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Cover & Interview:リムキャット 研ぎ澄まされた楽曲センスで結びついた仲間たちと共に、独自の道を自由気ままに闊歩するカオティックエレクトロニカバンド

Cover & Interview:リムキャット 研ぎ澄まされた楽曲センスで結びついた仲間たちと共に、独自の道を自由気ままに闊歩するカオティックエレクトロニカバンド


 
 
 
下北沢を中心に活動する男女ツインボーカル・エレクトロニカギターロックバンド、リムキャットが3/16に渋谷WWWを舞台に過去最大規模のワンマンライブを行う。その開催を前に、メンバーのVo./G./Prog.クマとDr.まぁの2人に想いを語ってもらうスペシャルインタビューが実現した(※Vo./G.栞は都合により欠席)。JUNGLE☆LIFEで彼らのインタビューを掲載するのは、1stアルバム『カオティック/エレクトロニカ』を発表した2015年以来、実に約5年ぶりとなる。2014年の結成から2度のベーシストのメンバーチェンジを経ながらも、ずっと活動を共にしてきた現メンバーの3人。前身バンドの頃から長きにわたり3人をつなげてきたものは、全ての楽曲制作を手がけるクマの才能への絶対的な信頼だという。そして、その信頼が局所的なものではないことは、彼らが2016年から開催してきた自主イベント“リムフェス”に集まるバンドの数を見れば明白だろう。徐々に規模を拡大し、2019年からは大阪でも開催されるようになった“リムフェス”は、リムキャットに対する仲間たちとファンからの評価と信頼を物語っている。渋谷WWWワンマンというバンドにとって重要な舞台に立つことを機に、これまでの歩みをじっくり振り返りつつ、ニューアルバム『Pellucid Ends』のことから最新の心境にまで迫る、表紙&10,000字ロングインタビュー。
 
 
 

Cover & Interview #1


「もし僕の作っている音楽がしょうもなかったら、すぐ終わっちゃうようなバンドだったというか。音楽を作ることだけには自信があるし、それがこのバンドの接着剤になっていると思います」


 
 
 
●JUNGLE☆LIFEとしては1stアルバム『カオティック/エレクトロニカ』(2015年)をリリースした時以来のインタビューとなるわけですが。
 
クマ:もう5年前ですね。ちょうど当時は僕がノドの手術をして活動休止をしていた期間が明けて、また新たに動き始めていた時期で。リムキャットを2014年に結成してから1年くらい活動してきた中で色んなバンドとも出会って、“もっとこうしていこう”というイメージが湧いてきていた時期だったんです。それもあって、“ちゃんとボーカルに取り組んでいかなきゃ”というところでノドの手術を受けて、万全の状態でレコーディングに挑みました。そして1stアルバムを完成させて、“これからまたやっていこう”というタイミングだったと思います。
 
●新たな出発を迎えるタイミングだったと。
 
クマ:そうなんです。言ってしまえば、“あそこから始まった”という感じもありますね。
 
●そこに至るまでは、まだバンドの方向性や音楽性について試行錯誤していたのでしょうか?
 
クマ:当時の自分としては、“100点満点”のつもりでやっていたと思います。バンドとしてもやりたいことをやっていたとはいえ、今振り返ってみると何もかもが至っていなかったというか…。サウンド的にもビジョン的にもやりたいことはたくさんあったんですけど、どれも漠然としていて定まっていない状況でした。まるで大きな円の中に飛び込んでいたような状態でしたね。でも今はすごく焦点を絞って、小さな点に向かっているような感覚があるんです。
 
●まぁさんは当時を振り返って、どう思いますか?
 
まぁ:その頃は…、もう5年も前のことなので記憶が……。
 
クマ:まぁさんはあまり上手に喋れないんですよ(笑)。これまでもメンバーは、ずっと僕についてきてくれているところがあって。僕の作る音楽が好きだからついてきてくれているんですけど、たぶん当時のほうがそこへの信頼度は薄かったんじゃないかな。
 
●そういう自覚があるんですね。実際はどうでしたか?
 
