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pocketlife

4人が作り出した聖域から放たれる多幸感溢れるグルーヴ

 4人が作り出した四角形の聖域から放たれるグルーヴは、多幸感を纏って身体と心の芯を震えさせる。プリミティブな感性を大切にし、常に最高の瞬間を生み出し続ける奇跡のアンサンブルは、彼らが唯一の存在である証。1stフルアルバム『peoplepeople』から約3年半、日本の基準をぶった斬るpocketlifeのロックが詰め込まれたアルバム『ZOOM』。同作を聴けば、水を得た魚のごとくフロアをクラウドさせる“あの圧倒的な感覚”に襲われるだろう。

Interview

「性格というか、人間的なところに興味が惹かれたというか。おもしろかったんですよね」
●1stフルアルバム『peoplepeople』を2008年1月にリリース後、2009年に前ドラマーであるナチョスさんが脱退され、その後すぐにKENZOさんが加入されましたよね。KENZOさんは岡山出身ということですが、もともとどういうバンドをやっていたんですか?

KENZO:地元の岡山で高校の頃から6年間メロコアのバンドをやっていたんです。その後、京都で兄がダーツバーをやっていたのでそこの手伝いをやっていたんですけど、やっぱりどうしてもダーツを握るよりもスティックを握りたい、みたいな気持ちになって。

●あ、ちょっとうまいこと言った。

KENZO:まあダーツだけではなく色んなものを握ってたんですけど、やっぱりどうしてもスティックが握りたかったんです。長くて細いものが。

●あ、ちょっと下ネタ言った。

KENZO:じゃあ東京行っちゃおう! みたいな。東京にはいっぱいミュージシャンいるし、レベルが高いところに行こうと思って出てきたんです。

●今度はスティックと夢を握ろうと思ったんですね。

KENZO:うま~い!

●なんだこのやり取り(笑)。

一同:(苦笑)。

●pocketlifeとはどういうきっかけで出会ったんですか?

KENZO:東京で活動しているグッドモーニングアメリカというバンドがいるんですけど…。

●はい、よく知ってます。このインタビューと同じ号にインタビューが掲載されます。

KENZO:あのバンドのDr.ペギは地元が一緒なんですよ。あいつは地元で違うバンドをやってて、昔はよく対バンしてたんです。で、ペギは先に上京してて、彼に「いいバンドいないかな?」って相談したら「pocketlifeっていうバンドがいるよ」って教えてくれて。

●あ、そうなんですね。

KENZO:「じゃあ1回観てみる!」って速攻でマンガ喫茶行って「HANOI」(1stフルアルバム『peoplepeople』収録)のPVを観たんです。

●エロサイトも見ながら?

KENZO:エロサイトも見ながらです。ウィンドウを同時に2つ開いてPVを観たんですけど、"かっけぇなぁ!"と思って。"このバンドでやりたい!"と。

BxAxNxZxAxI:ちょうどその頃は、前のドラムが抜けて「これからどうしよう?」と相談していたんですけど、残った3人が「もう1回やろうぜ!」という感じになっていた頃で。

●「もう1回やろうぜ!」となったということは、ちょっと心が折れそうになっていたんですね。

Piggy:ちょっとどころじゃなくて折れかけてました(笑)。

モリコン:前の4人ですごくいい感じになってたんですよ。ライブのクオリティも上がってきたし、"いい感じになってきたな~"と思っていたところでドラムが脱退したので、ショックではあったんですよね。

●なるほど。

モリコン:で、もう1回みんなで確認して「新しいドラムを入れて続けましょう」と。それで色んなドラマーとスタジオに入ってセッションしたんです。

●そのウチの1人がKENZOさんだったと。

BxAxNxZxAxI:そうです。ペギから「とんでもないドラマーがいるぞ」という忠告があって、色んなかっこいいドラマーとスタジオに入らせてもらってて、毎回毎回めちゃくちゃテンションが上がってたんですよ。3時間くらいスタジオ押さえてずーっとセッションやり続けるみたいな。

●それは刺激的ですね。

BxAxNxZxAxI:みんなやっぱりグルーヴが違うからすごくおもしろかったんですけど、そんな中でもあの人(KENZO)はもうどうしようもないっていうか、とにかくおもしろいなと。

●他のドラマーとは違ったんですか?

モリコン:全然違いました。性格というか、人間的なところに興味が惹かれたというか。おもしろかったんですよね。

●音楽的なところじゃなくて人間的なところで惹かれたんですね。具体的にはどういうところですか?

