音楽メディア・フリーマガジン

Rhythmic Toy World

この声と唄を聴かずに何を聴く? 新たなモンスターバンド誕生の予感

185_Rhythmicどこまでも切なくて温かい歌声と、ライブでのふてぶてしいほどに堂々とした佇まいで強烈な存在感を放つ内田 直孝(Vo./G.)を擁する4人組バンド、Rhythmic Toy World。ギターロック・シーンにおいて新たな台風の目となる可能性とスケール感を持った彼らが、1stミニアルバム『軌道上に不備は無し』を4/17にリリースする。過去に発表したデモ音源は手売りのみで2千枚に達し、人気オムニバス『あっ、良い音楽ここにあります。その参』にも参加。周囲の注目が高まっている中で出される今作は、そんな期待や予想も遥かに超えた名盤の息吹を放っている。

「曲と歌詞に関しては、絶対的な“俺だ!”っていう自信があって。そこでどれだけビビッ!! と来させられるかというところを追求しています」

●ライブやPVを観ていると、内田くんは良い意味で“ふてぶてしい”印象があります。

内田:僕はよくそう思われているみたいで…。とっつきにくい印象があるらしくて、ライブの時も対バンの方やお客さんにあまり話しかけられないんですよ。音楽をやっている自分と、普段の自分というものを完全に分けたいんです。音楽をやっている時の自分には完全に自信しかないので、それがドンと構えているように見えるのかもしれない。

●自信に満ちた姿が、ふてぶてしく見えてしまう。

内田:“どこまでも中二病であれ”と思っているんですよ。たとえば電車の中で歌っていたら周りから冷たい目で見られるけど、ライブでは歌うことでみんなに称賛される。その時点で、あの空間は非現実的なんですよね。だから普段なら“サムい”と思われるような言葉を、いかに自信と誇りを持って放てるかというところに魅力が生まれると思っていて。そういう意味で、自分というものに化粧をしてステージには立っているつもりです。

●ライブでは内田くん以外のメンバーもキャラクターが出ていて、それが強烈なインパクトを残すのかなと。

岸:そこはデカいですね。

須藤:個々のキャラが立っているし、それが合わさってのRhythmic Toy Worldという部分はありますね。

●元々、この4人はどうやって集まったんですか?

岸:僕と須藤は幼馴染なんです。

須藤:僕ら2人は幼稚園から一緒で、内田とは大学で知り合いました。ちょうど就活前の時期で、本気で音楽をやりたいと思ってメンバーを探していたんですよ。そこで内田を誘ったんですが、最初は断られて…。

内田:その前に、須藤とカラオケに行ったんですよ。同じ大学の女子2人と一緒に行ったんですけど、須藤はすごくお酒を飲んで酔っ払うわ、女の子としか話さないし“どんだけやねん!”という感じだったので…。その姿を見た後に「本気でバンドをやりたいんだ。おまえの歌声に惚れたんだよ」とか言われても、それは無理でしょって(笑)。それで最初は断り続けていました。

●人間的に信頼できないと(笑)。

須藤:若気の至りと言いますか…(笑)。最初は岸の作る曲でバンドをやりたいと思っていたので、そのデモを内田に聴かせてみたら「やりたい」とやっと言ってくれて。でも最初にスタジオへ入った時に、岸がスタジオへ来なかったんです。

岸:自分も須藤を信用していなかったので…(笑)。「ボーカルを連れてくる」とは聞いていたけど、どうせダメなやつだろうなと思っていたんです。でも後からその時の音源を聴かせてもらったら、「この声はヤバい」と思ったので一緒にやるようになりました。

●内田くんの歌がバンドの核になっている。

磯村:まず彼の歌に聴き惚れたという部分があるので。僕は後から入ったんですけど、加入前にライブを観た時からカッコ良いと思っていて。客観的に聴いた時に“良いな”と思ったのは、3人とも同じだと思います。

岸:どんな楽曲を作っても、内田が歌うと“Rhythmic Toy World”になるのがすごいなと思うんです。

内田:メンバーがそう言ってくれるので、歌に関しては堂々と“俺に任せておけ”という意識はありますね。別にワンマンバンドというわけじゃなくて、ボーカルというポジションでは「他のバンドの誰にも負けない」とメンバーみんなが思っているから。だからこそ曲を書く時も、歌を堂々と(前面に)出せるというか。

●今は内田くんがメインで曲を書いているんですか?