まぁ:いや、そんなことはないです。私はリムキャットの前身バンドはもちろん、それ以前から一緒にやっていて、昔も今も彼(=クマ)の作る音楽が世の中で一番カッコ良いと思っているんですよ。だから、信頼度が薄いということはなかったですね。
 
クマ:自分としても、メンバーがそういう気持ちでいてくれたのは嬉しいです。ただ、その頃はバンドとして何もなし得ていなかったんですよね…。
 
●目に見える結果が出せていなかった。
 
クマ:一生懸命に走ってはいるけれども、何の評価も得られていない時期だったから。自分としてはメンバーがついてきてくれているのに、その信頼に応えられていないという感覚があったんです。でも今は“リムフェス”やサーキットイベントを自分たちで主催できるようになったし、音楽的にも多方面から評価して頂けているので、“やっぱり自分の音楽は間違っていないんだな”と思えていて。その姿を見ている他のメンバーにも“これで正解なんだな”と感じてもらえているはずだから、今のほうが信頼度も厚いのかなと僕は思っています。
 
まぁ:どんどん(信頼度が)プラスされていっている感じですね。
 
●長い付き合いの中でも信頼を失うことなく、どんどん増しているのはすごいなと思います。
 
まぁ:減点することはあまりないです。(クマは)“間違ったことは言っていない”と信じ切っているから。
 
 
 

 
 
 
●それほどまでの信頼感があるとは…。
 
クマ:“音楽に関しては”という感じですけどね。そこ以外はわからないです(笑)。僕らは年齢も出身地も別々だったからこそ、音楽だけでしか結び付けなかったと思うんです。逆にもし僕の作っている音楽がしょうもなかったら、すぐ終わっちゃうようなバンドだったというか。音楽を作ることだけには自信があるし、それがこのバンドの接着剤になっていると思います。
 
●とはいえ、少しくらい人間的に嫌な部分があったりもするのでは?
 
まぁ:“嫌だな”と思っていた時期を通りすぎてしまっているので、今はそういう部分も含めて(クマのことを)“リーダー”だと思っています。
 
クマ:昔は、語気がもっと強かったんです。ついケンカ腰で言ってしまうようなところがあって…。
 
●それに対する不満は感じていた?
 
まぁ:“そういう言い方をしなくても良いんじゃない?”と思っていた時期はありました。「間違ってはいないんだけれども、ちょっと言い方がきつすぎるから…」という話は、何度かしたことがありますね。
 
クマ:今はそこもたぶん直ったと思います。そういう部分も、当時は焦りからきていたと思うんですよね。“自分の音楽は本当に正しいのか?”という不安から生じるストレスが、言葉に出てしまっていて。でも今はそこも超越したと思いますね。
 
●徐々に変わってきた感じでしょうか?
 
クマ:この5年間で色んな人と出会って色んな経験をしてきた中で、“自分たちは間違っていない”という自信がすごくついて。だから、たとえば自分たちの音楽性をけなすようなことを誰かに言われても、平気で流せるようになったんだと思います。自信がない時は(土台が)グラグラしているから、揺さぶられるようなことを言われたらすぐに怒ってしまっていたんですよね。
 
●自信がついたことが大きい。
 
クマ:あと、自分としては、タトゥーを入れるたびにキッカケにはしているんですよ。“これを入れたから、今日からはもう別の自分だ”という感覚があって。そういう中の1つとして、“しょうもないことで怒るのはやめよう”と思いました。
 
●ちなみにタトゥーは、どういうタイミングで入れようとなるんですか?
 
