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POP CHOCOLAT

歌とメロディとサウンドで描き出すエヴァーグリーンな心象風景

2010年3月、the pillowsの山中さわおが主宰するDELICIOUS LABELよりミニアルバム『TRIP』をリリースし、同年5月にはアメリカツアーを行ったPOP CHOCOLAT。メンバー全員がヴォーカルを取るというスタイルのオルタナティブなギターポップが更に進化した。

前作同様山中さわおプロデュースによる今作『TRANSIT』は、多彩なヴォーカル/コーラスワークとエヴァーグリーンなサウンドメイクが耳と心に心地良く、POP CHOCOLATの魅力が詰まった1枚。春の訪れと共に3人は新たな1歩を踏み出した。

Interview

「仕事場というよりは、仲間と会う場所。もちろん考えたり意見を出し合ったり、真面目にも取り組んでいるけど、すごく楽な場所」

●前作『TRIP』からthe pillowsの山中さわおさん主宰のDELICIOUS LABELに移籍して、更にプロデュースしていただく形になったわけですが、その経験はどうでしたか?

miho:さわおさんはアーティストだからかすごくやりやすかったです。メンバーの意見を汲み取って、それを踏まえた上で「こういうパターンはどうかな?」と提示してくださるのですごく刺激的で楽しかったし。

shiho:あんなにすごい人なのにお兄さんのように話してくれたし、アイディアもポンポンと的確に出してくださって。

●前作が『TRIP』で、今作が『TRANSIT』じゃないですか。前作のタイトルは"今からいろいろな所に出かけていこう"という意味と"お客さんを酔わせたい"というダブルミーニングだったそうですが、今回の『TRANSIT』は全体の曲のイメージとして"前に進もう"というベクトルが感じられたんです。

miho:基本的にいつもそういう心情なんですよね。natsukoと私が曲を作っているんですが、2人で相談しているわけじゃなくても、楽曲は似たような心境になっているし。いつも前にどんどん進みたいという歌詞が多いですね。

natsuko:でも今は特にそういう時期なんやなと思います。前作は新しいというか、心機一転みたいな歌詞が多かったんですけど、今作は分岐点だけど前向きな道を選択して進もうという感じですね。メンバーの脱退があったことも影響しているんだと思います。

●その話に関係しているのかもしれないですけど、今作の曲を聴いて感じたことがあって。これはPOP CHOCOLATというバンドの特性かもしれないですけど、"ノスタルジー"とか"センチメンタル"という言葉だけでは説明しきれない切なさ…それはけっして歓迎していないわけではなく、むしろ受け入れているようなもので。
3人:うんうん。

●生きていく中で感じる痛みや摩擦なども受け入れつつ、それでも前を向いて進もうとしている感情というか。それは歌詞だけじゃなくてサウンドにもリンクしているような気がしていて。そういった感情というか、心の状態みたいなものを全部封じ込めているような音楽ですよね。

natsuko:わかるかも…って、自分のことですけど(笑)。本当にそういう感じで、多分3人ともパーッと明るい性格ではないんですよね。

miho:人間は太陽タイプと月タイプに分かれると思っているんですが、このバンドには太陽的な明るさがないんですよね。幸あふれるというよりは、ちょっと幸薄だけどがんばっている月タイプなんです(笑)。

natsuko:いろいろ日々苦しいこともあるんですけど、ずっと倒れていても何も変わらないなと。そういう気持ちが音楽に出ているのかも。もの悲しいコードとか好きですし(笑)。

shiho:火星だよね。

●いや…月って言ってますけど(苦笑)。

一同:アハハハハハ(爆笑)。

●それと、全部がそういうわけではないと思うんですが、例えば先行着うた配信になっているM-1「differ」を聴くと、単純に和音のメロディや歌詞だけではなくて、コーラスというか多重ボーカルもバックのサウンドも全部をひっくるめてひとつの表現になっていると感じて。だからアレンジを詰める作業のときに、3人でイメージの共有が必要なんじゃないのかなと想像するんですけど。

miho:曲を作るときに、なんとなくどういうイメージの音にしたいのかを伝えていて、「こういうドラムやベースラインを自分なりに消化して入れて」みたいな渡し方をするんです。だから全体的な曲のテーマなどを解説することはないんですよ。わりとそれぞれのメンバーに「よろしくっ!」と言って丸投げする感じ。