モリコン:まず、何の話をしてるのかよくわからない。

一同:アハハハハ(笑)。

モリコン:初めて会って一緒にスタジオに入ったわけですけど、すごくテンションが上がってて、身体全部を使ってその興奮を表現するんですよ。それがやっぱり、親しみが沸きますよね。

●ああ~、口下手なのに気持ちは伝わると。

Piggy:いや、正確に言うと、口下手じゃなくてすごくしゃべってくれるんやけど、何を言ってるのかよくわからない。

●あ、そっちですか(笑)。

モリコン:それがすごくいいんですよ。すごく印象に残ってて。

Piggy:それでKENZOがいいんじゃないかと。

●当然、メンバーが変わればバンドの雰囲気も変わると思うんですけど、そこで何か感じるものはありました?

Piggy:音を合わせた感覚がすごく変わりました。もちろん観てくれたお客さんにも「グルーヴがすごく変わりました」とか言われたし。その後、自分たちでライブDVDを作ろうということで、ライブを映像に撮って自分らで確認したんですよ。あれ、KENZOが入って何回目のライブやったっけ?

BxAxNxZxAxI:3回目くらいだったと思う。

KENZO:僕はまだすごく緊張してました(笑)。

●そりゃしますよね。

Piggy:3回目くらいのライブを映像にしたんですけど、クオリティがすごくよかったんですよね。

BxAxNxZxAxI:演奏もまとまっているし、後はやっぱり元のメンバー3人も改めてそこで集中力を強く持つことができたんです。だからKENZOと一緒にイチからやっていく感覚に近いというか。メンバーチェンジがきっかけとなって気持ち的にリフレッシュした感じはありましたね。

●ちなみに現pocketlifeの代名詞とも言えるフロアライブをやり始めたのはいつ頃なんですか?

モリコン:フロアライブの企画はKENZOが入った後ですね。

BxAxNxZxAxI:2009年の終わり頃、ライブハウス企画のイベントに誘われてそこで1回やったんです。そしたら「これめちゃくちゃ楽しいから自分たちでもやっていこうぜ」ということになって、コンスタントにやるようになったんです。

●pocketlifeがフロアライブ企画を始める以前に僕は何度かライブハウスで観たことがあって、その後新宿JAMでのフロアライブを観たんですけど、もう全然印象が違ってて。びっくりしたんですよね。

Piggy:そうですね。やんちゃ度が全然違いますよね(笑)。

●そうそう(笑)。メンバーとお客さんとの距離が近いというのもあるんですけど、観ているこっちもすごく楽しかった。楽器を演奏している4人が作り出す四角形の内側は不可侵な領域というか、我々リスナーは普通は入れない空間だと思うんです。

4人:うんうん。

●でもフロアライブのときは、ライブハウス全体がその四角形の内側に存在しているような感覚というか。pocketlifeにとって、フロアライブというものが大きなきっかけになっているんじゃないかと想像するんですが。

BxAxNxZxAxI:最初にフロアライブをやったときから、終わってすぐにPiggyが「めちゃくちゃおもしろかったからまたやろうぜ」と言って、その場で企画を決めたんですよ。で、毎回やるたびに「じゃあ次はいつ」みたいな感じで続けていって。

●メンバー自身がフロアライブに魅了されていったと。

BxAxNxZxAxI:で、最近はもう楽しいから、とりあえず常にライブ予定の中には1つフロアライブを入れているような状態で。だから僕らの楽しみのひとつなんですよね。

Piggy:打てば響くというか、いいライブをやればその分絶対に盛り上がるんです。普段のライブでは何が理由なのかわからないけどそうはならないこともあったりするんですけど、フロアライブは反応が直結しているからやりがいがあるんですよね。

●バンドにとっていいきっかけになってるんですね。そして今回、アルバムとしては約3年半ぶりとなるアルバム『ZOOM』がリリースとなりますが、どういう作品にしようと思ったんですか?

BxAxNxZxAxI:全体的なバリエーションはもちろん考えつつ、作品のコンセプトとかは特に決めずに作ったんです。僕らはメンバーの音楽的なバックボーンが全然違うんですけど、それぞれがかっこいいと思えるような音楽から影響を受けて音を鳴らしてて、今作は素直にそういったものを入れたというか。

Piggy:収録曲を作った時期もバラバラで、俺が入る前からあった曲も入ってるんです。だから作った期間で考えると「何年越しのアルバムやねん?」っていうくらい。7~8年前に作った曲とかも入ってて。

●あ、そこまで遡るんですね。

Piggy:これは壮大なプロジェクトですからね。

一同:(笑)。

Piggy:遡って、「あれでもない」「これでもない」って言いながら集めてきて1枚になったわけです。だからpocketlifeを結成して以降に作ってきた色んなものが入ってるアルバムになってると思う。

モリコン:うん。色んな時期の曲が入ってるし、それを全部今の4人で表現したアルバムですね。昔に作った曲も、当時演奏していたものとは当然変わっていて。すごい古い曲もあるので、そういう曲に関してはカヴァーするのに近い感覚というか。

●ちなみにいちばん古い曲はどれですか?