クマ:たまにメンタル的に落ちるタイミングがあって。自分は元々メンタルが弱いんですけど、そういうタイミングが急に来るんですよ。だんだん積み重なってきたものが爆発するというわけじゃなくて、突然“あ、ダメだ…!”ってなる。それを打開するための方法の1つですね。女の子が気分転換のために髪型を変えたり、服を買ったりするのと同じように、自分の場合はタトゥーを入れるんです。
 
●メンタル的に落ちている状況を打開する1つの方法だと。
 
クマ:メンタルが落ちている時って、物事を創作することには向いていて。でもそういう時に歌詞を書いたり曲を作ったりすると、自分の中にあるものがさらに外へ出ていってしまうから本当に危ないんですよね。そういう時に“これはもう行くところまで行ってしまおう”と思って書いたのが、M-1「ペルシードカオスダウナー」なんです。
 
●ニューアルバム『Pellucid Ends』の1曲目ですね。この曲の“もう怖くないよ 涙は疲れ果て眠ったから”という冒頭の歌詞を見た時に、1stアルバム収録の「眠らない猫」に通じるメッセージ性を感じました。
 
クマ:同じ世界線で曲を作っていますからね。基本的に自分が全ての曲を作っているので、どの曲にも僕の世界観が出ていて。僕は空想で歌詞を書けないタイプなんですよ。たとえば実際に恋愛をしていないから、恋愛の歌詞も書けないんです。だから人間の考え方について書いた歌詞が多いんですけど、「ペルシードカオスダウナー」の1行目はまさにそういう感じですね。「眠らない猫」はリムキャットとして1曲目に作った曲なので、それへのアンサーソングにもなっています。
 
●人間的に成長したことで、メンタル面の上がり下がりの幅も小さくなったのでしょうか?
 
クマ:いや、逆にその幅は大きくなったと思います。昔はもっと低空飛行だったと思うんですよ。だからそんなにテンションが上がることもなく、打ち上げでもバカなことをしたりできなかった。でも今はできるし、その場を盛り上げるためにテンションを上げたりもできるようになって。あと、後輩が悩んでいたら、話を聞いてあげたりするのも好きなんですよ。でも家に帰ってから、ふとした瞬間にめちゃくちゃ落ち込むんです。色んな思考が止まっちゃうというか…、自分でもちょっと怖いんですけどね。
 
●1人になった時、急に落ち込んでしまうんですね。
 
クマ:そうなんですよ。でも歌詞は、それで書けるから良いんです。M-2「Fray」なんてまさにそういう曲なんですけど、歌詞に書いてある内容は本当に自分のことなんですよね。“今日もベッドから動けず 天井を濁った瞳で見つめているんだ”という歌詞のとおり、部屋でボーッとしていることがあって。本当はやらなきゃいけないことがたくさんあるのに、止まってしまっている状態を描いています。
 
●こうやって人前で誰かと接している時は、明るい印象があります。
 
クマ:1stアルバムの時はまた違ったかもしれないんですけど、その後で自分を演じるようになったんです。“楽しい人になろう”と思って。昔から太陽みたいな人が好きで、そういう人に自分もなれたら良いなと思っていたんですよ。それでそういうふうに演じ始めたら、周りに人がたくさん集まってきてくれるようになって、“これだ!”と思ったんですよね。
 
 
 

 
 
 
●そういう変化に、まぁさんは気付いていましたか?
 
まぁ:いや、気付いたら、知らないうちに年下のバンドマンの子たちと仲良くなっているなという感じでした(笑)。
 
●ハハハ(笑)。結果的に明るいキャラクターを演じることで、良い影響も出るようになったと。
 
クマ:演じていることに対して“ニセモノだ”とか言われても、“別にそれで良くない?”って思うんですよ。自分は元々そんなに価値のない人間だと思っているので、だからこそ(演じることで)価値のある自分を作らなきゃいけないと思うんです。
 
●“価値のある自分”になるために演じているわけで、演じ続けることでそれがいつの間にか“本当の自分”になるのかもしれない。
 
クマ:実際にそういう歌詞も書きましたね。「Fray」では“本当の自分はどことか今更何を言ってるんだ 蓋をして鍵をして閉じ込めた箱の上で演じきれれば それが新たなホンモノになると信じて殺したくせに”と歌っていて。
 
●その後に続く“全部手遅れだ やり直せない”というのもネガティブな意味ではない?
 
クマ:これはメンタルが落ちている時に書いた歌詞なんですけど、そこは“もう本当の自分には戻れない”という意味ですね。“別に今がダメとも思っていないけど、もう一度やり直したいな”という気持ちが、その次の“I wanna replay my life.”という歌詞に出ています。
 
●なるほど。
 
クマ:ちなみに曲名の「Fray」は“切り裂く”という意味なんですよ。“自分を切り裂いて、中身を出す”という意味がまずあって。あと、「Fray」には“ほつれる”という意味もあるんです。そこには“ほつれた自分”という意味を込めています。
 
●だから歌詞の中にも“ほつれた糸の先に染み込んだ過去の業”や“チェーンソーで切り裂く”という表現が出てくるんですね。
 
クマ:その2つの意味をかけているんです。
 
●そういった言葉の使い方はヒップホップにも通じる手法だと思いますが、以前よりもラップ調の曲が増えたような…。
 
クマ:元々は、こんなに多くなかったです。ラップなんて、それこそ1stアルバムの頃には聴いていなかった音楽ですからね。
 
●「myサイケ」(3rdアルバム『a rule of dawn』収録)もラップ調の歌い方を取り入れていますが、MVにもなっていて、この5年間で1つのキーになる曲なのかなと思ったんです。
 
クマ:「myサイケ」は、1つの大きな転機になった曲だと思います。この曲ではスカのリズムを取り入れているんですけど、自分たちの周りでは当時エレクトロなサウンドでスカをやっている人は他にいなかったんですよ。だから、それを自分たちがやったらカッコ良いなと思って。そもそもリムキャットでは、他人がやっていない音楽をやりたかったし、“自分が聴きたい音楽を作ろう”という気持ちもあって「myサイケ」を作りました。
 
●当時の自分が聴きたい音楽を具現化したわけですね。
 
クマ:だから自分でもめちゃくちゃカッコ良い曲だなと思っていたんですけど、ちょうどその時期に前のベーシストが辞めることになって。新しいベーシストに変わったこともあって、新たにこういう方向でやっていこうとなりました。
 
●「myサイケ」がバンドの新たな指針にもなった。
 
クマ:そこまでのリムキャットはもう少しポップ寄りで、4つ打ちの曲が多かったんですよ。でも2017年9月に初めて「myサイケ」(※初出はシングル『MY PSYCHEDELIC DAYZ』)を世に出したところから、バンドとしてダークな方向に行ったんです。そうしたら、お客さんからの評判があまり良くなくて…。
 
●自分たちとの感覚とリスナー側の反応にギャップがあったと。
 
クマ:自分ではすごくカッコ良いと思っていたので、そのことにちょっと驚いて。“自分たちには合わないのかな”と感じるようになってセットリストからも外そうかなと考えていたら、ライブ後に「あの曲がめちゃくちゃ良いです!」と言ってくれる人がだんだん増えてきたんです。
 
●自分が自信をなくすのと反比例して、曲の評価が高まっていった。
 
クマ:そうなんですよ(笑)。そこで“やっぱり合っていたんだ”と思って。最終的に今では「myサイケ」は絶対にセットリストから外せない曲になったし、ライブでも一番盛り上がるんです。リムキャットを象徴するような曲になりましたね。
 
 
 

 
 
 

Cover & Interview #2


「今は“それぞれの正解がある”という考え方なので、リムフェスの出演者を自分の好き嫌いだけで決めるわけではなくて。その人たち自身が“カッコ良い”と信じてやっているものなら、自分たちはそれと戦いたいから出演してほしいと思っています」


 
 
 
●ラップ調もそうですが、1stアルバムの頃と一番大きな違いは歌い方かなと思いました。当時はオートチューンを多用していましたが、今はそれぞれのナチュラルな声質を活かしているように感じます。
 
クマ:そうですね。ライブではまだオートチューンを使っているんですけど、今回の音源では使っていなくて。そこは栞の声がきれいになったというところも大きいと思います。ずっと歌っている中で、どんどん栞の声が良くなってきて、表現力も増してきたんですよ。
 
●その進化が表れている。
 
クマ:「ペルシードカオスダウナー」ではサビの部分を全部、栞が歌っているんです。そこも元々は“自分がメインボーカルのバンドだ”という気持ちでやっていたところから変えた部分なんですよね。変えようと思い始めた当初は“5:5”くらいの割合で歌ってもらおうと思っていたんですけど、今では“7:3”くらいの割合にまで自分が歌うパートは減っていて。
 
●いつの間にか、栞さんがメインボーカルのようになっている。
 
クマ:今もステージでは自分がセンターに立っているんですけど、栞がメインボーカルというくらいにまで強調しても良いのかなと思っていて。そもそもリムキャットというバンド名には“自由気ままな猫のように”という意味を込めているので、変なこだわりはなく、その曲が一番映える形にしてあげたいなと思うんです。だから「ペルシードカオスダウナー」では、サビを栞に歌ってもらいました。
 
●まぁさんから見て、栞さんは変わったと思いますか?
 
まぁ:どうなんですかね…? 彼女はあまり自分の感情を話すような人じゃないので…。
 
●2人で女子トークをしたりもしない?
 
まぁ:全然ないですね。
 
クマ:もちろん必要な話はするんですけど、どうでも良い話をしている2人を見たことがないですね。まぁはアイドルが好きで、栞はプロレスが好きで…という感じで、そもそも趣味が大きく違うんですよ。
 
●同じ女性でも、趣味は全然違うんですね。
 
まぁ:趣味が違いすぎるので、そういう話をしてもわかり合えないから。でも彼女は彼女なので、そこを否定する必要は一切なくて。さっきも(メンバー同士が)“音楽でつながっている”という話がありましたけど、それで良いんじゃないかなと思っています。
 
●女子2人はタイプが違う?
 
クマ:全く違うと思います。栞は、まぁさんよりも喋らないんですよ。周りの人たちからの助言もあって、ライブのMCを栞に担当させた時期もあったんですけど、もうグダグダで…これはダメだなと(笑)。
 
●そういうことに向いていないんでしょうね。
 
クマ:栞は今、SNSもやっていないんですよ。Twitterをやっていた時も週に1回くらい、よくわからないことをつぶやいていたくらいで(笑)。アーティストとして、自分の言葉を表に発信していくタイプの人間ではないんですよね。
 
●だからSNSもやめてしまったと。
 
クマ:バンド内で“栞はSNSをもう少し頑張るか、もしくは辞めるか、どちらかにしたほうが良いんじゃないか”という話し合いをした時に、サポートベーシストの赤毛が“無理に出すべきではないんじゃないか”と言ってくれて。僕らも“それはそうだね”となって、栞も別に続けたいわけではなかったので、SNSを辞めることにしたんです。
 
●サポートメンバーとはいえ、赤毛くんの存在が大きい?
 
クマ:大きいですね。僕は元々、彼のやっていたバンドが好きで、当時からすごく尊敬していて。これまでリムキャットでは、僕以外がバンドの舵を取ることがなかったんです。でも赤毛は前のバンドでも舵を取っていた経験があるので、そういう人の意見をもらえることがすごく良いんですよね。今では一緒にバンドのビジョンを考えてくれたり、自分の考え方を変えるキッカケになるようなことを言ってくれたりもして。それによってバンドの見せ方を今まで以上に考えるようにもなったし、彼がサポートメンバーになってから僕らはすごく変わったと思います。
 
●それほど大きな影響を与えているんですね。
 
クマ:そんな彼が参加するようになってから初めての音源が、今回の『Pellucid Ends』なんです。赤毛はサポートとはいえ、正式メンバーと同じレベルで力を貸してくれていて。レコーディングやMVにも参加してほしいという僕らのお願いも快諾してくれて、本当にちゃんと一緒に音楽をやれている感覚がありますね。
 
●その『Pellucid Ends』には「Tokyo Midnight Forest」という新曲も収録されていますが、これはどういう経緯で作った曲なのでしょうか?
 