●「differ」とかはヴォーカルもいっぱいありますけど、そういう場合は?

miho:あ、歌は指定しています。「ここのパートはあなたが歌って」って(笑)。でもちょっと迷って「ここは誰に歌ってもらおうかな?」とか言うと…。

shiho:スーッと目を逸らします(笑)。

natsuko:「私はちょっと忙しいの」って(笑)。

●楽器弾きながら歌うと忙しくなりますからね(笑)。

miho:でも私はその人が歌うことをイメージしながら曲を作っていたりするので、歌に関しても指定することが多いですね。

●ということは、歌メロはコーラスまで誰が歌うのかということを含めて作るんですね。

miho:主線をピアノで入れておいて、そこから順番に味付けしていくこともありますけど、だいたいはコーラスを乗せることがありきで作ってますね。主線のメロディが上に行ったり下に行ったりし過ぎるとどこにコーラスを入れたらいいのか分からなくなってしまうから。

●なるほど。

miho:あと、J-POPの楽曲は「サビです!」という風に分かりやすいことが多いじゃないですか。でも私たちの場合は、全体的に淡々と作っていってコーラスを入れたときに初めて膨らみが出るようにする、という感覚。いろいろ想像しながら作ってます。

●コーラスはアレンジではなくて、作曲の一部なんですね。

miho:そうですね。特に「differ」とかはそうです。だから1人で歌っても味気なくて寂しいでしょうね(笑)。

●それと、どの曲も言葉の響きと意味のバランスを取っている印象があるんですが、その中でM-5「ノーカウント」だけはちょっと印象が違って。歌詞に"強く 強く 強く"と繰り返しているところがありますけど、そこは歌詞だけじゃなくてドラムの音とかも含めて「強く」と言っているようで、曲としてすごく意志を感じたし、メッセージというか心境が表れているのかなと。

natsuko:あそこのドラムはmihoに指定されました。「強く叩いて」って。

miho:基本的に強い人でありたいとは思っているんです。これはわりと最近作った曲で…あまり自分から言いたくはないけど…去年は大きな震災があっていろいろ思うこともあり、いろんな面でもっと自分が強くならなきゃいけないと感じたんですよ。女の人でもちゃんと芯のある人が好きだし、自分もそうでありたいと思うし。「ノーカウント」は本当に強さを歌った曲で、何があっても前に進める強さをイメージして作りました。

●感情のいろんな部分が詰まっているんでしょうね。制作は順調だったんですか?

miho:今回はすっごい順調だったんですよね。スムーズ過ぎたのでさわおさんにも「もう1日増やしてゆっくりやろうか?」と言われたくらいで。

shiho:でも個人的にはぎっくり腰になって大変でした。

●え? ぎっくり腰?

shiho:M-10「once again」を聴くたびにその苦労を思い出します…。かなり大きな鍵盤をスタジオまで運ばないといけなかったので、コルセットを巻いてヒヤヒヤしながら録ったんですよ。

●その鍵盤を運んでいてぎっくり腰になったんですか?

shiho:いや(笑)、朝起きたらギクッと。

●ハハハ(笑)。

shiho:でも腰が痛いというのは本当に大変で。すごくイライラしていたんですが、そのイライラを演奏にぶつけたんです。

natsuko:「once again」の鍵盤は神がかっていたよね。あの鍵盤が入って「once again」が私の中のチャートでグーンと上がったんです!

