃんと伝えたいという想いがあったので、“若い人たちに向けて”という意味のタイトルを付けたいというところが始まりだったんです。

●若い世代に届けるというテーマがあった。

祐二:やっぱり30〜40代の人が僕らの音楽を聴くと「あ〜わかるわかる」となると思うんですけど、今の若い人たちが触れているものの中に僕らみたいな音楽はなかなかないと思うんですよ。そういうところに訴えかけて、「もっと色んな音楽があるんだよ」と知らせるためのキッカケに僕らがなりたいと思っていて。

●自分たちだけに限らず、もっと良い音楽があることを若い世代に知って欲しい。

祐二:「昔の音楽にも良いものが聴ききれないくらいあるんだよ」っていうのを伝えたくて。今の若い子と話してみると、そこまで音楽を聴いている子ってあんまりいないんですよね。だから「土日はレコード屋に行って、CDやレコードを買いましょう」っていうか(笑)。そういう時代が来ればいいなって思います。

●そのための入り口が今作なわけですね。

祐二:今回のビジュアルイメージで彩子を前面に押し出したのも、入りやすい感じにしたかったからなんです。歌詞も今の若者が持っているであろうモヤモヤした感じを表現したり、エレクトロの要素も増して、若い人たちに向けた入り口的な作品になれたらいいなという想いも込めましたね。

●歌詞は若い世代の気持ちを歌っている?

祐二:今を生きる若者たちが抱えているモヤモヤした想いや暗い面を歌詞にして彩子に代弁して歌ってもらおうという、大きなテーマの下に作った感じですね。今回は女性ボーカルのアルバムということで、『ekubo』の時に取り入れたエレクトロ路線なら、より華やかに表現できるんじゃないかなと。そうすると曲のイメージも必然的に明るくなるだろうなと思ったんですよ。

●暗めの歌詞に明るいサウンドを合わせることでバランスを取ったと。こうやって話を聴いてみると、今回のタイトルは単に彩子さんの名前から取ったというだけじゃなく、深い意味が込められているとわかります。

祐二:あと、実は彩子の名前の由来って、スティーリー・ダンの『彩(エイジャ)』からなんですよ。親が好きだったみたいで。僕は自分でミックスもやるんですけど、『彩(エイジャ)』ってみんなが真似するくらいバランスの良いミックスがなされているんです。今回はそのくらい良い音で録りたいなという気持ちもあったので、全てがつながった感じでピッタリだなと思いました。点と線がつながって、「これしかない!」という感じでしたね。

Interview #2
やっぱり賛否両論は絶対にあると思うんですよ。どんなバンドに対しても賛否はあると思うし、そこは全然恐れていないというか。やりたいことを思いっ切りやったという感じですね。

●前作以降にメンバー脱退があって3人編成になったわけですが、影響は大きかったですか?

祐二:やっぱり、3人で音を作らなきゃいけないですからね。1stの『TOY』の時も3人だったんですけど、そのサウンドにまた戻るというのはちょっと違うと思って。じゃあ、3rdの『ekubo』で取り入れたエレクトロ路線を今回はもっと突き詰めてみようということになったんです。今回はコンセプトアルバムということもあって、派手な音像にしたかったんですよ。ジャケットもここまで思い切っちゃっているし、音数を多くして“ライブとは別物”という考えのアルバムにしてみようかなと。

●ライブ感よりも、作品としての完成度を優先した。

祐二:ライブが思い浮かぶアルバムか、ライブとは全く別の魅力があるアルバムかという2つの方向性があると思うんですよ。僕らに関しては、その時々のテーマに合っているものをその都度選んでいこうというところがあって。今回は3人になったからといって、あえてシンプルにする必要はないんじゃないかと。聴いている側の人はみんなそっちに行くと予想しているだろうなと思ったので、だったら逆に思い切って音数を増やしてやろうと思ったんです。打ち込みなので必然的に音数は多くなるんですけど、さらにギターも3本重ねていたりする。“作品は作品で、ライブはライブ”という考え方の作品にしようということでしたね。

●3人になったからこそ、逆にそこも思い切れたと。

祐二:「今まで以上に頑張らないといけないな」という、プラスの方向に作用したと思います。今はむしろ4人の時よりも一致団結して、「もっと頑張らなきゃいけない!」という気持ちが3人の中にガッシリとあるという手応えを感じているから。音源では伝わらなくても、ライブでは1人少ないっていうのはあからさまに見えるわけじゃないですか? だから、3人になってからは特にライブで気合を入れてやっていて。4人だった時よりも激しくやっているし、音源は「かわいい感じだね」とか「きれいな感じだね」とか言われるんですけど、ライブは最近かなりアグレッシブなんですよ。