内田:今回はそうでしたね。以前の作品では岸も書いていたので、今後はまたできてくると思います。

●今作『軌道上に不備は無し』には、過去のデモ音源からの楽曲も再録されているんですよね。

内田:これまでに出したデモの中で特に人気が高かったものを3曲再録して、他の4曲は新たに書き下ろしました。M-1「新しい風景」とM-5「かくれんぼ」、M-7「さなぎ」の3曲は、ライブでもお馴染みの曲です。

●その3曲を再録した理由とは?

内田:(全国流通の)1枚目ということもあって、今作でウチらを知ってくれる人も多いと思うんですよ。そういう人たちも大事なんですけど、僕は今まで背中を押してくれていた人たちを置いて行きたくなかったというか。いきなり全て新曲にしたら、(新しいファンも昔からのファンも)スタートラインが一緒になっちゃうから。やっぱり昔からライブに来てくれている人たちが「昔から応援しているんだよね」と言える作品にしたかったんです。だから“ここが僕らとみんなのスタートラインだ”という想いを込めて、その3曲も入れました。

●その中でも「さなぎ」はPVも作られていて、代表曲の1つなのかなと。

内田:以前は「もう少しキャッチーで、ストレートに歌が伝わるものをやってみたら?」ということを、色んな方から言われていたんです。でも“ありきたりなことはしたくない”というところで、変に意地を張っていた時期があって…。そこで「さなぎ」がターニングポイントになったんですよ。

●自分たちが変わるキッカケになった曲?

内田:この曲は自分が妥協できるギリギリのラインまでキャッチーでポップな言葉や構成を考えて作ってみたんですけど、ライブでやったらすごく人気が出たんです。やっぱり初見の人でも受け入れやすいんだなと思ったし、自分たちとして考えさせられるところがあって。そこからメンバーとも話し合って、“キャッチーでポップなものは嫌だ”という気持ちは捨て去りました。最近は、お客さんが口ずさめるようなメロディや耳に残るような歌詞にしようという意識が強いんですよ。紆余曲折はあったけど、今はメンバーの間でそこがガチっと固まっているのかなと。

●今は多くの人に聴いてもらいたい気持ちが強い?

内田:それはありますね。大衆に向けられている音楽なのに、そうじゃない人たちからも支持されているような存在でありたいというか。そういうバンド像が、目指しているところではあります。

須藤:自分自身は色んな音楽を聴いているので、それをバンドとしての音楽にアウトプットしていきたいと思っていて。単なる“歌モノ”という枠にはとどまらないような、大衆にもコアな音楽ファンにも受け入れられるようなものを作っていきたいし、このバンドにはそれができると思うんです。

●今作はそのための第一歩というか。

内田:タイトルも、そういう想いを込めて付けたんです。これから自分たちが世に知られていく軌道の上で、今までやってきたことに自信を持って進んで行こうという気持ちで“不備は無し”として。“もう準備はできた”という意味で、ストレートに表現しました。

●このタイトルを見た時に、メッセージ性が強いバンドなのかなと思ったんですが。

内田:これまでのデモ作品にも、1枚ごとにテーマがあったりしたんですよ。今回はM-2「光と闇と、その目とその手」という曲もあるように、“光と闇”みたいなテーマがあって。“表と裏”みたいな、対になっているものがテーマというか。基本的にみんな好きなもののほうにばかり行っちゃうと思うんですけど、たとえばヒップホップが好きだとしても、ロックやポップスを全く聴かなければその良さも半減しちゃうと思うんですよ。それだけだったら、それ以上も以下もないから。

●比べる対象がないから、引き立たない。

内田:好きなものの反対側にある、見たくない/やりたくないようなことに少しでも目を向けて欲しいなと。そうすれば今自分がやっていることや好きなことにもっと誇りや自信を持って、躍進できるはずだと思うんです。“対になるものをどちらも怖がらずに見つめる”ということをテーマに、今回は歌詞を書きましたね。

●具体的に「光と闇と、その目とその手」の歌詞は、どんな内容なんですか?