 
 

 
 
 
クマ:「Tokyo Midnight Forest」は元々、僕がソロでやっていた曲なんです。リムキャットとは別のところで新しいチャレンジをしたいなと思った時にソロ用に作った曲なので、本当に僕の個人的なことを歌っていて。リムキャットとは違って、何かを伝えたいとかメッセージ性があるわけではなくて、ただ自分の話をしているだけの曲なんですよ。
 
●基本的には、どの曲も個人的な想いが元になっているのでは…?
 
クマ:そうなんですけど、その向こう側にちょっと伝えたいこともあるんですよ。でも「Tokyo Midnight Forest」に関しては、そういうものが全然なくて。本当に自分のことだけを歌っています。昔のバンドではそういう感じで曲を書いていたんですけど、リムキャットになってからは一応、メッセージ性がどの曲にもあるんです。
 
●ソロ用に作った曲をリムキャットでやろうと思った理由とは?
 
クマ:自分としても、これに関してはすごく良い曲ができたと思っていて。当時ちょうどアイドルグループのプロデュースをやっていた時期で、その子たちに歌ってもらっていたんです。でもそのアイドルが活動終了してしまって、このままこの曲も終わりにするのは嫌だなと思ったんですよね。せっかく良い曲だから今後も伝えていきたいなというところで、リムキャットでやろうと思ってバンドアレンジを考えていきました。
 
●この曲を含む新曲3曲とライブ音源10曲を合わせてのニューアルバムとなりますが、自信作ができた感覚はある?
 
クマ:毎回思っていることですけど、今回の音源に関しては音も楽曲のクオリティも過去最高だと思っています。最近は色んなバンドが経費削減のために自分たちでレコーディングをしている部分もある中で、僕らはそこにちゃんとお金をかけていて。良いエンジニアの人たちにお願いして、妥協なく良い音で録ったので、音のクオリティはそのへんのバンドには絶対に負けていないと思います。音にこだわりのある人にも、今回はぜひ聴いてほしいですね。
 
 
 

 
 
 
●そして3/16には、バンドにとって過去最大規模となる渋谷WWWでのワンマンも控えています。
 
クマ:リムキャットは今が一番カッコ良いし、それを毎回ちゃんと更新できていると思うんですよ。昔はお客さんに“作品を投げつけてお終い”という感じだったんですけど、今は“この作品をどうやって楽しんでもらおうか”ということを考えていて。だからライブも、お客さんを楽しませる方向で考えているんですよね。何も知らない人にも楽しんでもらえるアトラクション性があって、1本の映画を観終わったような気持ちで帰ってもらえるライブを心がけています。WWWワンマンもそういうものにしたいと思っているので、楽しみにしていてほしいですね。
 
●まぁさんは、どうですか?
 
まぁ:これだけの規模の会場でライブをできることって、普通に生きていたらないと思うんですよ。ワンマンをやること自体も久しぶりだし、しっかりと身体を作って、みんなに楽しんで頂ける状態で臨みたいと思っています。
 
●そんな渋谷WWWでのワンマンの前に、1月・2月に“リムフェス”を連続で開催したのはどういう理由から?
 
クマ:渋谷WWWワンマンをやると決めて、そこまでに何をしようかと考えたんです。たとえば地方でツアーをまわるという手段もあったと思うんですけど、やっぱりリムキャットは“リムフェス”を通じて仲間たちと一緒に進んできたし、それを大事にしたいと思って。だから通常より小さいサイズで、コンセプトを決めた“リムフェス”を1月・2月にやって、3月につなげようということになりました。1月は女性ボーカルのアーティスト限定にして、2月は仲間たち+ゲストで熱い“リムフェス”スペシャル編をやって、3月のワンマンに向かっていくという流れですね。
 
●リムフェスを始めた当初は、今ほど回数が多くなかったですよね?
 
クマ:元々は年に1回でしたね。その後で、毎年4月に大阪でもやるようになって。大阪で最初にやった時の評判が良かったので、それなら毎年やろうということになったんです。だから今は年に2回、リムフェスをやっています。…でも今年は毎月やっていますね(笑)。
 
●フェスができるだけのバンドを集められるブッキング力がすごいと思います。
 
クマ:みんな出てくれるから。…実は今日の取材段階(※2月中旬)では、4/18のリムフェスのブッキングは全然していないんですよ。
 
●それでもできてしまう?
 