●現実的にギターが1本減った分を3人でカバーしないといけないですからね。

祐二:そこを何で埋めるのかと考えたら、ボーカルは「メロディをしっかり歌おう」、ドラムなら「リズムをちゃんとキープしよう」、ギターは「しっかりと弾こう」ということだったんです。ライブで1人減ったという見た目の部分をカバーするには、ちゃんとそういうことをしなきゃいけない。最初に3人でやっていた時や4人でやっていた時には、そこまで考えていなかったんですよ。だから増えたものがまた減ったというところで、逆にバンドにとってはプラスになった部分があるのかなと思いますね。

●3人になったことの良い影響が今作にも出ている。

祐二:『ekubo』をリリースしたのが去年の4月で、前メンバーが辞めたのが6月だったんですよ。今回のアルバムに取り掛かったのは秋頃だったので、その前から3人でライブをやっていて。3人でもちゃんとライブを見せるにはどうしたらいいのかを考え始めた時にちょうど、今作をどういうものにしようかという話になったんです。それが音数が多くなったことにも影響しているし、その時に抱いていた覚悟がこういう形になったのかな。

●強い覚悟があったから、彩子さんをメインボーカルにするという思い切った決断もできたわけですよね。

祐二:やっぱり賛否両論は絶対にあると思うんですよ。でも僕がリスナーとして考えた時に、自分のすごく好きなバンドが今まで数曲しか歌っていなかったメンバーの女の子をメインボーカルにしたアルバムを出すと聞いたら、絶対にワクワクすると思うから。どんなバンドに対しても賛否はあると思うし、そこは全然恐れていないというか。やりたいことを思いっ切りやったという感じですね。

●とはいえ、なかなかここまで思い切った変化はなかなかできないと思いますが(笑)。

祐二:そうですね。音楽を作っている立場として、「このバンドの中でやれることって限られているよな」というところで一時期すごく思い悩んだことがあって。かといって、いきなりAORをやればいいのかっていう話でもない。このバンドで作り上げてきたイメージもあるし、周りの方が期待してくれているイメージもある。確かにこのバンドでやれることは限られているかもしれないけど、本当に思い切ってやることによって、ものすごく色んな可能性が広がるんじゃないかと思ったんです。

●自分で限界を決めないというか。

祐二:色んなバンドがいる中でも、僕らって自由度が高いほうなんじゃないかなという考えに至ったんです。それまでは1つのバンドをずっと続けていくということを、いきなり違うジャンルの方向には行けないという制限としてマイナスの方向に捉えていて。でも今まで活動を続けてきた中で作ってきたこのバンドにしかない色っていうものがあるからこそ、こういうふうに思い切ってボーカルを彩子だけにしてみても「間違いない」って言えるような世界観を作ってこられたのかなって思うんですよ。だから今回はすごく自信を持ってやれましたね。

●自分たちの世界観が確立しているからこそ、自由に変化していける。

祐二:そこはもう意識しなくても、僕が作るプラガの曲は“こういう世界観だ”というものが自然と出てくるようになったと思うんですよ。それがわかっていたから今回は彩子のボーカルがメインでも、打ち込みが増えても「これはPLASTIC GIRL IN CLOSETの作品です!」と言える自信があったんです。

彩子:プラガ節というのがあるんですよね。ポップさは健在だけど、さらにエレクトロよりになって、大人っぽくなった作品だなと思います。大人っぽいけど、女性ボーカルということですんなり聴きやすい感じもあって。

●10代の頃から知っている祐二くんから見て、彩子さんはやっぱり大人になった?

祐二:彩子がまだ中学校を卒業したばかりの頃に初めてスタジオで音合せをした時なんて、全く喋らない人でしたからね。今もあんまり喋らないですけど、それが比にならないくらい喋らなくて。歌なんか歌えるような人じゃなかったんですよ(笑)。

●そんなに!? (笑)。

祐二:でも徐々に1曲・2曲と歌う曲が増えて、ライブでも歌う曲数が年々増えてきている中で、自信がついてきているのは感じますね。2ndの『cocoro』で初めて歌ったんですけど、その時はやっぱりライブも大変でしたから。“歌う”っていうこと自体をやったことがなかったところから、曲数が増える中で2年半くらい続けて自信もついてきた。そういう意味では、大人になったのかなと思います。

彩子:最初はベースを弾きながら歌うことで精一杯だったんですけど、今は「この曲は伸びやかに歌おう」とか「優しく歌おう」っていうところまで意識しながらやれるようになったので、少し自信がついてきたかなって。レコーディングでもそういうことを意識できるようになったので、前より変わってきたなと思います。

●今回はメンバー全員が自信を持って、世に出せる作品になったわけですね。

祐二:かなり自信はありますね。ちなみに津久井(Dr.)は「最高傑作だ!」とずっと言っています(笑)。

●これがセールス的にも成功したら、今後の作品は彩子さんがメインボーカルになったりして…?

祐二:それもあるかもしれない。今作がドカーンと売れちゃって、「もう元には戻れない…」みたいな。でもそこでまた元に戻して、賛否両論が起きるのもいいですけどね(笑)。

Interview:IMAI

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