モリコン:M-3「Red Dwarf」とか、去年11月に出したシングルにもなったM-5「Empty」もすごく古い曲で、引っ張り出してきてこの4人で演奏したらすごくかっこよくなったんです。新しい曲だけでフルアルバムのボリュームを作ることもできたんですけど、そうじゃなくて単純に"いい作品を作ろう"としたときに4人でやったらかっこいいと思えた曲が、たまたま作った時期が昔だったという。

●なるほど。基本的にジャムセッションで曲を作るんですか?

モリコン:全部がイチからジャムって作った曲というわけじゃないですけど、どの曲もセッション的な要素は入ってると思います。例え俺が最初から最後まで書いてきたとしても、俺はベースラインを作らないし、ドラムも言わないんです。だからそれもジャムセッションですよね。

Piggy:モリコンはよく「別に合わせる必要はなくて、みんなが好きにやってくれていい」って言うんです。そうやって出したものがバンドとして成立しているのが俺らの強みだと思うんです。

●メンバーそれぞれがそれぞれの要素をその場で出しながら曲が形になっていくと。

Piggy:だから曲によって完成するまでの時間は様々ですよね。「ああ~、1日でできてもーた」という場合もあれば、勢いを逃してしまったりしたら「もうどこに向かったらええかわからへんな」みたいな、終わりが見えなくなってしまうときもあります。

●4人の感覚が如何にピタッと合うか。

Piggy:そうですね。だいたい上手いこといくときは誰も何も言わずにヘラヘラしながらワーッとやってるんですけど、ちょっと真剣な顔して「ここがさぁ…」みたいなことを言い出したらダメですね。

●真剣になったらダメなんですか(笑)。

Piggy:ダメですね。

●かなりメンタル的な部分で左右されるんですね。

Piggy:そうですね。遊んでいるくらいの感覚でやった方がこのバンドはうまくいくことが多いと思います。

●ということは、KENZOさんの加入を決めた理由として「人間性がよかった」とおっしゃっていましたが、pocketlifeは雰囲気やノリ、人間としてのグルーヴみたいなものが重要なんですね。

BxAxNxZxAxI:そうですね。

KENZO:僕らの場合は最初に「こういう雰囲気の曲にしましょう」って決めてやるわけじゃなくて、誰かが何かおもしろいことをやったらそれにみんなが賛同して「やべぇ!」ってテンション上げて曲になっていくんですよね。

●でもさっきおっしゃてましたけど、モリコンさんが材料というか原曲を作ってくることもあるんですよね?

Piggy:でも材料を持ってきても、みんなあまり聴いてくれへんよな? 「こういう曲作ったんだよね」ってモリコンが歌い始めたら、みんな聴き終わる前にボーン! ってやり始めるんです。

BxAxNxZxAxI:だいたい30秒くらいですね。「そこに楽器があるから」みたいな。

Piggy:黙って聴いてるのもなんか癪やしな。

●楽器で会話しているというか。

モリコン:うん。ホントそういうことだと思います。

●でもそういう感覚は聴いていたらなんとなくわかります。曲に入り込める余白があるし、強引に曲の中に引きずり込まれるというか巻き込まれるような感覚もある。それこそフロアライブに近い感覚というか。

Piggy:プレイヤー目線じゃないところで、純粋に"この流れでこうきたらアガる"とか"これが気持ちいい"とか、そういうところをキャッチする感性は特にKENZOが優れてると思うんですよね。

●おっ。

Piggy:「これ気持ちいい」「それかっこいい」とか言うんです。で、いつも俺らは「何言ってるかわからへん」って流しながら、実はこっそりその意見を汲み取っていたりするんです(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

KENZO:僕は「気持ちいい」とか「悔しい」みたいな気持ちをすぐに出しちゃうんですよ。でも言葉ではいつも上手く伝えられないんです。「これ気持ちいいです」とか言うんですけど、それがなぜ気持ちいいのか説明できないんです。

Piggy:その"なんでかわからへんけど気持ちいい感覚"っていうのが大事やと思うんですよね。それがさっき言われた引きずり込まれるような要素だと思うんです。

●そうですね。そもそも音楽は感覚的なものだし。要するにKENZOさんはバンドに必要なすぐれた感性を持っていると。

Piggy & モリコン & BxAxNxZxAxI:うんうん。

KENZO:僕は感情表現が優れているんですね。

●いや、そういう話ではないです。

一同:(爆笑)。

BxAxNxZxAxI:いつもこういう感じなんですよ。

●今わかりました(笑)。

Piggy:会話の9割がこんな感じです。

Interview:Takeshi.Yamanaka