クマ:できちゃうんですよ。自分が忙しくて後手後手になってしまっているのも良くないんですけど、色んなバンドから“俺たちはその日に出る予定でいるんですけど、忘れていないですよね…?”みたいな連絡がたくさん来ていて。口頭で出演が決まっている人は、たくさんいるっていう(笑)。
 
●口頭でブッキングしているせいで、自分でもあまり把握していないと(笑)。
 
クマ:だから、不安なんですよね…。みんなには“俺が忘れているかもしれないから、もし第1弾発表をした時に自分たちの名前がなかったら連絡して”と言っています(笑)。
 
●どういう基準で誘っているんですか?
 
クマ:出会った時に“カッコ良い”と思った人を誘っています。あと、リムキャットのことを好きでいてくれる人という感じですね。誰でも良いわけではないし、やっぱり“仲間”と思える相手というか。ただ、昔と今で大きく違うところもあって。昔だったら、自分があまり音楽的に好みじゃないバンドは出さなかったと思うんですよ。でも今は“それぞれの正解がある”という考え方なので、リムフェスの出演者を自分の好き嫌いだけで決めるわけではなくて。その人たち自身が“カッコ良い”と信じてやっているものなら、自分たちはそれと戦いたいから出演してほしいと思っています。
 
●ジャンルには縛られていない。
 
クマ:ちゃんと音楽のことを考えて、真剣に戦っている人なら良いんですよ。もし自分たちとは違うジャンルでも、そういう信念を持っている人たちなら出てほしいと思っています。
 
●1組のバンドを中心にこれだけ多くのアーティストが集まる“リムフェス”は、これまでリムキャットが積み重ねてきたものを象徴しているように思います。
 
クマ:自分は本当に、音楽以外に魅力のない人間だと思っていて。それでもこれだけ多くのバンドが集まってくれるのは、やっぱり自分たちの音楽がカッコ良いからだと思うんですよ。ただリムキャットがカッコ良いから、そこ(=“リムフェス”)に出たいと思ってくれているのが、本当に嬉しいんです。メンバーと同じように、みんなと音楽でつながっているということを実感していますね。
 
 
 
 
 
 
●では最後にまぁさんから、4月の“リムフェス”大阪編への意気込みをお願いします。
 
まぁ:リムフェスに関してはもう楽しいことは決まっているので…、“酔いつぶれない”ということだけですね(笑)。
 
●それだけ(笑)!?
 
まぁ:前回のリムフェスでは、酔いつぶれてしまったので…。
 
クマ:まぁさんが酔いつぶれたのは、その1回だけなんですよね。普通は打ち上げで飲んでもそうはならないのに、前回のリムフェス大阪編では酔いつぶれてしまって。
 
●それだけ楽しかったということですよね?
 
まぁ:めっちゃ楽しかったです! 私は生まれも育ちも東京なので、東京以外の場所でライブを大きな規模でやって、知っている仲間がたくさんいてワイワイやっている…という相乗効果もあって、楽しすぎて飲みすぎちゃって酔いつぶれました。だから、今回は羽目を外しすぎないようにしたいと思っています(笑)!
 
 
Interview:IMAI
 
 
 
 

Member
クマ(Vo./G./Prog.)
栞(Vo./G.)
まぁ(Dr.)
 
リリース情報

New Album
『Pellucid Ends』
¥2,200(税込)
NOW ON SALE
※ライブ会場物販にて発売中。
ライブ情報
リムキャット ONE-MAN LIVE
“Cat on the Rim To Code”
3/16(月) 渋谷WWW
 
リムキャットpresents
4会場周遊イベント
“リムフェス'20 -大阪カオティックス#2-”
4/18(土) アメリカ村BEYOND/アメリカ村DROP/心斎橋Live House Pangea/アメリカ村CLAPPER
 
more info→
https://www.rim-cat.com/

 
 
 
 
 

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