内田:今はネット上で、みんなが言いたい放題じゃないですか。自分が発信したものに対してヒドいことを言っている人がいたとしたら、普通は腹が立って無視したりすると思うんです。でも僕は、なぜその人がそういう言葉をそこで吐くに至ったのかというところに視点を持って行きたくて。

●相手の心情を想像するというか。

内田:もしかしたらその人もバンドマンで他のバンドが上手くいっているのを羨んでいるのかもしれないし、単純に自分のプライベートが上手くいっていないだけかもしれない。そもそも本当に性根が腐った人なら表には出てこないだろうし、何かを主張したいと思う人には絶対に熱いものがあるはずなんですよ。言葉の選び方が単に不器用なだけかもしれなくて。“そういう人の気持ちにまで想いを馳せられたらいいな”というテーマが凝縮された曲ですね。

●他人の気持ちまで想像して歌っているから、より広いところへ届くものになっている気がします。

内田:自分たちの目標としては武道館とかアリーナクラスの会場でやれるようになりたいですけど、そうなったらどれだけ頑張っても1人1人にまでは目が届かなくなると思うんですよ。でも今は(ライブ会場の)端っこまで1人1人の顔が見えるわけだから、目の届くところにいてくれている人のことを考えられるだけ考えたいんです。やっぱりお客さんあってのライブなので、“そこまで考えていなかったら、こんな曲は書けないでしょ?”っていうくらいの気持ちはありますね。

●だからこそ、独自の世界観も生まれている。

内田:曲と歌詞に関しては、絶対的な“俺だ!”っていう自信があって。そこでどれだけビビッ!! と来させられるかというところを追求しています。やらなきゃいけないのは、そこだと思うんですよね。

須藤:内田は言葉選びがすごく上手いんです。僕らが落ちている時も、それをプラスに変えてくれるような言い方で鼓舞してくれる。そういうところでも内田の言葉には魅力があって、それに僕らも惹かれているところがあります。

磯村:今作を聴いていると自分が演奏しているんだけど、励まされる感じがあるというか。たとえば「さなぎ」を聴くと、“今日も頑張ろう”という気持ちになれるんです。これからスタートラインに立てるというか、“やっとだな”という感覚が今作にはあって。やっと先輩バンドたちと同じ土俵に立てたという印象がありますね。

●今作を作ったことで、より自信も増したのでは?

須藤:制作中も聴いてきたんですけど、こうやって完成したものを客観的に聴くと本当に自信が持てますね。レコーディングが大変だったというのもあって1曲1曲にすごく想いが込められているので、最初に聴いた時は泣きそうになって。内田の歌が乗ったものを聴いた瞬間に、自然とこみ上げてきたんです。ライブでもたくさんやって、このヴァイヴスを色んな人に届けられたら最高ですね。

岸:自分も1フレーズ1フレーズに思い入れがあるので、聴く度に感動する感じです。

内田:何か大事なことがある前日って、すごく緊張するじゃないですか。でも気付いたら、いつの間にか終わっていて“今”になっている。今回もレコーディングする前はすごく緊張していたんですけど、気付いたら作品が完成して“今”になっていて。でも今振り返ってみて、色んな思い出をメンバーそれぞれが語れるっていうことが素敵だなと僕は思うんです。みんなにここまで話したいことがあると思わせてくれた今作に対して、すごく感謝の気持ちがあるというか。自分が作った曲なんですけど、「生まれてきてくれて、ありがとう」と言える作品だなと思います。

Interview:IMAI

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj