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Rhycol.

精錬されたメロディが紡ぎ出す奇跡のアンサンブル

 2006年結成、大阪を拠点に全国規模で活動を重ね、メンバーチェンジを経て今年7月に現在の編成になった4ピースバンド、Rhycol.。メロコアへの憧れからスタートした彼らの音楽は、バンドとしての自我の芽生えと共に変化/成長し、この4人でしか鳴らせない境地へと辿り着いた。すべての音を“歌”と捉え、緻密に紡がれたアンサンブルで奇跡の瞬間を次から次へと生み出す彼らのバンドスタイルは、得も言われぬ至福の情景とストーリーを聴く者の記憶に刻み込む。

Interview

「歌がありきだけど、この4人でしかできない演奏をしたいから"楽器は全部メロディだと思って弾いてくれ"って。それがアンサンブルロックの醍醐味だから」

●あの…メンバー名の表記が1人だけおかしいんですが…NOHT FRICASSEEって本名なんですか?
NOHT FRICASSEE:いえ。

●どう見ても日本人ですよね?
NOHT FRICASSEE:はい。ちょっとシャイなので。

●はあ…。今回がバンドとして初のインタビュー、言ってみればインタビュー童貞ですね。実際には童貞ではない?
3人:違います。
NOHT FRICASSEE:…。

●あっ! なぜか1人黙った!

一同:(笑)。

●Rhycol.は2006年に結成ということですが、松藤さんが7/7に正式メンバーになったんですよね?

松藤:そうです。今年の5月からサポートを始めて、7/7に正式加入しました。サポートをやる前から知り合いだったんです。

金城:松藤がやっていた前のバンドのときから仲が良かったんですよ。でもそのバンドが解散して、王将で餃子しか焼いてなかったから暇そうやなと思って誘ったんです。

●あ、餃子焼いてたのか。

金城:Rhycol.に加入して、8年間勤め上げた王将辞めちゃったもんな。

松藤:うん。王将一筋だったけど、音楽に賭けようと。

●Rhycol.はどういうきっかけで結成したんですか?

金城:もともとはメロコアの4ピースバンドをやってたんですよ。他にヴォーカルがいて、前任のベースもいて、僕はギターをやってて。でも少しずつジャンルが変わっていったんです。

上田:「メロコアちゃうな~」って。

金城:そうそう。「じゃあポストロック系をやろうか?」という話になって。そのときにヴォーカルが辞めて、バンド名もRhycol.に変えて3人になって。で、学校の同級生だったNOHT FRICASSEEを誘ったんです。その後、ベースが抜けて今年の7月に松藤が入ったという流れですね。

●なるほど。ちなみにFRICASSEEはRhycol.に入る前は何してたんですか?

金城:別のバンドをやっていました。ブルース・リーの服を着て、髪の毛を三つ編みにして、中国語しかしゃべったらアカンっていう縛りでバンドやってました。

●なんだそれ(笑)。
NOHT FRICASSEE:中国人という設定だったんです。

●なぜそんなことやってた彼を誘ったんですか?

金城:FRICASSEEがいいMTRを持っていて、メロコアバンドをやっているときに録ってもらったりしてたんです。

●あ、FRICASSEEというより、MTRが必要だった。

金城:そうっすね(笑)。

●FRICASSEEの音楽背景が全然見えてこないけど…要するにもともとはメロコアだったんですね。

金城:バリバリのメロコアでした。Hi-STANDARDとかThe Offspringとか。

上田:でも速いビートにちょっと疲れたというか(笑)。

●最初は憧れから始まって、そのうち自分たちのやりたい音楽がハッキリしてきたということ?