●チャートがあるんですか(笑)。

natsuko:競馬の何て言うんですか? 穴馬?

miho:ダークホース?

natsuko:そうそう、ダークホース。

●は?

natsuko:もともと「once again」は私の中ではダークホース的な存在だったんですけど、鍵盤が入ってダーッと追いあげてきたんです。

●どんな例えや(笑)。

miho:さわおさんも言っていました。「曲出しの時点では普通の曲だったのに、レコーディングが終わってから聴くとグッとよくなった」って。

shiho:腰痛のおかげです。

●ハハハ(笑)。3人の話を聞いているとなんか独特な空気感に包まれている感じがするんですけど(笑)、自分たちにとってPOP CHOCOLATはどういう場所なんですか?

natsuko:難しいけど…バンドというものは家族みたいだと思っているんです。久しぶりに集まると話が止まらなくなるくらい、何でも言いたくなってしまうメンバーなんです。リハとかもセッティングをしながらずっと話していますね(笑)。

miho:仕事場というよりは、仲間と会う場所。もちろん考えたり意見を出し合ったり、真面目にも取り組んでいるけど、すごく楽な場所なんですよね。何より生活の中心だし、基準になっている。だからメンバーが抜けたときも、辞めることなんて考えずに"これからどういう風にやっていこうかな?"ということだけを考えて進めてきたし。あって当たり前というか、あってほしいものですね。

shiho:私は溝田志穂としてのソロ活動とPOP CHOCOLATとしてのバンド活動を両立していくことが自分の人生…というのは大げさかもしれないけど、相乗効果を得ながらやっていきたいと思っていて。

●ソロとPOP CHOCOLATではモードが違うんですか?

shiho:人数が違います。

●当たり前やろ!

一同:(笑)。

shiho:ソロだと全部1人でやらなきゃいけないじゃないですか。だから人数の違いが大きいんですよ。"1人じゃないということはなんて素晴らしいの!"って。私はソロだけをやりたいわけじゃなくて、バンドもずっと続けていきたいんです。仲間と音を鳴らすことが好きなんです。だからHermann H.&The Peacemakersが活動休止したときに"どうしましょう?"と思っていたら、すごくタイミングよくPOP CHOCOLATに声を掛けてもらって。男ばかりのバンドから女の子ばかりのバンドへ入るのは"どうなるんだろう?"と不安がありましたけど、入ってみたらすごく楽しいしそれが嬉しく思えたんです。だから必要な場所ですね。

●いいバンドですね。なかなか他者には踏み込めない感じがありますけど(笑)。

miho:いろんな人から「仲いいね」と言われます。

●それとライブはどういうところが楽しいですか?

natsuko:ライブのときだけが解き放たれている感じがする。いちばん誰にも邪魔されずに開放できるイメージ。みんなもいるし幸せだなと思う瞬間ですね。

miho:ステージから観える景色がすごく感動的なときがあって、それを観たときに圧倒されて気持ちが高揚するんですよね。このバンドじゃなきゃ観られないものがあるんだなと思って。またそれを観たいからバンドを続けているのかな。

●shihoさんはどうですか?

shiho:私はずっとサポートメンバーだったこともあって、"2人が楽しそうだな"とか"今日はいい感じだな"と思いながら見ているのが好き。実際2人が楽しそうなときがライブ自体もいいものになっているから、"今日はとくにお客さんへ伝わっていそうだな"と思いつつ、黒子的なポジションで(笑)。もちろん私自身も楽しんでいますし。

●人が喜んでいることが、自分にとっても幸せに感じるということでしょうか?

shiho:そうですね。私にとって音楽やライブをするのはそういう感じです。あとは、やっぱり打ち上げ(笑)。

miho:今までPOP CHOCOLATは打ち上げの参加率が悪かったんですよ。私は全く飲めないし、なっちゃん(natsuko)もあまり強くないので、誘われても不安だったんですけど今はすごい出席率なんです。

natsuko:変わったよね。飲む人がいると楽しめるんです(笑)。

●ブログの写真を見るといつもshihoさんは手にビールを持っていますけど…アル中なんですか?

shiho:よく言われます(笑)。

Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:Hirase.M

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