金城:というか、最初は"音楽はジャンルで分かれる"っていう意識が強くて。だから「メロコアからポストロックへ」っていう感じで自分たちでも思ってたんです。the band apartとかからすごく影響受けて。

●うん、それは音を聴いて感じました。

金城:でも最近は、僕が歌っててみんなが演奏してたらRhycol.なんやっていう感覚になってきたんです。"ポストロック"という定義ではなくて、全員が好きなことをやりつつバンドとして成立するレベルにまで達していれば、別にどんなジャンルだろうが自分たちらしくなるんだろうなって。

●うんうん。

金城:だから最近はこだわらなくなってきました。だから最初のころはもっとがんばってますね(笑)。わざと変拍子入れたり、音を外してみたり、意図的に変なギターを弾いてみたり。そういうのが最近はいい形で抜けてきていると思います。

●最初は意識して"自分たちはこうあるべきだ"みたいなところを模索していたけど、でも最近は"どうやろうが自分たちがやれば自分たちの音になる"という意識になってきたんですね。

金城:そうですね。ポストロックだろうが何だろうが、リスナーは歌を聴くじゃないですか。でも僕は前のメロコアバンドでギターだったというのもあって、ヴォーカリストという意識に欠けてたんですよ。

●ああ~。

金城:ライブの立ち位置とかそれが顕著なんですけど、僕はセンターじゃなくて下手に立っていて。"ヴォーカルは楽器の一部"みたいな考え方だったんです。だから敢えて下手に立って、みんなが出す音が真ん中でひとつになればいいかなって思っていたんですけど、バンドを続けていると、やっぱり歌もそうやし、歌詞に対する意識とか想いも強くなってきて。

●うんうん。

金城:"聴いてほしい"という想いが強くなってきたというか。だから"歌を大切にしよう"と思い始めたのが、2009年に会場限定でリリースした2ndミニアルバム『metempsychosic』ですね。

●「歌詞に対する意識が強くなってきた」と言いましたけど、でも特段メッセージが強い歌を歌っているわけではないですよね。表現としての歌詞に対する姿勢が変わってきた?

金城:そうですね。「俺はこれが伝えたいんだ!」みたいなことって別にないんですよ。でも絵本のように、曲の中で情景を浮かべて欲しいと思うようになったんです。物語の一部を切り取ったような。だから歌詞を聴いて欲しいと思うようになって歌詞に力を入れるようになり、そこから歌うこと自体も意識するようになったという。

●なるほど。曲はどうやって作ってるんですか?

金城:最初に僕が歌メロとメインの構成、リフは僕が持ってくるんです。でもアレンジは個人に任せてるというか。それで個々のアイディアをバンドで擦り合わせていくっていう感じです。僕があまり「ああしてほしい」「こうしてほしい」って言うと、僕らみたいなアンサンブルロックの醍醐味がなくなると思うので。

●その話は曲を聴けば頷けるんですけど、歌とメロディがど真ん中にあるとは言え、間奏とか特にアンサンブルの緩急がダイナミックで、サウンド面に"静と動"があるバンドだなと。
4人:うんうん。

●しかも、音をたくさん重ねるというより1つ1つの音がシンプルだから、よりアンサンブルが際立って聴こえる。最初に聴いたとき、スタジオでジャムっぽく音を合わせて感覚的に曲を作り上げているのかな? と思ったんですけど。

上田:いや、意外にそういう感じではないんですよ。

金城:ジャムって感覚的に作るというより、みんなめっちゃ考えるんです。

●え? 感覚じゃないんですか?

金城:めっちゃ考えます。僕らは音楽学校を出てて、自分で言うのも何ですけど(笑)、真面目なんですよ。最初に曲を作ってくる僕はそこまで理論とか気にしないんですけど、最終的な詰めの段階で音楽理論はどうしても必要になってくるというか。個々が好きなことをしていたら音がぶつかり合うとか、そういうこともすごく気にしないといけないし、リズムの縦のところも合わせなアカンし。最初は感覚で作るんですけど、擦り合わせる部分は緻密に計算とかして完璧にやりますね。

●へぇ~。

金城:だから僕ら、テンポを無視した変拍子とか一切ないです。ちゃんときっかけというか、絶対にどこかで合うようにしてます。別に意識してそうなったわけじゃないんですけど…なんでやろうな?

上田:感覚でやると手癖とかも出るし。

松藤:自然にそうなってるよな。

金城:そういうところにちょっと魅力を感じるんですよね。如何に同じテンポ上でおもしろいことをするかっていう。

●そういう美学か。
FRICASSEE:変なことしてるけど最終的には4/4拍子で入ってるっていう感じが好きなんだと思います。変なところに芸術性を感じてる(笑)。

松藤:みんなそういうところあるよな(笑)。

●ハハハハ(笑)。

金城:今回リリースするシングルに収録されているM-1「harunela」も途中で変拍子が入るんです。

●うん、ちょっとリズムが変わりますよね。

金城:でもあれも、全部ちゃんと数えてみたらキチンと合ってるんです。ポリリズムじゃないけど、最終的には4/4拍子になるんです。

●そんなのリスナーは誰も数えないでしょ。

金城:誰も気づかないでしょうけど(笑)、でもそこに魅力を感じるんですよ。

一同:アハハハハハ(笑)。

●そこに気づいて欲しいというより、それが自分たち的に気持ちいいと。

上田:そうですね。

金城:M-2「Harsh line」もそうなんですよ。曲頭のリズムは僕のディレイで4/4になるけど、でもFRICASSEのディレイが符点8部で裏返るようになってるんです。

上田:それもちゃんと計算して。

●気持ち悪っ(笑)。

一同:アハハハ(笑)。

金城:スタジオに4人で入って合わせてて上手くいかなかったら、外に出て楽譜を書いて「こうやな」ってやったりします(笑)。

●そういうバンドだったのか。

金城:感覚的には、アンサンブルも全部メロディだと思って作ってるんです。歌がないところはバンドが歌ってる。僕のコードも、単純なコードじゃなくて絶対にメロディになってるし。歌ってないところも歌がそのまま繋がるように誰かが絶対に楽器で歌っているようにするんです。

●確かにそんな感じはします。

金城:僕はもともと吹奏楽をやっていて、それぞれが違うメロディを弾いてるけど全体でひとつの音楽になっているようなものが好きなんですよ。オーケストラとか。

●ああ~、そういう感覚ですか。納得。

金城:だから"支える"とかも大事やけど、でも「楽器も歌なんやで」っていうのを大切にしているというか、毎回しつこく言ってます。

●"感覚的にやってこそロックだ"みたいな価値観もありますけど、Rhycol.は真逆ですね(笑)。

金城:そうですね。変拍子の入れ方も、メロディがありきの変拍子という考え方なんですよね。だから一般的な"変拍子"という概念はないかもしれないです。僕らにとっては変拍子も"拍子"であり"メロディの一部"というか。クラシックとかはそういう曲が多いんですよ。拍子がコロコロ変わっていくみたいな。でもあれは、僕の解釈としては"変拍子"じゃなくて、セクションごとにリズムが変わっているだけだと思っていて。そういう感じで表現したいというか。もともとはみんなで曲を作ったりもしてたんですけど、正直なところ"人が作った曲を歌いたくない"という気持ちもあるので(笑)。だったら「自分は何がしたい」ということを伝えることに意味があるのかなと。

●それはヴォーカリストの自覚にも繋がってますね。

金城:そうですね。その上で、歌がありきだけどこの4人でしかできない演奏をしたいから、「楽器は全部メロディだと思って弾いてくれ」って。それがアンサンブルロックの醍醐味だから。

●おもしろいバンドですね。リリース後はツアーが控えてますが、どういうツアーにしようと思ってますか?

金城:たくさん曲を用意して、ジャンルにとらわれずに色んな触れ幅を見せれたらいいと思います。それこそ、僕らのライブはSEがなくて最初と最後にインストを演奏してるんですけど、そういう部分でも魅せたいですね。
NOHT FRICASSEE:僕はご当地ラーメンを食べまくります。

interview:Takeshi.Yamanaka